『ブライアン・デ・パルマ』私の愛する映画監督7
今回はサスペンスタッチの演出と独特のカメラワークで人気のあるブライアン・デ・パルマ監督を紹介します。
デ・パルマ監督は昔コロンビア大学で物理を学んでいたそうですが、大学時代に『市民ケーン』『めまい』に衝撃を受け、映画の道に進むことになります。
1960年代はニューヨークを拠点に短編やドキュメンタリーを製作。そして1968年にロバート・デ・ニーロ出演の群像劇『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン』を製作。
そして、1970年にはハリウッドに活躍の場を移すがパッとせず、ニューヨークに戻り、『悪魔のシスター』を監督。映画ファンに高い評価を受け、続けて監督した『ファントム・オブ・パラダイス』がカルト的人気を呼びます。そして、ハリウッドに戻り監督した1976年の『キャリー』が大ヒットし一躍有名監督になります。
その後、70年後半~80年前半にかけて、次々と話題のサスペンス映画を監督。デ・パルマカットと呼ばれる独自の映像表現に熱狂的なファンが現れます。
しかし、1983年アル・パチーノ主演作の大作『スカーフェイス』が酷評され、一時期低迷状態に。
そんな中、1987年に『アンタッチャブル』がヒットし奇跡の復活を遂げます。だが、90年以降は1996年の『ミッション:インポッシブル』以外にヒットにも恵まれず、作風も大味で評価も低迷状態が続きます。
最近もコンスタントに監督作品が発表されますが、70年後半~80年前半の一番脂が乗っていた時代に比べると出来は今ひとつのものばかりです。
私は70年後半~80年前半にかけてのヒッチコックを意識したB級テイストの作品が大好きです。(ヒッチコックのパクリと嫌う人もいますが。)
華麗で凝ったカメラワーク、エロスと暴力に彩られた猥雑な雰囲気、ストーリーの語り方の巧みさ、往年の映画へのオマージュ。当時のデ・パルマ監督の作品には色気と勢いがありました。
しかし、80年後半以降の作品はいまいちパッとしないものが多いです。特に監督が過去得意としていたサスペンス作品はどれも残念な出来が多く、デ・パルマ監督ファンとしては寂しい限りです。
もちろん、『アンタッチャブル』や『ミッション:インポッシブル』等のアクション大作で、緊張感とスケールの大きさを感じさせる演出を行っていましたし、アル・パチーノを主演に93年に監督した『カリートの道』などはデ・パルマ監督でないと撮れない哀愁に満ちたギャング映画でした。
デ・パルマ監督は大作や文芸調の作品より、エロチックなB級作品の方が才能を発揮できると思います。できれば、再度そのような作品を撮ってほしいとファンとしては願います。
【主な監督作品】
・リダクテッド 真実の価値(2007)
・ブラック・ダリア(2006)
・ファム・ファタール(2002)
・ミッション・トゥ・マーズ(2000)
・スネーク・アイズ(1998)
・ミッション:インポッシブル(1996)
・カリートの道(1993)
・レイジング・ケイン(1992)
・虚栄のかがり火(1990)
・カジュアリティーズ(1989)
・アンタッチャブル(1987)
・ボディ・ダブル(1984)
・スカーフェイス(1983)
・ミッドナイトクロス(1981)
・殺しのドレス(1980)
・フューリー(1978)
・愛のメモリー(1976)
・キャリー(1976)
・ファントム・オブ・パラダイス(1974)
・悪魔のシスター(1973)
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