『ボディ・ダブル』この映画を見て!
第230回『ボディ・ダブル』
今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督のヒッチコックへの愛着が全編に散りばめられた傑作サスペンス『ボディ・ダブル』です。
ストーリー:「恋人の浮気で住むところを失った閉所恐怖症の俳優ジェイク。彼は友人サムに誘われて、ハリウッドの高台にある豪邸の留守を預かることになる。その豪邸の部屋には備え付けの望遠鏡があり、覗くとセクシー美女の淫靡な姿があった。彼は美女の淫靡な姿に見とれるが、その美女を付け狙う男がいることに気付く。彼は美女を付け狙う男を尾行を開始するが、美女はある晩に殺されてしまう。」
ヒッチコック監督のファンならストーリーを読めばすぐ分かると思いますが、本作品はヒッチコック監督の代表作である『裏窓』と『めまい』にオマージュを捧げた作品です。覗きから殺人事件に巻き込まれるという設定は『裏窓』ですし、主人公が閉所恐怖症という設定は『めまい』の主人公が高所恐怖症であるところからの引用です。
デ・パルマ監督は上記二作品の設定を借りて、自分の趣味嗜好が全開の映画を楽しそうに撮っています。凝ったカメラワークに、残酷な殺人描写、そして唐突かつ無駄に長いエロシーン。デ・パルマ監督ファンにはたまらないシーンの連続です。
特に抱き合うシーンでカメラが主人公の周りをグルグル回転するところや、主人公が女性をストーキングするシーンの緊張感溢れる演出はデ・パルマ監督ならではです。
ただ本作品は、サスペンス映画としての完成度は残念ながら低いです。ストーリーの展開は強引かつ無理がありますし、犯人もなぜこんな凝ったトリックを利用したのかよく分かりません。
また、主人公の行動自体もはっきり言って理解しがたいところが多々あり、感情移入しにくいです。
本作品はサスペンス映画を楽しむというよりは、デ・パルマ監督の演出が生み出すB級テイストの猥雑かつ怪しい雰囲気を楽しむ作品です。
デ・パルマ 監督の映画が好きなら一度は見て損はないと思いますよ。
上映時間 114分
製作国 アメリカ
製作年度 1984年
監督: ブライアン・デ・パルマ
製作: ブライアン・デ・パルマ
脚本: ロバート・J・アヴレッチ、ブライアン・デ・パルマ
撮影: スティーヴン・H・ブラム
編集: ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽: ピノ・ドナッジオ
出演: クレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー
デボラ・シェルトン、デニス・フランツ、バーバラ・クランプトン
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