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『デス・プルーフ in グラインドハウス』この映画を見て!

第224回『デス・プルーフ in グラインドハウス』
Photo_2  B級映画を何本か連続して上映するアメリカで流行った映画館“グラインドハウス”。それを現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督が競作した2本立てムービー『グラインドハウス』。
 アメリカでは2本同時公開で上映されたのですが、それ以外の国ではそれぞれ独立した作品として上映されました。
 今回紹介する作品はその内のタランティーノ監督が担当した作品『デス・プルーフ』です。

ストーリー:「テキサス州オーステインの人気DJ、ジャングル・ジュリアは友人たちとバーへ繰り出し、女の子だけの会話に花を咲かせていた。そんな彼女たちを秘かにつけ回す顔に傷のある謎の中年男スタントマン・マイク。彼はドクロマークの不気味な車を乗り回し、いけにえとなる獲物を探していた。ジャングル・ジュリアとその友人たちに目をつけた彼は彼女たちが乗る車にわざと猛スピードで衝突する。
 それから14ヵ月後、テネシー州で映画の撮影に参加していたスタントウーマンのゾーイ。彼女は売りに出されていた憧れの車ダッジ・チャレンジャー70年タイプに試乗するために仲間と計画を立てる。彼女は友人の協力を得て、試乗してスタントライドを楽しむ。そこにスタントマン・マイクが新たな獲物として狙い始め襲いかかるのが・・・。」

 映画は2部構成となっており、前半と後半で主人公が入れ替わります。
 映画の前半は女性たちのセックスを中心とした他愛もない無駄話しのシーンが延々と続きます。そこが退屈な人は退屈でしょうが、タランティーノファンにとってはこの緩いけどリズムのある会話シーンが非常に楽しめるところです。
 そして、長い会話シーンの後の衝撃的なクラッシュシーン。このシーンは一瞬ですが、その生々しさやグロさは半端ではありません。
 
 映画の後半は主人公の女性たちが全く違うのですが、映画史に名を残すほど迫力のあるカーチェイスを見ることが出来ます。CGを使わず生身の人間が体を張ったスタントは迫力満点で、久々に見ていて手に汗握るアクションシーンです。
 特に本作品が映画初主演のゾーイ・ベルは普段はスタントウーマンとして活躍しているだけあって、ジャッキー・チェンも真っ青の驚愕のスタントを次々に披露してくれます。(監督は『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントを勤めた彼女にほれ込み、本作品の脚本を書き下ろしたそうです。)
 映画のラストは唐突でありますが、見ていてとても痛快な締めくくり方です。

 私が個人的に面白かったのはカート・ラッセルの使い方。『バックドラフト』や『ニューヨーク1997』でカッコいい男を演じていたラッセルにあんな役をやらせるとは・・・。彼の情けなさぶりが非常にツボにはまりました。

 また『キル・ビル』にも登場したカウボーイの親子刑事が出てきたり、携帯の呼び出し音が『キル・ビル』の悪役エル・ドライバーが吹く口笛の音楽だったり、タランティーノ映画には欠かせないレッド・アップルが今回も登場したりと随所にタランティーノファンがにやりとするネタが散りばめられています。

 あと本作品はタランティーノの生足フェチが前面に出た仕上がりとなっています。以前から彼の映画には女性の生足にこだわった描写がありましたが、今回は露骨です。タランティーノの監督が嬉々とした顔で生足を撮っていた姿が映画を見ていて目に浮かびます。

 本作品は15歳以上でタランティーノ好きかB級アクション好きな人、そしてカーチェイスには目がない人にはお勧めです。

上映時間 113分
製作国 アメリカ
製作年 2007年
監督: クエンティン・タランティーノ 
脚本: クエンティン・タランティーノ 
撮影: クエンティン・タランティーノ 
プロダクションデザイン: スティーヴ・ジョイナー 
衣装デザイン: ニナ・プロクター 
編集: サリー・メンケ 
出演: カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・タミーア・ポワチエ、ゾーイ・ベル 、 マイケル・パークス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ヴァネッサ・フェルリト、ジョーダン・ラッド、 クエンティン・タランティーノ、ジェームズ・パークス

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