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『女王陛下の007』この映画を見て!

第203回『女王陛下の007』
Photo  今回紹介する作品は世界一有名なスパイであるジェームス・ボンドが結婚するという異色の展開が印象的な『女王陛下の007』です。
 本作品は007シリーズ6作目として主演をショーン・コネリーからモデル出身のジョージ・レーゼンビーに交代して製作されました。公開当時はショーン・コネリーが主演を務めていた今までの作品に比べると全体的に地味な印象であったために評判は今ひとつだったのですが、最近は一番原作に近い雰囲気を持っているということで再評価をされています。

 私は007シリーズは昔から大好きで全て鑑賞しているのですが、初めて本作品を見た時は他の作品に比べて秘密兵器も出てこないし、アクションやストーリー展開もこじんまりしているので余り好きになれませんでした。
 しかし、最近改めて見てみると、予想以上に面白く見ることができ、最後の切ないシーンなど思わず胸がジーンと熱くなりました。

ストーリー:「宿敵ブロフェルドを追っていたボンドは、ポルトガルで偶然う若い女性と知り合った。彼女は犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコの一人娘テレサだった。ボンドはドラコからテレサの将来のために結婚してくれるように頼まれる。ボンドはこの機会を利用し、ドラコからブロフェルドの情報を得ようとするが、いつしかテレサに恋に落ちてしまう。
 その頃、ブロフェルドアルプス山上に構えたアレルギーの研究所で謎の計画を企てていた。その事を知ったボンドは変装して研究所に潜入する。ブロフェルドは美しい女性たちに催眠術をかけ、殺人ウィルスを世界中にばら撒こうとしていた。」

 本作品は他の作品に比べると派手さには欠けますが、その分ドラマに奥行きがあり、アクションにも緊張感があります。
 
 ドラマとしての本作品の魅力は何といってもプレイボーイであったボンドが本気で1人の女性に恋をして結婚してしまうというところです。ボンドの結婚式が見られる作品は後にも先にも本作品のみです。ルイ・アームストロングの主題化が流れる中で2人がデートする甘いシーンなど恋愛映画をまるで見ているかのようです。
 そんなボンドを待ち受けるラストの切なく哀しい展開は他の作品では感じることのない深い余韻が漂っています。007シリーズで唯一悲劇的ともいえるラストシーンを見るだけでも本作品は価値があると思います。

 アクションシーンも荒唐無稽なシーンが少なく、リアルでハードなアクションが多いです。特にアルプスの雪山が舞台になっているだけあり、スキーやボブスレーなどウィンタースポーツを活かした緊張感溢れるアクションの数々は大変見ごたえがあります。

 役者に関しては、本作品で2代目ボンドを演じたジョージ・レーゼンビーはショーン・コネリーのようなスマートさやロジャー・ムーアのようなユーモアには欠け、今ひとつパッとしない役者でボンドとしての魅力や印象は正直薄いです。ただアクションシーンはなるべくスタントなしで自らこなしただけあり、他のボンドよりも動きにキレがあります。
 宿敵ブロフェルドを演じたのは『刑事コジャック』で有名なテリー・サヴァラスで、迫力と風格のある悪役を見事に演じていました。

 007シリーズの中で異彩を放っている本作品ですが、一度は見て損のない作品だと思います。

上映時間 143分
製作国 イギリス
製作年度 1969年
監督 ピーター・ハント   
原作 イアン・フレミング 
脚本 ウォルフ・マンキウィッツ、リチャード・メイボーム 、サイモン・レイヴン 
撮影 マイケル・リード 、エグリ・ウォックスホルト 
音楽 ジョン・バリー 
主題歌 ルイ・アームストロング 
出演 ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ 、テリー・サヴァラス 、ガブリエル・フェルゼッティ 、 ベッシー・ラヴ、ジョアンナ・ラムレイ、カトリーヌ・シェル、バーナード・リー 

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受信: 2008年3月20日 (木) 22時40分

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