『カルテット』映画鑑賞日記
今回紹介する作品は宮崎駿や北野武の映画音楽で有名な久石譲が初監督した映画『カルテット』です。
私は昔から久石さんの音楽が大好きだったので、本作品が劇場公開された時は真っ先に劇場に駆けつけ鑑賞したものでした。
ストーリーは弦楽四重奏団を組んだ4人の若者が挫折を乗り越えて再起していくまでを描くという青春映画にありがちな展開で特に目新しいものはありませんでしたが、劇中の音楽が素晴らしく最後まで飽きることなく見ることができました。
久石さんは本作品を撮るにあたって劇中に流れる40曲もの音楽を作曲し、映画の撮影時も譜面を絵コンテ代わりに利用して俳優の演技やカメラの構図を考えたそうです。
それだけの甲斐あって、映像と音楽が大変マッチしており、見ていて大変心地よいです。特にコンサートのシーンは演奏の臨場感が見ている側にも伝わってきます。
また『となりのトトロ』や『天空の城ラピュタ』・『HANABI』など久石さんが今まで手がけてきた映画音楽も随所に使用されており、久石ファンにはたまりません。
映像自体も予想以上に美しく、主人公たちがドサ回りのツアーに日本の田舎を回るシーンや浜辺で主人公たちが演奏するシーンは大変印象的でした。(ただ浜辺のシーンは映像自体は美しいのですが、弦楽器みたいな繊細なものを湿度が高く潮風が吹くような場所に持っていって大丈夫なのか気になりました。)
ただ音楽の素晴らしさは別として映画の完成度で言うと今ひとつです。その理由は演出がベタというか下手だからです。主人公が葛藤するシーンで雷が鳴って雨が降りだす演出やクライマックスの主人公がカルテットの演奏会に間に合うかどうかの演出も安っぽくて白けてしまいました。
また本格的な音楽映画を目指しなが、音楽家がバイオリンケースで人を殴ったり、雨の中でケースを濡らす場面など如何なものかと思いました。
あと役者の演奏シーンも本物のチェリストである久木田薫以外は頑張ってはいるけど指の動きを見ると素人であるということが丸分かりでした。これはある意味、主役に1人本物の音楽家を入れたことが失敗だったと思います。久木田さんの演奏が上手すぎる分、他の人の演奏がどうしても見劣ってしまし気になってしまいました。
本作品は演出がもっと上手ければ、日本映画を代表する青春音楽映画となっていただけに少し残念でした。
上映時間 113分
製作国 日本
製作年 2001年
監督: 久石譲
脚本: 長谷川康夫,久石譲
撮影: 阪本善尚
美術: 及川一
編集: 奥原好行
音楽: 久石譲
出演: 袴田吉彦 桜井幸子 大森南朋 久木田薫 藤村俊二 三浦友和
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