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2008年3月

『幻魔大戦』映画鑑賞日記

Photo  宇宙全域の消滅を企てる幻魔と超能力をもつ人たちとの戦いを壮大なスケールで描いた『幻魔大戦』。元々は平井和正と石森章太郎が共作で「週刊少年マガジン」に掲載されていました。掲載中から読者からの人気が高く、連載終了後も漫画や小説の形で続編が数々製作されました。
そんな『幻魔大戦』を当時勢いに乗っていた角川映画が自社初のアニメ作品として製作。日本アニメを代表するクリエイターを集め、音楽にキース・エマーソンを起用、声優に美輪明宏や江守徹など声優でない人を据えるなど大作感溢れる作りが大変話題になりました。

本作品は長い原作をかなり端折って作っているので、ストーリーに関しては大河ドラマのダイジェスト版を見ているかのようでした。それでも前半は主人公が超能力に目覚めて自らの運命を受け入れるまでを丁寧に描いており人間ドラマとして見ごたえがありました。しかし、後半は多くの仲間が次々登場するにも関わらず、その個性やドラマが余り描かれていないために集団での戦闘シーンの派手さの割りに今ひとつ話しに面白みがありませんでした。ラストも無理やりハッピーエンドにしたかのような展開で「えっ、これで終わり」といった印象を受けました。

 ストーリーに関しては個人的に残念な出来でしたが、映像に関しては今見ても大変見ごたえがありました。
 『AKIRA』の大友克洋がキャラクターデザインとして関わっているので、登場人物たちの独特な表情や姿だけを見ているとまるで大友作品を見ているかのような錯覚を受けました。(ストーリーも『AKIRA』に似てますしね。)
 またアニメファンの間では有名な金田伊功がスペシャルアニメーターとして参加しており、ラストの主人公たちと火炎竜と対決シーンで迫力のある映像を生み出していました。
 
 本作品は日本アニメを代表する傑作とまでは言い難い面がありますが、スケールの大きなアニメが好きな人や大友克洋が好きな人なら見て損はないと思います。  

上映時間 135分
製作国 日本
製作年 1983年
監督: りんたろう 
原作: 平井和正、石森章太郎 
脚本: 真崎守、桂千穂、 内藤誠 
撮影: 八巻磐 
美術: 男鹿和雄、窪田忠雄 
美術監督: 椋尾篁 
編集: 田中修 
音楽: 青木望 
音楽監督: キース・エマーソン 
キャラクターデザイン: 大友克洋 
作画監督: 野田卓雄 
声の出演: 古谷徹,小山茉美, 原田知世, 池田昌子, 林泰文, 美輪明宏, 佐藤正治 
白石加代子, 江守徹

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『シックスセンス』この映画を見て!

第205回『シックスセンス』
Photo  今回紹介する作品はラストの衝撃的な結末が話題となり世界中で大ヒットしたヒューマンホラー『シックスセンス』です。
監督はインド出身のM・ナイト・シャマランが担当。本作品の成功で一躍ハリウッドを代表する監督となり、『ヴィレッジ』や『サイン』などの話題作を次々と発表しています。

ストーリー:「小児精神科医であるマルコムのもとに10年前にカウンセリングしたビンセントという青年が現れ、「自分を救ってくれなかった」と銃で撃たれてしまう。
その事件の後、妻との関係も冷え込み、自信を失ったマルコムは苦悩と悲しみに暮れていた。そんな中、マルコムはビンセントに良く似た少年、コールと出会う。マルコムはコールを救おうと奮闘する。やがてコールは隠していた秘密を打ち明ける。その秘密とは死者が見えてしまう霊感があり、霊たちに脅かされているというものだった。
 最初はコールの霊感を信じなかったマルコムだが、やがてある事実からコールの言葉を受け入れるようになる。そしてマイケルは死者がコールの前に現れる理由を共に探り始める・・・。」

 本作品を公開当時に劇場で始めて見たときは予想外の結末に驚くと同時に、深い余韻に浸ることができました。
 まだ見ていない人の為に結末に関しては言うことは差し控えますが、1度見ると、もう1度最初から見たくなると思います。 2回見るとM・ナイト・シャマランが結末に向けて随所に張り巡らした伏線やマルコムとコールの交流の意味などにも気づくことができ、より本作品を楽しむことができます。

 結末の話しばかりしましたが、幽霊が突然出てくるシーンはドキッとさせられますし、コールが車の中で母に向かって亡くなった祖母の思いを語るシーンは自然と涙があふれてきます。
 
 本作品には孤独や過去に苦しむ登場人間たちが数多く登場します。親と子、夫と妻、生者と死者、そんな彼らが心を打ち解けコミュニケーションを通して自分に気づき癒されていく姿は人と人のつながりのかけがえのなさや大切さを見る者に改めて気づかせてくれます。

 生と死を超えた人間の思い。人間は他の生命にはない思いというものを持っていて、その思いが叶うことに喜び、果たせなかったことに悔やみます。生きている内に果たせなかった死者の思いや死んだ人に果たせなかった生者の思い。本作品は果たせなかった思いを果たそうとする人間たちの悲しみや切なさを優しい語り口で描いていきます。

 本作品をまだ見たことない人は予備知識なく二度見て、一度目は結末に驚き、二度目は主人公たちの心の交流のドラマに浸ってください。
 
上映時間 107分
製作国 アメリカ
製作年度 1999年
監督:M・ナイト・シャマラン 
脚本:M・ナイト・シャマラン 
撮影:タク・フジモト 
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード 
出演:ブルース・ウィリス 、ハーレイ・ジョエル・オスメント、 トニ・コレット、 オリヴィア・ウィリアムズ 、トレヴァー・モーガン、 ドニー・ウォールバーグ 、グレン・フィッツジェラルド

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『ジブリ実験劇場 On Your Mark』この映画を見て!

第204回『ジブリ実験劇場 On Your Mark』
On_your_mark  今回紹介する作品は宮崎駿監督の隠れた名作『On Your Mark』です。本作品はCHAGE and ASKAのコンサートツアー『SUPER BEST3』のオープニング・フィルムとして企画、制作され、コンサート会場で初公開されました。その後、『耳をすませば』の公開時に同時上映という形で一般にも公開されました。
私が本作品を始めて見たのも『耳をすませば』を見に行った際でした。その時は約7分という短い上映時間ながら、宮崎監督のエッセンスが詰め込まれた内容の濃さに圧倒されたとものでした。

ストーリー:「放射能で汚染され、人類がシャルターに住むようになった未来。武装警官隊たちがカルト教団の施設を武力制圧する。その中にいた警官2人は教団施設で翼の生えた少女を発見する。少女はすぐに研究施設に送られるが、彼女に惹かれた2人は研究施設から救助しようと奮闘を始めるが・・・。」

 本作品が公開された1995年というとオウム真理教の地下鉄サリン事件の年でもあり、本作品を始めてみた時はカルト教団が出てくる内容に衝撃を覚えたものでした。私は宮崎監督がオウム事件にインスパイアされて本作品を製作したものだと思ったものでした。しかし、調べたところ、宮崎監督はオウム事件前に本作品のシナリオを考えていたとのことで重なったのは全くの偶然だそうです。

 宮崎監督は本作品に関して以下のようなコメントをしています。
「『位置について』という意味のタイトルだけれど、その内容をわざと曲解して作っています。いわうる世紀末の後の話。放射能があふれ、病気が蔓延した世界。実際、そういう時代がくるんじゃないかと、僕は思っていますが。そこで生きるということはどういうことかを考えながら作りました」(『出発点』,宮崎駿,1996年,徳間書店,556p)
 
 宮崎監督の作品には『未来少年コナン』や『風の谷のナウシカ』等に見られるように人間の文明が一度崩壊した後の世界を描いたものがありますが、本作品もその系統の一つです。
 閉塞され追い詰められた人間社会の中で主人公たちが生きる希望を翼の生えた少女に見出そうとするストーリー展開は非常に解放感に溢れています。
 もちろん良く考えるとラストの展開も必ずしも主人公たちの今後は決してハッピーエンドとは言えません。少女は解放できても、自らは放射能まみれの大地でお尋ね者として生き続けていくしかないという暗い未来が待っているわけで・・。
 本作品はどんな状況下においても絶望と体制に身を寄せるのでなく、希望を見出し積極的に生き死んでいくことの大切さを謳った内容となっています。

「彼女が救世主だったり、救出を通して彼女と心の交流があったというわけではないんです。ただ、状況に全面降伏しないで、自分の希望、ここだけは誰にも触らせないぞというものを持っているとしたら、それを手放さなければならいのなら、誰の手にも届かないところに放してしまおうおいう。そういうことですよ」(『出発点』,宮崎駿,1996年,徳間書店,557p)

 宮崎監督の映画が好きなら本作品は絶対見逃すことの出来ない傑作です。現在、『ジブリがいっぱいSPECIALショートショート』というDVDに収録されているので是非見てください!

上映時間 6分40秒
製作国 日本
製作年度 1995年
監督: :宮崎駿 
脚色::宮崎駿 
原作::宮崎駿 
撮影監督:奥井敦 
作画監督: 安藤雅司 
美術監督::武重洋二
音楽:「On Your Mark」  by CHAGE&ASKA

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『カルテット』映画鑑賞日記

Photo  今回紹介する作品は宮崎駿や北野武の映画音楽で有名な久石譲が初監督した映画『カルテット』です。
  私は昔から久石さんの音楽が大好きだったので、本作品が劇場公開された時は真っ先に劇場に駆けつけ鑑賞したものでした。
 
 ストーリーは弦楽四重奏団を組んだ4人の若者が挫折を乗り越えて再起していくまでを描くという青春映画にありがちな展開で特に目新しいものはありませんでしたが、劇中の音楽が素晴らしく最後まで飽きることなく見ることができました。
 久石さんは本作品を撮るにあたって劇中に流れる40曲もの音楽を作曲し、映画の撮影時も譜面を絵コンテ代わりに利用して俳優の演技やカメラの構図を考えたそうです。
 それだけの甲斐あって、映像と音楽が大変マッチしており、見ていて大変心地よいです。特にコンサートのシーンは演奏の臨場感が見ている側にも伝わってきます。
 また『となりのトトロ』や『天空の城ラピュタ』・『HANABI』など久石さんが今まで手がけてきた映画音楽も随所に使用されており、久石ファンにはたまりません。
 
 映像自体も予想以上に美しく、主人公たちがドサ回りのツアーに日本の田舎を回るシーンや浜辺で主人公たちが演奏するシーンは大変印象的でした。(ただ浜辺のシーンは映像自体は美しいのですが、弦楽器みたいな繊細なものを湿度が高く潮風が吹くような場所に持っていって大丈夫なのか気になりました。)

 ただ音楽の素晴らしさは別として映画の完成度で言うと今ひとつです。その理由は演出がベタというか下手だからです。主人公が葛藤するシーンで雷が鳴って雨が降りだす演出やクライマックスの主人公がカルテットの演奏会に間に合うかどうかの演出も安っぽくて白けてしまいました。
 また本格的な音楽映画を目指しなが、音楽家がバイオリンケースで人を殴ったり、雨の中でケースを濡らす場面など如何なものかと思いました。
 あと役者の演奏シーンも本物のチェリストである久木田薫以外は頑張ってはいるけど指の動きを見ると素人であるということが丸分かりでした。これはある意味、主役に1人本物の音楽家を入れたことが失敗だったと思います。久木田さんの演奏が上手すぎる分、他の人の演奏がどうしても見劣ってしまし気になってしまいました。

 本作品は演出がもっと上手ければ、日本映画を代表する青春音楽映画となっていただけに少し残念でした。 

上映時間 113分
製作国 日本
製作年 2001年
監督: 久石譲 
脚本: 長谷川康夫,久石譲 
撮影: 阪本善尚 
美術: 及川一 
編集: 奥原好行 
音楽: 久石譲 
出演: 袴田吉彦  桜井幸子 大森南朋  久木田薫   藤村俊二 三浦友和

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『オーケストラストーリーズ となりのトトロ 』

お気に入りのCD NO.23 『オーケストラストーリーズ となりのトトロ 』久石譲
Photo_2  今回紹介する作品は『となりのトトロ』の音楽を交響組曲にした『オーケストラストーリーズ となりのトトロ 』です。
 本作品は映画本編の音楽も担当している久石譲さんがオーケストラに初めて接する子どもや大人のために編曲されたもので、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」という曲を参考にしているそうです。

 私は2003年の久石譲さんのコンサートツアーで本作品を始めて聞いたのですが、その時はオーケストラの繊細かつ迫力のある音が奏でるおなじみの美しいメロディーに鳥肌が立つほど大変感動しました。
 
 本作品は映画でお父さん役を務めたコピーライター・糸井重里によるナレーションが付いたヴァージョンと交響組曲ヴァージョンと2バージョン収録されています。
私のお勧めはナレーション付きのバージョンです。糸井重里さんの優しく温かみのある声による情景の説明と音楽を聴くと映画の一場面が自然と脳裏に浮かんできます。

 新日本フィルハーモニーによる演奏も大変素晴らしく完成度も高いので、自宅で聞く時も許す限り大音量で聞いてほしいです。

 トトロが好きな人、オーケストラに興味のある人には絶対お勧めのアルバムです!

1. さんぽ 
2. 五月の村 
3. ススワタリ~お母さん 
4. トトロがいた! 
5. 風のとおり道 
6. まいご 
7. ネコバス 
8. となりのトトロ
〈となりのトトロ組曲〉 
9. さんぽ 
10. 五月の村 
11. ススワタリ~お母さん 
12. トトロがいた! 
13. 風のとおり道 
14. まいご 
15. ネコバス 
16. となりのトトロ 

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『女王陛下の007』この映画を見て!

第203回『女王陛下の007』
Photo  今回紹介する作品は世界一有名なスパイであるジェームス・ボンドが結婚するという異色の展開が印象的な『女王陛下の007』です。
 本作品は007シリーズ6作目として主演をショーン・コネリーからモデル出身のジョージ・レーゼンビーに交代して製作されました。公開当時はショーン・コネリーが主演を務めていた今までの作品に比べると全体的に地味な印象であったために評判は今ひとつだったのですが、最近は一番原作に近い雰囲気を持っているということで再評価をされています。

 私は007シリーズは昔から大好きで全て鑑賞しているのですが、初めて本作品を見た時は他の作品に比べて秘密兵器も出てこないし、アクションやストーリー展開もこじんまりしているので余り好きになれませんでした。
 しかし、最近改めて見てみると、予想以上に面白く見ることができ、最後の切ないシーンなど思わず胸がジーンと熱くなりました。

ストーリー:「宿敵ブロフェルドを追っていたボンドは、ポルトガルで偶然う若い女性と知り合った。彼女は犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコの一人娘テレサだった。ボンドはドラコからテレサの将来のために結婚してくれるように頼まれる。ボンドはこの機会を利用し、ドラコからブロフェルドの情報を得ようとするが、いつしかテレサに恋に落ちてしまう。
 その頃、ブロフェルドアルプス山上に構えたアレルギーの研究所で謎の計画を企てていた。その事を知ったボンドは変装して研究所に潜入する。ブロフェルドは美しい女性たちに催眠術をかけ、殺人ウィルスを世界中にばら撒こうとしていた。」

 本作品は他の作品に比べると派手さには欠けますが、その分ドラマに奥行きがあり、アクションにも緊張感があります。
 
 ドラマとしての本作品の魅力は何といってもプレイボーイであったボンドが本気で1人の女性に恋をして結婚してしまうというところです。ボンドの結婚式が見られる作品は後にも先にも本作品のみです。ルイ・アームストロングの主題化が流れる中で2人がデートする甘いシーンなど恋愛映画をまるで見ているかのようです。
 そんなボンドを待ち受けるラストの切なく哀しい展開は他の作品では感じることのない深い余韻が漂っています。007シリーズで唯一悲劇的ともいえるラストシーンを見るだけでも本作品は価値があると思います。

 アクションシーンも荒唐無稽なシーンが少なく、リアルでハードなアクションが多いです。特にアルプスの雪山が舞台になっているだけあり、スキーやボブスレーなどウィンタースポーツを活かした緊張感溢れるアクションの数々は大変見ごたえがあります。

 役者に関しては、本作品で2代目ボンドを演じたジョージ・レーゼンビーはショーン・コネリーのようなスマートさやロジャー・ムーアのようなユーモアには欠け、今ひとつパッとしない役者でボンドとしての魅力や印象は正直薄いです。ただアクションシーンはなるべくスタントなしで自らこなしただけあり、他のボンドよりも動きにキレがあります。
 宿敵ブロフェルドを演じたのは『刑事コジャック』で有名なテリー・サヴァラスで、迫力と風格のある悪役を見事に演じていました。

 007シリーズの中で異彩を放っている本作品ですが、一度は見て損のない作品だと思います。

上映時間 143分
製作国 イギリス
製作年度 1969年
監督 ピーター・ハント   
原作 イアン・フレミング 
脚本 ウォルフ・マンキウィッツ、リチャード・メイボーム 、サイモン・レイヴン 
撮影 マイケル・リード 、エグリ・ウォックスホルト 
音楽 ジョン・バリー 
主題歌 ルイ・アームストロング 
出演 ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ 、テリー・サヴァラス 、ガブリエル・フェルゼッティ 、 ベッシー・ラヴ、ジョアンナ・ラムレイ、カトリーヌ・シェル、バーナード・リー 

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『崖の上のポニョ イメージアルバム』

お気に入りのCD NO.22 『崖の上のポニョ イメージアルバム』久石譲
Photo  2008年夏公開される宮崎駿監督最新作『崖の上のポニョ』。そのイメージアルバムが先日発売されました。音楽を担当しているのは『風の谷のナウシカ』以降の全ての宮崎作品の音楽を手がけている久石譲。今回のイメージアルバムを聞く限り、映画本編の音楽も素晴らしい仕上がりになりそうです。

 ちなみにイメージアルバムとは映画本編の音楽制作の半年から1年前に制作されます。宮崎監督から送られてくる作品に関する詩やメモをもとに久石さんが映画のイメージにあった音楽を作ります。
 映画本編の音楽を制作するときもイメージアルバムを基に監督と検討していきます。宮崎監督と久石さんは「ナウシカ」以降、すべてこの方法で映画音楽を制作しています。

 今回のイメージアルバムの特長は10曲中6曲が歌であるところです。『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』でもイメージアルバムで歌が取り入れられていましたが、今回も素敵な歌が数多く収録されています。

 1曲目の『崖の上のポニョ』は12月に先にシングルとして発売されており聞いたことある人も多いと思いますが、明るいメロディと女の子のかわいい歌声そして中年男性の渋く優しい歌声が非常に印象的です。  
 2曲目の『サンゴ塔』は豊嶋泰嗣さんの奏でるストリングの音色が美しく、海の中をゆらゆら漂っているような感じの曲です。
 3曲目の『ポニョ来る』は何かがこちらに向かってやってくる感じが、ピアノの軽快なフレーズで表現されています。
 4曲目の『海のおかあさん』はバイオリンの優しい音色が聴いていてとても心地よいです。
 5曲目の『いもうと達』はNHK東京児童合唱団の卒団生で結成されたグループ「リトル・キャロル」が歌っているのですが、2部合唱の曲なのですが、響きあい重なり合う美しい歌声がとても印象的です。それにしても、この曲で歌われる「おねえちゃん」とは一体何を指すのでしょう?非常に気になります。
 6曲目の『フジモトのテーマ』と9曲目の『本当の気持ち』は藤岡藤巻が作詞とボーカルを担当しているのですが、中年男性の切なさや悲哀といったものがしみじみと伝わってきます。ちなみに『フジモト』とはポニョの人間の父親だそうです。
 7曲目の『発行信号』も優しい音色とメロディが印象的です。海の上で主人公の宗介とポニョが交流しているシーンに流れそうな曲です。
 8曲目の『ポニョの子守唄』は短い曲なのですが、聞いているとウトウトと眠りに誘われます。
 10曲目の『ひまわりの家の輪舞曲』。この曲は久石譲さんの娘である麻衣さんが担当しています。麻衣さんは『風の谷のナウシカ』でも歌声を披露しているのですが、透明感溢れる歌声が印象的です。

 映画の公開まではまだ半年くらいありますが、映画本編の音楽がどんな感じになるのか今から楽しみです。

1.崖の上のポニョ
 歌:藤岡藤巻と大橋のぞみ/作詞:近藤勝也/
 補作詞:宮崎駿/作・編曲:久石譲

2.サンゴ塔
 作・編曲:久石譲

3.ポニョ来る
 作・編曲:久石譲

4.海のおかあさん
 ヴァイオリンソロ:豊嶋泰嗣/作・編曲:久石譲

5.いもうと達
 歌:Little Carol/作詞:宮崎駿/作・編曲:久石譲

6.フジモトのテーマ
 歌:藤岡藤巻/作詞:藤岡藤巻/作・編曲:久石譲

7.発光信号
 作・編曲:久石譲

8.ポニョの子守唄
 歌:大橋のぞみ/作詞:宮崎駿/作・編曲:久石譲

9.本当の気持ち
 歌:藤岡藤巻/作詞:藤岡藤巻/作・編曲:久石譲

10.ひまわりの家の輪舞曲
 歌:麻衣/作詞:宮崎駿/作・編曲:久石譲

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