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『ベティ・ブルー インテグラル完全版』この映画を見て!

第198回『ベティ・ブルー インテグラル完全版』
Photo_2  今回紹介する作品は純度100%の恋愛映画『ベティ・ブルー』です。本作品は『ディーバ』で鮮烈なデビューを放ったジャン=ジャック・ベネックスが脚本も兼任して製作した力作で、情熱的な女と作家を目ざす男の鮮烈な愛を描いています。公開当時は切ないストーリリーと美しい映像、そして大胆な性描写が大変話題を呼び、世界中で大ヒットしました。

 ストーリー:「海辺のコテージで1人暮らしをする修理工のゾルグはウエイトレスのベティと恋に落ちて同棲を始める。セックスに耽るベティとゾルグ。ベティは大変気性が激しく自分が気に入らないことがあるとすぐに見境なく怒り出す女性だった。ゾルグはそんなベティを優しく見守っていた。そんあある日、ベティは怒って自宅の物を放り出している最中、ゾルグの書いた小説に心奪われる。ゾルグを何とか小説家にさせようとベティは画策するがなかなか上手くいかない。そんな中、ベティは彼の子供を身ごもったのではないかと思い喜ぶ。しかし、それもベティの勘違いだった。落胆するベティ。ベティの純粋な心は次第に破綻していき狂気へと陥っていく…。」

 私は本作品を始めて見た時は、あまりにも痛切な純愛物語に大変衝撃を受けたものでした。恋愛映画は古今東西数多くありますが、本作品ほど見ていて主人公たちのほとばしる感情に心動かされ、愛の痛みと苦しみに涙した作品はありません。

 本作品の主人公であるベティが愛する者のためにひたすら真っ直ぐに尽くそうとする姿は純粋さと狂気に満ちていて見ていて圧倒されました。己を捨てて相手に尽くす姿は客観的に見ると愚かにさえ見えますが、愛に身を捧げた者にすれば己などどうでもいいんだろうなと見ていて思い、ひたすら愛に生きる女の凄みを感じました。

 またベティのような情熱的かつ気性も激しく付き合うには男性側も大変エネルギーのいると思います。最初見た時はひたすら全身で受け止めようとするゾルグの姿に同じ男性ながら尊敬してしまいました。
 しかし、何度か見返すうちにベティがゾルグを生きるために必要としていたというより、ゾルグがベティを生きるために必要としていたことに気づきました。ゾルグは己にはないベティの純粋な愛と狂気に憧れ、そんな女性を受け止め愛していくことで己の人生の憧れという名の欲望を満たしていたと思います。
 
 本作品は献身的な愛の素晴らしさや悲しさを描いているだけでなく、愛に潜むエゴイズムの悲しみや切なさまで踏み込んで描いているからこそ、見ている側も心打たれるのだと思います。

 映像や音楽も大変美しく印象的です。映像に関していえば赤い服や黄色のベンツなど色の使い方も巧みですし、前半の家が燃えるシーンや夕焼けの平原に佇む主人公たちを捉えたシーンはまるで絵画のようです。
 音楽もピアノで奏でられる切ないメインテーマが大変耳に残ります。

 あと私が本作品の好きなところは主人公をとりまく人たちのユーモラスな描写です。作家希望の刑事、歌を唄い見送る交通取締りの警察官、片手を失ったゴミ収集のおじさん、トイレで麻薬を売るおじさん。主人公たちと周囲の人たちとの何気ない微笑ましい描写が映画の良いアクセントになってます。
  
 本作品は1986年に劇場で初公開された2時間のヴァージョンと今回紹介したディレクターズ・カットの3時間のヴァージョンと2つあります。初公開版はベティの描写が中心でありますが、ディレクターズ・カット版はゾルグの心情に関する描写が増えており、どちらを見るかによって大きく印象が変わります。興味のある方は是非見比べてほしいと思います。

上映時間 185分
製作国 フランス
製作年 1992年
監督: ジャン=ジャック・ベネックス 
原作: フィリップ・ディジャン 
脚本: フィリップ・ディジャン 
撮影: ジャン=フランソワ・ロバン 
音楽: ガブリエル・ヤーレ   
出演: ベアトリス・ダル , ジャン=ユーグ・アングラード, コンスエロ・デ・ハヴィランド, ジェラール・ダルモン

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コメント

コメントありがとうございます。
ベティブルーの音楽は本当に素敵ですよね。

恋愛のエゴイズムについてまで踏み込んで描いた映画って少ないですよね。だからこそ本作品はいつまでたっても輝いているんだと思います。

投稿: とろとろ | 2008年2月 7日 (木) 09時32分

トラックバックありがとうございました!ベティ・ブルーはずーっと私の中のNo.1の映画です。サントラを聞くだけで涙が出ます。

とろとろさんのレビューはどれもそのとおりというコメントばかりで、「愛に潜むエゴイズムの悲しみや切なさまで踏み込んで描いている」という点は、まさに他の恋愛映画と一線を画してこの映画が素晴らしい背景の一つだと思います。

投稿: あんどう | 2008年2月 4日 (月) 22時56分

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