« 2007年2月4日 - 2007年2月10日 | トップページ | 2007年2月18日 - 2007年2月24日 »

2007年2月11日 - 2007年2月17日

『童夢』街を捨て書を読もう!

Doumu 『童夢』 著:大友克洋 双葉社
 今回は『AKIRA』の大友克洋のもう一つの代表作『童夢』を紹介したいと思います。この作品は1983年に発表されたのですが、今見てもその完成度の高さに圧倒されます。
 ストーリー:「どこにでもあるような団地で起こる住人の変死。その裏んには超能力を持った老人の存在があった。そんな団地に超能力を持つ少女が引っ越してくる。少女は変死が老人の仕業であることを見抜き、老人に戦いを挑む。」
 『AKIRA』に比べるとスケールも小さく、短い話しです。しかし、起承転結がしっかりしており、前半の団地の変死を巡るサスペンスから、後半の団地を舞台にした老人と少女のドハでな超能力バトルまで一気に読ませてくれます。
 
 この作品の最大の面白さは、団地という日常見慣れた場所を舞台に、非日常的な話しが展開するところにあります。特にありふれた団地の上空を老人と少女が縦横無尽に飛び回る絵は強烈なインパクトがありました。
 私はこの作品を見てから、近くの集合団地を見るたびに、ここで『童夢』みたいな話しが展開したらどうなるかを空想してしまう癖がついたくらいです。

 大友作品の特長として緻密な描きこみと映画のような構図などが挙げられますが、この作品も団地の写実的な描写や後半の超能力バトルの躍動感と緊張感溢れる描写など、大友さんの才能がひしひしと感じられます。

私はこの作品を読み返すたびに、一度実写で見てみたいという欲望に駆られます。実際にハリウッドでの制作も検討されていたようです。しかし、この原作自体があまりにも映画的すぎるので逆に映画化するのは難しいかなとも思ってしまいます。

 日本のマンガを語る上でこの作品は外すことができません。ぜひマンガ好きな方は一度読んでみてください!

| | コメント (0) | トラックバック (2)

『AKIRA』街を捨て書を読もう!

『AKIRA』 著:大友克洋 講談社
Akiramanga  今回紹介する本は日本の漫画史に名を残す近未来SF青春漫画『AKIRA』です。1982年から1990年にかけてヤングマガジンで発表された『AKIRA』は連載当時から大変話題になりました。今までの日本の漫画には見られない緻密な背景描写、スケールの大きなストーリー展開、個性的な登場人物たちの活き活きとした姿など、他の漫画を遥かに凌駕する完成度を誇っています。特に東京の街が崩壊していく様子の緻密な描写は圧巻で、まるで映画を見ているような迫力があります。

 私は漫画より先に映画から『AKIRA』の世界に入ったのですが、映画版『AKIRA』を見たときは今までのアニメにはなかった緻密な作画と背景に圧倒されたものでした。映画を見た後、原作が気になり単行本を買い揃えて読んだのですが、あまりの面白さに1日で読破したものでした。
 
 映画では駆け足だったストーリー展開もじっくりと語られており、映画では端役だった登場人物が実は重要な人物だったりして読み応え満点でした。映画は1巻から3巻までと6巻をつなぎ合わせたようなストーリーですが、原作はさらに崩壊した東京の街でのAKIRAを巡る激しい争いが描かれており、映画よりもスリリングかつパワフルなストーリーが展開していきます。
 『AKIRA』は日本のマンガを語る上で外せない作品です。ぜひ一度読んでみてください!
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (1)

『街の灯』この映画を見て!

第143回『街の灯』
City_light  今回紹介する作品はチャップリンの映画の中で最もロマンティックかつ深い余韻を残す恋愛映画『街の灯』です。
 盲目の花売りの少女に恋をした浮浪者の主人公。何とか彼女を救おうと一人奮闘する姿をユーモラスに描きます。

 私がこの作品を始めてみた時、ラストシーンはハッピーエンドだと思っていましたが、何回か見るたびにラストシーンは決してハッピーエンドだとは言えず、むしろとても残酷なラストであるのではないかと思うようになりました。
 ラストは主人公のおかげで目が治った女性が、初めて恩人である主人公の姿を始めて見るのですが、その時の女性の表情。そこには恩人に対する感謝と言うより失望が感じ取れます。自分を救ってくれた恩人は金持ちの紳士だと思っていたのに、目の前に現れたのは小汚い浮浪者だったという真実。チャップリン演じる主人公も女性のリアクションを見て何とも困惑した笑顔を見せて映画は終わります。
 私はこのラストシーンを見るたびに現実の残酷さに胸が締め付けられます。別に女性がひどい人間というわけではありません。女性が恩人に対して理想を抱くことは仕方のないことです。人間は決して外見だけで判断できるものではありません、しかし人間は理想を抱く時どうしても外見をも美化してしまうところがります。この映画はそんな人間の悲しい業を真正面から描いています。だからこそラストシーンは単なる感動を超えた深い余韻を見る者に与えます。

 またこの作品は貧富の問題に対するチャップリンの怒りや悲しみといったものが強く感じられます。映画の冒頭の除幕式のシーンの痛烈な皮肉、酔っ払っているときといないときで態度を豹変させる身勝手な金持ちの男。貧困層の富裕層に対する憧れ。この作品は富める者の愚かさと貧しい者の哀しみが見事に描かれています。

 チャップリンのコメディアンとしてのセンスも冴え渡っており、中盤のボクシングシーンはその計算されつくした演技に腹を抱えて笑ってしまいます。
 サイレント映画はトーキー映画と違い動きと表情だけで全てを表現するので、役者の演技力が問われます。この映画を見るとチャップリンを始めとする登場人物たちの演技の上手さに改めて感心します。

 映画史に残るこの傑作をぜひ多くの人に見て欲しいです。 

製作年度 1931年 
製作国・地域 アメリカ
上映時間 86分
監督 チャールズ・チャップリン 
脚本 チャールズ・チャップリン 
音楽 アルフレッド・ニューマン 
出演 チャールズ・チャップリン 、ヴァージニア・チェリル 、フローレンス・リー 、ハリー・マイアーズ 、アラン・ガルシア 、ハンク・マン 、ジョン・ランド 、ヘンリー・バーグマン 、アルバート・オースチン 

| | コメント (0) | トラックバック (2)

『モダン・タイムス』この映画を見て!

第142回『モダン・タイムス』
Modern_times  今回紹介する映画は喜劇王チャールズ・チャップリンが機械化が進む資本主義社会の労働者の悲哀をコミカルに描いた『モダン・タイムス』です。
 私がこの作品を始めてみたのは小学生の時でした。当時はこの作品に込められたテーマなどは知る由もなく、ただ単にチャップリンのコミカルな演技に笑っていたものでした。ベルトコンベアーでのやり取りや自動食事装置のシーンなどは特に大笑いして見ていました。
 この作品を最近見返す機会があったのですが、今見る小さいとき笑ってみていたシーンも労働者の悲哀が感じられ素直に笑うことができませんでした。過労で精神を壊し、リストラされて、刑務所に入れられ、出所後もなかなか仕事にありつけない主人公。そんな主人公の姿は現代を生きる私たちにとっても無縁ではないですよね。
 
 私はこの作品を改めて見返して、チャップリンの作家としての社会を捉える鋭さとコメディアンとしての笑いのセンスの素晴らしさに感心してしまいました。社会風刺とヒューマニズムと笑いの絶妙なバランス感覚。私の中ではこの作品がチャップリンの映画の中で一番完成度は高いと思います。

 映画の前半は労働者の悲惨な実態を風刺たっぷりに描き、後半は一転好きな女性と共に懸命に生きようとする姿を力強く描くことで、「人間らしさとは何か」、「幸せ」とは何かを見る者に訴えかけます。
 貧しさの中でも人間らしく希望を持って生きようとする主人公の姿は見る者に生きる力を与えてくれます。
 この映画の中で主人公が「人生は願望だ、意味じゃない。」という台詞を言うのですが、この映画のテーマを見事に表現した台詞です。生きることに背一杯で意味など求める暇などない労働者たち、そんな労働者にとって大切なのは意味などでなく希望であるということをこの映画は見る者に語りかけます。
 映画のラストに一本道を手をつないで歩いていく二人。その先にある未来は決して明るいものでないかもしれません。しかし、二人は未来を信じて歩いていきます。その姿は見る者に勇気を与えてくれます。

 後、この作品を語るときに忘れてはいけない名シーンとして後半のチャップリンが歌うシーンがあります。トーキー映画が主流になってもサイレント映画を撮っていたチャップリンが始めて声を出す瞬間。それがどこの国の言語でもないデタラメ語による歌「ティティナ」であったところにチャップリンのサイレントへのこだわりと笑いのセンスが感じられました。 

製作年度 1936年 
製作国・地域 アメリカ
上映時間 87分
監督 チャールズ・チャップリン 
原作 チャールズ・チャップリン 
脚本 チャールズ・チャップリン 
音楽 チャールズ・チャップリン 
出演 チャールズ・チャップリン 、ポーレット・ゴダード 、チェスター・コンクリン 、ヘンリー・バーグマン 

| | コメント (2) | トラックバック (3)

ビョークの魅力2 

Bjork_video  今回はビョークのビデオクリップの紹介をしたいと思います。ビョークのビデオクリップは歌同様にとても独創的で魅力的です。
 ビョークにとってビデオクリップは単なるプロモーションでなく、自分の世界を表現をするための重要なアイテムです。ビョークは今までに20本近いビデオクリップを制作していますが、どの作品も映像作品としてイマジネーションに溢れ見ごたえがあります。
 
 私が特にビョークのビデオクリップでお気に入りなのは『ヨーガ』、『イッツ・オー・ソー・クワイエット』、『オール・イズ・フル・オブ・ラヴ』の3本です。
 
 『ヨーガ』はサード・アルバム『ホモジェニック』に収録されている歌でビョークのアイスランドへの思いが詰まっています。この曲をビデオクリップではアイスランドの大自然を取り入れてスケールの大きな映像で見事に表現しています。ビョークのメッセージをストレートに表現した映像は見る者の心にもダイレクトに響いてきます。
 このビデオクリップを手がけた監督のミシェル・ゴンドリーはビョークのビデオクリップを数多く手がけており、ビョークの世界を映像で最も巧みに表現できる監督です。最近では『ヒューマン・ネイチャー』など映画の監督も務めています。
 
 『イッツ・オー・ソー・クワイエット』はセカンドアルバムに収録されている歌です。ビデオクリップはこの曲の特長であるビック・バンド・サウンドを活かしてミュージカル仕立てに撮影されいます。楽しそうに歌い踊るビョークの姿は見ていて、とても楽しいです。監督は『マルコビッチの穴』で映画デビューしたスパイク・ジョーンズが手がけています。彼の映像へのこだわりがこの作品でも見事に発揮されています。

 『オール・イズ・フル・オブ・ラヴ』は発表当時大変話題になったビデオクリップです。2体の無機質なアンドロイドがキスを交わす映像は何ともいえない美しさとエロスが漂っており、愛とは何かを見る者に訴えかけてくるだけの力がありました。この作品は単なるビデオクリップを超えた芸術的価値のある作品です。

 ビョークのビデオクリップは一度見ると虜になります。ポップでキッチュでアナーキーな映像はビョークの表現者としてのこだわりを感じます。

*ビョークのビデオクリップが収録されているDVD
Bjork_video1_1『コンプリート・ヴォリューメン 1993-2003 グレイテスト・ヒッツ』
  ビョークのソロ・デビューから03年までの全ビデオ・クリップを集めた作品で、00年に出た『ヴォリューメン』を全21曲に拡大させた完全版。






1. ヒューマン・ビヘイヴィアー 
2. 少年ヴィーナス 
3. プレイ・デッド 
4. ビッグ・タイム・センシュアリティ 
5. ヴァイオレントリー・ハッピー 
6. アーミー・オブ・ミー 
7. イゾベル 
8. イッツ・オー・ソー・クワイエット 
9. ハイパーバラッド 
10. ポッシブリー・メイビー 
11. アイ・ミス・ユー 
12. ヨーガ 
13. バチェラレット 
14. ハンター 
15. アラーム・コール 
16. オール・イズ・フル・オブ・ラヴ 
17. ヒドゥン・プレイス 
18. ペイガン・ポエトリー 
19. コクーン 
20. イッツ・イン・アワ・ハンズ   

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ビョークの魅力

Bjork  私が一番好きな洋楽アーティストと言えばアイスランド出身の歌姫ビョークです。ビョークは1977年に12歳でデビュー、その後バンド「ザ・シュガーキューブス」を結成して注目され、1993年ソロデビューアルバム『デビュー』が世界中で大ヒットを収めます。現在ソロで5枚のアルバムを発表していますが、どのアルバムも常に独創的で完成度も高く、聞く人の心を捉えて離せません。
 私がビョークを知ったのは2000年に公開され賛否両論を巻き起こしたミュージカル映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でした。この映画は理不尽で重苦しいストーリーで、見るのがとてもつらい作品ではありましたが、主演のビョークの歌と演技の素晴らしさから最後まで画面に釘付けにさせられた作品でした。この作品を見て、私は力強いビョークの歌の虜になってしまい、ビョークのCDを買い揃えたものでした。
 
 ビョークの作り出す歌の最大の魅力はその歌唱力です。ある時は獣のように、ある時は無邪気な子どものように、ある時は慈愛に満ちた女神のように、曲によってさまざまな声を使い分けるビョークの歌声。そんな彼女の歌声は聞く者の心を揺さぶります。
 また音へのこだわりも彼女の歌の魅力です。日常の音からストリングス、さらにシンセによる打ち込みの音まで幅広い音を使い表現される彼女の歌。音によってビョークは自分の世界をカラフルに描き出します。
 ビョークの歌は聞く者を心地よくさせるだけに止まらない力があります。彼女の紡ぎだす言葉や音は聞く者の感情を解きほぐし、生きる力を与えてくれます。

 ビョークは歌でしか表現できない世界、伝えられない思いを見事に表現できる芸術家でありエンターテナーであると私は思います。
 
*ビョークお薦めCDベスト3

3位『ダンサー・インザ・ダーク』
Bjork3  映画の内容はさておき、音楽の完成度の高さは文句のつけようがありません。工場のプレス音など日常の音から始まる歌の数々は現実と幻想の世界を違和感なくつなげていました。どの曲も名曲ばかりですが、レディオヘッドのトム・ヨークとのデュエット「I've Seen It All」は鳥肌が立つほどの名曲です。


2位『ヴェスパタイン』
Bjork2  『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の後、2001年に発表されたこのアルバムは、今までのアルバムと打って変わって内省的で静かな仕上がりとなっています。ビョークの内に内にと潜り込むような音楽世界は聞く者の魂を優しく癒します。私のお薦めは12曲目の「ユニゾン」です。私はこの曲を聴くと歌詞の美しさとビョークの優しい歌声に涙が溢れます。

1位「ホモジェニック」 
Bjork1  このアルバムにビョークの魅力が詰まっているといっても過言ではありません。CGを利用した独特はジャケットデザインも印象的ですが、収録された曲も印象的なものばかりです。特に2曲目の「Joga 」と10曲目の「All is full of love 」は聞く者の魂を揺さぶります。このアルバムを聞かずしてビョークは語れません! 
 

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2007年2月4日 - 2007年2月10日 | トップページ | 2007年2月18日 - 2007年2月24日 »