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2007年12月23日 - 2007年12月29日

『ガメラ2 レギオン襲来』この映画を見て!

第194回『ガメラ2 レギオン襲来』
Photo_2  今回紹介する作品は日本の怪獣映画の最高傑作といっても過言ではない『ガメラ2 レギオン襲来』です。
 ストーリー:「北海道支笏湖付近に隕石が墜落。クレーターだけを残しその形跡を消していた。それから数日後、札幌の地下鉄構内で巨大な昆虫レギオンによって乗客が襲われる事件が発生。隕石に付着していた宇宙からの生命体が原因だと判明する。時同じくして付近のデパートから巨大な花が出現した。自衛隊が出動して事態を収拾しようとするが、その時、三陸沖からガメラが突然浮上。ガメラは巨大な花を破壊するが草体とレギオンの群れがガメラを襲い、傷ついたガメラは緑の血を振り撒きながら飛び去った。一方、花の破壊された現場からは巨大レギオンが飛び立つ。続いてレギオンは仙台市に現れる。」
 本作品は映画として初めて日本SF大賞を受賞した作品だけあって、日本を侵略する宇宙生命体レギオンの設定が緻密です。レギオンという生命体が電磁波で個体同士の交信を行うガスをエネルギーとしたシリコン生命体であり、草体という植物から種子を宇宙に飛ばして繁殖していくという設定は荒唐無稽な怪獣映画にSF映画としての魅力を与えていました。
 レギオンの造形も大変素晴らしく、カブトガニとクモを足したような甲殻のある昆虫のような姿は不気味な迫力がありました。
 
 また、本作品の特長として戦争映画としての面白さがあります。撮影に自衛隊が全面協力しているだけあって、随所に戦争映画としてのリアリティが感じられます。官房長官が自衛隊出動に関して憲法9条の話しをするシーンや自衛隊テントでの作戦会議など細かいディテールの積み重ねが映画に説得力を与えていました。攻撃方法に関しても平成のゴジラシリーズとは違い荒唐無稽な兵器は一切出てこず、現代の自衛隊の装備で可能な攻撃方法で日本を守ろうとします。前半の札幌での自衛隊vsレギオンとの死闘は緊迫感たっぷりですし、後半のレギオン首都侵攻阻止のための自衛隊総攻撃のスケールの大きさは今までの怪獣映画では味わえないものがありました。
 戦争映画として特に私が凄いと思ったのは戦車が街や住宅街を疾走するシーンです。押井守のアニメではよく登場しますが、実写でそのシーンが再現されると迫力が違いますね。何気ない日常に突然非日常が舞い込んでくる違和感は見ていて強烈なインパクトがありました。

 もちろん、平成ガメラシリーズ最大の売りである特撮の素晴らしさは今回も折り紙つきで、細かな部分まで作りこまれたミニチュアが破壊されていく場面は見ていて爽快です。ローアングルで撮影された映像は人間の視点から怪獣の攻防を見ているようで迫力があります。特に私が特撮で素晴らしいと思ったのは、ガメラが歩くたびごとに道路やガラスが割れるところとレギオンとガメラの戦いを上空から撮影したカットです。
 
 本作品で唯一惜しいのがラストのガメラ対レギオンの闘いのラストあっけなさです。もう少しバトルを見たかったですね。

 この映画を見ずに怪獣映画は語れないと思います。ぜひ怪獣映画好きで未見の人は見てください!

製作年 : 1996年
製作国 : 日本
上映時間 99分
監督: 金子修介 
製作総指揮: 徳間康快 
脚本: 伊藤和典 
撮影: 戸澤潤一 
特撮監督: 樋口真嗣 
音楽: 大谷幸
出演: 永島敏行、水野美紀、石橋保、吹越満、藤谷文子、川津祐介、沖田浩之

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『白虎野』

お気に入りのCD NO.21『白虎野』 平沢進
Photo  私が平沢進さんの音楽に興味を持ったのは今敏監督のアニメ映画『千年女優』・『パプリカ』の音楽からでした。今敏監督の躍動感溢れる音楽が作品の雰囲気や世界観を大いに盛り上げていて印象に残ったものでした。
 今回紹介するCDも昨年公開された『パプリカ』のエンディングの主題歌『白虎野の娘』がとても気に入り、その基になる曲『白虎野』が収録されていたので購入しました。
 平沢さんのソロ・アルバムは始めて聞いたのですが、躍動感とスケールの大きな音作りに圧倒されました。
 電子機器と自分の声を巧みに使って生み出す音とメロディは、テクノ・ポップス・クラシック・民族音楽など様々なジャンルの音楽が融合されており、聞く者を幻想の別世界へといざなってくれます。 
 歌詞も最初は聞き取りづらいですが、何回か聞くうちに単語が聞き取れるようになり、次第にその哲学的な単語の響きの心地よさに取り付かれると思います。平沢さんの歌の場合は歌詞の意味を味わうと言うより、普段聞きなれない単語の音の美しさだったりイメージを楽しむ作りとなっています。
 
 私も購入してから繰り返し何回も聞いていますが、電子音と平沢さんの声と独特な言葉の使い方の生み出す音楽の魅力に取り付かれています。斬新でもあり、懐かしくもあるその音楽は一度はまると病みつきになると思います。
 ぜひ皆さまも一度聞いてみてください。別世界にトリップできますよ! 

01:時間の西方
02:白虎野
03:生まれなかった都市
04:記憶から来た男
05:水脈
06:CODE-COSTARICA
07:Σ星のシダ
08:確率の丘
09:白虎
10:パレード

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2007年劇場公開映画マイベスト5

 今年も数多くの映画が日本で公開されました。そこで私が今年公開された映画の中で特に印象に残った&満足した映画ベスト5を紹介したいと思います。

300 5位『300 <スリーハンドレッド〉』
 スパルタの兵士300人がペルシアの巨大軍と戦う姿を独特な映像美で描いた『300』。フランク・ミラーのグラフィックノベルをそのまま実写にしたような映像は闘う男たちの美しさやカッコよさを見事に表現していました。 

Transformers 4位『トランスフォーマー』
 今年の夏は人気シリーズ作品の最新作が数多く公開されましたが、個人的に今年の夏一番面白かったのは『トランスフォーマー』でした。ストーリーに関しては荒唐無稽かつ子供向けな展開で物足りない人もいたかもしれませんが、個人的にはロボットアニメをよく見ていた童心に返って楽しめました。映像もさすがハリウッド、リアルかつ迫力のあるシーンの連続で圧倒されました。この作品に関しては大スクリーンで見ないと迫力がなく楽しめないかなと思います。

Dream_girls 3位『ドリームガールズ』
 ダイアナ・ロスの実話を基に、仲の良い友人3人で作った黒人コーラスグループの栄光と挫折、そして再生までを描いた『ドリームガールズ』。第79回アカデミー賞で最優秀助演女優賞に輝いたジェニファー・ハドソンの歌声が印象的でした。60年代のアフリカ系アメリカ人の音楽の歴史を背景に華やかなショービジネス界で生きる人間たちの夢や苦悩そして哀しみといったものをエンターテイメントとして見事に描いていました。

Evangelion_new_movie 2位『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』
 10年前に夢中になった「エヴァンゲリオン」が4部作の劇場公開作品としてリメイクされるということで公開前から楽しみにしていました。完成した第1部を見て、後半のヤシマ作戦のスケールアップした描写に大変興奮しました。またエンディングの後に流れた予告編を見て、テレビ版とは違う展開になりそうで来年公開の第2部を非常に楽しみに待っています。

Photo 1位『パンズ・ラビリンス』
 1944年のスペイン内戦下を舞台に過酷な現実を生き抜くために架空の世界に身を置く少女の姿をシビアかつファンタジックに描いた『パンズ・ラビリンス』。私の中では本年度一番完成度が高く、見ごたえのある作品だったと思います。楽しく心癒されるファンタジー映画ではないですが子どもにとってファンタジーとは何かを見事に描いた作品だったと思います。

 

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『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)この映画を見て!

第193回『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)
Zombie  今回紹介する作品は以前にも一度紹介した『ゾンビ』のダリオ・アルジェントが監修した119分のヴァージョンです。
 ゾンビはいくつものバージョンがあることで有名です。今回紹介するバージョンの他に、アメリカで公開された127分のバージョン、アメリカ公開版をバースにカンヌ映画祭出品用に編集されたディレクターズカット版と称される139分のバージョン、テレビ東京で初放映されたサスペリアバージョン、テレビ東京で再放映されたバージョンがあります。
 日本で1979年に初公開されたバージョンは今回紹介するダリオ版を5分短縮したものでした。
 ダリオ版『ゾンビ』の最大の特長はロメロが監修したヴァージョンと違ってイタリアのプログレッシブバンド「ゴブリン」の激しいサウンドが全編にわたって鳴り響いているところです。ロメロ版『ゾンビ』は音楽があまり使われておらず見る者に静謐かつ空虚な印象を与えますが、ダリオ版『ゾンビ』はゴブリンサウンドの効果で見る者のテンションが上がります。音楽の使い方で同じ映画にも関わらず印象が全く違います。 
 編集もロメロ版は人間ドラマや空虚な終末世界の描写に重点が置かれているのに対して、ダリオ版は主人公たちのサバイバルアクションに重点が置かれています。
 私は今までロメロが監修したアメリカ公開版とディレクターズカット版しか見た事がなかったのですが、長らく絶版となっていたダリオ版が12月に低価格DVDとして再販されたのを機に見ることができました。
 ダリオ版はゾンビと人間との死闘に重点を置き、テンポよく話しが進んでいくので、手に汗握って最後まで飽きることなく見ることができます。またロメロ版には出てこないシーンも幾つかあり、見ていて「あっ」と思いました。
 ロメロ版、ダリオ版どちらが良いかといわれると迷うところで、ロメロ版のドキュメンタリータッチの淡々かつダラダラとした雰囲気も捨てがたいです。スカッと楽しみたいならダリオ版、じっくり楽しみたいならロメロ版といったところでしょうか。 

上映時間 119分
製作国 アメリカ/イタリア
監督: ジョージ・A・ロメロ 
脚本: ジョージ・A・ロメロ 
撮影: マイケル・ゴーニック 
特殊メイク: トム・サヴィーニ 
音楽: ゴブリン,ダリオ・アルジェント 
出演: デヴィッド・エムゲ, ケン・フォリー, スコット・H・ライニガー, ゲイラン・ロス

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『パプリカ』この映画を見て!

第192回『パプリカ』
Photo  今回紹介する作品は筒井康隆の同名原作を、『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』の今敏監督が映像化した『パプリカ』です。

ストーリー:「他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”が開発される。しかし、ある日DCミニが盗まれ、他人に悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生する。開発者の時田浩作とセラピストの千葉敦子は犯人を追うが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていた。」

 今敏監督はアニメならではの演出や映像表現を使ってドラマを盛り上げ、見る者にカタルシスを与えてくれる作品を次々と発表していますが、今回も夢という題材をテーマにイマジネーション溢れる映像が次から次へと登場します。

 本作品の見所は何と言っても細部まで描きこまれた密度の濃い映像です。特に、『平成狸合戦ぽんぽこ』の百鬼夜行シーンをスケールアップさせたかのような人形や家電製品のパレードのシーンは色彩の鮮やかさと何ともいえないしなやかな動きは圧巻です。
 また今敏監督作品の特長である疾走感は本作品でも健在で、平沢進の軽快なテクノサウンドが流れる中で、登場人物たちがめくるめくる夢の中を駆け回るシーンは見ていてとても心地よいです。 
 
 ただストーリーに関してはテンポはよく進んでいくのですが、説明不足なところや台詞が聞き取れないところがあり、1回見ただけではなぜそういう展開になっているのか良く分からないところがいくつかありました。

 私が本作品で面白かったのは過去の名作映画(「地球最大のショー」「ターザン」「007・ロシアより愛をこめて」等)をパロディーにしたシーンでした。夢の中で映画の主人公となる登場人物の姿に映画もまた夢見る装置であるということを再認識しました。

 夢と現実の境界が分からなくなる映画は数多くありますが、ビジュアル面でのインパクトは本作品が一番かなと思います。
 夢を扱った作品なので、ストーリーの整合性を考えると突っ込みどころ満載ですが、スピーディーかつ華麗な映像に身を委ねればとても面白い作品です。

 ちなみにマニアックなネタですが、本作品の作画監督を務めているのはスタジオジブリで「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」の作画監督を務めていた安藤雅司さんです。
 またガンダムのアムロの声優で有名な古谷徹がアムロのイメージを覆すような登場人物の声を担当しています。あの姿でアムロ声でしゃべられると違和感があって面白いです。

製作年 2006年 
製作国 日本 
時間 90分 
監督 今敏 
原作 筒井康隆 
脚本 水上清資 、今敏 
音楽 平沢進
声の出演 林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫

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