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2007年11月4日 - 2007年11月10日

『花とアリス』この映画を見て!

Photo 第186回『花とアリス』
 今回紹介する作品は今テレビや映画で絵活躍中の女優・蒼井優の魅力が堪能できる『花とアリス』を紹介します。
 本作品は『リリィ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督がキット・カットの日本発売30周年を記念してネット配信された4本の短編映画を基にしています。(短編映画のネット配信は終了していますが、DVD特別版に収録されています。)

ストーリー:「同じバレエ教室に通う親友の花とアリス。中学3年の時に花は電車の中で出会った高校生に一目惚れする。やがて高校に進学した花は、ずっと憧れていた高校生・宮本と同じ落語研究会に入る。そんなある日、いつものように落語の文庫本を片手に歩いていた宮本は不注意で転倒。花は記憶が一時的に混乱していた宮本に駆け寄り、「私はあなたの恋人で、一時的記憶喪失になっている」とウソをつく。その頃、アリスは街中でスカウトされ、芸能活動に参加し始める。花は宮本とデートするがなかなか振り向いてくれない。それどころか本当に以前恋人だったかどうか疑い始める。そこで、花はアリスが元彼女だったと更にウソをつく。しかし、それが元で花とアリスの友情がギクシャクし始める。」

 私が始めて見たのは2年前ですが、その時はクライマックスの蒼井優のバレエ姿に圧倒され、一気に彼女の虜となってしまいました。積極的に前に出ようとしないアリスがバレエという表現で自らを語ろうとする姿は美しさと力強さに溢れていて、見ていて自然と胸が高まったものでした。そのクライマックスを見たいがために私は本作品を何回も見直したものでした。
 本作品は鈴木杏演じる花と蒼井優演じるアリスの友情と恋愛が描かれているのですが、蒼井優の存在感が際立っています。本作品は蒼井優という女優の魅力を引き出すために撮られたと言っても過言でないと思います。鈴木杏さんのファンには申し訳ないですが、彼女も蒼井優という女優を引き立てるために登場しているようなものです。『リリィ・シュシュのすべて』を見たときも蒼井優の演技はとても印象に残りましたが、監督もきっと強く印象に残り、彼女を主役に据えて本作品を撮ったのでしょう。
 マイペースでいながら、どこか寂しげな感じのアリスという少女を蒼井優はナチュラルかつ繊細な演技で見事に表現しています。

 蒼井優の話しばかりになってしまいましたが、少女漫画のようなメルヘンチックでリアリティのないストーリーを違和感なく自然に見せる岩井監督の演出も素晴らしいです。
 恋や友情で揺れ動く少女たちの微妙な心の揺れを何気ない日常生活の中から描いていく演出は大げさなところがなく見ていて大変心地よいです。誰しもが思春期に経験したであろう恋や友情をめぐる葛藤を本作品は思い出させてくれます。
  
 明るめの露光で撮影された映像はきらきらとした輝きに満ちていて美しく、主人公たちの青春のきらめきを見事に表現しています。特に桜並木や降りしきる雨、秋の寂しげな浜辺等の何気ない風景の美しさは大変印象的でした。
 
 また本作品は随所に遊び心があり、駅名が有名な漫画家の名字だったり、随所に有名人がカメオ出演している等くすっと笑えるシーンが随所にあります。

 思春期の少女たちの純粋無垢さと、それゆえに持ち合わせる残酷さを見事に表現した青春ドラマの傑作です。

製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 135分
監督 岩井俊二 
脚本 岩井俊二   
音楽 岩井俊二
出演 鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、阿部寛、平泉成、木村多江、坂本真、大沢たかお、広末涼子

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『アンタッチャブル』この映画を見て!

第185回『アンタッチャブル』
Photo  今回紹介する作品は30年代のシカゴを舞台に暗黒街の帝王アル・カポネと若き財務官の戦いを描く『アンッタチャブル』です。
 本作品はパラマウント映画が創立75周年記念として製作されたそうで、スタッフ・キャスト共に大変豪華です。まず監督には独特の映像スタイルで人気のあったブライアン・デ・パルマ、音楽にイタリアを代表する映画作曲家・エンニオ・モリコーネ、衣装に有名なファッションデザイナー・アルマーニと第一線で活躍するスタッフを迎えて、重厚かつスタイリッシュな雰囲気を作り出しています。また、ケヴィン・コスナーやアンディ・ガルシアなどの注目の若手俳優からショーン・コネリーやロバート・デ・ニーロといった演技派俳優を揃えて、映画の中のキャラクターを活き活きと演じています。
 
 ストーリー:「禁酒法が施行されていた1930年代のシカゴ。財務局捜査官エリオット・ネスは酒の密売で多額の利益を上げていたアル・カポネの捜査に乗り出す。しかし、警察の中にもカポネに買収されている警官がいて、捜査状況は全てカポネに筒抜けであった。
 ネスはベテラン警官マローン、新人警察官・ストーン、財務局の経理係・ウォレスと4人の少数精鋭のチームを結成して、摘発を始める。
 彼らは次々と酒の密売現場を取り押さえるが、カポネも黙っているはずもなく、ネスたちは彼らから脅迫されてしまう。
 彼らはカポネの帳簿から脱税の糸口をつかみ、カポネを告訴しようとする。しかし、カポネからの反撃により、彼らは窮地に立たされる。」

 マフィアが出てくる映画というと『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』等の作品が有名で、血なまぐさい暴力と男たちの重厚なドラマを時間をかけて描くことが多いです。
 しかし、本作品はそれらの作品と比べると勧善懲悪の単純明快なストーリーで上映時間も2時間以内と短く、誰もが手軽に楽しめます。(ただ、その分重厚なドラマを期待している人には物足りないかもしれませんが・・・)
 
 本作品を私が始めて見たのは中学生のときだったと思うのですが、その時はショーン・コネリーとロバート・デ・ニーロの演技に圧倒されてたのを今でも覚えています。
 007シリーズのジェームス・ボンド役以外知らなかったショーン・コネリーの年を積み重ねた役者だからこそ出来るいぶし銀の演技。彼の姿を見て、私は年を取ることは悪いことではないと思うようになりました。
 ロバート・デ・ニーロも私がずっと好きな俳優だったので、本作品でも憎憎しい悪役を存在感たっぷりに活き活きと演技をしていたのが印象的でした。髪の毛を抜き、体重を増やしてアル・カポネ役に挑んだというだけあって、オープニングの登場シーンから何といえない威圧感と緊張感を醸し出していたと思います。特に私が印象的だったのはバットで頭を殴るシーンとオペラで涙を流すシーン。アル・カポネの暴力性と人間性を見事に表現していたと思います。
 もちろん主演のケヴィン・コスナーの清純な演技やアンディ・ガルシアの目で訴える演技も素敵でしたし、チャールズ・マーティン・スミス演じる経理係もお気に入りのキャラクターでした。あと殺し屋を演じたビリー・ドラゴの鋭い目線と嫌みったらしい演技も大好きでした。

 本作品を語るときにブライアン・デ・パルマの華麗な映像テクニックも外すことができません。長回しやスローモーションを多用することで有名なデ・パルマですが、本作品ではそれらの映像テクニックが嫌味なく上手に使われています。
 特に私が印象的だったのがマローンが射殺されるシーン。暗殺者の視点での長回しが何ともいえない緊張感を出していました。
 またセントラル駅での階段から乳母車が落ちるシーンは「戦艦ポチョムキン」から引用ので有名ですが、スローモーションを巧みに使った緊迫感のある映像は見事で、上手い引用の仕方だと思います。(ちなみに監督の話では本来はもっと派手なシーンにする予定だそうでしたが、予算不足でああいう形になったそうです。)
 
 あとエンニオ・モリコーネの音楽が大変素晴らしいです。オープニングの不協和音で表現される何ともいえない緊張感、壮大なオーケストラで奏でられる爽やかなメインテーマ。本作品は音楽の付け方や盛り上げ方が大変上手です。

 本作品はスカッとしたいときに打ってつけの映画です。正義を信じる男たちの友情のドラマは見る者の心を熱くします。 

製作年度: 1987年 
上映時間: 120分
監督 ブライアン・デ・パルマ 
原作 オスカー・フレイリー 
脚本 デヴィッド・マメット 
音楽 エンニオ・モリコーネ 
出演 ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、ジョージ・ストーン、チャールズ・マーティン・スミス、ロバート・デ・ニーロ 、ビリー・ドラゴ

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