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2007年10月28日 - 2007年11月3日

『ミッドナイト・クロス』この映画を見て!

第184回『ミッドナイト・クロス』
Photo  今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督がジョン・トラボルタ主演で製作したサスペンス映画の傑作『ミッドナイト・クロス』です。

 ストーリー:「B級映画専門の音響効果の仕事をするジャック。ある晩、効果音の収録をしている最中に、川に車が転落する事故の一部始終を目撃する。ジャックは慌てて沈みゆく車に乗っていた女性サリーを救い出すが、男は既に死んでいた。病院で死んだ男が次期大統領候補であることを知ったジャックは今回の事件の事を公にしないように口止めされる。しかしジャックは偶然録音していた事故のテープから一発の銃声を聞きとめた。事故に疑問を抱き始めた彼は、サリーと共に真相を究明しようとするが、何者かに命を狙われ始める。」

 映画のストーリー自体はサスペンスとしては今ひとつ詰めが甘く、主人公や犯人の行動にも疑問を感じるところがあります。
 しかし、それを補って余りあるほどの魅力が本作品にはあります。それはデ・パルマ監督らしい華麗なカメラワークと映像美、そして深い余韻を残すラストシーンです。
 オープニングいきなり学園を舞台にした架空のB級ホラー映画のシーンから始まるのですが、殺人鬼の主観で捉える映像はなかなかの緊張感があります。その後も、デ・パルマ監督らしい二画面分割、360度パン、そしてスローモーションなどが随所に用いられて映画を盛り上げます。
 特に見所なのが街中でのカーチェイスシーンとクライマックスの花火の中での主人公ジャックがサリーを抱くシーンです。フィラデルフィアの街中を主人公が車で疾走するシーンは空撮の映像が非常に印象的です。またクライマックスの花火が打ちあがる中でジャックがサリーを抱くシーンはピノ・ドナッジオの音楽との相乗効果で切なくも美しいシーンに仕上がっています。 
 映画のラストはハリウッド映画には珍しくバットエンドなのですが、深い余韻を見る者に与えてくれます。主人公の最後の行動に関しては賛否両論あると思いますが、私としては主人公の悲哀を強く感じました。

 本作品は役者の演技も大変印象的です。事件の真相を追うジャックを演じる若かりし頃のジョン・トラヴォルタ。ラストシーンの切ない表情が印象的です。またヒロインのサリーを演じるナンシー・アレン。デ・パルマ監督の作品ではおなじみの役者ですが本作品でも甘い声と叫び声が大変印象的です。そして主人公を狙う殺し屋を演じるジョン・リスゴー。殺し屋の冷酷さと狂気を見事に独特の存在感で見事に演じています。

 秋の夜長にお勧めのサスペンス映画です!

製作年度 1981年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 113分
監督 ブライアン・デ・パルマ 
製作総指揮 フレッド・カルーソ 
脚本 ブライアン・デ・パルマ 
音楽 ピノ・ドナッジオ 
出演 ジョン・トラヴォルタ 、ナンシー・アレン 、ジョン・リスゴー 、デニス・フランツ 、ピーター・ボイデン 

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『戦国自衛隊』映画鑑賞日記

Photo_2  角川映画が79年に製作した『戦国自衛隊』がテレビで放映されていたので久しぶりに見直しました。
 私がこの映画を始めてみたのは小学生の時でしたが、突然戦国時代にタイムスリップして侍と闘う自衛隊員の姿に夢中になったものでした。特に61式戦車、M3A1装甲車、ヘリコプターなどの兵器で、騎馬や弓矢で突如襲いかかってくる武田信玄の兵士に立ち向かう戦闘シーンの迫力は子どもながらに鳥肌が立ったものでした。

 改めて見直してみるとストーリーの強引さや詰めの甘さはさておいて、生身の人間によるアクションシーンのダイナミックさと戦車と騎馬が同一画面に出てくる構図の強烈なインパクトに最後まで釘付けとなりました。
 また、この映画の面白いところは武力では圧倒的優位なはずの自衛隊員が戦国時代の戦で苦戦して、最後は全滅してしまうところです。武力の差が勝利に繋がるわけでないところが見ていて非常に印象的でした。(まあ、映画の中の自衛隊の戦術自体が隙だらけで負けても仕方ないところがありますが・・・。)

 また人間ドラマとしても千葉真一演じると夏八木勲演じる長尾影虎役の時代を超えた男同士の熱い友情や現代と戦国時代に引き裂かれた恋人たちなど胸が熱くなるシーン満載です。またラストシーンも切なくて結構うるっとさせられます。

 役者陣も今考えると信じられないほど豪華です。千葉真一筆頭に夏八木勲、にしきのあきら 、ムッシュかまやつ 、渡瀬恒彦 、角野卓造 、竜雷太 、小野みゆき 、岡田奈々、薬師丸ひろこ、真田広之・・・・とこれだけの人材を1つの映画に今集めるのはもはや不可能に近いです。

 この映画は自衛隊員が日本人を殺すシーンなどがあり、自衛隊が協力をしてくれず、戦車などの兵器も全て手作りだそうです。当時の映画人たちの情熱に頭が下がります。

 最近『戦国自体隊1549』というタイトルでリメイクもされましたが、はっきり言って旧作には完成度も面白さも足元も及ばないほど酷い出来でした。新作を見るくらいなら、こちらを見た方が絶対良いです。 

製作年度 1979年
製作国・地域 日本
上映時間 138分
監督 斉藤光正 
原作 半村良 
脚本 鎌田敏夫 
音楽 羽田健太郎 
出演 千葉真一 、中康治 、江藤潤 、速水亮 、にしきのあきら 、三浦洋一 、かまやつひろし 、倉石功 、高橋研 、渡瀬恒彦 、河原崎建三 、角野卓造 、鈴木ヒロミツ 、竜雷太 、三上真一郎 、小野みゆき 、岡田奈々

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蒼穹の声-Voices Best-

お気に入りのCD NO.20『蒼穹の声-Voices Best-』 姫神
Photo_3   今回紹介するアルバムは東北を中心とした民俗音楽に影響を受け、シンセサイザーを駆使して作曲・演奏活動を行っている星吉昭さんのソロユニット姫神のヴォーカルものを集めたベスト盤『.蒼穹の声-Voices Best-』です。
 私はテレビのドキュメンタリー番組のテーマ曲『神々の詩』で姫神の存在を知りました。『神々の詩』は縄文時代の言語や音階を利用して製作されており、聞いていて懐かしく心が自然と癒される名曲でした。
 
 今回のアルバムは全曲ボーカルということもあり、人間の声の持つ力や美しさが堪能できます。聞いていると、遥か昔の自然の中で人が素朴に生きていていた時代にタイムスリップすることができます。
 
 全曲透明感溢れるシンセの音と温かみのある人の声は私たちの心の清涼剤となります。ぜひ多くの人に聞いて欲しいアルバムです。 

1. 愛を超えて 
2. 祈り遥か 
3. キリバスの天使 
4. 小春日和 
5. 風恋歌 
6. 風のこころ 
7. 十三の子守唄 
8. 明けの方から 
9. 神々の詩 
10. 見上げれば,花びら 
11. 風の子守唄 
12. 雪 
13. ダヤックの子守唄 
14. 森渡り 
15. 千年の祈り 
16. 雲ははてしなく(VOICE MIX) 
17. 未来の瞳 

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『ブラックホーク・ダウン』この映画を見て!

第184回『ブラックホーク・ダウン』
Photo  今回紹介する作品は1993年10月3日の米軍によるソマリア侵攻の失敗を描いた『ブラックホーク・ダウン』です。

 ソマリアはアフリカ大陸の東北端に位置し、「アフリカの角」と呼ばれる国で、イタリアとイギリスの植民地だったが、1960年に独立しました。ソマリアは6つの氏族、16の準氏族に分かれていて、独立後から権力争いが続いていました。そして90年代、ソマリア最大の武力を誇るアイディード将軍率いるUSC(統一ソマリア会議)が、大統領を追放して首都のモガディシオを制圧。しかし、USC内部でアイディード将軍派とマハディ暫定大統領派との抗争が起こり、ソマリアは無政府状態に突入。餓死者や難民が多数出てきて、国連は人道支援を行うが、武装勢力による援助物資の強盗・略奪、NGOへの襲撃・殺害によって、援助活動は停滞。国連はこのような状況に対して米国が主力となる国連平和維持軍(PKF)をソマリアに派遣することとなります。しかし、PKFによる武装解除は上手くいかず、PKFと武装勢力の間で泥沼の戦いが展開されるようになります。本作品はそんな泥沼状態の1993年に実際に起こったアメリカ軍の敵対するアディード政権の本拠地への奇襲作戦の悲惨な顛末を描いています。
 
 ストーリー:「1993年、泥沼化する内戦を鎮圧するためソマリアに兵士を派遣したアメリカ。なかなか収束しない内戦に焦り始めたクリントン政権は、10月3日、アディード政権の本拠地への奇襲作戦を決行する。作戦は当初は1時間足らずで終了するはずだったが、敵の攻撃により、大型輸送ヘリ“ブラックホーク”が撃墜されてしまう。敵の最前線で孤立する兵士たち。やがて、救助に向かった2機目も撃墜されてしまう。兵士たちは必死に応戦するが、敵に取り囲まれて苦戦を強いられることになる。」

 本作品を始めて見た時は上映時間の3分の2以上が生々しい戦闘シーンだったので、見終わって大変疲れたのを覚えています。スピルバーグが監督した『プライベート・ライアン』は戦闘シーンをリアルに描き、その後の戦争映画に大きな影響を与えましたが、本作品は『プライベート・ライアン』の戦闘シーンを拡大強化して延々と見せ続けるような仕上がりとなっています。『プライベートライアン』ですら兵士同士の友情など何らかのドラマが描かれていたのですが本作品はそのようなシーンはほとんどなく、ひたすら地獄のような戦場で何とか生き延びようとする兵士たちの姿のみが描かれます。

 本作品はアメリカ国防総省の全面協力下で撮影されており、役者に対する兵士としての指導や本物のブラックホーク等の軍用ヘリコプターを撮影のために貸与するなどしています。その為、公開答辞は好戦的な米軍のプロパガンダ映画となっているという辛辣な批評が多かったのですが、私は本作品を単なるアメリカ万歳の好戦的な映画だとは思いませんでした。
 確かにソマリア兵士をゾンビかエイリアンのように非人間的な存在として描いているところやアメリカ軍の圧倒的な軍事力を見せつけるようなところもあり、好戦的でアメリカ中心主義の映画だと一見思えてしまいます。
 しかし、本作品はソマリア紛争の実態を描くことをテーマにしているのではなく、異国の戦争に理不尽に巻き込まれたアメリカ兵の悲惨な実態を描くことをテーマにしていると思ってみれば印象がだいぶ変わってきます。平和のためという理由で派遣されたと思っている兵士たちを襲うソマリアの国民。一体自分たちは何のためにやって来たのか理由を見失い、ただひたすら敵に襲撃された仲間を助けることに理由を見出すしかない兵士たち。本作品でソマリアの兵士を非人間的に描いているのは、アメリカの兵士にとって彼らの平和に自分たちが介入している意味が見出せないことを表しているのだと思いました。
 また、本作品を好戦的だから駄目だと評価する人もいるようですが、私は本作品を見て戦争はカッコよくて面白そうなど全く思いませんでした。むしろ、あれだけの武器を持っていたアメリカ軍がソマリアの民兵にあんなに苦戦するとは驚きました。結局武力だけで平和を作ることも維持することも出来ないことをまざまざと痛感させられました。

 ラストに「米兵19人 ソマリア人1000人以上が死亡」というテロップが表示がされます。アメリカ兵とソマリア人の死者の数の違いをどう受け止めるかで本作品の評価は分かれると思います。アメリカ万歳の映画ならあえてソマリア人の死亡者数まで表示しなかったと思います。りドリー・スコット監督はあえて両者の死者数を表示して、アメリカ軍の武力介入の空しさを伝えたかったのだと思います。

製作年度 2001年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 145分
監督 リドリー・スコット 
製作総指揮 ブランコ・ラスティグ 、チャド・オマン 、マイク・ステンソン 、サイモン・ウェスト 
原作 マーク・ボウデン 
脚本 ケン・ノーラン 、スティーヴン・ザイリアン 
音楽 リサ・ジェラード 、ハンス・ジマー 
出演 ジョシュ・ハートネット 、ユアン・マクレガー 、トム・サイズモア 、サム・シェパード 、エリック・バナ 、ジェイソン・アイザックス 、ジョニー・ストロング 、ウィリアム・フィクトナー 、ロン・エルダード 、ジェレミー・ピヴェン 、ヒュー・ダンシー 、ユエン・ブレムナー

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『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』この映画を見て!

第183回『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』
Photo_2  今回紹介する作品は日本一忙しい映画監督・三池崇史がアメリカ進出を果たした『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』です。
 本作品は世界のホラー監督13人による米国のTVシリーズ「マスタ-ズ・オブ・ホラー/恐-1グランプリ」の一本として製作されましたが、過激な内容と描写に放映中止となって話題となりました。日本の地方の忌まわしい因習を扱った岩井志麻子の短編小説を原作としていますが、アメリカの視聴者向けにいくつかのアレンジがされています。原作には登場しないアメリカ人を主人公に据えて、日本の田舎の遊郭が舞台にもかかわらず全編セリフが英語となっています。

 ストーリー:「明治時代の日本。アメリカ人ジャーナリストのクリスはかつて愛した小桃という女を探して全国の遊郭を転々としていた。そして、川の中の浮島の遊郭にたどり着く。そこで醜い顔をした女郎から小桃が死んだことを告げられる。クリスはなぜ小桃が死んだのか尋ねたところ、女朗は小桃の死の真相と自らのおぞましい過去を語り始める・・・。」

 三池監督は低予算のVシネマから『妖怪大戦争』のような大作まで幅広く撮る人で、作品の当たり外れが大きいのですが、本作品は大当たりでした。三池監督の持ち味は型破りな演出と過激な暴力描写にあるのですが、本作品は彼の持ち味が最大限引き出されています。

  本作品は遊郭での女郎に対する拷問シーンが過激で話題となっていたので注目していましたが、実際見てみると彼が監督した『オーディション』と『殺し屋1』に比べて言うほど過激ではありませんでした。(そう言いながら、女朗の歯茎や爪に畳針を刺すシーンは余りにも痛そうで目を背けてしまいましたが・・・)
 むしろ私が過激と思ったのは昔の日本の田舎で行われていた堕胎を真正面から描いているところです。アメリカで放映禁止となったのも拷問シーンでなく堕胎のシーンが問題だったのだと思います。

 家庭内暴力に堕胎そして近親相姦とこの上ない悲惨な日本の歴史の闇がこれでもかと描かれており、人によっては非常に嫌悪感を覚えるかと思います。私も見ていて怖いというよりつらくなる場面の方が多かったです。
 ストーリーだけ追うと暗く陰惨な感じがしますが、映像は赤を基調にした妖しく煌びやかな色調で見る者を幻想的かつ妖艶な世界に引きずりこみます。特に遊郭のセットと女朗の衣装の美しさは格別です。

 役者の演技も主人公のビリー・ドラゴを除いて大変素晴らしいです。特に醜い顔の女郎の二面性を巧みに演じた工藤夕貴、悲惨な拷問にかけられる小桃を体当たりで演じた美知枝、そして嬉しそうに拷問をする危ない遊郭の女主人を演じた原作者の岩井志麻子の圧倒的な存在感。女優陣の演技が光ります。それに比べるとビリー・ドラゴの演技はオーバーアクト気味で完全に浮いていました。

 本作品は誰が見ても楽しめる作品ではありませんが、ホラー映画好きなら一度は見て損はないと思います。ただし痛いのが苦手な人はお勧めできません。 

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 63分
監督 三池崇史 
原作 岩井志麻子 
脚本 天願大介 
音楽 コージー・エンドウ・Jr.
出演 工藤夕貴 、ビリー・ドラゴ 、美知枝 、根岸季衣 、岩井志麻子

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