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2007年9月2日 - 2007年9月8日

「愛すべきB級映画たち」私の映画遍歴13

 「映画は芸術だ」という人がいますが、私の中で「映画は芸術であり見世物でもある」と思っています。黒澤明やキューブリック、タルコフスキーのような監督が作り上げる芸術的な作品も大好きですが、低俗で下らなく安っぽいB級の映画も大好きです。
 そこで今回は「時間に暇があり、何も考えたくない時」にお薦めのB級映画をご紹介します。

 そもそもB級映画とは低予算かつ短期間で撮影された映画のことを指します。なぜそれらの作品を「B級」と言うかというと以下のような理由があります。

『アメリカでは1945年以前、映画は2本立て公開されており、その1本目に前座として低予算映画が上映されていました。その低予算映画は『B撮影所』で撮られたものだったため、「B映画(B-Pictures)」と呼ばれ、それが後に「B級映画」へ転じていった。』
(フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)

 私の中でB級映画とは以下のような作品を指します。
・人類の危機など大げさな設定の割りに、しょぼい映像かつこじんまりとしたストーリーの作品
・無名な女優のお色気シーンや、荒地や工場・倉庫等でのアクションシーンがやたらに多い作品
・汚い描写、グロい描写にやたらこだわる
・ラストが意味不明だったり、続編がありそうな感じで終わることが多い
 
 昔の映画館では2本立てで映画が公開されることが多く、B級映画が比較的多く上映されていました。またテレビでも日曜洋画劇場や深夜にB級作品がよく放映されていました。その為、B級映画を普段から見る機会に恵まれていました。
 逆に最近は多くの映画館で上映される多くの作品はある程度有名なキャストを起用し、予算をかけて製作されたものばかりです。(内容的にはB級映画よりも面白くなく、退屈な作品も多いですが・・・。)またテレビでもヒット作ばかり放映することが多く、以前ほどB級映画が放映されることが少なくなりました。
 その為、B級映画と呼ばれる作品を見るためにはミニシアターに行くか、ビデオを借りるしかなく、B級映画が好きな人以外は気軽に見る機会が少ない状況です。(確かにわざわざ金を出してまで下らない作品を見たいという人は少ないかもしれませんが・・・)

 B級映画は確かに内容は突っ込みどころも多く、中身も薄っぺらいです。だからこそ、肩肘張らず気楽に見ることができますし、突っ込みどころが多い分、大勢でワイワイ見られます。
 ぜひ多くの人にB級映画の素晴らしさを感じて欲しいです。

・私のお薦めB級映画10本!

Squirm 『スクワーム』(1976年、アメリカ、96分)
 アメリカの田舎町で突如大量のゴカイが人間を襲うという悪趣味極まりない本作品。見所は人間の体にゴカイが食い込むシーンとシャワーを浴びていたらゴカイが落ちてくるシーンです。本作品は撮影の為に8000万匹のゴカイを集めたそうです。これだけたくさんのゴカイが登場する作品後にも先にもありません。この作品を見ると、しばらくはパスタが食べられなくなるのでご注意を!


Life_force 『スペースバンパイア』(1985年、アメリカ、116分)
 吸血エイリアンが人間を襲うという本作品。昔、日曜洋画劇場でよく放映されていました。『エイリアン』のダン・オバノンが脚本、『悪魔のいけにえ』のドビー・フーパーが監督、ヘンリー・マシニーが音楽という有名なスタッフが結集して製作された作品ですが、中身は思いっきりB級です。見所はマチルダ・メイの裸体と精気をすわれてミイラ化する人間の描写です。設定と音楽は思いっきり壮大ですが、映像とストーリーは何とも安っぽいです。

Maximumoverdrive  『地獄のデビル・トラック』(1986年、アメリカ、98分) 
 地球の側を通過した彗星の影響で、地上のあらゆる機械が人間を襲い始めるという本作品。ホラー小説の帝王スティーブン・キングが自らの原作を元に初監督した作品でもあります。この作品を見ると小説家として才能がある人が監督としての才能があるとは限らないことが良く分かります。映像・音楽・ストーリー全てにわたってB級感丸出しで、下らないの一言です。ただこの下らなさがB級好きにはたまりません。 

Attack_killer_tomatoes 『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978年、アメリカ、98分)
 突如トマトが人間を襲うという本作品。ティム・バートン監督が98年に監督した火星人襲来映画『マーズ・アタック!』の元ネタでもあります。
 トマトがどう人間を襲うのかと期待して見てみると、小さいトマトや張りぼてのトマトがただ転がって、人間が慌てふためいているだけという下らなさ。怖くもなければ、さして面白くもない作品ですが、トマトが人間を襲うという設定だけで映画を作ろうとした人たちはある意味凄いと思います。

Shivers『シーバース』 (1975年、カナダ、95分)
 寄生虫が理性を狂わせマンションの住民を次々に支配していくという本作品。監督は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『裸のランチ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグが担当。彼の作品らしく、内臓感覚にこだわった描写があります。寄生虫が体に入ると性衝動が高まり、エッチをすると相手にも感染するという設定なのですが、エログロ満載のストーリー展開は見る者を画面に釘付けにします。

Photo 『地獄』 (1960年、日本、100分)
 この世とあの世の地獄絵図を生々しく描いた本作品。1960年に製作された作品でありながら、今見ても強烈な印象を残す作品です。監督は『東海道四谷怪談』等で有名な中川信夫が担当。この作品はこの世の悲惨な出来事を描く前半とあの世の地獄を描く後半の2部構成となっており、映画の中盤に登場人物全員が死んで地獄に行くという凄いストーリー展開となっています。前半のこれでもかと主人公を襲う不幸な出来事も見所満載ですが、何と言っても後半の地獄絵図が最大の見所です。特撮はチープでありながら、何とも生々しいものがあり、見る者を圧倒します。

Gozu 『牛頭 極道恐怖劇場』(2003年、日本、126分)
 主人公のヤクザが兄貴分を殺してしまうことで不条理な世界に足を踏み入れるという本作品。最初見たときはあまりに意味不明な展開が続くので正直戸惑ってしまいました。ストーリーだけ追うと退屈な作品でありますが、鬼才・三池崇史が監督しているだけあって、映像と演出が強烈で不気味な雰囲気が終始漂います。見所はラストシーンの哀川翔の予想外の登場の仕方!まさかあそこからあんな形で登場するとは。一見の価値ありです。

Shiberianexpress 『シベリア超特急』
 シベリア鉄道を走る列車内で起きる連続殺人事件の謎を陸軍大将・山下泰文が推理するという本作品。映画評論家として活躍した水野晴朗が主演・脚本・監督を務めた力作であるのですが、見事なほど出来の悪い作品です。水野晴郎のセリフ棒読みの演技、セット丸出しの映像、二重三重のどんでん返しの下らなさ、全てにおいて最低です。しかし、ここまで最低だと、逆に見ていて面白いものがあります。


Sasori 『女囚さそり・けもの部屋』(1976年、日本、83分)
 篠原とおる原作の人気劇画を梶芽衣子主演で映画化した『女囚さそり』シリーズ。全部で4作品製作されましたが、その3作目に当たる作品が本作品です。刑務所を脱獄した“さそり”こと松島ナミの活躍を描くのですが、その描き方がぶっ飛んでいます。まるでサイボークのように不死身かつ超人的な活躍をするさそりの姿は見ていて圧倒されます。また脇役の個性も強烈で、特に李礼仙と成田三樹夫の演技は凄いの一言です。

Crazyrip 『発狂する唇』(1999年、日本、85分)
 女子中学生連続殺人事件の容疑者の家族を襲う不条理な悲劇を描いた本作品。『リング』の高橋洋が脚本を担当しているので、一見とてつもなくシリアスな作品かと見間違うのですが、内容はハチャメチャの一言です。ホラーあり、スプラッターあり、過激な性描写あり、カンフーあり、ミュージカルありのごった煮の状態で、意味不明なシーンのオンパレードです。登場人物も一癖も二癖もある人ばかりです。見所は主人公を演じる三輪ひとみに訪れる災難の数々とラストの大杉漣ぶっ飛んだ演技です。

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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』この映画を見て!

第173回『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』
Evangelion_new_movie  12年前に社会現象にまでなったロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』。1995年10月から1996年3月まで全26話としてテレビ東京で放映され、若者たちの間で人気が広がり、97年には劇場用アニメも製作されました。
 私も大学生の時に先輩から全話録画されたビデオを渡され、あまりの面白さに12時間かけて一気に鑑賞。それからというものエヴァの世界にどっぷりはまったものでした。謎多きストーリー展開、今までのロボットとは全く違う有機的なエヴァのデザイン、細部までこだわりぬかれた描写、心にトラウマを持つ登場人物たち・・・、全てにおいて今までのアニメにはない魅力が詰まっていました。当時はエヴァのビデオを何十回と見返したり、CDや解説本などを買いあさったりしたものでした。私の20代前半は『エヴァ』抜きに語ることはできないといっても過言ではありません。
 そんな『エヴァ』が庵野秀明の下で12年ぶりに4部作の映画として再構築されるということで、私の中でもエヴァブームが再燃。9月1日の第一部公開に向けて、テレビシリーズと旧劇場版のDVDを何回も見直したものでした。

 そして、昨日9月1日ついに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の第一部に当たる『序・EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』が公開。私も早速劇場に駆けつけ10年ぶりのエヴァの新作を鑑賞してきました。仕事が終わってからの鑑賞だったので、夜遅かったのですが、劇場はほぼ満席。綾波レイのコスプレをしている女性もいたりして、エヴァの人気の根強さを改めて痛感しました。
 
 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は序・急・破・完結編の全4部からなり、登場人物や基本設定は同じものの、エヴァのデザインや戦闘シーンはグレードアップ、ストーリー展開も旧作と違う展開になるとのことです。エンディングも旧作と違い、多くの謎がはっきりと解明され、大団円となると発表されています。
 庵野秀明総監督を始め、スタッフは今回の映画を新作であって新作でない「REBUILD」という形で製作しているそうです。旧作のファンも満足させながら、2007年の新作アニメとしても楽しめる作品を目指して、旧作の買いたいと再構築を行っているそうです。現在公開されている『序』は基本的にはテレビシリーズとほぼ同じ展開であるのですが、原画や背景は全てリニューアルされ、テレビ版に比べて格段のクオリティアップがなされています。

 映画を鑑賞しての私の感想ですが、「面白い」の一言に尽きます。
 
 ストーリー展開は旧作の第壱話「使徒、襲来」から第六話「決戦、第3新東京市」までとほぼ同じです。映画を見るまでは単なるテレビシリーズのダイジェスト版になっていないかどうか心配でした。しかし、さすが庵野監督。旧作を知っている人も十分満足できる内容となっていました。設定やストーリー展開も微妙にテレビシリーズと違っており、「ここであの人物が出てくるの」というシーンや「もうあいつが出てくるの」というシーンがあったりして、続編の展開が非常に気になりました。(テレビシリーズと新劇場版の違いに関しては後日別の記事で詳細に考察したいと思います。)
 エヴァの世界観もテレビシリーズより丁寧に説明されており、エヴァ初心者が見ても分かりやすくなっています。

 また登場人物の性格も微妙に違っており、シンジが旧作よりも少し攻撃的かつポジティブだったり、ミサトもシンジに対して少し寛容だったりします。この性格の微妙な違いが今後の展開にどう影響するのか気になるところでもあります。
 特に今回の映画はシンジの葛藤と成長に焦点がおかれており、テレビ版よりもシンジに感情移入しやすくなっています。(その分、他の人物の心理描写はかなり省略されていますが。)

 映像に関してはCGも多用し、旧作に比べて格段に緻密で迫力があります。特に第3新東京市の兵装ビルの描写や後半のヤシマ作戦の戦闘描写は映画ならではのスケールの大きさが感じられました。
 ヤシマ作戦は今回の大きな見せ場の1つですが、正八面体の使徒ラミエルの描写が格段にグレードアップしていて驚きました。まさか、あのような変形を行うとは・・・。対する人間側の描写も作戦準備の経過が詳細になっており、クライマックスに向けての見る側のテンションも上がります。
 
 今回の作品は新劇場版の導入部として見事な出来栄えだと思います。次回作「破」の予告編が最後に流れますが、それを見る限り、次回作はテレビシリーズとかなり違う展開になるような気がします。テレビシリーズには登場していない新しいエヴァとパイロットの姿がちらっと映りますが、一体どんな展開になるのか、今から楽しみです。予定では来年春の公開となっていますが、製作が順調に進むことを祈るばかりです。
 

製作年度 2007年
製作国・地域 日本
上映時間 98分
総監督 庵野秀明 
監督 摩砂雪 、鶴巻和哉 
原作 庵野秀明 
脚本 庵野秀明 
音楽 鷺巣詩郎 
出演 緒方恵美 、林原めぐみ 、三石琴乃 、山口由里子 、立木文彦 、清川元夢 

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