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2007年7月29日 - 2007年8月4日

『トランスフォーマー』この映画を見て!

第170回『トランスフォーマー』
Transformers_2  今年の夏は『スパイダーマン3』に始まり『パイレーツ・オブ・カリビアン3』、『ダイハード4.0』など人気シリーズ作品の最新作が数多く公開されていますが、個人的に今年の夏一番お薦めの作品は今回紹介する作品『トランスフォーマー』です。製作総指揮・スティーヴン・スピルバーグ、監督マイケル・ベイという現在のハリウッドを代表するヒットメーカーがタッグを組んだ本作品。80年代日本でタカラより発売され大ブームとなった変形ロボット玩具トランスフォーマーシリーズ。玩具だけでなく、マンガ化やアニメ化もされ、多くの男の子の心を虜にしました。
昨年に『トランスフォーマー』がハリウッドで映画化されると知ったときは、玩具を主人公に映画を撮ることに大変驚きました。CGが発達した現在なら、リアルな映像に仕上がるのだろうとは予想していましたが、ハリウッドで巨大ロボットを扱った作品が意外にも今までほとんどなかったので一体どんな映像に仕上がるのか大変興味がありました。
今年に入ってから予告編が公開され、徐々にトランスフォーマーの姿が明らかになるつれて、その迫力のある戦闘シーンに圧倒され、公開を待ち遠しく思ったものでした。

そして、公開日である今日朝一番に映画館に行き鑑賞してきたのですが、ド迫力の映像にひたすら圧倒された2時間20分でした。個人的には『ターミネーター2』や『ジュラシックパーク』、『マトリックス』に匹敵するほどのインパクトのある映像でした。
特にトランスフォーマーたちがトランスフォームするシーンはワンカットで描かれるのですが、その映像のリアルさとカッコよさには感激しました。
また後半の白昼の市街地でのロボット同士の戦闘シーンも今まで見たことないほど物凄い迫力あるシーンの連続で、一瞬たりとも目を離す隙がありませんでした。車が宙を舞い、ビルが吹っ飛び、ロボット同士が取っ組み合う姿は見ていて壮観です。ここまでリアルにロボット同士の闘いを描いた作品は見たことがありません!
ハリウッドきってのVFX工房のILMが350人もの人員を投入して制作しただけのことはあります。きっと今年のアカデミー視覚効果賞は本作品が受賞するでしょう。

もちろんこの映像の迫力はCGだけでなくマイケル・ベイ監督こだわりのライブアクションが効果を挙げているのだと思います。アメリカ国防総省に協力してもらい、実際の戦闘機や基地を借りて撮影をした映像の数々はCGや模型では出せない迫力があります。(ただ、裏を返せばアメリカ軍のプロパガンダ映画的な要素も強く、どうかなとも思いますが・・。特に映画の前半で米兵がイラクの子どもを守ろうとするシーンは米兵のうそ臭いヒューマニズムを感じてしました。) 

本作品のストーリーで特に私が良かったのは少し内気な普通の男の子を主人公に持ってきたことです。どこにでもいるカッコ良くもなければ、特に才能があるわけでない男の子。その子がある日突然世界を揺るがす闘いに巻き込まれるという展開は男の子心をくすぐる展開です。(逆に女性にはイマイチかもしれませんが・・・。)
マイケル・ベイ監督の作品はストーリーが間延びしているものが多いのですが、本作品は無駄なシーンがなく、メリハリのある展開で最後まで飽きることなく見れました。そこはスピルバーグ監督が製作総指揮で関わっていることが強く影響していると思います。内向的な少年が未知の生命体と友情をはぐくむという展開は『ET』を彷彿させますし、突然未知の生命体が侵略するという展開は『ジョーズ』や『宇宙戦争』を彷彿させます。スピルバーグの嗜好が反映されたストーリーをダイナミックなアクションで定評のあるマイケル・ベイ監督が映像化したことが本作品を成功に導いたのだと思います。

本作品はすでに続編の製作が決定されたようですが、次回作もどのような展開になるのか今から楽しみです。

暑い夏、スカッとした映画を見たいなら、『トランスフォーマー』お薦めです!

製作年度 2007年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 144分
監督 マイケル・ベイ 
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ 、マイケル・ベイ 、ブライアン・ゴールドナー 、マーク・ヴァーラディアン 
脚本 アレックス・カーツマン 、ロベルト・オーチー 
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演 シャイア・ラブーフ 、タイリース・ギブソン 、ジョシュ・デュアメル 、アンソニー・アンダーソン 、ミーガン・フォックス 、レイチェル・テイラー 、ジョン・タートゥーロ 、ジョン・ヴォイト 、ケヴィン・ダン 、マイケル・オニール 、ジュリー・ホワイト 

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『グエムル-漢江の怪物』映画鑑賞日記

Guemuru  今回紹介する作品は韓国で昨年記録的な大ヒットをした怪獣映画『グエムル-漢江の怪物』です。
 私は小さい時から怪獣映画好きで『ゴジラ』を筆頭に古今東西数多くの作品を見てきましたが、本作品はかなり異色の怪獣映画した。

 ストーリー:「ソウルを流れる大河・漢江の河川敷でスルメイカを売るパク一家。店の主人のカンドゥはある日、河から突然現れた謎の怪物グエムルに遭遇する。グエムルは河川敷の人々を襲撃し、カンドゥの娘ヒョンソを連れ去ってしまう。
 その後、グエムルが謎のウィルスに感染していることが判明。パク一家も病院に隔離されてしまう。そんな中、カンドゥの携帯電話に娘から助けて欲しいとの連絡が入る。カンドゥを始めとしたパク一家は病院を脱出し、娘の救出を試みるが……。」

 私はこの作品を実際に見るまで、ソウルの街をグエムルが暴れ周り、軍や科学者が闘いを挑むという典型的な怪獣映画のストーリーを想像していました。しかし、実際に見てみると軍隊や科学者はほとんど登場せず、娘を奪われた一家が怪獣に闘いを挑むという予想外のストーリーに戸惑ってしまいました。
 また思った以上にユーモラスで笑えるシーンや国家権力やアメリカ軍を強烈にシニカルに描いているシーンが多いのも特徴で、緊迫感のあるシリアスな展開を期待していた私としては肩透かしを食らったものでした。 
 主人公の描写も終始変わることなく、何をしてもダメ親父のままであるのも、他の作品と違うところです。ハリウッドなら主人公の家族が変わっていき、最後はスーパーマンのごとく活躍するところですが、この作品は最後まで娘の救出が上手くいかない家族の苛立ちや非力さを見事に描いています。
 良い意味でも悪い意味でも本作品のストーリーには裏切られました。この作品はどこにでもあるような普通の家族が突然巻き込まれた災難の中で右往左往しながら、自らの家族を守ろうとするサバイバル映画です。この作品が韓国らしいのは政府やアメリカ軍が全く役に立っていないところです。日韓併合や朝鮮戦争、軍事政権など数々の悲劇の中を自力で潜り抜けた民衆たちのしたたかさと反権力の意識が垣間見れる作品です。

 グエムルの映像も『ロード・オブ・ザ・リング』のVFXで有名になったWETAが担当しただけのことはあり、大変素晴らしい仕上がりとなっています。グエムルの造形も独特でインパクト大です。一体何の生き物が変異を起こしてあのような怪物となったのかとても気になりました。
 映像的に一番の見所は映画の冒頭の河川敷でグエムルが暴れるシーンです。真昼間の平和な河川敷を突然襲う悪夢のような非日常的災難。このシーンは緊迫感と逃げ惑う人々の恐怖が伝わってくる秀逸なパニックシーンだと思います。

 映像・ストーリー共に大変見ごたえがあり、決して駄作ではありません。ただ個人的に残念に思ったところが幾つかありました。
 家族の絆を描くのがこの作品のテーマなので仕方ないかもしれませんが、怪獣の生態がイマイチ分かりませんでした。また怪獣に対して国家権力やアメリカ軍が何も手出しをしないのも現実感に欠けていたように思います。出来れば、後半家族と軍隊と怪獣の三つ巴の闘いとかになればより面白いと思ってしまいました。
 中盤以降は河川敷と下水道が主な舞台となるのですが、映像的にイマイチ面白みに欠けていました。また、ストーリーも家族の悶々とした姿が中盤からメインとなるのですが、テンポが悪くダラダラとした印象を受けました。
 
 この作品は怪獣映画としてみると異色な作品ですが、決して退屈な作品ではありません。一度は見る価値がある作品だと思います。 

製作年度 2006年
製作国・地域 韓国
上映時間 120分
監督 ポン・ジュノ 
製作総指揮 チョ・ヨンベ 、キム・ウテク 、ジョン・テソン 
脚本 ポン・ジュノ 、ハ・ジョンウォン 、パク・チョルヒョン 
音楽 イ・ビョンウ 
出演 ソン・ガンホ 、ピョン・ヒボン 、パク・ヘイル 、ペ・ドゥナ 、コ・アソン 、イ・ジェウン 、イ・ドンホ 、ヨン・ジェムン 、キム・レハ 、パク・ノシク 、イム・ピルソン 

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『インディアスの破壊についての簡潔な報告』街を捨て書を読もう!

『インディアスの破壊についての簡潔な報告』 著:ラス・カサス 岩波文庫
Indias  今回紹介する本はアメリカ大陸に侵入したスペイン人たちによるアメリカ先住民の虐殺が記録された書物『インディアスの破壊についての簡潔な報告』です。
 著者のラス・カサス(1484-1566)はスペインの聖職者で、<当時スペイン国家が進めていた新大陸における植民地政策に伴う、先住民に対する残虐行為を告発して物議を醸した人物です。
 私がこの記録を読んだのは大学生の時でしたが、その時は大変衝撃を受けました。
 コロンブスが1492年に新大陸を発見したことは世界史の中で有名な出来事ですが、その後に新大陸で起こった悲劇に関しては余り知られていません。
 コロンブスの新大陸発見後、多くの白人が利益を求めて侵入し、邪魔な先住民を大量虐殺していきました。
 またスペイン国王は新大陸を自国の植民地にすべく、生き残った先住民たちに強制的にキリスト教化する義務を負わせると同時に、侵略者たちに労働力として一定数のインディオを使役する許可を公式に与えました。これが奴隷制を合法化してしまい更なる悲劇を生むことになりました。

 この本は目を背けたくなるようなスペイン人たちによる先住民虐殺の様子が淡々と描かれています。男、女、子ども関係なく、無慈悲かつ残酷に虐殺していく様は読んでいて吐き気を催すほど惨たらしいです。先住民を同じ人間とは思わず。劣ったモノとしか見ないスペイン人たち。その姿は人間という生き物が内に秘める凶暴性の恐ろしさを読む者に印象づけます。別にこの本で描かれているスペイン人たちだけが非人間的なわけでなく、ナチスのホロコーストや日本の東アジア侵略、アメリカの原爆投下など人間の歴史を振りかえると、どの時代、どの国の人間も争いの中で非人間的な行為をしており、人間の持つ深い闇であり、乗り越えていくべき業であるとも言えます。

 私はこの本を読み、歴史を学ぶ時には様々な視点から見つめていく必要があることを痛感しました。ヨーロッパ側から見たら新大陸発見も、元々そこに住んでいた人々から見たら侵略にしか過ぎないということに気付かせてくれました。

 また、この本で記録されていることは今から500年以上前の出来事ですが、決して遠い過去の話ではなく今も続いている話しです。武力や文明の力を持って、力のない国や民族を侵略する悲劇は現代も世界のあちこちで続いています。この本は現代を生きる私たちにも重い問いかけを投げかけます。

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