« 2007年4月29日 - 2007年5月5日 | トップページ | 2007年5月13日 - 2007年5月19日 »

2007年5月6日 - 2007年5月12日

『ガメラ 大怪獣空中決戦』この映画を見て!

第156回『ガメラ 大怪獣空中決戦』
Gamera  今回紹介する作品は日本怪獣映画の金字塔「平成ガメラシリーズ」の記念すべき第一作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』です。 個人的には2作目の『レギオン襲来』が一番好きなのですが、1作目も高い完成度を誇っています。
 平成ガメラシリーズは監督の金子修介を始めとして、脚本の伊藤和典、特撮の樋口真嗣といった怪獣映画大好きな映画関係者が結集して製作されただけあって、怪獣映画ファンのツボを押さえた作りとなっています。人間の目線から怪獣を捉えた映像は迫力満点ですし、現実に怪獣が日本を襲った場合にどうなるかを徹底的にシミュレーションしたリアルなストーリーは大人が見ても十分楽しめる仕上がりとなっています。
 ストーリー:「古代文明の遺伝工学が生み出した危険生物ギャオスが現代の日本で突如蘇る。政府関係者はギャオスを何とか生け捕りにしようと作戦を立てる。そこに長い眠りから覚めたガメラも現れ、日本で怪獣同士の戦いの火蓋が切って落とされる。」
 
 この作品は無駄なシーンが一切なく、テンポよく話しが進んでいきます。この作品のシナリオの素晴らしいところは、ファンタジーの側面とリアリティの側面が見事に融合されているところにあると思います。古代文明の生み出した怪獣たちが現代の日本で暴れるという非現実的なストーリーを徹底的に現実的な描写で描いたことで、観客を見事に作品の中に引き込ませることに成功したと思います。
 
 特にこの作品で私が素晴らしいと思ったのは特撮です。ハリウッドに比べて予算が少ないにもかかわらず、ミニチュアを多用して、可能な限りのリアリティを映画に与えたと思います。
 特撮監督を務めたのは最近は監督業に進出した樋口真嗣。彼は『エヴァンゲリオン』で有名なGAINAXで絵コンテを担当していたこともあり、画の構図や見せ方の巧みさは業界でも定番のある人でした。そんな彼を特撮監督して起用したことが、このシリーズを成功に大きく導いたと思います。
 彼はこの作品を撮るにあたって、綿密な絵コンテを先に書き、そのコンテからミニチュアを作成したそうです。そのため、大きなミニチュアセットを組んで撮影するゴジラシリーズとは違い、カメラに映りこむ部分だけのミニチュアを徹底的に作りこんで撮影することができたそうです。その結果があの現実味溢れる人間目線からの映像へとつながったわけです。
(最近は『日本沈没』などの特撮映画の監督を務めていますが、どれも出来は今ひとつなので、できれば特撮の仕事だけに専念した方がよいかと思います。)

 ちなみに私が一番好きなシーンはギャオスが夕日の沈む東京タワーの上に佇むシーン。夕日色に染まるギャオスに何ともいえない美しさを感じました。

 日本怪獣映画の傑作「平成ガメラシリーズ」は絶対に見て損はしないと思います。この傑作怪獣映画をぜひ皆さんご覧ください! 

製作年度 1995年
製作国・地域 日本
上映時間 95分
監督 金子修介 
製作総指揮 徳間康快 
脚本 伊藤和典 
音楽 大谷幸 
出演 藤谷文子 、小野寺昭 、中山忍 、伊原剛志 、本田博太郎 、螢雪次朗 、長谷川初範 、本郷功次郎 、久保明 、渡辺裕之 、松尾貴史 、袴田吉彦

| | コメント (0) | トラックバック (1)

『翠星交響楽 Ecophony Gaia 』

お気に入りのCD NO.17『翠星交響楽 Ecophony Gaia.』 芸能山城組
Gaia_1  今回紹介するCDは『AKIRA』の音楽を担当した芸能山城組が制作したアルバム『翠星交響楽 Ecophony Gaia』です。
 芸能山城組は1974年にインドネシアバリ島のケチャの全編上演成功を機に設立されたアマチュアのアーティストグループです。世界各地の民俗音楽や伝承音楽を取り入れた独特な音楽世界は世界中で根強いファンを持っています。
 私が芸能山城組に出会ったのは映画『AKIRA』の音楽なのですが、最初聴いたときは鳥肌が立ったものでした。世界各地の民俗音楽や楽器を大胆に取り入れた壮大なスケールの音楽は今まで聴いたことのない音楽であり、その独特なリズム感や声や楽器の音色は深く心に刻み付けられました。
 その後、芸能山城組の他のCDも買い集め始めたのですが、今回紹介するCDは『AKIRA』の後に大阪の花博の為に制作された作品です。
 今回の作品はタイトルを見ても分かるとおりに地球に対する畏怖と賛歌をテーマにしています。この作品は6楽章からなっており、地球の誕生から始まり、人類と自然と関わりの歴史を描き、ラストに地球と人類の未来に対する希望で終わる構成となっています。
 ガムランの美しい響き、人間の声の力強く優しい響き、シンセの透明感溢れる音、古今東西の美しい音が地球に対する賛歌と畏怖を聞くものに強く感じさせます。
 このCDは70分近くある大作なのですが、聴き終わると何ともいえない心地よさに包まれます。音楽の持つ力にぜひ触れてみてください。  

1.  翠星交響楽Ⅰ章翠明-[プロローグ]Chaos
2.  翠星交響楽Ⅱ章創生-[原初・古代]Genesis混沌(カオス)天空(ウラヌスのテ―マ)大地(ガイアのテーマ)無言歌-Ⅰ翠星
3.  翠星交響楽Ⅲ章祝涛-[中・近世]Euphony牧歌 祝誓 観音陀羅尼 讃 唄 祭
4.  翠星交響楽Ⅳ章熟壊-[近・現代]Catastrophe無言歌-Ⅱ
5.  翠星交響楽Ⅴ章邂逅-[近未来]Disco Gaia Kitoko(リンガラ語のポリフォニー)
6.  翠星交響楽Ⅵ章讃歌-[エピローグ]Gaia Ao Ao(ピグミー風パルス・ポリフォニー)母なるガイアよ、私たちは誓う 翠星

| | コメント (0) | トラックバック (1)

『セックス障害者たち』街を捨て書を読もう!

『セックス障害者たち』 著:バクシーシ山下 幻冬舎文庫
Sex  今回紹介する本は『女犯』シリーズなど過激な作風で知られているアダルトビデオ界の鬼才・バクシーシ山下の撮影記録『セックス障害者たち』です。
 彼の監督した作品はどれも一般的に変態と呼ばれる人たちや社会的な落ちこぼれが出演していることが多いのですが、この本ではそのような人たちの撮影現場での生々しい姿を淡々とした筆致で描いていきます。

 過激な作品を撮る監督なので、ものすごいアナーキーな芸術肌の人かと思っていたのですが、この本を読む限りは至って冷静な普通の人という印象を受けます。
 ただこの本に登場するビデオに出演している人たちは普通ではありません。(まあ普通とは一体何を基準に指すのかは、非常に相対的かつ曖昧なものではありますが・・。)タブーを破る快感に目覚めた人間たち。そんな人たちのアブノーマルなセックスを淡々とカメラに収める監督。
 この本を読むと、理性的な人間の奥に潜む本能や欲望の奥深さや多様さに感嘆します。セックスという生殖行為にそれ以上の価値や快感を求める人間という生き物。そんな人間という生き物に対して、この本を読むと愛着が湧いてきました。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『復活の日』この映画を見て!

第155回『復活の日』
Virus  今回紹介する作品は小松左京の同名SF小説を原作にしたウィルスによる人間世界の終末を描くSFパニック映画の傑作『復活の日』です。
 ストーリー:「世界中の脊椎動物を死滅させる猛毒ウイルスMM-88がアメリカで開発される。しかし、スパイによってウィルスは盗まれた上、スパイの乗った飛行機がアルプス山中で墜落し、ウイルスが世界中に蔓延してしまう。その結果、南極にいたわずかな人類を除いて、地球上から人類が滅亡してしまう。南極で生き残った人類は何とか生き延びようとするが、更なる危機が彼らに訪れる・・・。」
 
 まさか日本でこのような完成度の高いSF映画が制作されていたとは凄いの一言です。80年代に大作映画を次々と発表していた角川春樹が製作費22億円、構想5年、製作期間3年を費やして撮っただけのことはあります。
 実際に南極に潜水艦を持っていて撮影したり、海外の中堅クラスのスターを起用したりと他の日本映画には見られないスケールの大きさが随所に感じられます。
 特に私が驚いたのが南極でのロケによる映像で、CGなどに頼らない生の映像の圧倒的な迫力に感動しました。南極に潜水艦が現れるシーンなどは鳥肌が立ったものでした。

 細菌兵器によって世界が滅亡するというストーリーは今見ても決して古臭くなく、むしろSARSや鳥インフルエンザなどが問題になった現代の方がよりリアリティを持って見ることが出来ます。
 映画の前半は人類が滅亡するまでの様子を淡々と描いていくのですが、その描き方がとてもリアルです。世界中でワクチンをめぐって暴動がおきたり、東京に戒厳令が敷かれて軍隊が出動したり、感染した死体を火炎放射器で焼いたりと、実際にこのような事態になったら起こりうる出来事が見事に映像化されています。
  
 また生き残った800人の男性と8人の女性が人類が種の生存のため、一対一の男女の関係を放棄して子どもを作るシーンも何とも生々しいものがありました。
 確かに女性蔑視のような描き方で問題もあるかと思いますが、実際に人類が滅亡しかけたときはこのような事態になるのではとも思ってしまいました。

 映画の後半は生き残った人類に核兵器という新たな危機が訪れます。ウィルスから逃れられた人類を襲う危機が核兵器とは何とも皮肉な展開です。何とか核の危機から逃れようと努力する人類。しかし、その結末は残酷にも人類をさらに苦難へと追い込んでいきます。人類を破滅させるのは結局人類であったという悲劇。ここまで絶望的な未来が描き出された映画はなかなか見ることができないと思います。

 唯一残念なのが、ラスト20分間の展開です。いきなりハードSFからメロドラマになってしまってガックリしてしまいました。大体、放射能にまみれた大地を歩いて横断するなど不可能であり、あまりにも非現実的な展開です。私は家族に被爆者がいるので、核に対する描き方は敏感なのですが、この映画の描き方は甘いです。放射能の恐ろしさは半端ではありません。実際なら主人公はたどり着く前に放射能にやられて死んでしまうはずです。ラストの詰めの甘さがなければ、映画史に名を残す傑作になったと思います。

 この映画は突っ込みどころも数多くありますし、ハリウッド映画などに比べるとセットなどショボイです。しかし、それを補って余りあるだけのパワーと緊張感がある作品です。最近の『アルマゲドン』や『日本沈没』などのCGの映像だけが見所の中身のないパニック映画とは違い、中身の大変詰まった映画です。人類が滅亡しかけたとき、生き残った人類はどういう行動を取るのか、この映画を見るといろいろ考えさせられます。ぜひ多くの方にこの傑作を見て欲しいです。 

製作国・地域 日本
上映時間 158分
監督 深作欣二 
原作 小松左京 
脚本 高田宏治 、グレゴリー・ナップ 、深作欣二 
音楽 羽田健太郎 、テオ・マセロ 
出演 草刈正雄 、渡瀬恒彦 、夏木勲 、千葉真一 、森田健作 、永島敏行 、ジョージ・ケネディ 、ステファニー・フォークナー 、オリヴィア・ハッセー 、グレン・フォード 、ロバート・ヴォーン 、チャック・コナーズ 、多岐川裕美 、緒形拳 、ボー・スヴェンソン 、エドワード・ジェームズ・オルモス 、丘みつ子 、中原早苗 、ヘンリー・シルヴァ 、セシル・リンダ 

| | コメント (2) | トラックバック (1)

« 2007年4月29日 - 2007年5月5日 | トップページ | 2007年5月13日 - 2007年5月19日 »