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2007年4月29日 - 2007年5月5日

『病院坂の首縊りの家』この映画を見て!

第154回『病院坂の首縊りの家』
Byouinzaka  今回紹介する映画は市川&石坂コンビによる金田一シリーズの最終作『病院坂の首縊りの家』です。
 原作自体も金田一シリーズの最終作として執筆されており、30年近い期間をかけて解決するという壮大なストーリーになっています。そんな壮大な原作を映画では事件発生から数ヶ月と短い期間で解決するように大幅に脚色しています。そんなこともあって、原作と映画ではストーリーがかなり違っています。
 ストーリー:「アメリカに渡るためのパスポート写真を撮るために写真館を訪れた金田一耕助。そこで金田一は写真館の店主たちと共に偶然にも病院坂の首縊りの家と呼ばれる古い館で男の生首が風鈴のように吊リ下げられるという猟奇殺人事件に巻き込まれてしまう。」

 この作品は金田一シリーズの完結編として制作されており、今までの作品に出ていた俳優が多数出演すると共に、原作者の横溝正史ご夫妻も特別ゲストとして登場します。5作目ともなると常連俳優たちのお決まりの演技も見ていて楽しいです。
 特に加藤武さんの「よし、分かった!」というセリフや三木のり平扮する亭主と妻の軽妙なやり取りなどは毎度ながら陰惨な話しの中の一服の清涼剤としての効果を果たしています。
 今回は初めて金田一耕介に助手が現れるのですが、その助手を演じる草刈正雄さんのカッコよさとコミカルさを併せ持った演技が素敵です。
 ヒロイン役を演じる桜田淳子さんも一人二役という難しい役どころを見事に演じています。
 あと一番今回の作品で印象を残す演技をするのが小林昭二さん。映画のラストシーンの彼の演技は見る者に深い余韻を残します。
 
 今回のストーリーはとにかく人間関係が複雑で一回見ただけではなかなか理解することができません。映画でも家計図を持ち出して説明するほどです。ここら辺はもう少し脚色するときに整理して、分かりやすくしたほうがよかったかもしれません。
 しかし、親子の哀しい絆を描いてきたこのシリーズの中でも、今回の作品が一番哀しいストーリーだと個人的に思います。男に翻弄され、家や古い因習に縛りつけらる女たちの哀しみに胸が締め付けられます。
 
 今回の作品は田舎が主な舞台となっていた今までの作品と違い、市街地で話しが展開していきます。その為に今までの作品よりこじんまりとした印象を受けるのですが、映像の美しさは相変わらず素晴らしいです。戦後の殺伐とした市街地の雰囲気を見事に醸し出しています。
 また殺人シーンは相変わらず目を背けたくなるほど陰惨です。特に生首がぶら下がっているところはインパクト大です。

 金田一耕助の最後の事件を皆さんもぜひご覧ください。 

製作年度 1979年
製作国・地域 日本
上映時間 139分
監督 市川崑 
原作 横溝正史 
脚本 日高真也 、久里子亭 
音楽 田辺信一 
出演 石坂浩二 、佐久間良子 、桜田淳子 、入江たか子 、河原裕昌 、久富惟晴 、三条美紀 、萩尾みどり 、あおい輝彦 、加藤武 、大滝秀治 、岡本信人 、中井貴恵 、草刈正雄 、小沢栄太郎 、清水紘治 、小林昭二 、三木のり平 、白石加代子 、草笛光子 、ピーター

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『女王蜂』この映画を見て!

第153回『女王蜂』
Zyououbati  今回紹介する作品は市川崑監督による金田一耕助シリーズ第4弾『女王蜂』です。市川監督としては3作目の『獄門島』でシリーズを終了させるつもりだったそうですが、製作会社の意向で続編が強引に製作されることになったそうです。そんな裏事情もあってか、今までの作品と比べると完成度は落ちます。
 しかし、そうは言っても市川監督だけあって、映像の美しさやリズム感のある編集、常連俳優たちの演技など見ごたえは充分あります。

 今回は今までのシリーズで犯人を演じた女優陣が一堂に会しており、重厚な演技が堪能できます。特に岸恵子の演技は素晴らしいの一言で、胸の奥に秘めた思いを持つ影のある女性を見事に演じきっています。
 また、草笛光子・三木のり平・加藤武・坂口良子など常連俳優たちの軽快な演技がドロドロしたストーリーにおける清涼剤の役割を見事に果たしています。
 ただ一つ残念だったのがヒロインを演じた中井貴恵。絶世の美女という設定には程遠い普通のお姉ちゃんでしたね。重要な役どころだけに、もう少し人選を選んで欲しかったですね。

 金田一シリーズの大きな見所の一つとして派手な殺人シーンがありますが、今回は今ひとつインパクトに欠けていましたね。ただオープニングの時計台のシーンは無意味に派手なシーンに仕立てていましたね。

 ストーリーは今までの作品にはなかった恋愛という要素が入っており、胸にグッとくるものがありました。ただ肝心の犯人の殺人の動機が弱く、もう一つ共感できませんでした。

 今回の作品はミステリーとしての面白さはもう一つですが、市川監督の映像美や編集が好きな方には必見です。 

製作年度 1978年
製作国・地域 日本
上映時間 139分
監督 市川崑 
原作 横溝正史 
脚本 日高真也 、桂千穂 、市川崑 
音楽 田辺信一 
出演 石坂浩二 、中井貴恵 、高峰三枝子 、司葉子 、岸恵子、仲代達矢 、萩尾みどり 、沖雅也 、加藤武 、大滝秀治 、神山繁 、小林昭二 、伴淳三郎 、三木のり平 、草笛光子 、坂口良子 、白石加代子 、石田信之 、中島久之 、佐々木剛 、佐々木勝彦 、冷泉公裕 、高野浩幸 、常田富士男 

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『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』映画鑑賞日記

NO.10『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』
Narnia  『指輪物語』『ゲド戦記』と並んで世界三大ファンタジー小説の一つといわれている『ナルニア国物語』。原作は全部で7巻からなり、人間の世界とは別の「ナルニア国」の誕生から死滅までを壮大なスケールで描いています。原作者の C・S・ルイスはイギリス出身で、『指輪物語』の作者トールキンとも親交がありました。ルイスはキリスト教を深く信仰しており、この物語を執筆するにあたっても聖書を下敷きに執筆したそうです。それだけに読めば読むほど気づかされることの多い物語です。しかし、児童向けに書かれている作品だけあって決して難解ではなく、大変読みやすいです。また個性的で魅力的なキャラクターも数多く登場し、読んでいて飽きることがありません。
 
 そんな有名な原作の第1章『ライオンと魔女』をディズニーが完全映画化した本作品。『ロード・オブ・ザ・リング』を大変意識した作りとなっており、『ロード・オブ・ザ・リング』の美術スタッフを招いたり、同じニュージーランドで撮影をするなどしています。しかし、完成度は『ロード・オブ・ザ・リング』と比べると落ちてしまいます。『ロード・オブ・ザ・リング』に比べると『ナルニア国物語』はスタッフやキャストの原作に対するリスペクトやこだわりがあまり感じられませんでした。
 もちろんディズニーが予算をかけて制作しただけあって、ストーリーは誰が見ても分かりやすく楽しいものとなっています。特にナルニア国に存在する言葉を話す動物たちやフォーンやケンタウロス、ミノタウロスなどの架空の生き物たちが登場するシーンは見ていてワクワクするものがありました。
 
 しかし、映画のもつ雰囲気が軽いというか安っぽさを感じさせ、どうしても「ナルニア」という架空の国に入り込むことができませんでした。雪が積もった森や氷の城の映像もセットだとバレバレで、寒さが伝わってきません。CGで作ったクリーチャーたちも作りこみや合成が雑で、見ていて嘘っぽく興ざめしてしまいました。細部へのこだわりがファンタジー映画では大切だと思いますが、この映画は細部の詰めが大変甘いです。

 監督の演出もイマイチで、ナルニア国の魅力や主人公たちの葛藤や成長といったものがもう一つ伝わってきませんでした。その為、ラストの戦闘シーンも盛り上がりに欠けたものになってしまいました。また見せ方もアップが多く、引きの映像が少ないのでスケール感に欠けていたような気がします。
 音楽も単体で聴くと壮大で素晴らしいと思うのですが、いまいち映像とかみ合っていませんでした。もっとファンタジー色を出してもよかったと思います。
 
 この映画を見て改めて『ロード・オブ・ザ・リング』が如何に完成度の高い作品だったか再認識しました。ファンタジー映画の制作に必要なのはお金はもちろんのことですが、やはり監督の原作への愛情とこだわりが大切ですね。  
 
製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 140分
監督 アンドリュー・アダムソン 
製作総指揮 アンドリュー・アダムソン 、ペリー・ムーア 、フィリップ・ステュアー 
原作 C・S・ルイス 
脚本 アンドリュー・アダムソン 、クリストファー・マルクス 、スティーヴン・マクフィーリー 、アン・ピーコック 
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演 リーアム・ニーソン 、ウィリアム・モーズリー 、アナ・ポップルウェル 、スキャンダー・ケインズ 、ジョージー・ヘンリー

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