『パプリカ』この映画を見て!
第192回『パプリカ』
今回紹介する作品は筒井康隆の同名原作を、『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』の今敏監督が映像化した『パプリカ』です。
ストーリー:「他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”が開発される。しかし、ある日DCミニが盗まれ、他人に悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生する。開発者の時田浩作とセラピストの千葉敦子は犯人を追うが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていた。」
今敏監督はアニメならではの演出や映像表現を使ってドラマを盛り上げ、見る者にカタルシスを与えてくれる作品を次々と発表していますが、今回も夢という題材をテーマにイマジネーション溢れる映像が次から次へと登場します。
本作品の見所は何と言っても細部まで描きこまれた密度の濃い映像です。特に、『平成狸合戦ぽんぽこ』の百鬼夜行シーンをスケールアップさせたかのような人形や家電製品のパレードのシーンは色彩の鮮やかさと何ともいえないしなやかな動きは圧巻です。
また今敏監督作品の特長である疾走感は本作品でも健在で、平沢進の軽快なテクノサウンドが流れる中で、登場人物たちがめくるめくる夢の中を駆け回るシーンは見ていてとても心地よいです。
ただストーリーに関してはテンポはよく進んでいくのですが、説明不足なところや台詞が聞き取れないところがあり、1回見ただけではなぜそういう展開になっているのか良く分からないところがいくつかありました。
私が本作品で面白かったのは過去の名作映画(「地球最大のショー」「ターザン」「007・ロシアより愛をこめて」等)をパロディーにしたシーンでした。夢の中で映画の主人公となる登場人物の姿に映画もまた夢見る装置であるということを再認識しました。
夢と現実の境界が分からなくなる映画は数多くありますが、ビジュアル面でのインパクトは本作品が一番かなと思います。
夢を扱った作品なので、ストーリーの整合性を考えると突っ込みどころ満載ですが、スピーディーかつ華麗な映像に身を委ねればとても面白い作品です。
ちなみにマニアックなネタですが、本作品の作画監督を務めているのはスタジオジブリで「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」の作画監督を務めていた安藤雅司さんです。
またガンダムのアムロの声優で有名な古谷徹がアムロのイメージを覆すような登場人物の声を担当しています。あの姿でアムロ声でしゃべられると違和感があって面白いです。
製作年 2006年
製作国 日本
時間 90分
監督 今敏
原作 筒井康隆
脚本 水上清資 、今敏
音楽 平沢進
声の出演 林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫
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コメント
こちらこそ明けましておめでとうございます。
パプリカは疾走感と浮遊感にはまりました。ストーリーに関しては少しハテナな部分がありましが・・・。
今敏監督の作品はほとんど見てますが、東京ゴッドファーザーズだけ未見なんですね。早速見てみます。
投稿: とろとろ | 2008年1月 4日 (金) 11時53分
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞヨロシク♪♪♪
パプリカのキュートさ、敦子さんのツンデレぶり(苦笑)。観ていてただ楽しい、疾走感のあるイイ作品ですね、これは。
映画として観たら「東京ゴッドファーザーズ」の方がズンと出来が良いですが、楽しめるという点で言えば、こっちの方が分が良さそうです。
投稿: カゴメ | 2008年1月 3日 (木) 23時53分