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2007年12月

『ガメラ2 レギオン襲来』この映画を見て!

第194回『ガメラ2 レギオン襲来』
Photo_2  今回紹介する作品は日本の怪獣映画の最高傑作といっても過言ではない『ガメラ2 レギオン襲来』です。
 ストーリー:「北海道支笏湖付近に隕石が墜落。クレーターだけを残しその形跡を消していた。それから数日後、札幌の地下鉄構内で巨大な昆虫レギオンによって乗客が襲われる事件が発生。隕石に付着していた宇宙からの生命体が原因だと判明する。時同じくして付近のデパートから巨大な花が出現した。自衛隊が出動して事態を収拾しようとするが、その時、三陸沖からガメラが突然浮上。ガメラは巨大な花を破壊するが草体とレギオンの群れがガメラを襲い、傷ついたガメラは緑の血を振り撒きながら飛び去った。一方、花の破壊された現場からは巨大レギオンが飛び立つ。続いてレギオンは仙台市に現れる。」
 本作品は映画として初めて日本SF大賞を受賞した作品だけあって、日本を侵略する宇宙生命体レギオンの設定が緻密です。レギオンという生命体が電磁波で個体同士の交信を行うガスをエネルギーとしたシリコン生命体であり、草体という植物から種子を宇宙に飛ばして繁殖していくという設定は荒唐無稽な怪獣映画にSF映画としての魅力を与えていました。
 レギオンの造形も大変素晴らしく、カブトガニとクモを足したような甲殻のある昆虫のような姿は不気味な迫力がありました。
 
 また、本作品の特長として戦争映画としての面白さがあります。撮影に自衛隊が全面協力しているだけあって、随所に戦争映画としてのリアリティが感じられます。官房長官が自衛隊出動に関して憲法9条の話しをするシーンや自衛隊テントでの作戦会議など細かいディテールの積み重ねが映画に説得力を与えていました。攻撃方法に関しても平成のゴジラシリーズとは違い荒唐無稽な兵器は一切出てこず、現代の自衛隊の装備で可能な攻撃方法で日本を守ろうとします。前半の札幌での自衛隊vsレギオンとの死闘は緊迫感たっぷりですし、後半のレギオン首都侵攻阻止のための自衛隊総攻撃のスケールの大きさは今までの怪獣映画では味わえないものがありました。
 戦争映画として特に私が凄いと思ったのは戦車が街や住宅街を疾走するシーンです。押井守のアニメではよく登場しますが、実写でそのシーンが再現されると迫力が違いますね。何気ない日常に突然非日常が舞い込んでくる違和感は見ていて強烈なインパクトがありました。

 もちろん、平成ガメラシリーズ最大の売りである特撮の素晴らしさは今回も折り紙つきで、細かな部分まで作りこまれたミニチュアが破壊されていく場面は見ていて爽快です。ローアングルで撮影された映像は人間の視点から怪獣の攻防を見ているようで迫力があります。特に私が特撮で素晴らしいと思ったのは、ガメラが歩くたびごとに道路やガラスが割れるところとレギオンとガメラの戦いを上空から撮影したカットです。
 
 本作品で唯一惜しいのがラストのガメラ対レギオンの闘いのラストあっけなさです。もう少しバトルを見たかったですね。

 この映画を見ずに怪獣映画は語れないと思います。ぜひ怪獣映画好きで未見の人は見てください!

製作年 : 1996年
製作国 : 日本
上映時間 99分
監督: 金子修介 
製作総指揮: 徳間康快 
脚本: 伊藤和典 
撮影: 戸澤潤一 
特撮監督: 樋口真嗣 
音楽: 大谷幸
出演: 永島敏行、水野美紀、石橋保、吹越満、藤谷文子、川津祐介、沖田浩之

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『白虎野』

お気に入りのCD NO.21『白虎野』 平沢進
Photo  私が平沢進さんの音楽に興味を持ったのは今敏監督のアニメ映画『千年女優』・『パプリカ』の音楽からでした。今敏監督の躍動感溢れる音楽が作品の雰囲気や世界観を大いに盛り上げていて印象に残ったものでした。
 今回紹介するCDも昨年公開された『パプリカ』のエンディングの主題歌『白虎野の娘』がとても気に入り、その基になる曲『白虎野』が収録されていたので購入しました。
 平沢さんのソロ・アルバムは始めて聞いたのですが、躍動感とスケールの大きな音作りに圧倒されました。
 電子機器と自分の声を巧みに使って生み出す音とメロディは、テクノ・ポップス・クラシック・民族音楽など様々なジャンルの音楽が融合されており、聞く者を幻想の別世界へといざなってくれます。 
 歌詞も最初は聞き取りづらいですが、何回か聞くうちに単語が聞き取れるようになり、次第にその哲学的な単語の響きの心地よさに取り付かれると思います。平沢さんの歌の場合は歌詞の意味を味わうと言うより、普段聞きなれない単語の音の美しさだったりイメージを楽しむ作りとなっています。
 
 私も購入してから繰り返し何回も聞いていますが、電子音と平沢さんの声と独特な言葉の使い方の生み出す音楽の魅力に取り付かれています。斬新でもあり、懐かしくもあるその音楽は一度はまると病みつきになると思います。
 ぜひ皆さまも一度聞いてみてください。別世界にトリップできますよ! 

01:時間の西方
02:白虎野
03:生まれなかった都市
04:記憶から来た男
05:水脈
06:CODE-COSTARICA
07:Σ星のシダ
08:確率の丘
09:白虎
10:パレード

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2007年劇場公開映画マイベスト5

 今年も数多くの映画が日本で公開されました。そこで私が今年公開された映画の中で特に印象に残った&満足した映画ベスト5を紹介したいと思います。

300 5位『300 <スリーハンドレッド〉』
 スパルタの兵士300人がペルシアの巨大軍と戦う姿を独特な映像美で描いた『300』。フランク・ミラーのグラフィックノベルをそのまま実写にしたような映像は闘う男たちの美しさやカッコよさを見事に表現していました。 

Transformers 4位『トランスフォーマー』
 今年の夏は人気シリーズ作品の最新作が数多く公開されましたが、個人的に今年の夏一番面白かったのは『トランスフォーマー』でした。ストーリーに関しては荒唐無稽かつ子供向けな展開で物足りない人もいたかもしれませんが、個人的にはロボットアニメをよく見ていた童心に返って楽しめました。映像もさすがハリウッド、リアルかつ迫力のあるシーンの連続で圧倒されました。この作品に関しては大スクリーンで見ないと迫力がなく楽しめないかなと思います。

Dream_girls 3位『ドリームガールズ』
 ダイアナ・ロスの実話を基に、仲の良い友人3人で作った黒人コーラスグループの栄光と挫折、そして再生までを描いた『ドリームガールズ』。第79回アカデミー賞で最優秀助演女優賞に輝いたジェニファー・ハドソンの歌声が印象的でした。60年代のアフリカ系アメリカ人の音楽の歴史を背景に華やかなショービジネス界で生きる人間たちの夢や苦悩そして哀しみといったものをエンターテイメントとして見事に描いていました。

Evangelion_new_movie 2位『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』
 10年前に夢中になった「エヴァンゲリオン」が4部作の劇場公開作品としてリメイクされるということで公開前から楽しみにしていました。完成した第1部を見て、後半のヤシマ作戦のスケールアップした描写に大変興奮しました。またエンディングの後に流れた予告編を見て、テレビ版とは違う展開になりそうで来年公開の第2部を非常に楽しみに待っています。

Photo 1位『パンズ・ラビリンス』
 1944年のスペイン内戦下を舞台に過酷な現実を生き抜くために架空の世界に身を置く少女の姿をシビアかつファンタジックに描いた『パンズ・ラビリンス』。私の中では本年度一番完成度が高く、見ごたえのある作品だったと思います。楽しく心癒されるファンタジー映画ではないですが子どもにとってファンタジーとは何かを見事に描いた作品だったと思います。

 

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『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)この映画を見て!

第193回『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)
Zombie  今回紹介する作品は以前にも一度紹介した『ゾンビ』のダリオ・アルジェントが監修した119分のヴァージョンです。
 ゾンビはいくつものバージョンがあることで有名です。今回紹介するバージョンの他に、アメリカで公開された127分のバージョン、アメリカ公開版をバースにカンヌ映画祭出品用に編集されたディレクターズカット版と称される139分のバージョン、テレビ東京で初放映されたサスペリアバージョン、テレビ東京で再放映されたバージョンがあります。
 日本で1979年に初公開されたバージョンは今回紹介するダリオ版を5分短縮したものでした。
 ダリオ版『ゾンビ』の最大の特長はロメロが監修したヴァージョンと違ってイタリアのプログレッシブバンド「ゴブリン」の激しいサウンドが全編にわたって鳴り響いているところです。ロメロ版『ゾンビ』は音楽があまり使われておらず見る者に静謐かつ空虚な印象を与えますが、ダリオ版『ゾンビ』はゴブリンサウンドの効果で見る者のテンションが上がります。音楽の使い方で同じ映画にも関わらず印象が全く違います。 
 編集もロメロ版は人間ドラマや空虚な終末世界の描写に重点が置かれているのに対して、ダリオ版は主人公たちのサバイバルアクションに重点が置かれています。
 私は今までロメロが監修したアメリカ公開版とディレクターズカット版しか見た事がなかったのですが、長らく絶版となっていたダリオ版が12月に低価格DVDとして再販されたのを機に見ることができました。
 ダリオ版はゾンビと人間との死闘に重点を置き、テンポよく話しが進んでいくので、手に汗握って最後まで飽きることなく見ることができます。またロメロ版には出てこないシーンも幾つかあり、見ていて「あっ」と思いました。
 ロメロ版、ダリオ版どちらが良いかといわれると迷うところで、ロメロ版のドキュメンタリータッチの淡々かつダラダラとした雰囲気も捨てがたいです。スカッと楽しみたいならダリオ版、じっくり楽しみたいならロメロ版といったところでしょうか。 

上映時間 119分
製作国 アメリカ/イタリア
監督: ジョージ・A・ロメロ 
脚本: ジョージ・A・ロメロ 
撮影: マイケル・ゴーニック 
特殊メイク: トム・サヴィーニ 
音楽: ゴブリン,ダリオ・アルジェント 
出演: デヴィッド・エムゲ, ケン・フォリー, スコット・H・ライニガー, ゲイラン・ロス

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『パプリカ』この映画を見て!

第192回『パプリカ』
Photo  今回紹介する作品は筒井康隆の同名原作を、『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』の今敏監督が映像化した『パプリカ』です。

ストーリー:「他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”が開発される。しかし、ある日DCミニが盗まれ、他人に悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生する。開発者の時田浩作とセラピストの千葉敦子は犯人を追うが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていた。」

 今敏監督はアニメならではの演出や映像表現を使ってドラマを盛り上げ、見る者にカタルシスを与えてくれる作品を次々と発表していますが、今回も夢という題材をテーマにイマジネーション溢れる映像が次から次へと登場します。

 本作品の見所は何と言っても細部まで描きこまれた密度の濃い映像です。特に、『平成狸合戦ぽんぽこ』の百鬼夜行シーンをスケールアップさせたかのような人形や家電製品のパレードのシーンは色彩の鮮やかさと何ともいえないしなやかな動きは圧巻です。
 また今敏監督作品の特長である疾走感は本作品でも健在で、平沢進の軽快なテクノサウンドが流れる中で、登場人物たちがめくるめくる夢の中を駆け回るシーンは見ていてとても心地よいです。 
 
 ただストーリーに関してはテンポはよく進んでいくのですが、説明不足なところや台詞が聞き取れないところがあり、1回見ただけではなぜそういう展開になっているのか良く分からないところがいくつかありました。

 私が本作品で面白かったのは過去の名作映画(「地球最大のショー」「ターザン」「007・ロシアより愛をこめて」等)をパロディーにしたシーンでした。夢の中で映画の主人公となる登場人物の姿に映画もまた夢見る装置であるということを再認識しました。

 夢と現実の境界が分からなくなる映画は数多くありますが、ビジュアル面でのインパクトは本作品が一番かなと思います。
 夢を扱った作品なので、ストーリーの整合性を考えると突っ込みどころ満載ですが、スピーディーかつ華麗な映像に身を委ねればとても面白い作品です。

 ちなみにマニアックなネタですが、本作品の作画監督を務めているのはスタジオジブリで「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」の作画監督を務めていた安藤雅司さんです。
 またガンダムのアムロの声優で有名な古谷徹がアムロのイメージを覆すような登場人物の声を担当しています。あの姿でアムロ声でしゃべられると違和感があって面白いです。

製作年 2006年 
製作国 日本 
時間 90分 
監督 今敏 
原作 筒井康隆 
脚本 水上清資 、今敏 
音楽 平沢進
声の出演 林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫

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『中島みゆき的アジアン・カバーズ』

お気に入りのCD NO.22『中島みゆき的アジアン・カバーズ』 オムニバスCD
Photo 今回紹介するCDは中島みゆきの歌を台湾や香港等のアジアの有名アーティストがカバーした作品を集めたコンピレーション・アルバムです。
 中島みゆきの歌はアジアで70曲以上カバーされているようで、おそらくアジアで一番有名な日本のアーティストだと思います。
 
 中島みゆきの歌をアジアで最初にカバーしたのは日本でも有名なテレサ・テンでした。80年代に『ひとり上手』のカバーがヒット。その後、他の歌手も競って中島みゆきの曲をカバーするようになります。
 そして90年代中島みゆきの歌をアジア全土で有名にする『容易受傷的女人』が登場します。この歌は中島みゆきの『ルージュ』をカバー曲なのですが香港の歌姫フェイ・オンが歌い香港で大ヒットを記録しました。その後この歌は東南アジアや中東アジアにも紹介され、アジア全土に『ルージュ』ブームが広がりました。
 
 このアルバムではアジアでカバーされた中島みゆきの歌が15曲収録されていますが、中島みゆき本人が歌っているバージョンとは印象がかなり違います。中島みゆきの歌い方は良い意味で重量感があり、聞く者の感情を揺さぶりますが、アジアでカバーされた曲はどれもよい意味でさらっとしており非常に聴きやすいアジアンポップスとなっています。
 歌詞自体も中島みゆきが書いた内容と大きく違っており、良くも悪くも歌謡曲的な内容となっています。
 
 中島みゆきの歌がアジアで人気を博しているのは、やはり中島みゆきの歌が持つ切なさや儚さがアジアの人々の心に響くからだと思います。

 中島みゆき好きな人もそうでないひとも聞いて損のないアルバムです。 

1. ひとり上手 / テレサ・テン 
2. ルージュ / フェイ・ウォン 
3. 幸せ / リッチー・レ 
4. 帰省 / ルル 
5. 時代 / サリー・イエー 
6. ローリング / ルイフォン 
7. 最愛 / ヴィヴィアン・チョウ 
8. やまねこ / カレン・トン 
9. 六花 / ジェフ・チャ 
10. 孤独の肖像1st. / サミー・チェン 
11. EAST ASIA / マン・ファン 
12. 誕生 / ステファニー・ライ 
13. 空と君のあいだに / ニサ・リン 
14. ホームにて / サリー・イエー 
15. 捨てるほどの愛でいいから / プリシラ・チャン 

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『トップをねらえ』このアニメを見て!

Photo  今回紹介する作品は『エヴァンゲリオン』の庵野秀明が80年代に世に送りだした青春SFアニメの傑作『トップをねらえ』です。
 本作品は当時としてはまだ珍しかったオリジナルビデオアニメーション(略してOVA)として発表されました。今ではアニメ業界の第一線で活躍するスタッフが結集して制作されているだけのことはあって、映像のクオリティは今見ても遜色ありません。
 
 ストーリー:「人類が宇宙に進出するようになった21世紀、地球は宇宙怪獣による激しい攻撃を受けていた。その脅威に打ち勝つため、地球は巨大ロボット「ガンバスター」を製造。その搭乗員に選ばれたトップ部隊隊員タカヤノリコは人類の未来を賭けて闘うことになる。」

 全6話からなるストーリーは笑いあり涙ありで見所満載です。
 前半は題名を見ても分かるとおりスポ根アニメの名作『エースをねらえ』と映画『トップガン』をパロディにしたコメディタッチの展開となっています。
 巨大ロボットのパイロットを目指す主人公ノリコと彼女が「お姉さま」と憧れる先輩パイロット・カズミ、そして2人がコーチと呼び慕うコウイチロウの3人の人間ドラマが描かれますが見ていて恥ずかしくなるほどベタベタな展開は滑稽かつナンセンスで見ていて笑ってしまいます。また過去の日本アニメや特撮モノに対するパロディやオマージュが散りばめられおり、アニメファンが見るとニヤリとしてしまう描写の連続です。
 
 しかし話しが進むにつれて、コメディタッチの作風からシリアスな作風へと変わっていきます。SFファンも唸らせる宇宙論や時間論がストーリーに盛り込まれスケールも大きくなり、そこに主人公たちの闘いに対する葛藤のドラマが加わり、見る者の心を鷲づかみにします。特にラストシーンは涙なしに見ることができません。

 私が本作品をはじめてみたのは大学生のときでしたが、前半のスポ根タッチのストーリーに笑い、後半の怒涛の展開に圧倒されたものでした。特に全編モノクロ・シネスコサイズの画面の最終話は戦闘シーンのテンションの高さと、ラストの時空を超えた予想外の展開に鳥肌がたったものでした。

 アニメファン・SFファンで本作品を見たことがない人は是非見てください!

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『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』この映画を見て!

第191回『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』
Photo  今回紹介する作品はインディ・ジョーンズシリーズ3作目となる『最後の聖戦』です。
 インディ・ジョーンズシリーズはもともと「007シリーズ」のような冒険活劇を作りたいというスピルバーグとルーカスの意向で制作が開始されましたが、3作目においてついに「007シリーズ」で初代ジェームス・ボンドを務めたショーン・コネリーがインディの父親役として出演しました。
 また本作品は冒頭にインディの若い頃の活躍を描いており、インディの顎の傷や蛇嫌いになった理由、いつも被っている帽子の秘密などが明かされます。(ちなみに映画のラストにはインディという名の由来も明らかになります!)
 
 ストーリー:「インディはキリストの聖杯を探して行方不明になった父・ヘンリーを追ってベニスに飛ぶ。父の行方と聖杯の謎を追うインディは次々と危機に見舞われる。インディは父がオーストリアの古城に捕らわれていることを知り、救出に行くがナチスと出くわす。ジョーンズ親子はナチスの手を逃れながら聖杯を探してトルコに向かう。」

 個人的に前作はあまり好きでなかったのですが、本作品は1作目に次いでお気に入りです。2作目に比べるとアクションのスリリングさやコミカルさには欠けますが、ショーン・コネリー演じるインディの父の存在が本作品の魅力を高めています。父と子の軽妙な掛け合いは見ていて微笑ましいですし、父と子の和解と絆のドラマも映画に奥行きを与えています。
 アクションシーンも1作目や2作目に比べると派手さはないものの、緻密に計算されており、見ていて手に汗握ります。特に後半の戦車でのアクションシーンは本作品最大の見せ場です。

 あと本作品を語る上で外せないのが冒頭で描かれる若い頃のインディの活躍です。サーカス列車で展開されるアクションシーンの面白さ、次々と明かされるインディの謎、そして若い頃のインディを演じるリバー・フェニックスの瑞々しい演技。冒頭のシーンを見るだけで本作品を見る価値はあります。

 来年の夏に20年ぶりにシリーズ4作目が公開される予定ですが、インディを演じたハリソン・フォードも年ですし、期待半分・不安半分です。

上映時間 127分
制作年 1989年
製作国 アメリカ
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
製作 ロバート・ワッツ 
製作総指揮 ジョージ・ルーカス,フランク・マーシャル 
原案 ジョージ・ルーカス 
脚本 ジェフリー・ボーム 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ハリソン・フォード,ショーン・コネリー, デンホルム・エリオット, アリソン・ドゥーディ ー
ジョン・リス=デイヴィス, ジュリアン・グローヴァー,リヴァー・フェニックス, マイケル・バーン

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『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』映画鑑賞日記

Photo_2  今回紹介する作品はインディ・ジョーンズシリーズ2作目となる『魔宮の伝説』です。
 
 本作品は2作目ですが、時代設定は1作目の『レイダース 失われたアーク』より1年前となっています。
 ストーリー:「1935年の上海。クラブ「オビワン」で暗黒街の組織と取引をしていたインディは敵の罠にはめられる。何とか危機を脱して、相棒のショート・ラウンドとナイトクラブで知り合った歌手のウィリー共に飛行機で脱出する。しかし、乗っていた飛行機がインドの山に激突。何とか激突前に逃げ出したインディたちは山奥の貧しい村へとたどり着く。そこで、村の長から伝説の秘宝サンカラ・ストーンと村の子どもたちが邪教集団によって奪われてたので取り戻して欲しいと依頼を受ける。依頼を引き受けたインディは敵の城パンコット宮殿へと向かうが・・・。」

 私は小さい頃はインディシリーズの中で一番本作品が好きだったのですが、大人になって見返してみるとイマイチでした。確かにシリーズの中で一番スリリングかつユーモアに溢れておりアクションシーンも満載で、見ていて飽きることはありません。特にラストのトロッコでのチェイスシーンは本作品の最大の見せ場であり、見る者をまるでジェットコースターに乗っているような気分にさせてくれます。

 しかし、前作に比べるドタバタしすぎており、落ち着きがありません。また前作に見られたハードボイルドな雰囲気が本作品にはなく、全体的に子供向けの仕上がりとなっています。
 あと見ていて気になったのは、アジアに対する偏った描写です。宮廷でのグロテスクな食事シーンや邪教集団の描写、ラストのイギリスの騎兵隊が主人公を助けるところなど、アジアに対する欧米の偏見や差別が随所に感じられ見ていてどうかなと思いました。(まあハリウッド映画ではよくあることですが・・・)

 スピルバーグ監督も本作品はあまり気に入っていないようで、自分のフィルモグラフィーの中で一番の駄作と語っているようです。

上映時間 118分
製作国 アメリカ
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
製作 ロバート・ワッツ 
製作総指揮 ジョージ・ルーカス,フランク・マーシャル 
原案 ジョージ・ルーカス 
脚本 ウィラード・ハイク,グロリア・カッツ 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ハリソン・フォード  ケイト・キャプショー  キー・ホイ・クァン ロイ・チャオ 

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『崖の上のポニョ』主題歌発売!

お気に入りのCD NO.21『崖の上のポニョ』 大橋のぞみ・藤岡藤巻
Photo_2  来年の夏に公開される宮崎駿監督の最新作『崖の上のポニョ』の主題歌が今日発売されました。スタジオジブリの作品では毎回主題歌が話題になりますが、今回も一度聞いたら忘れられない印象を残す主題歌となっています。
 主題歌の題名は映画と同じく「崖の上のポニョ」で、作画監督を担当している近藤勝也さんが作詞、宮崎監督が補作、そして作曲と編曲を映画本編の音楽を手がける久石譲さんが担当しています。
 今回の主題歌は『となりのトトロ』のようにシンプルなメロディで誰もが口ずさめる明るく楽しい歌となっています。
 
 主題歌を歌うのは男性デュオ「藤岡藤巻」の藤岡孝章さんと藤巻直哉さん、そして児童劇団に所属する大橋のぞみさんの3人が抜擢。大橋さんの子どもらしいかわいい声と「藤岡藤巻」の低く優しい声が聞く者の心を暖かくしてくれます。

 映画自体の公開はまだ半年以上先ですが、今から主題歌を何回も聞いて楽しみに待ちたいと思います。

1. 崖の上のポニョ 
2. フジモトのテーマ 
3. 崖の上のポニョ(カラオケ) 
4. フジモトのテーマ(カラオケ) 
5. 崖の上のポニョ(のぞみちゃんデモ)

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『インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク』この映画を見て!

第190回『インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク』
Photo 今回紹介する作品は考古学者インディ・ジョーンズ博士の冒険を描いたシリーズの第1作目にあたる『レイダース 失われたアーク』です。
 本作品は当時『スターウォーズ』で成功を収めたジョージ・ルーカスと『未知との遭遇』で成功を収めたスティーヴン・スピルバーグが手を組み、『007シリーズ』のような息つく暇もない連続活劇を目指して制作されました。
 映画は公開されるや否や大ヒットとなり、アカデミー作品賞にもノミネートされました。その後、シリーズ化され4作目まで制作(来年夏に4作目公開予定)、90年代にはテレビドラマシリーズにもなりました。
 主役のインディ博士には当初トム・セレックが予定されていましたが断られ、『スターウォーズ』のハン・ソロ役で人気が出てきたハリソン・フォードが抜擢されてました。本作品の大ヒットにより、ハリソン・フォードはハリウッドを代表するスターになりました。

ストーリー:「世界中の古代遺跡を巡る考古学者のインディ・ジョーンズ博士はアメリカ政府の依頼により、神秘的な力を宿している十戒の破片を納めた聖櫃(アーク)をめぐってナチスと対決することになる。」

 私が本作品を始めて見たのは小学生の時でしたが、オープニングの洞窟のシーンから息つく暇もないアクションの連続で最後まで画面に釘付けになったものでした。映画のラストのホラー映画のような展開も強烈で、しばらく脳裏から離れませんでした。
 また十戒の破片を納めた聖櫃(アーク)を探すという設定も歴史に対するロマンに溢れていて、映画を見た後に自分でいろいろ調べたものでした。
 当時はインディ博士の活躍に憧れて、大人になったら考古学者になって自分も冒険をしたいと本気で思ったものでした。

 最近久しぶりに見返したのですが、今見ても十分楽しめました。特に工夫を凝らしたアクションシーンの見せ方や話しの緩急の付け方が大変上手く、最近のCGによる見せ場ばかりが目立つアクション映画にはない、手に汗握る興奮がありました。スピルバーグ監督の演出力の高さを改めて痛感しました。

 本作品には連続活劇の面白さが詰まっています。もし未見の方がまだいらっしゃったら是非ご覧ください。 

製作国 アメリカ
制作年度 1981年
上映時間 115分
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
製作 フランク・マーシャル 
製作総指揮 ジョージ・ルーカス、ハワード・カザンジャン 
脚本 ローレンス・カスダン 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ハリソン・フォード、カレン・アレン、ウォルフ・カーラー 、ポール・フリーマン 、ロナルド・レイシー、ジョン・リス=デイヴィス サラー
デンホルム・エリオット

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『パンズ・ラビリンス』この映画を見て!

第189回『パンズ・ラビリンス』
Photo  今回紹介する作品は今年公開された映画の中で私が一番お薦めの映画『パンズ・ラビリンス』です。
 本作品は1944年のスペイン内戦下を舞台に過酷な現実を生き抜くために架空の世界に身を置く少女の姿をシビアかつファンタジックに描いていきます。監督は『ヘルボーイ』や『ミミック』等のダークな世界観のホラー映画を撮ってきたギレルモ・デル・トロが担当しており、本作品でも彼のダークなイマジネーションが炸裂しています。昨年アメリカやヨーロッパで公開されるや否や大変話題を呼び、第79回アカデミー賞では6部門ノミネートされ、見事3部門(撮影・美術・メーキャップ)受賞しました。
 
 私が本作品を知ったのは今年のアカデミー賞の授賞式をテレビで見ていた時でした。本作品の紹介で洞窟内で大きな蛙と少女が向き合っているシーンが放映されたのですが、そのダークかつ個性的な雰囲気の映像にとても惹かれ、日本での公開をとても楽しみに待っていました。今年の秋にやっと日本でも公開され、私も劇場に足を運んで鑑賞してきました。

ストーリー:「1944年、独裁政権とレジスタンスが内戦状態のスペイン。戦争で父を亡くしたオフェリアは独裁政権の大尉の子を身ごもり再婚した母と独裁政権の基地がある森の中で暮らすことになる。大尉である義父は潔癖症の冷血な男で、母のお腹にいる子どもばかりを気にしていた。義父が嫌いで何とか現実から逃れたいと願う少女の前にある日、彼女は妖精に導かれ、森の迷宮の番人パンに出会う。 」

 私は本作品を実際見るまで、『千と千尋の物語』や『ナルニア国物語』みたいな異世界に迷い込んだ少女の冒険とロマンが描かれるファンタジー映画をイメージしていました。しかし実際に見てみると予想以上にシリアスかつダークな展開に驚いてしまいました。本作品はファンタジー映画というより、戦争に巻き込まれた子どもの悲劇を描いた作品として見た方が良いかもしれません。
 本作品はファンタジー世界の描写時間は少なく、多くの時間が独裁政権下の少女を取り巻く厳しい現実を描くことに費やされています。その描き方も非常に生々しく残酷で、独裁政権に仕える大尉がレジスタンスを殺戮したり拷問したりするショッキングなシーンは、見ていて目を背けたくなるほどです。
 少女を取り巻く過酷な現実をきちんと描いている分、少女がファンタジーの世界に傾倒していく姿も説得力があります。
 
 ファンタジーの世界の描写も過酷な現実を反映してかゴシックホラー調でダークかつグロテスクです。洞窟に住む大蛙、目が手についている人食い男、ヤギのような角を持つ番人パン、ナナフシみたいな虫に化けている妖精と出てくるクリーチャーたちはお世辞にかわいいと呼べるものではなく、子どもが見たらトラウマになるほど気持ち悪く怖いです。現実から逃れるために少女が作り出した世界が決して明るく楽しい世界でないというところが個人的には非常に印象に残りました。ファンタジーは決して俗に言われるような現実逃避なのではなく、現実と子どもが向き合うための工夫であり知恵であると本作品を見て思いました。

 映画のラストは哀しみに満ちたハッピーエンドといった感じで、見終わって切ない気持ちになりました。

 本作品は決して楽しく心癒されるファンタジー映画ではありません。子どもが戦争という過酷な現実の中で生き延びていく姿を描いたサバイバル映画です。

 私の中では本年度一番完成度が高く、見ごたえのある作品だと思います。ぜひ皆様も一度見てください。

製作年 2006年 
製作国 メキシコ、スペイン、アメリカ
時間 119分 
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ
音楽 ハビエル・ナバレテ
出演 イバナ・バケロ 、 セルジ・ロペス 、 マリベル・ベルドゥ 、 ダグ・ジョーンズ 、 アリアドナ・ヒル

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