『ガメラ2 レギオン襲来』この映画を見て!
第194回『ガメラ2 レギオン襲来』
今回紹介する作品は日本の怪獣映画の最高傑作といっても過言ではない『ガメラ2 レギオン襲来』です。
ストーリー:「北海道支笏湖付近に隕石が墜落。クレーターだけを残しその形跡を消していた。それから数日後、札幌の地下鉄構内で巨大な昆虫レギオンによって乗客が襲われる事件が発生。隕石に付着していた宇宙からの生命体が原因だと判明する。時同じくして付近のデパートから巨大な花が出現した。自衛隊が出動して事態を収拾しようとするが、その時、三陸沖からガメラが突然浮上。ガメラは巨大な花を破壊するが草体とレギオンの群れがガメラを襲い、傷ついたガメラは緑の血を振り撒きながら飛び去った。一方、花の破壊された現場からは巨大レギオンが飛び立つ。続いてレギオンは仙台市に現れる。」
本作品は映画として初めて日本SF大賞を受賞した作品だけあって、日本を侵略する宇宙生命体レギオンの設定が緻密です。レギオンという生命体が電磁波で個体同士の交信を行うガスをエネルギーとしたシリコン生命体であり、草体という植物から種子を宇宙に飛ばして繁殖していくという設定は荒唐無稽な怪獣映画にSF映画としての魅力を与えていました。
レギオンの造形も大変素晴らしく、カブトガニとクモを足したような甲殻のある昆虫のような姿は不気味な迫力がありました。
また、本作品の特長として戦争映画としての面白さがあります。撮影に自衛隊が全面協力しているだけあって、随所に戦争映画としてのリアリティが感じられます。官房長官が自衛隊出動に関して憲法9条の話しをするシーンや自衛隊テントでの作戦会議など細かいディテールの積み重ねが映画に説得力を与えていました。攻撃方法に関しても平成のゴジラシリーズとは違い荒唐無稽な兵器は一切出てこず、現代の自衛隊の装備で可能な攻撃方法で日本を守ろうとします。前半の札幌での自衛隊vsレギオンとの死闘は緊迫感たっぷりですし、後半のレギオン首都侵攻阻止のための自衛隊総攻撃のスケールの大きさは今までの怪獣映画では味わえないものがありました。
戦争映画として特に私が凄いと思ったのは戦車が街や住宅街を疾走するシーンです。押井守のアニメではよく登場しますが、実写でそのシーンが再現されると迫力が違いますね。何気ない日常に突然非日常が舞い込んでくる違和感は見ていて強烈なインパクトがありました。
もちろん、平成ガメラシリーズ最大の売りである特撮の素晴らしさは今回も折り紙つきで、細かな部分まで作りこまれたミニチュアが破壊されていく場面は見ていて爽快です。ローアングルで撮影された映像は人間の視点から怪獣の攻防を見ているようで迫力があります。特に私が特撮で素晴らしいと思ったのは、ガメラが歩くたびごとに道路やガラスが割れるところとレギオンとガメラの戦いを上空から撮影したカットです。
本作品で唯一惜しいのがラストのガメラ対レギオンの闘いのラストあっけなさです。もう少しバトルを見たかったですね。
この映画を見ずに怪獣映画は語れないと思います。ぜひ怪獣映画好きで未見の人は見てください!
製作年 : 1996年
製作国 : 日本
上映時間 99分
監督: 金子修介
製作総指揮: 徳間康快
脚本: 伊藤和典
撮影: 戸澤潤一
特撮監督: 樋口真嗣
音楽: 大谷幸
出演: 永島敏行、水野美紀、石橋保、吹越満、藤谷文子、川津祐介、沖田浩之
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