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『ザ・プレイヤー』この映画を見て!

第188回『ザ・プレイヤー』
Photo  今回紹介する作品はハリウッドで数々の話題作&問題作を撮ってきたロバート・アルトマン監督がハリウッドの内幕をシニカルに描いた『ザ・プレイヤー』です。
 
ストーリー:「ハリウッドの映画スタジオの重役であるグリフィン・ミル。ヒット作を製作するために多忙な日々を送っていた。そんなある日、送り主不明の一通の脅迫状を受け取る。不安を覚えたミルは脚本を却下された脚本家・デイヴィッドが犯人だろうと目星をつけて会いに行く。しかし、ミルはデイヴッドと口論の末に逆上して殺害してしまう。ミルは証拠を隠滅して現場を立ち去るが、警察から容疑者として疑われる。その上、脅迫状も送り続けられ、ミルは不安に怯えるようになる。」

 ハリウッドの内幕を描いた作品は数多くありますが、本作品ほどハリウッドの映画製作現場の実態を皮肉たっぷりに描いた作品はないと思います。
 ブラックユーモアとサスペンスに満ち溢れたストーリー展開、総勢60名にも及ぶ豪華な顔ぶれのカメオ出演者たち、冒頭の8分間にも及ぶ長回しのシーン、皮肉たっぷりのラストと非常に見所の多い作品です。
 本作品の監督を手がけたのはハリウッドの監督の中でも毒舌家として有名なロバート・アルトマンですが、彼の経験と本領が大変発揮されています。世界中に夢と娯楽に溢れた映画を提供するハリウッドの製作現場のドロドロとした内情。ヒット作を手がけて一攫千金を狙うプロデューサーたちと自らの芸術性や創造性を売り込みたいクリエイターたちの映画をめぐる対立や駆け引き。本作品は映画業界の頂点を目指そうとする人間たちの野望が緊張感とユーモアたっぷりに描かれています。

 私が本作品で一番面白かったのは、ラストに登場する死刑囚の映画が完成するシーンでした。当初はリアリティを重視した作りを目指して無名の俳優を起用してアンチハッピーエンドの結末にする筈だったのが、完成してみると全く正反対の内容。(死刑囚映画に出演している2人の俳優が大変豪華で見たら驚くと思いますよ。)ハリウッドならこういうことはきっと日常茶飯事なんでしょうね。

 「映画は芸術であり、娯楽であり、金の成る木である」ということが本作品を見るとよく分かりますよ!
 
上映時間 124分
製作国 アメリカ
製作年度 1992年
監督: ロバート・アルトマン 
製作総指揮: ケイリー・ブロコウ 
原作: マイケル・トルキン 
脚本: マイケル・トルキン 
音楽: トーマス・ニューマン 
出演: ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ、ピーター・ギャラガー ,、ブライオン・ジェームズ、ヴィンセント・ドノフリオ、ディーン・ストックウェル 
カメオ出演:ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリス、バート・レイノルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・キューザック、ジャック・レモン 

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