『花とアリス』この映画を見て!
第186回『花とアリス』
今回紹介する作品は今テレビや映画で絵活躍中の女優・蒼井優の魅力が堪能できる『花とアリス』を紹介します。
本作品は『リリィ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督がキット・カットの日本発売30周年を記念してネット配信された4本の短編映画を基にしています。(短編映画のネット配信は終了していますが、DVD特別版に収録されています。)
ストーリー:「同じバレエ教室に通う親友の花とアリス。中学3年の時に花は電車の中で出会った高校生に一目惚れする。やがて高校に進学した花は、ずっと憧れていた高校生・宮本と同じ落語研究会に入る。そんなある日、いつものように落語の文庫本を片手に歩いていた宮本は不注意で転倒。花は記憶が一時的に混乱していた宮本に駆け寄り、「私はあなたの恋人で、一時的記憶喪失になっている」とウソをつく。その頃、アリスは街中でスカウトされ、芸能活動に参加し始める。花は宮本とデートするがなかなか振り向いてくれない。それどころか本当に以前恋人だったかどうか疑い始める。そこで、花はアリスが元彼女だったと更にウソをつく。しかし、それが元で花とアリスの友情がギクシャクし始める。」
私が始めて見たのは2年前ですが、その時はクライマックスの蒼井優のバレエ姿に圧倒され、一気に彼女の虜となってしまいました。積極的に前に出ようとしないアリスがバレエという表現で自らを語ろうとする姿は美しさと力強さに溢れていて、見ていて自然と胸が高まったものでした。そのクライマックスを見たいがために私は本作品を何回も見直したものでした。
本作品は鈴木杏演じる花と蒼井優演じるアリスの友情と恋愛が描かれているのですが、蒼井優の存在感が際立っています。本作品は蒼井優という女優の魅力を引き出すために撮られたと言っても過言でないと思います。鈴木杏さんのファンには申し訳ないですが、彼女も蒼井優という女優を引き立てるために登場しているようなものです。『リリィ・シュシュのすべて』を見たときも蒼井優の演技はとても印象に残りましたが、監督もきっと強く印象に残り、彼女を主役に据えて本作品を撮ったのでしょう。
マイペースでいながら、どこか寂しげな感じのアリスという少女を蒼井優はナチュラルかつ繊細な演技で見事に表現しています。
蒼井優の話しばかりになってしまいましたが、少女漫画のようなメルヘンチックでリアリティのないストーリーを違和感なく自然に見せる岩井監督の演出も素晴らしいです。
恋や友情で揺れ動く少女たちの微妙な心の揺れを何気ない日常生活の中から描いていく演出は大げさなところがなく見ていて大変心地よいです。誰しもが思春期に経験したであろう恋や友情をめぐる葛藤を本作品は思い出させてくれます。
明るめの露光で撮影された映像はきらきらとした輝きに満ちていて美しく、主人公たちの青春のきらめきを見事に表現しています。特に桜並木や降りしきる雨、秋の寂しげな浜辺等の何気ない風景の美しさは大変印象的でした。
また本作品は随所に遊び心があり、駅名が有名な漫画家の名字だったり、随所に有名人がカメオ出演している等くすっと笑えるシーンが随所にあります。
思春期の少女たちの純粋無垢さと、それゆえに持ち合わせる残酷さを見事に表現した青春ドラマの傑作です。
製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 135分
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
音楽 岩井俊二
出演 鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、阿部寛、平泉成、木村多江、坂本真、大沢たかお、広末涼子
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