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『ローズ・イン・タイドランド』映画鑑賞日記

Photo  独特な映像表現とブラックユーモアで人気のあるテリー・ギリアム監督の最新作『ローズ・イン・タイドランド』を見ました。
 『未来世紀ブラジル』でギリアムの虜となった私としては近年の彼のパワーダウンがとても残念に思っていたので、「ギリアムが放つ現代版不思議の国のアリス」として宣伝されていた本作品は久々に彼の本領が発揮されているのではと見るまではかなり期待していました。

 しかし、実際見てみると本作品も彼の持ち味が発揮されておらず、非常に残念な出来でした。
 
 ストーリー:「母を亡くし、ドラッグに溺れる父とともに彼の祖母の自宅へ向かった10歳の少女・ローズ。そこには枯れた草原の中に立つ荒れ果てた一軒家がぽつんと立っていた。父はほどなく麻薬中毒で死亡し、独り残されたローズは自らが作り上げた空想の世界の中で生き延びようとする。」

 ギリアム監督らしいダークな内容のストーリーなのですが、彼の最大の魅力であるイマジネーション溢れる映像が少ないです。せっかく空想の中でしか生き延びることの出来ない少女を主人公に持ってきたのに肝心の空想シーンが今ひとつなのでパッとしませんでした。救いようのないストーリーだからこそ少女の内面世界の描写がこの映画の最大の見所でなければならないのに、そこが貧困だと面白みに欠けます。
 
 また、出てくる人物も普通でない人ばかり過ぎて、逆に冷めてしまいました。この手の作品では現実の中の非現実を描くためには現実側に立つ人間がいないと非現実的な世界に生きる人間に対する共感が湧いてきません。

 ただギリアムらしい独特の構図の美しい映像やグロテスクでキッチュな小道具は素敵でした。結構グロい映像もあるのですがあんまり不快感もありませんでした。

 本作品はギリアムの作品の中ではイマイチの完成度だと思いますが、主人公のローズを演じた子役のジョデル・フェルランドの演技は最高に素晴らしいです。最初から最後までずっと登場しっぱなしですが、子どもとしての純粋さと女としての色気の両方を感じさせる演技は大人顔負けです。本作品はこの子に救われたと思います。この子が出演しなければはっきり言って全く面白くない仕上がりになっていたと思います。
 ジョデル・フェルランドの出演する映画は今後も要注目だと思います。


製作年度 2005年
製作国・地域 イギリス/カナダ
上映時間 117分
監督 テリー・ギリアム 
原作 ミッチ・カリン 
脚本 テリー・ギリアム 、トニー・グリゾーニ 
音楽 マイケル・ダナ 、ジェフ・ダナ 
出演 ジョデル・フェルランド 、ジェフ・ブリッジス 、ジェニファー・ティリー 、ジャネット・マクティア 、ブレンダン・フレッチャー 

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