『ロボコップ』この映画を見て!
第180回『ロボコップ』 今回紹介する作品は近未来SFヒーロー映画の傑作『ロボコップ』です。
本作品は低予算で製作されたにも関わらず、過激なバイオレンスアクションと単純明快なストーリー、そしてSFファンもうならせる設定の奥深さが人気を呼んで大ヒットしました。
私が小学生だった頃に本作品は公開されたのですが、ロボコップの宣伝ポスターを初めて見た時は日本の特撮ヒーローである「宇宙刑事ギャバン」に見た目がそっくりだったので、中身も同じようなものかと思いあまり期待していませんでした。
しかし、実際に見てみると日本の特撮ヒーローなど足元にも及ばない映像の完成度の高さとストーリーの面白さに圧倒されました。
また当時の他の娯楽作品に比べて暴力描写も大変過激で、小学生だった私には衝撃的でした。特に前半の主人公が犯罪集団に銃で惨殺する場面と後半の廃液で皮膚がドロドロに溶けた悪役の描写は見ていて目を背けたくなるほどでした。
ストーリー:「近未来のデトロイトでは治安が悪化して犯罪が多発していた。この街は民間の巨大企業オムニ社よって支配されており、警察もオムニ社が経営していた。オムニ社は都市計画推進に当たり犯罪を激減させるための警察ロボットを開発していた。
そんなある日、警官のマーフィは警官殺しで指名手配されていたクラレンス強盗一味を追跡している際に惨殺されてしまう。彼の遺体はオムニ社へ回収され、サイボーグ化されたロボコップとなって復活する…。
ロボコップは驚異的な性能で犯罪を取り締まり、町の治安は少しずつ取り戻される。しかし、人間だった頃の記憶の断片に悩まされ、ついには自分が何者であったかを知ってしまった彼は自らを殺したクラレンス一味に復讐を行う。」
本作品のストーリーは勧善懲悪な展開であるので、誰が見ても分かりやすく、見終わって爽快感があります。特に本作品は悪役が大変憎たらしく描かれているので、悪役が倒されるシーンは見ていてカタルシスがあります。
また、サイボーク化された主人公が過去の記憶を取り戻して葛藤する姿も丁寧に描かれており、単なる能天気な正義のヒーローとは一味違う悲哀と苦悩を背負ったヒーローとして見る者の心に深く刻まれます。私は本作品を見る度にどんなに過去の記憶を思い出したとしても、もう人間に戻れない主人公の運命に胸が締め付けれます。ラストで名前を聞かれたときに「マーフィ」と答えるシーンは爽快感と悲哀が入り混じった見事な締めくくりだと思います。
あと本作品を語る上で忘れてはいけないのが、ブラックユーモア満載のCMシーンと敵役ロボ・ED-209です。
本作品は映画の随所に近未来のTVコマーシャルやニュースが流れるのですが、ヤマハの人工心臓や核戦争ゲーム等、どれもアメリカを皮肉った毒のある内容ばかりです。ブラックユーモアを随所に入れることで、この映画は単なる近未来映画でない製作当時のアメリカの影の部分を描くことに成功しています。
またロボコップの敵役ロボ・ED-209も大変印象的です。CGのない時代なのでストップモーションを利用して一コマ一コマ撮影された映像はカクカクとしておりぎこちない動きとなっていますが、それが妙にリアルさとかわいらしさを与えています。特にロボコップを追って階段を恐る恐る降りるシーンや上部を吹っ飛ばれて足だけで歩くラストシーンは見ていて笑えます。ED-209の撮影を担当したフィル・ティペットは天才です!
本作品はシリーズ化され3作目まで製作されましたが、1作目の出来には到底及びません。
バイオレンス描写が激しいので好き嫌い分かれると思いますが、SF映画好きにはたまらない作品です。
製作年度 1987年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 103分
監督 ポール・ヴァーホーヴェン
脚本 エドワード・ニューマイヤー 、マイケル・マイナー
音楽 ベイジル・ポールドゥリス
出演 ピーター・ウェラー 、ナンシー・アレン 、ダニエル・オハーリヒー 、ロニー・コックス 、カートウッド・スミス 、ミゲル・ファーラー 、
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コメント
コメントありがとうございます!
シリーズ化された作品で最初の面白さを維持できるシリーズは少ないですね。
ロボコップに関して言えば、監督の演出力の差が出たと思います。
投稿: とろとろ | 2007年10月13日 (土) 11時25分
インディージョーンズやバックトゥーザフューチャーと比較される,パート3まであるが,「2からダメになる代表作品」と称しています(笑)。
結局,新たな「敵」を登場させるだけでは面白味に欠けるってことですかね?
投稿: タナケン | 2007年10月10日 (水) 14時40分