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2007年10月

『ミッドナイト・クロス』この映画を見て!

第184回『ミッドナイト・クロス』
Photo  今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督がジョン・トラボルタ主演で製作したサスペンス映画の傑作『ミッドナイト・クロス』です。

 ストーリー:「B級映画専門の音響効果の仕事をするジャック。ある晩、効果音の収録をしている最中に、川に車が転落する事故の一部始終を目撃する。ジャックは慌てて沈みゆく車に乗っていた女性サリーを救い出すが、男は既に死んでいた。病院で死んだ男が次期大統領候補であることを知ったジャックは今回の事件の事を公にしないように口止めされる。しかしジャックは偶然録音していた事故のテープから一発の銃声を聞きとめた。事故に疑問を抱き始めた彼は、サリーと共に真相を究明しようとするが、何者かに命を狙われ始める。」

 映画のストーリー自体はサスペンスとしては今ひとつ詰めが甘く、主人公や犯人の行動にも疑問を感じるところがあります。
 しかし、それを補って余りあるほどの魅力が本作品にはあります。それはデ・パルマ監督らしい華麗なカメラワークと映像美、そして深い余韻を残すラストシーンです。
 オープニングいきなり学園を舞台にした架空のB級ホラー映画のシーンから始まるのですが、殺人鬼の主観で捉える映像はなかなかの緊張感があります。その後も、デ・パルマ監督らしい二画面分割、360度パン、そしてスローモーションなどが随所に用いられて映画を盛り上げます。
 特に見所なのが街中でのカーチェイスシーンとクライマックスの花火の中での主人公ジャックがサリーを抱くシーンです。フィラデルフィアの街中を主人公が車で疾走するシーンは空撮の映像が非常に印象的です。またクライマックスの花火が打ちあがる中でジャックがサリーを抱くシーンはピノ・ドナッジオの音楽との相乗効果で切なくも美しいシーンに仕上がっています。 
 映画のラストはハリウッド映画には珍しくバットエンドなのですが、深い余韻を見る者に与えてくれます。主人公の最後の行動に関しては賛否両論あると思いますが、私としては主人公の悲哀を強く感じました。

 本作品は役者の演技も大変印象的です。事件の真相を追うジャックを演じる若かりし頃のジョン・トラヴォルタ。ラストシーンの切ない表情が印象的です。またヒロインのサリーを演じるナンシー・アレン。デ・パルマ監督の作品ではおなじみの役者ですが本作品でも甘い声と叫び声が大変印象的です。そして主人公を狙う殺し屋を演じるジョン・リスゴー。殺し屋の冷酷さと狂気を見事に独特の存在感で見事に演じています。

 秋の夜長にお勧めのサスペンス映画です!

製作年度 1981年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 113分
監督 ブライアン・デ・パルマ 
製作総指揮 フレッド・カルーソ 
脚本 ブライアン・デ・パルマ 
音楽 ピノ・ドナッジオ 
出演 ジョン・トラヴォルタ 、ナンシー・アレン 、ジョン・リスゴー 、デニス・フランツ 、ピーター・ボイデン 

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『戦国自衛隊』映画鑑賞日記

Photo_2  角川映画が79年に製作した『戦国自衛隊』がテレビで放映されていたので久しぶりに見直しました。
 私がこの映画を始めてみたのは小学生の時でしたが、突然戦国時代にタイムスリップして侍と闘う自衛隊員の姿に夢中になったものでした。特に61式戦車、M3A1装甲車、ヘリコプターなどの兵器で、騎馬や弓矢で突如襲いかかってくる武田信玄の兵士に立ち向かう戦闘シーンの迫力は子どもながらに鳥肌が立ったものでした。

 改めて見直してみるとストーリーの強引さや詰めの甘さはさておいて、生身の人間によるアクションシーンのダイナミックさと戦車と騎馬が同一画面に出てくる構図の強烈なインパクトに最後まで釘付けとなりました。
 また、この映画の面白いところは武力では圧倒的優位なはずの自衛隊員が戦国時代の戦で苦戦して、最後は全滅してしまうところです。武力の差が勝利に繋がるわけでないところが見ていて非常に印象的でした。(まあ、映画の中の自衛隊の戦術自体が隙だらけで負けても仕方ないところがありますが・・・。)

 また人間ドラマとしても千葉真一演じると夏八木勲演じる長尾影虎役の時代を超えた男同士の熱い友情や現代と戦国時代に引き裂かれた恋人たちなど胸が熱くなるシーン満載です。またラストシーンも切なくて結構うるっとさせられます。

 役者陣も今考えると信じられないほど豪華です。千葉真一筆頭に夏八木勲、にしきのあきら 、ムッシュかまやつ 、渡瀬恒彦 、角野卓造 、竜雷太 、小野みゆき 、岡田奈々、薬師丸ひろこ、真田広之・・・・とこれだけの人材を1つの映画に今集めるのはもはや不可能に近いです。

 この映画は自衛隊員が日本人を殺すシーンなどがあり、自衛隊が協力をしてくれず、戦車などの兵器も全て手作りだそうです。当時の映画人たちの情熱に頭が下がります。

 最近『戦国自体隊1549』というタイトルでリメイクもされましたが、はっきり言って旧作には完成度も面白さも足元も及ばないほど酷い出来でした。新作を見るくらいなら、こちらを見た方が絶対良いです。 

製作年度 1979年
製作国・地域 日本
上映時間 138分
監督 斉藤光正 
原作 半村良 
脚本 鎌田敏夫 
音楽 羽田健太郎 
出演 千葉真一 、中康治 、江藤潤 、速水亮 、にしきのあきら 、三浦洋一 、かまやつひろし 、倉石功 、高橋研 、渡瀬恒彦 、河原崎建三 、角野卓造 、鈴木ヒロミツ 、竜雷太 、三上真一郎 、小野みゆき 、岡田奈々

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蒼穹の声-Voices Best-

お気に入りのCD NO.20『蒼穹の声-Voices Best-』 姫神
Photo_3   今回紹介するアルバムは東北を中心とした民俗音楽に影響を受け、シンセサイザーを駆使して作曲・演奏活動を行っている星吉昭さんのソロユニット姫神のヴォーカルものを集めたベスト盤『.蒼穹の声-Voices Best-』です。
 私はテレビのドキュメンタリー番組のテーマ曲『神々の詩』で姫神の存在を知りました。『神々の詩』は縄文時代の言語や音階を利用して製作されており、聞いていて懐かしく心が自然と癒される名曲でした。
 
 今回のアルバムは全曲ボーカルということもあり、人間の声の持つ力や美しさが堪能できます。聞いていると、遥か昔の自然の中で人が素朴に生きていていた時代にタイムスリップすることができます。
 
 全曲透明感溢れるシンセの音と温かみのある人の声は私たちの心の清涼剤となります。ぜひ多くの人に聞いて欲しいアルバムです。 

1. 愛を超えて 
2. 祈り遥か 
3. キリバスの天使 
4. 小春日和 
5. 風恋歌 
6. 風のこころ 
7. 十三の子守唄 
8. 明けの方から 
9. 神々の詩 
10. 見上げれば,花びら 
11. 風の子守唄 
12. 雪 
13. ダヤックの子守唄 
14. 森渡り 
15. 千年の祈り 
16. 雲ははてしなく(VOICE MIX) 
17. 未来の瞳 

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『ブラックホーク・ダウン』この映画を見て!

第184回『ブラックホーク・ダウン』
Photo  今回紹介する作品は1993年10月3日の米軍によるソマリア侵攻の失敗を描いた『ブラックホーク・ダウン』です。

 ソマリアはアフリカ大陸の東北端に位置し、「アフリカの角」と呼ばれる国で、イタリアとイギリスの植民地だったが、1960年に独立しました。ソマリアは6つの氏族、16の準氏族に分かれていて、独立後から権力争いが続いていました。そして90年代、ソマリア最大の武力を誇るアイディード将軍率いるUSC(統一ソマリア会議)が、大統領を追放して首都のモガディシオを制圧。しかし、USC内部でアイディード将軍派とマハディ暫定大統領派との抗争が起こり、ソマリアは無政府状態に突入。餓死者や難民が多数出てきて、国連は人道支援を行うが、武装勢力による援助物資の強盗・略奪、NGOへの襲撃・殺害によって、援助活動は停滞。国連はこのような状況に対して米国が主力となる国連平和維持軍(PKF)をソマリアに派遣することとなります。しかし、PKFによる武装解除は上手くいかず、PKFと武装勢力の間で泥沼の戦いが展開されるようになります。本作品はそんな泥沼状態の1993年に実際に起こったアメリカ軍の敵対するアディード政権の本拠地への奇襲作戦の悲惨な顛末を描いています。
 
 ストーリー:「1993年、泥沼化する内戦を鎮圧するためソマリアに兵士を派遣したアメリカ。なかなか収束しない内戦に焦り始めたクリントン政権は、10月3日、アディード政権の本拠地への奇襲作戦を決行する。作戦は当初は1時間足らずで終了するはずだったが、敵の攻撃により、大型輸送ヘリ“ブラックホーク”が撃墜されてしまう。敵の最前線で孤立する兵士たち。やがて、救助に向かった2機目も撃墜されてしまう。兵士たちは必死に応戦するが、敵に取り囲まれて苦戦を強いられることになる。」

 本作品を始めて見た時は上映時間の3分の2以上が生々しい戦闘シーンだったので、見終わって大変疲れたのを覚えています。スピルバーグが監督した『プライベート・ライアン』は戦闘シーンをリアルに描き、その後の戦争映画に大きな影響を与えましたが、本作品は『プライベート・ライアン』の戦闘シーンを拡大強化して延々と見せ続けるような仕上がりとなっています。『プライベートライアン』ですら兵士同士の友情など何らかのドラマが描かれていたのですが本作品はそのようなシーンはほとんどなく、ひたすら地獄のような戦場で何とか生き延びようとする兵士たちの姿のみが描かれます。

 本作品はアメリカ国防総省の全面協力下で撮影されており、役者に対する兵士としての指導や本物のブラックホーク等の軍用ヘリコプターを撮影のために貸与するなどしています。その為、公開答辞は好戦的な米軍のプロパガンダ映画となっているという辛辣な批評が多かったのですが、私は本作品を単なるアメリカ万歳の好戦的な映画だとは思いませんでした。
 確かにソマリア兵士をゾンビかエイリアンのように非人間的な存在として描いているところやアメリカ軍の圧倒的な軍事力を見せつけるようなところもあり、好戦的でアメリカ中心主義の映画だと一見思えてしまいます。
 しかし、本作品はソマリア紛争の実態を描くことをテーマにしているのではなく、異国の戦争に理不尽に巻き込まれたアメリカ兵の悲惨な実態を描くことをテーマにしていると思ってみれば印象がだいぶ変わってきます。平和のためという理由で派遣されたと思っている兵士たちを襲うソマリアの国民。一体自分たちは何のためにやって来たのか理由を見失い、ただひたすら敵に襲撃された仲間を助けることに理由を見出すしかない兵士たち。本作品でソマリアの兵士を非人間的に描いているのは、アメリカの兵士にとって彼らの平和に自分たちが介入している意味が見出せないことを表しているのだと思いました。
 また、本作品を好戦的だから駄目だと評価する人もいるようですが、私は本作品を見て戦争はカッコよくて面白そうなど全く思いませんでした。むしろ、あれだけの武器を持っていたアメリカ軍がソマリアの民兵にあんなに苦戦するとは驚きました。結局武力だけで平和を作ることも維持することも出来ないことをまざまざと痛感させられました。

 ラストに「米兵19人 ソマリア人1000人以上が死亡」というテロップが表示がされます。アメリカ兵とソマリア人の死者の数の違いをどう受け止めるかで本作品の評価は分かれると思います。アメリカ万歳の映画ならあえてソマリア人の死亡者数まで表示しなかったと思います。りドリー・スコット監督はあえて両者の死者数を表示して、アメリカ軍の武力介入の空しさを伝えたかったのだと思います。

製作年度 2001年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 145分
監督 リドリー・スコット 
製作総指揮 ブランコ・ラスティグ 、チャド・オマン 、マイク・ステンソン 、サイモン・ウェスト 
原作 マーク・ボウデン 
脚本 ケン・ノーラン 、スティーヴン・ザイリアン 
音楽 リサ・ジェラード 、ハンス・ジマー 
出演 ジョシュ・ハートネット 、ユアン・マクレガー 、トム・サイズモア 、サム・シェパード 、エリック・バナ 、ジェイソン・アイザックス 、ジョニー・ストロング 、ウィリアム・フィクトナー 、ロン・エルダード 、ジェレミー・ピヴェン 、ヒュー・ダンシー 、ユエン・ブレムナー

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『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』この映画を見て!

第183回『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』
Photo_2  今回紹介する作品は日本一忙しい映画監督・三池崇史がアメリカ進出を果たした『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』です。
 本作品は世界のホラー監督13人による米国のTVシリーズ「マスタ-ズ・オブ・ホラー/恐-1グランプリ」の一本として製作されましたが、過激な内容と描写に放映中止となって話題となりました。日本の地方の忌まわしい因習を扱った岩井志麻子の短編小説を原作としていますが、アメリカの視聴者向けにいくつかのアレンジがされています。原作には登場しないアメリカ人を主人公に据えて、日本の田舎の遊郭が舞台にもかかわらず全編セリフが英語となっています。

 ストーリー:「明治時代の日本。アメリカ人ジャーナリストのクリスはかつて愛した小桃という女を探して全国の遊郭を転々としていた。そして、川の中の浮島の遊郭にたどり着く。そこで醜い顔をした女郎から小桃が死んだことを告げられる。クリスはなぜ小桃が死んだのか尋ねたところ、女朗は小桃の死の真相と自らのおぞましい過去を語り始める・・・。」

 三池監督は低予算のVシネマから『妖怪大戦争』のような大作まで幅広く撮る人で、作品の当たり外れが大きいのですが、本作品は大当たりでした。三池監督の持ち味は型破りな演出と過激な暴力描写にあるのですが、本作品は彼の持ち味が最大限引き出されています。

  本作品は遊郭での女郎に対する拷問シーンが過激で話題となっていたので注目していましたが、実際見てみると彼が監督した『オーディション』と『殺し屋1』に比べて言うほど過激ではありませんでした。(そう言いながら、女朗の歯茎や爪に畳針を刺すシーンは余りにも痛そうで目を背けてしまいましたが・・・)
 むしろ私が過激と思ったのは昔の日本の田舎で行われていた堕胎を真正面から描いているところです。アメリカで放映禁止となったのも拷問シーンでなく堕胎のシーンが問題だったのだと思います。

 家庭内暴力に堕胎そして近親相姦とこの上ない悲惨な日本の歴史の闇がこれでもかと描かれており、人によっては非常に嫌悪感を覚えるかと思います。私も見ていて怖いというよりつらくなる場面の方が多かったです。
 ストーリーだけ追うと暗く陰惨な感じがしますが、映像は赤を基調にした妖しく煌びやかな色調で見る者を幻想的かつ妖艶な世界に引きずりこみます。特に遊郭のセットと女朗の衣装の美しさは格別です。

 役者の演技も主人公のビリー・ドラゴを除いて大変素晴らしいです。特に醜い顔の女郎の二面性を巧みに演じた工藤夕貴、悲惨な拷問にかけられる小桃を体当たりで演じた美知枝、そして嬉しそうに拷問をする危ない遊郭の女主人を演じた原作者の岩井志麻子の圧倒的な存在感。女優陣の演技が光ります。それに比べるとビリー・ドラゴの演技はオーバーアクト気味で完全に浮いていました。

 本作品は誰が見ても楽しめる作品ではありませんが、ホラー映画好きなら一度は見て損はないと思います。ただし痛いのが苦手な人はお勧めできません。 

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 63分
監督 三池崇史 
原作 岩井志麻子 
脚本 天願大介 
音楽 コージー・エンドウ・Jr.
出演 工藤夕貴 、ビリー・ドラゴ 、美知枝 、根岸季衣 、岩井志麻子

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『悪魔のいけにえ』この映画を見て!

第182回『悪魔のいけにえ』
Photo  今回紹介する作品はホラー映画の歴史を語る上で外すことのできない傑作『悪魔のいけにえ』です。
 本作品はエド・ゲインの猟奇犯罪にヒントを得て1974年に日本円にして4千万円という低予算で製作されました。セミドキュメンタリータッチの生々しい残酷描写が話題を呼び、その後のホラー映画に多大な影響を与えました。
 ホラー映画の伝説となった本作品の監督を手がけたのは当時無名だったドビー・フーパー監督。本作品の成功の後、『ポルターガイスト』や『スペースバンパイア』などを手がけることになります。しかし、残念ながら本作品を超えるホラー映画を彼自身まだ撮ることは出来ていません。

 ストーリー:「1973年8月18日。真夏のテキサスをワゴン車で旅行する5人の若者たちがいた。途中で車に乗せた怪しげなヒッチハイカーを車に乗せるが、異常な言動で若者たちを気味悪がらせ、最後には若者の一人を剃刀で切り付ける。。
 やがて5人は緑に囲まれた廃墟を訪れる。仲間の内2人が泳ぎに行く途中で立ち寄った屋敷で人の顔の皮を被ったレザーフェイスに襲われ、惨殺されてしまう。
 2人の帰りが遅いのを不審に思った仲間たちも次々と襲われていく。そして一人襲撃から生き残った女性は助けを求めてガソリンスタンドに駆け込むが・・・」
 
 私は本作品を始めて見たとき、正直見てはいけないものを見てしまったような感覚に襲われました。
 映画の冒頭に現れる死体の強烈なインパクト。そして、ざらついた画面から伝わるテキサスの真夏のじりじりとした暑さ。映画は冒頭から見る者を不快と不安の感覚に陥れます。そして、映画の前半に登場する異常なヒッチハイカー。ここから本作品は異様な雰囲気に包まれていきます。
 映画は中盤から強烈なシーンのオンパレードです。レザーフェイスの最初の犠牲者となる若者が殺される描写。屋敷の奥から現れたレザーフェイスに突然ハンマーで頭部を殴られ足が痙攣するシーンは何ともいえない生々しさがあります。そして第2の犠牲者となる女性。逃げようとしたところを抱きかかえられフックにつるされるシーンは見る者の背筋を凍らせます。本作品は若者が次々と殺害されていくのですが、意外なことに血が噴き出すシーンや体が切り刻まれるなどの直接的な残酷シーンがほとんどありません。電動ノコギリの音や若者たちの悲鳴など間接的な描写で見る者を恐怖のどん底に突き落とします。
 映画の後半は一人生き残った女性が体験する狂気の世界が描かれるのですが、その世界はあまりにも異様で、見ていて怖さを通り越して笑いがこみ上げてくるほどです。悲鳴をあげる女性の目のクローズアップとレザーフェイス一家の不気味な笑顔。非日常的な狂気の世界に一人残された女性のいつ殺されるかもわからない恐怖を見る者もたっぷりと味わうことができます。
 映画のラストも強烈で、こんな形で幕が下りるのかと見る者を呆気に取られます。本作品は全編を通してご都合主義的なところが全くなく、不条理な狂気と恐怖の世界が描かれています。

本作品は続編が3本製作されましたが、残念ながら1作目の完成度には遠く及びません。ただドビー・フーパー監督が続投した2作目は1作目とはまた違う狂気の世界が描かれており、なかなか面白いです。
Photo_2  またリメイクも2003年に「テキサス・チェーンソー」という題名で発表されています。こちらもオリジナルには到底及ばないものの、なかなか見ごたえのある作品には仕上がっています。

 ホラー映画好きで、まだ本作品を見ていない人がいたとしたら一度は見て損はしないと思います。本当の狂気と恐怖の世界を味わうことができますよ! 

製作年度 1974年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 84分
監督 トビー・フーパー 
製作総指揮 ジェイ・パースレイ 
脚本 トビー・フーパー 、キム・ヘンケル 
音楽 ウェイン・ベル 、トビー・フーパー 
出演 マリリン・バーンズ 、ガンナー・ハンセン 、エド・ニール 、アレン・ダンジガー 、ポール・A・パーテイン 、ウィリアム・ヴェイル 、テリー・マクミン 、ジム・シードウ 、ジョン・デュガン 

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『サービスの天才たち』街を捨て書を読もう!

『サービスの天才たち』 著:野地 秩嘉 新潮新書
Photo  今回紹介する本はサービス業で活躍するプロフェッショナルたちのお客さまを満足させる秘訣に迫ったルポタージュ『サービスの天才たち』です。

 この本では6人プラス1頭の名もなきサービスの天才たちの仕事ぶりが描かれています。高倉健に愛された理容師、お茶の熱さにまで目配りする有料老人ホームの食事統括責任者、日本一のサービスを目指すゴルフ場経営者とキャディー、宿泊客の笑顔を撮り続けた温泉カメラマン、質の高い和牛を生み出したスーパー種牛、お客の心まで揉みほぐすマッサージ師、北海道の有名人御用達のタクシー運転手。それぞれ職種は違いますが、お客様が満足させるサービスとは何かを日々追求している人たち。そんな人たちのサービスに対する思いや日々の努力を描いていきます。

 私はこの本を読んでサービス業で一番大切なことは、相手の身になって考えることができるかどうかだと思いました。押し付けがましくなく、さりげなく相手が求めるサービスを提供できる。それが一流のサービスであることをこの本は教えてくれます。

 また、この本の素晴らしいところは著者の読者に対する押し付けがましさなく、読んだ後に清清しく爽やかな気持ちになれるところです。著者もまた一流のサービスの天才だと思いました。
 
 

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『ローズ・イン・タイドランド』映画鑑賞日記

Photo  独特な映像表現とブラックユーモアで人気のあるテリー・ギリアム監督の最新作『ローズ・イン・タイドランド』を見ました。
 『未来世紀ブラジル』でギリアムの虜となった私としては近年の彼のパワーダウンがとても残念に思っていたので、「ギリアムが放つ現代版不思議の国のアリス」として宣伝されていた本作品は久々に彼の本領が発揮されているのではと見るまではかなり期待していました。

 しかし、実際見てみると本作品も彼の持ち味が発揮されておらず、非常に残念な出来でした。
 
 ストーリー:「母を亡くし、ドラッグに溺れる父とともに彼の祖母の自宅へ向かった10歳の少女・ローズ。そこには枯れた草原の中に立つ荒れ果てた一軒家がぽつんと立っていた。父はほどなく麻薬中毒で死亡し、独り残されたローズは自らが作り上げた空想の世界の中で生き延びようとする。」

 ギリアム監督らしいダークな内容のストーリーなのですが、彼の最大の魅力であるイマジネーション溢れる映像が少ないです。せっかく空想の中でしか生き延びることの出来ない少女を主人公に持ってきたのに肝心の空想シーンが今ひとつなのでパッとしませんでした。救いようのないストーリーだからこそ少女の内面世界の描写がこの映画の最大の見所でなければならないのに、そこが貧困だと面白みに欠けます。
 
 また、出てくる人物も普通でない人ばかり過ぎて、逆に冷めてしまいました。この手の作品では現実の中の非現実を描くためには現実側に立つ人間がいないと非現実的な世界に生きる人間に対する共感が湧いてきません。

 ただギリアムらしい独特の構図の美しい映像やグロテスクでキッチュな小道具は素敵でした。結構グロい映像もあるのですがあんまり不快感もありませんでした。

 本作品はギリアムの作品の中ではイマイチの完成度だと思いますが、主人公のローズを演じた子役のジョデル・フェルランドの演技は最高に素晴らしいです。最初から最後までずっと登場しっぱなしですが、子どもとしての純粋さと女としての色気の両方を感じさせる演技は大人顔負けです。本作品はこの子に救われたと思います。この子が出演しなければはっきり言って全く面白くない仕上がりになっていたと思います。
 ジョデル・フェルランドの出演する映画は今後も要注目だと思います。


製作年度 2005年
製作国・地域 イギリス/カナダ
上映時間 117分
監督 テリー・ギリアム 
原作 ミッチ・カリン 
脚本 テリー・ギリアム 、トニー・グリゾーニ 
音楽 マイケル・ダナ 、ジェフ・ダナ 
出演 ジョデル・フェルランド 、ジェフ・ブリッジス 、ジェニファー・ティリー 、ジャネット・マクティア 、ブレンダン・フレッチャー 

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『ユージュアル・サスペクツ』この映画を見て!

第181回『ユージュアル・サスペクツ』
Photo_2  今回紹介する作品はラストの驚愕の展開が話題を呼んだミステリー映画の傑作『ユージュアル・サスペクツ』です。

 本作品に関してはストーリーについて余り細かく語ることができません。なぜなら、複線が張り巡らせたストーリーを語りすぎると本作品の魅力が半減してしまうからです。未見の方は何の予備知識もなく一度見てください。ラスト10分の展開に「やられた!」と思うこと間違いないです。そして、一度見たら、もう一度最初から見たいという衝動にかられることでしょう!

ストーリー:「カルフォニアのとある港でコカインを積んだ密輸船が爆破される事件が発生。警察は唯一の生存者キントの尋問を始める。キントは爆破事件が起こるまでの経過と爆破事件の黒幕である大物ギャング「カイザー・ソゼ」について語るが・・・。」

 繰り返しになりますが、本作品の魅力は緻密に組み立てられたストーリーです。途中までは普通の犯罪映画のような展開なのですが、謎の大物ギャング「カイザー・ソゼ」が登場してからは緊張感が一気に加速。カイザー・ソゼは何者なのか?そして、冒頭に出てきた爆破事件の真相は何だったのか?見る者は画面に釘付けになると思います。そしてラスト10分の観客の予想を裏切る予想外の展開。ラストまで見た観客は事件の真実を探るために何度も見直し、その度ごとに新たな発見をすると思います。
 本作品の凄いところはオチを知ってから見ても面白いところです。監督のブライアン・シンガーは随所に伏線となるカットやシーンを散りばめており、2回目以降に見るとこの演出にはこんな意図があったのかと思わず唸ってしまいます。
 監督も脚本家も当時新人だったにも関わらず、このような作品を完成させるとは大したものです。

 もちろん役者の演技も大きな見所の一つです。ガブリエル・バーンの大人の男を感じさせる渋い演技 、ピート・ポスルスウェイトの存在感溢れる演技 、若かりし頃のベニチオ・デル・トロのチンピラ姿、そして本作品でアカデミー助演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシーの一癖も二癖もある演技!本作品は個性派男優たちの見事なアンサンブルが楽しめます。
 
 サスペンス映画が好きな人は一度は見て損のない作品だと思いますよ!

製作年度 1995年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 105分
監督 ブライアン・シンガー 
製作総指揮 ロバート・ジョーンズ 、ハンス・ブロックマン 、フランソワ・デュプラ 
脚本 クリストファー・マッカリー 
音楽 ジョン・オットマン 
出演 ガブリエル・バーン 、チャズ・パルミンテリ 、ケヴィン・ポラック 、ピート・ポスルスウェイト 、ケヴィン・スペイシー 、スージー・エイミス 、ジャンカルロ・エスポジート 、ベニチオ・デル・トロ 

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『里見八犬伝』映画鑑賞日記

Photo  角川映画に勢いがあった80年代に製作されたファンタジー時代劇『里見八犬伝』がテレビで久しぶりに放映していたので思わず見てしまいました。
 
 私がこの映画を初めて見たのは小学生の時でしたが、大変夢中になったものでした。ロールプレイングゲームさながらの起承転結のはっきりとしたストーリー、妖怪に追われる姫を命を懸けて助ける八剣士たちの勇姿、強烈な個性を放つ悪役の面々、アクションシーンの役者たちの切れのある動き・・・。この映画は子どもの心を虜にする魅力の詰まった作品でした。

 約20年ぶりの再鑑賞でしたが、今見るとセットや特撮のしょぼさがどうしても目に付いてしまいました。まあ当時の邦画としてはがんばっている方だとは思いますが・・・。
 しかし、そこにさえ目をつぶれば、この映画は娯楽映画としては今見てもかなり面白いです。特に豪華なキャスト陣のけれん味あふれる演技はこの映画の最大の見所です。真田広之の切れのあるアクション、京本政樹と萩原流行の妖しいまでの美貌、志穂美悦子の美しく軽やかな立ち回り、千葉真一の渋い存在感、そして夏木マリの強烈なインパクト!登場する役者の一人一人が輝いており、見せ場があります。
 また深作欣二監督の演出もいつもながらに熱く、最初から最後まで画面から目が離せません。特に今回の作品では躍動感と妖しげな雰囲気作りが素晴らしいです。
 ただ唯一残念なのは薬師丸ひろ子と真田広之のラブシーンの演出。このシーンは薬師丸ひろ子の顔のアップばかりで無意味に長く、バックに流れる主題歌もあっていませんでした。
 
製作年度 1983年
製作国・地域 日本
上映時間 136分
監督 深作欣二 
製作総指揮 - 
原作 鎌田敏夫 
脚本 鎌田敏夫 、深作欣二 
音楽 NOBODY 
出演 薬師丸ひろ子 、真田広之 、千葉真一 、寺田農 、志穂美悦子 、京本政樹 、大葉健二 、福原拓也 、苅谷俊介 、目黒祐樹 、夏木マリ 、萩原流行 、

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『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』映画鑑賞日記

Little_red  今日は知人の人から無料鑑賞券を頂いたので、『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』を劇場に見に行きました。

 映画を見るまでは子供向けのCGアニメかと高をくくっていたのですが、見てみてると意外に面白く、最後まで画面に釘付けでした。

 ストーリーは誰もが知っている童話「赤ずきんちゃん」の登場人物たちが森で起こったレシピ泥棒の容疑者として疑われるというミステリー仕立ての展開で、黒澤明の傑作『羅生門』のように1つの事件を4人の視点から描いていきます。赤ずきんちゃん、おばあちゃん、おおかみ、木こりの男、4人の人物の食い違う証言とそれぞれの人物の裏の顔。話しが進むにつれて浮かび上がる事件の意外な真相が明らかになっていきます。

 伏線が随所に張りめぐらせてあるストーリー展開は子どもだけでなく大人も楽しめると思います。ただ残念だったのは真犯人が勘の良い人なら中盤で分かってしまうこと。もうひとひねりが欲しかったですね。
 
 また随所に散りばめられた笑いも個人的にはツボにはまりました。特におばあちゃんのトリプルネタは爆笑でした。

 映像はピクサーなどの作品に比べると落ちるかもしれませんが、人形劇風のキャラクターや背景は本作品にはとても合っていたと思います。

 私は吹き替え版で見たのですが、この作品は声優とキャラクターがマッチしており違和感なく見ることができました。特に加藤浩次とケンドーコバヤシは良かったです。

 傑作と言えるほどの作品ではありませんが、81分と上映時間も短く、暇つぶしに見るのにはうってつけの作品です。

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 81分
監督 コリー・エドワーズ 
脚本 コリー・エドワーズ 、トッド・エドワーズ 、トニー・リーチ 
音楽 クリスティン・ウィルキンソン 、ジョン・マーク・ペインター 
出演 アン・ハサウェイ 、グレン・クローズ 、ジム・ベルーシ 、パトリック・ウォーバートン 、アンソニー・アンダーソン

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『テキサス・チェーンソー ビギニング』映画鑑賞日記

Photo  ホラー映画の傑作である『悪魔のいけにえ』をリメイクしたホラーシリーズの続編である『テキサス・チェーンソー ビギニング』を見ました。
 
 今回の続編は殺人鬼・レザーフェイス誕生の秘密が明かされるということが話題になっていましたが、見てみると誕生までのシーンは少ししかなく残念でした。これだったらタイトルに『ビギニング』など付けず普通に「パート2」とかにしとけばよかったのにと思います。
 
 ストーリー自体はいつものごとく若者が殺人変態一家に襲われるという展開なのですが、若者たちの行動に疑問点が多く、なぜそういう行動をするのかとイライラさせられました。まあ、あのような状況では正常な判断なんて出来ないのも無理はないですが・・・。
  
 映像に関しては過激かつ残酷なシーンの連続で、スプラッタ・ホラーとしての迫力、凄惨さは申し分ありません。ただ本作品を見るにつけて、オリジナルの1作目がスプラッターシーンがほとんどなくても、あれだけ生理的嫌悪感を見る者に与えることができたことの凄さを再認識させられます。見せる恐怖は簡単ですが、見せない恐怖を描くのはそう簡単にできる芸当ではありませんね。

 私がこの映画で一番印象的だったのは鬼の保安官ホイトです。映画の序盤に彼がなぜ保安官になったのか描かれますが、ある意味レザーフェイス誕生より印象的でした。『フルメタル・ジャケット』といい、この映画といい、R・リー・アーメイ の演技はいつ見ても強烈です。

 この映画は最後まで後味が悪く、グロい描写も多いので、そういうのが好きな人以外はお薦めできません。 

製作年度 2006年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 92分
監督 ジョナサン・リーベスマン 
製作総指揮 ジェフリー・アラード 、トビー・エメリッヒ 、マーク・オーデスキー 、ガイ・ストーデル 
脚本 シェルダン・ターナー 
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演 ジョーダナ・ブリュースター 、マット・ボーマー 、テイラー・ハンドリー 、ディオラ・ベアード 、アンドリュー・ブリニアースキー 、R・リー・アーメイ 、

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『ロボコップ』この映画を見て!

第180回『ロボコップ』
Photo  今回紹介する作品は近未来SFヒーロー映画の傑作『ロボコップ』です。
 本作品は低予算で製作されたにも関わらず、過激なバイオレンスアクションと単純明快なストーリー、そしてSFファンもうならせる設定の奥深さが人気を呼んで大ヒットしました。

 私が小学生だった頃に本作品は公開されたのですが、ロボコップの宣伝ポスターを初めて見た時は日本の特撮ヒーローである「宇宙刑事ギャバン」に見た目がそっくりだったので、中身も同じようなものかと思いあまり期待していませんでした。
 しかし、実際に見てみると日本の特撮ヒーローなど足元にも及ばない映像の完成度の高さとストーリーの面白さに圧倒されました。
 また当時の他の娯楽作品に比べて暴力描写も大変過激で、小学生だった私には衝撃的でした。特に前半の主人公が犯罪集団に銃で惨殺する場面と後半の廃液で皮膚がドロドロに溶けた悪役の描写は見ていて目を背けたくなるほどでした。

 ストーリー:「近未来のデトロイトでは治安が悪化して犯罪が多発していた。この街は民間の巨大企業オムニ社よって支配されており、警察もオムニ社が経営していた。オムニ社は都市計画推進に当たり犯罪を激減させるための警察ロボットを開発していた。
 そんなある日、警官のマーフィは警官殺しで指名手配されていたクラレンス強盗一味を追跡している際に惨殺されてしまう。彼の遺体はオムニ社へ回収され、サイボーグ化されたロボコップとなって復活する…。
 ロボコップは驚異的な性能で犯罪を取り締まり、町の治安は少しずつ取り戻される。しかし、人間だった頃の記憶の断片に悩まされ、ついには自分が何者であったかを知ってしまった彼は自らを殺したクラレンス一味に復讐を行う。」

 本作品のストーリーは勧善懲悪な展開であるので、誰が見ても分かりやすく、見終わって爽快感があります。特に本作品は悪役が大変憎たらしく描かれているので、悪役が倒されるシーンは見ていてカタルシスがあります。
 また、サイボーク化された主人公が過去の記憶を取り戻して葛藤する姿も丁寧に描かれており、単なる能天気な正義のヒーローとは一味違う悲哀と苦悩を背負ったヒーローとして見る者の心に深く刻まれます。私は本作品を見る度にどんなに過去の記憶を思い出したとしても、もう人間に戻れない主人公の運命に胸が締め付けれます。ラストで名前を聞かれたときに「マーフィ」と答えるシーンは爽快感と悲哀が入り混じった見事な締めくくりだと思います。

 あと本作品を語る上で忘れてはいけないのが、ブラックユーモア満載のCMシーンと敵役ロボ・ED-209です。
 
 本作品は映画の随所に近未来のTVコマーシャルやニュースが流れるのですが、ヤマハの人工心臓や核戦争ゲーム等、どれもアメリカを皮肉った毒のある内容ばかりです。ブラックユーモアを随所に入れることで、この映画は単なる近未来映画でない製作当時のアメリカの影の部分を描くことに成功しています。 
 
 またロボコップの敵役ロボ・ED-209も大変印象的です。CGのない時代なのでストップモーションを利用して一コマ一コマ撮影された映像はカクカクとしておりぎこちない動きとなっていますが、それが妙にリアルさとかわいらしさを与えています。特にロボコップを追って階段を恐る恐る降りるシーンや上部を吹っ飛ばれて足だけで歩くラストシーンは見ていて笑えます。ED-209の撮影を担当したフィル・ティペットは天才です!

 本作品はシリーズ化され3作目まで製作されましたが、1作目の出来には到底及びません。
 バイオレンス描写が激しいので好き嫌い分かれると思いますが、SF映画好きにはたまらない作品です。

製作年度 1987年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 103分
監督 ポール・ヴァーホーヴェン 
脚本 エドワード・ニューマイヤー 、マイケル・マイナー 
音楽 ベイジル・ポールドゥリス 
出演 ピーター・ウェラー 、ナンシー・アレン 、ダニエル・オハーリヒー 、ロニー・コックス 、カートウッド・スミス 、ミゲル・ファーラー 、

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『崖の上のポニョ』主題歌発売!

Ponyo  今日の朝、日本テレビ系列の「スッキリ!!」で宮崎駿の最新作『崖の上のポニョ』の主題歌が初公開されていました。私も偶然見ていたのですが、まさかもう主題歌が出来ているとは思いもよりませんでした。
 今回の作曲を宮崎アニメに欠かせない久石譲さんが、作詞を『ポニョ』の作画監督・近藤勝也氏が担当しています。宮崎監督は今回の主題歌を作るに当たって「能天気に突き抜けた歌を作ってほしい」と久石さんに要望したそうです。
 主題歌を歌うのは団塊世代の一部に熱狂的に支持される藤岡孝章と藤巻直哉のデュオ「藤岡藤巻」と児童劇団所属の子役・大橋のぞみの3人のユニットです。この3人を起用したのは父娘で一緒にお風呂に入り、たどたどしく歌う女の子を手助けするお父さんの構図をイメージしてのことだそうです。
 ちらっとテレビで聞いた感想は子どもが非常に口ずさみやすそうな歌でした。
 12月5日には主題歌のCDが先行発売されるそうです。今から非常に楽しみです。

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『スペースバンパイア』この映画を見て!

第179回『スペースバンパイア』
Life_force 今回紹介する作品はカルト的人気を誇るエロティックSFホラー『スペースバンパイア』です。

 この作品以前は日曜洋画劇場で何回も放映されていたので見たことある人も多いと思います。また見たことない人もダイナミックなテーマ曲はテレビでよく流れているので聞いたことがあるかと思います。

  本作品は一般的にB級映画として扱われていますが、スタッフは大変豪華です。音楽は『ティファニーで朝食を』のヘンリー・マンシーニが担当。SFXは『スタートレック』のジョン・ダイクストラ。脚本は『エイリアン』のダン・オバノン。そして監督を『悪魔のいけにえ』や『ポルターガイスト』などホラー映画の演出で定評があるドビー・フーパーが担当しています。

ストーリー:「ハレー彗星を調査する為にスペースシャトルチャーチル号は彗星の近くで謎の宇宙船を発見する。宇宙船を調査すると、ミイラ化した宇宙生命体と2人の男と1人の女が入ったカプセルが発見された。チャーチル号に3対のカプセルに入った人間を回収するが、1ヵ月後地球との連絡が途絶える。救援に向かったコロンビア号は火災を起こし焼け爛れた船内から全く無傷だった3つのカプセルと人体を回収する。
 カプセルの3体はロンドンの宇宙センターに運ばれる。しかしカプセルの女が突如起き上がり、警備員を誘惑して精気を吸収し殺害。その後、センターを脱走しロンドンの街へと逃げ込む。犠牲となった警備員もも2時間後に蘇り、人間の精気を吸い取るバンパイアと変貌数する。やがて犠牲者が新たな犠牲者を次々と作り出していく。
 そんな中、チャーチル号の脱出カプセルがテキサス州に落下。船長だったカールセンが帰還する。」
 
 私が本作品を見たのは小学生の時ですが、その時は見てはいけないものを見たような恥ずかしさを感じたものでした。なぜなら、本作品は女性の裸体が惜しげもなく出てくるからです。初心な小学生には若い女性の巨乳とそれに欲情する男たちの姿は大変刺激的でした。この映画の魅力の8割はマチルダ・メイの裸体だといっても過言ではありません。

 もちろんSFXもそれなりにがんばっています。精気を吸い取られてミイラ化した人間の姿や人間の体から噴き出した血マチルダ・メイ演じるバンパイアの姿になるシーンなどCGがない時代にも関わらず、かなり完成度は高いです。
 またストーリーも意味不明ながらスケールはだけはとても大きいです。特に後半のロンドンの町がバンパイア化した人間たちでパニック状態に陥る場面はこの映画の大きな見所です。
 
 あと、この映画を語るときに忘れてはいけないのは『新スタートレック』でピカード艦長演じたパトリック・スチュワートの熱演です。バンパイアにのり移られた医師の役を演じているのですが、男とキスしようとするは、殴られるわ、血は噴き出すわ、大変な役を活き活きと演じています。

 この映画は見た目の派手さに比べて中身は薄っぺらですが、ただひたすら派手な音楽と映像、そして巨乳を楽しめたら良い作品です。

製作年度 1985年
製作国・地域 イギリス
上映時間 116分(劇場版は102分)
監督 トビー・フーパー 
原作 コリン・ウィルソン 
脚本 ダン・オバノン 、ドン・ジャコビー 
音楽 ヘンリー・マンシーニ 
出演 スティーヴ・レイルズバック 、マチルダ・メイ 、ピーター・ファース 、フランク・フィンレイ 、パトリック・スチュワート 、マイケル・ゴサード

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「中島みゆきコンサートツアー2007」に行ってきました!

Img_8084_2    9月29日から始まった2年ぶりのみゆきさんのコンサート「中島みゆきコンサート2007」。全32回公演の2回目にあたる大阪フェスティバルホールでの公演に昨日行ってきました!
 昨年の夜会には行って来たのですが、2005年のコンサートには行けなかったので、私としては2001年の「XXIc. 1st. 中島みゆき」以来6年ぶりのみゆきさんのコンサート鑑賞となりました。

 16時には会場となるフェスティバルホールに着き、開場時間まで周辺をうろうろしていたのですが、すでにお客さんが集まってグッズを買っていました。私もすぐにグッズ売り場に行き、パンフレットを購入しました。他にもパスポートケースや「I Love You, 答えてくれ」手拭い、サイレントギターキーホルダーなど欲しいグッズがたくさんあったのですが予算がなく諦めました。
Img_8086   また入場口前にはMBS毎日放送「ちちんぷいぷい」の司会者である角さんから届けられた花が飾ってありました。

 開場時間の17時45分。入場口前は多くの人でごった返しており、熱気でムンムンしていました。
 会場内ではCDが販売されたり、恒例のスタンプコーナーやお便りコーナー投稿所がありました。私のパートナーがお便りを投稿したのですが、残念ながら読まれませんでした。

私はパートナーと一緒にコンサートに言ったのですが、座席がちょうど前から12番目のど真ん中という非常に見やすい座席でした。
 今回のコンサートのセットはさびれた工場のような雰囲気のセットでした。右手側にギターやバイオリン、中央後方にベースとドラム、左手側にキーボードとチェロ、コーラスが配置されいました。みゆきさんが歌う中央手前には赤いギターケースが置かれていました。

 
 開演時間となる18時30分。2回ほど開演ベルがなり、ミュージシャンが登場。そしてセット後方の扉からみゆきさんが赤いドレスを身に纏って登場しました!

(ここから先はコンサートの内容のネタばれになります。まだコンサートに行っていない人で内容を知りたくない人は読まないでください。)

1曲目はダイナミックなイントロと共に
御機嫌如何」を披露。ラストで観客に向かっておじきをしていました。2年ぶりのコンサートの冒頭にぴったりの曲でした。その後、紅白の出場の話しなどをした後、2曲目の「1人で生まれて来たのだから」と3曲目の「あなたでなければ」を歌った後、岐阜のコンサートではまだアルバムが発売されておらず、新曲を歌っても観客が口を開けてポカーンとしていたことなどを語った後、「一期一会」を歌いました。私はこの歌が大好きで自宅で何回も聞いていたのですが、生で聞くと感動もひとしおでした。続いて「with」を熱唱。後半のサビの部分では指文字で「W.i.t.h」「L.o.v.e」と表現をしていました。「with」の後にみゆきさんは下手へ退場されました。
 
 そして白いブラウスに黒いベストとスラックス、そして黒に白い水玉のネクタイを着用して再登場。お便りコーナーとなりました。お便りコーナーでは「会社を休んで来た話し」や「広島から高速バスに乗ってきた男性」のお便りを紹介した後、「ホームにて」をしっとりと歌われました。続いて「看護師を辞めてマンションの管理人になった人」等のお便りを紹介して「命の別名」を熱唱されました。「命の別名」では後半の歌詞を間違えていました。最後に「中島みゆきコンサートは1人で行くもの」という内容のお便りを読んだ後、ララバイSINGER~アザミ嬢のララバイを歌いました。歌っている途中「左翼は海」の部分でみゆきさん突然ギャーと大声で叫び歌が中断されるハプニングがありました。観客からも拍手と声援が起こりました。
 その後、再度最初から歌い始めました。このようなハプニングもコンサートならではです。お便りコーナー終了後はTOKIOに曲を提供した話しを披露。アルバム作成中にジャニーズから電話がかかってきて、自分のアルバム用に作っていた「宙船」を提供したそうです。「宙船」をTOKIOに渡すとき歌のイメージを説明するためにデモテープを渡したそうなのですが、自分は譜面どおりに歌えないからコーラスとして毎回活躍している宮下文一さんに歌ってもらったテープを渡したそうです。そこで宮下さんが1番を歌い、2番をみゆきさん、サビを交互に歌う形で宙船が披露されました。生で聞くとこの歌迫力がありました。

 「宙船」の後は打って変わってしっとりと「昔から雨が降ってくる」を歌い上げていました。この歌の後にみゆきさんは再度ステージから退場されました。

続いて白いドレス姿で登場したみゆきさん。デジャブの話しをした後、自分がツアー前によく見るイントロを聞いても曲が思い出せない悪夢の話を披露しました。その後、吉田拓朗の「唇をかみしめて」を歌いました。みゆきさんが自分以外のアーティストの歌をコンサートで披露するのは初めてだと思います。続けて「ファイト」を披露。まさかこの歌が聞けるとは思えなかったので非常に嬉しかったです。力強いみゆきさんの歌声に鳥肌が立ちました。
 この後、「夜会」の話しをして、今まで「夜会」でのイメージが強くコンサートで歌わなかった「誕生」を披露。この歌も大好きだったので、まさかコンサートで聞けるとはと感動しました。
 この後、バンドメンバーの紹介をして、新アルバムからロックテイストの曲「ボディ・トーク」「 I Love You,答えてくれ」を披露。みゆきさんの力強い歌声が会場中に響き渡り、私のテンションも上がりっぱなしでした。
 ちなみに今回の新アルバム『I Love You,答えてくれ』は前回のアルバム『ララバイSINGER』と対になっている作品であり、前回が母性なら今回は父性を前面に押し出した作風にしたそうです。
  その後、
「同じ時代に生まれてありがとう」が今回のコンサートのテーマであることを説明して、トリである重き荷を負いて」を熱唱されました。

アンコールでは
ラメの入ったジーンズに黒いタンクトップの上に白いジャケットを着て登場。ギターを片手に激しいロックナンバー『本日、未熟者』とハードロック・バージョン『地上の星』を熱唱。そしてラストに新アルバムから『背広の下のロックンロール』を披露しました。ラストでは1階席の観客はほぼ総立ちとなっていました。観客の手拍子もあっており、会場一体が盛り上がっていました。

 コンサート終了時間は21時16分と2時間40分近いコンサートでした。今回のコンサートは個人的に聞きたい曲が数多く発表されたので大満足でした。「誕生」や「with」、「ファイト」が一気に聞けるとは思いもしませんでした。
 55才になっても、あのような力強い声で歌うことができるみゆきさんは凄いと思います。鳥肌が立ちっぱなしの2時間40分でした。私のパートナーは初めてのコンサートでしたが、中島みゆきのパワーに圧倒されたとのことです。
 
 みゆきさんによると今回のコンサートは毎回微妙に曲が入れ替わっているそうです。ちなみに岐阜の1回目では「ホームにて」でなく「蕎麦屋」が、「with」でなく「EAST ASIA」が、「命の別名」でなく「糸」が披露されたそうです。今後のコンサートでどんな歌が披露されるのかも気になるところです。

次回のコンサートがいつになるか分りませんが、ぜひ次回のコンサートも行きたいものです。


【10月4日演奏曲目】

1 御機嫌如何 (『中島みゆき』収録)
2 1人で生まれて来たのだから(「月WINGS」収録)
3 あなたでなければ( 『ララバイSINGER』
4 一期一会 (『I Love You,答えてくれ』
5 with (『夜を往け』収録)
6 ホームにて (『あ・り・が・と・う』収録)
7 命の別名  (『私の子どもになりなさい』収録)
8 ララバイSINGER~アザミ嬢のララバイ (『ララバイSINGER』
9 宙船 (『ララバイSINGER』
10 昔から雨が降ってくる (『I Love You,答えてくれ』
11 唇をかみしめて(作詞・作曲:吉田拓郎) 
12 ファイト! (『予感』収録)
13 誕生 (『EAST ASIA』収録)
14 ボディ・トーク 『I Love You,答えてくれ』
15 I Love You,答えてくれ 『I Love You,答えてくれ』
16 重き荷を負いて (『ララバイSINGER』
  ~アンコール~
17 本日、未熟者 (『I Love You,答えてくれ』
18 地上の星 (『短編集』収録)
19 背広の下のロックンロール (『I Love You,答えてくれ』
 

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『I Love You,答えてくれ』

中島みゆきのアルバム紹介No.3『I Love You,答えてくれ』 
I_love_you  今日、中島みゆきの通算35枚目となるニューアルバム『I Love You,答えてくれ』が発売されました。ちょうど3年ぶりとなる全国ツアー「中島みゆきコンサートツアー2007」もスタートしており、本アルバムに収録されている作品からも何曲か歌われることでしょう。
 私も明日のコンサートに向けて昨日アルバムを購入して何回も繰り返し聞いているのですが、今回のアルバムは個人的に近年のみゆきさんのアルバムの中で最高の仕上がりになっていると思います。
 今回のアルバムはロックという形式にこだわったというだけあり、歌詞、メロディー、歌い方全てにおいて力強い仕上がりとなっています。

 1曲目の「本日、 未熟者」はTOKIOに「宙船」に続いて提供された曲ですが、中島みゆきのドスの利いた声の迫力に圧倒されます。1曲目からこんなハードロックな曲を持ってくるとは、みゆきさんの本アルバムにかけるロックに対する意気込みを感じさせます。みゆきんさんのバージョンを聞くとTOKIOのバージョンは物足りなさを感じてしまいます。
 
 2曲目の「顔のない街の中で」。現代社会の自分に関係ない他者への無関心を戒める内容の歌詞となっており、聞いていて自分の生き方を思わず見直してしまいました。この歌はぜひ多くの人に聞いてもらいたいです。

 3曲目の「惜しみなく愛の言葉を」はいかにもみゆきさんらしい恋愛ソングとなっています。
 
 4曲目の「一期一会」はMBS/TBS系全国ネットで放映されている「世界ウルルン滞在記~ルネサンス~」の主題歌です。シングルでも発売されており、私もすでに何十回と聞き込んでいるのですが、この曲は別れゆく他者に対する本当の思いやりとは何かを聞く者に教えてくれます。
 
 5曲目の「サバイバルロード」はハードロックな曲です。都会の中で生きるアウトローたちの孤独や緊張感みたいなものが聞いていて伝わってきます。 
 
 6曲目の「Nobody Is Right」は正しさとは何かを問うメッセージ性が非常に強く感じられる曲です。私は聞いていて911以降のアメリカの軍事政策に対する批判みたいなものを感じました。おもしいのは、私のパートナーは政治的なメッセージというより自分の生き方を反省させられたと言っており、聞く人によっていろいろ感じ考えさせられる曲となっています。

 7曲目の「アイスフィシュ」はみゆきさんらしい独特な喩えを用いた恋愛ソングです。相手のことを思いながら、自分の殻を破れない人間の葛藤を繊細な表現で歌っています。

 8曲目の「ボディ・トーク 」は言葉を大切にして歌を作ってきたみゆきさんが恋愛における言葉の限界を語る内容の歌となっており、みゆきさんの言葉に対する限界を何とか打破しようとする表現者としての格闘を強く感じました。

 9曲目の「背広の下のロックンロール」は中高年サラリーマンに対するみゆきさんからの応援歌です。会社社会の軋轢の中で生きる男たちの隠された熱い思いを力強く歌い上げています。

 10曲目の「昔から雨が降ってくる」はMBS/TBS系全国ネットで放映されている「世界ウルルン滞在記~ルネサンス~」のエンディングテーマです。この曲は歴史の大きな時間の流れの中で生きている私たちと消えていった過去の命との連綿としたつながりを気づかせてくれます。

 11曲目の「I Love You, 答えてくれ」は本アルバムのタイトルにもなっていますが、最初聞いたときは感動で鳥肌が立ちました。相手に対する一途な思いと見返りを求めない無償の愛の素晴らしさ。愛で心が傷ついた人たち、愛に臆病になっている人たちにぜひ聞いていほしいです。

 本アルバムを聞くと中島みゆきの力強さと優しさに励まされます。小手先のロックでない本当のロックがこのアルバムにはあります。

 ちなみに本アルバムの題字を担当したのは詩人の三代目魚武濱田成夫が担当しています!
 
1. 本日、 未熟者 
2. 顔のない街の中で 
3. 惜しみなく愛の言葉を 
4. 一期一会 
5. サバイバル・ロード 
6. Nobody Is Right 
7. アイス・フィッシュ 
8. ボディ・トーク 
9. 背広の下のロックンロール 
10. 昔から雨が降ってくる 
11. I Love You, 答えてくれ 

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