『ミッドナイト・クロス』この映画を見て!
第184回『ミッドナイト・クロス』
今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督がジョン・トラボルタ主演で製作したサスペンス映画の傑作『ミッドナイト・クロス』です。
ストーリー:「B級映画専門の音響効果の仕事をするジャック。ある晩、効果音の収録をしている最中に、川に車が転落する事故の一部始終を目撃する。ジャックは慌てて沈みゆく車に乗っていた女性サリーを救い出すが、男は既に死んでいた。病院で死んだ男が次期大統領候補であることを知ったジャックは今回の事件の事を公にしないように口止めされる。しかしジャックは偶然録音していた事故のテープから一発の銃声を聞きとめた。事故に疑問を抱き始めた彼は、サリーと共に真相を究明しようとするが、何者かに命を狙われ始める。」
映画のストーリー自体はサスペンスとしては今ひとつ詰めが甘く、主人公や犯人の行動にも疑問を感じるところがあります。
しかし、それを補って余りあるほどの魅力が本作品にはあります。それはデ・パルマ監督らしい華麗なカメラワークと映像美、そして深い余韻を残すラストシーンです。
オープニングいきなり学園を舞台にした架空のB級ホラー映画のシーンから始まるのですが、殺人鬼の主観で捉える映像はなかなかの緊張感があります。その後も、デ・パルマ監督らしい二画面分割、360度パン、そしてスローモーションなどが随所に用いられて映画を盛り上げます。
特に見所なのが街中でのカーチェイスシーンとクライマックスの花火の中での主人公ジャックがサリーを抱くシーンです。フィラデルフィアの街中を主人公が車で疾走するシーンは空撮の映像が非常に印象的です。またクライマックスの花火が打ちあがる中でジャックがサリーを抱くシーンはピノ・ドナッジオの音楽との相乗効果で切なくも美しいシーンに仕上がっています。
映画のラストはハリウッド映画には珍しくバットエンドなのですが、深い余韻を見る者に与えてくれます。主人公の最後の行動に関しては賛否両論あると思いますが、私としては主人公の悲哀を強く感じました。
本作品は役者の演技も大変印象的です。事件の真相を追うジャックを演じる若かりし頃のジョン・トラヴォルタ。ラストシーンの切ない表情が印象的です。またヒロインのサリーを演じるナンシー・アレン。デ・パルマ監督の作品ではおなじみの役者ですが本作品でも甘い声と叫び声が大変印象的です。そして主人公を狙う殺し屋を演じるジョン・リスゴー。殺し屋の冷酷さと狂気を見事に独特の存在感で見事に演じています。
秋の夜長にお勧めのサスペンス映画です!
製作年度 1981年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 113分
監督 ブライアン・デ・パルマ
製作総指揮 フレッド・カルーソ
脚本 ブライアン・デ・パルマ
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 ジョン・トラヴォルタ 、ナンシー・アレン 、ジョン・リスゴー 、デニス・フランツ 、ピーター・ボイデン
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