『ワイルドバンチ』(特別版)この映画を見て!
第177回『ワイルドバンチ』(特別版)
今回紹介する作品は映画史においてバイオレンス・アクションの頂点として評価されている西部劇『ワイルド・バンチ』です。
公開当時はオープニングとラストの過激な銃撃戦が大変話題を呼びました。一般市民も巻き込んだオープニングの生々しい銃撃戦、「死の舞踏」と呼ばれるほど残酷で美しいラストの銃撃戦。本作品の銃撃戦は芸術の域まで達しています。監督のスローモーションを多用した撮影方法と膨大なカットを巧みに使用した編集方法は、後のアクション映画にも多大な影響を与えました。
ストーリー:「西部開拓史がとうに終わりを告げた20世紀初頭のアメリカ。パイクを中心とする中年強盗団ワイルドバンチは銀を奪うために鉄道事務所を襲撃する。しかし、それは一味を捕らえるための鉄道会社の罠だった。市街地での壮絶な銃撃戦の末、何とか逃げ切るワイルドバンチの生き残った5人の男たち。仮釈放されたかつての仲間ソーントンの追撃する中、メキシコにたどり着く。
そこで野盗の大将マパッチ将軍に米軍の武器弾薬強奪の話しを持ちかけられる。米政府の輸送列車の襲撃に成功するワイルドバンチ。しかし、武器引渡しに至り、仲間の一人がリンチを受ける。復讐に燃える4人の男たちはマパッチ将軍に闘いを挑む。」
始めて本作品を見た時は主人公たちの生き様のカッコ良さにしびれたものでした。時代の変化に取り残され男たちが最後まで自分たちの生き方にこだわりつづける姿に私は切なさと潔さを強く感じたものでした。
子どもたちが蟻に襲われているサソリをいじめる強烈なシーンから本作品は始まりますが、そのシーンに本作品のテーマが見事に凝縮されていると思います。かつて力を誇った男たち(サソリ)が新たな時代(子ども)についていけず滅んでいく・・・。
映画のラスト、捕らえられた仲間を救出するために勝ち目のない闘いを挑む男たちの姿には哀愁と意地と美学が感じられます。
また、本作品は子どもたちが非常に存在感を持って描かれています。映画のオープニングはもちろんのこと、後半のマパッチのアグアベルデにおいても頻繁に無垢で残酷な子どもたちの姿が描かれます。本作品において子どもたちは善と悪、正義と不正義、美と醜が混沌としている世界でしぶとく生きる人間たちの象徴です。
本作品はアクションシーンの迫力ばかりが注目されますが、静かな場面もとても印象的です。映画の中盤の村での何気ない会話、ラストのソーントンが一人佇む場面。静と動のコントラストが本作品に躍動感と叙情性を与えています。
最近の派手なだけで中身のないアクション映画とは一味違う大人の男のための映画です。好き嫌いは分かれると思いますが、男なら一度は見て損はないと思います。
製作年度 1969年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 145分
監督 サム・ペキンパー
原作 ウォロン・グリーン 、ロイ・N・シックナー
脚本 サム・ペキンパー 、ウォロン・グリーン
音楽 ソニー・バーク 、ジェリー・フィールディング
出演 ウィリアム・ホールデン 、アーネスト・ボーグナイン 、ロバート・ライアン 、ウォーレン・オーツ 、ベン・ジョンソン 、エドモンド・オブライエン
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