「愛すべきB級映画たち」私の映画遍歴13
「映画は芸術だ」という人がいますが、私の中で「映画は芸術であり見世物でもある」と思っています。黒澤明やキューブリック、タルコフスキーのような監督が作り上げる芸術的な作品も大好きですが、低俗で下らなく安っぽいB級の映画も大好きです。
そこで今回は「時間に暇があり、何も考えたくない時」にお薦めのB級映画をご紹介します。
そもそもB級映画とは低予算かつ短期間で撮影された映画のことを指します。なぜそれらの作品を「B級」と言うかというと以下のような理由があります。
『アメリカでは1945年以前、映画は2本立て公開されており、その1本目に前座として低予算映画が上映されていました。その低予算映画は『B撮影所』で撮られたものだったため、「B映画(B-Pictures)」と呼ばれ、それが後に「B級映画」へ転じていった。』
(フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)
私の中でB級映画とは以下のような作品を指します。
・人類の危機など大げさな設定の割りに、しょぼい映像かつこじんまりとしたストーリーの作品
・無名な女優のお色気シーンや、荒地や工場・倉庫等でのアクションシーンがやたらに多い作品
・汚い描写、グロい描写にやたらこだわる
・ラストが意味不明だったり、続編がありそうな感じで終わることが多い
昔の映画館では2本立てで映画が公開されることが多く、B級映画が比較的多く上映されていました。またテレビでも日曜洋画劇場や深夜にB級作品がよく放映されていました。その為、B級映画を普段から見る機会に恵まれていました。
逆に最近は多くの映画館で上映される多くの作品はある程度有名なキャストを起用し、予算をかけて製作されたものばかりです。(内容的にはB級映画よりも面白くなく、退屈な作品も多いですが・・・。)またテレビでもヒット作ばかり放映することが多く、以前ほどB級映画が放映されることが少なくなりました。
その為、B級映画と呼ばれる作品を見るためにはミニシアターに行くか、ビデオを借りるしかなく、B級映画が好きな人以外は気軽に見る機会が少ない状況です。(確かにわざわざ金を出してまで下らない作品を見たいという人は少ないかもしれませんが・・・)
B級映画は確かに内容は突っ込みどころも多く、中身も薄っぺらいです。だからこそ、肩肘張らず気楽に見ることができますし、突っ込みどころが多い分、大勢でワイワイ見られます。
ぜひ多くの人にB級映画の素晴らしさを感じて欲しいです。
・私のお薦めB級映画10本!
『スクワーム』(1976年、アメリカ、96分)
アメリカの田舎町で突如大量のゴカイが人間を襲うという悪趣味極まりない本作品。見所は人間の体にゴカイが食い込むシーンとシャワーを浴びていたらゴカイが落ちてくるシーンです。本作品は撮影の為に8000万匹のゴカイを集めたそうです。これだけたくさんのゴカイが登場する作品後にも先にもありません。この作品を見ると、しばらくはパスタが食べられなくなるのでご注意を!
『スペースバンパイア』(1985年、アメリカ、116分)
吸血エイリアンが人間を襲うという本作品。昔、日曜洋画劇場でよく放映されていました。『エイリアン』のダン・オバノンが脚本、『悪魔のいけにえ』のドビー・フーパーが監督、ヘンリー・マシニーが音楽という有名なスタッフが結集して製作された作品ですが、中身は思いっきりB級です。見所はマチルダ・メイの裸体と精気をすわれてミイラ化する人間の描写です。設定と音楽は思いっきり壮大ですが、映像とストーリーは何とも安っぽいです。
『地獄のデビル・トラック』(1986年、アメリカ、98分)
地球の側を通過した彗星の影響で、地上のあらゆる機械が人間を襲い始めるという本作品。ホラー小説の帝王スティーブン・キングが自らの原作を元に初監督した作品でもあります。この作品を見ると小説家として才能がある人が監督としての才能があるとは限らないことが良く分かります。映像・音楽・ストーリー全てにわたってB級感丸出しで、下らないの一言です。ただこの下らなさがB級好きにはたまりません。
『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978年、アメリカ、98分)
突如トマトが人間を襲うという本作品。ティム・バートン監督が98年に監督した火星人襲来映画『マーズ・アタック!』の元ネタでもあります。
トマトがどう人間を襲うのかと期待して見てみると、小さいトマトや張りぼてのトマトがただ転がって、人間が慌てふためいているだけという下らなさ。怖くもなければ、さして面白くもない作品ですが、トマトが人間を襲うという設定だけで映画を作ろうとした人たちはある意味凄いと思います。
『シーバース』 (1975年、カナダ、95分)
寄生虫が理性を狂わせマンションの住民を次々に支配していくという本作品。監督は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『裸のランチ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグが担当。彼の作品らしく、内臓感覚にこだわった描写があります。寄生虫が体に入ると性衝動が高まり、エッチをすると相手にも感染するという設定なのですが、エログロ満載のストーリー展開は見る者を画面に釘付けにします。
『地獄』 (1960年、日本、100分)
この世とあの世の地獄絵図を生々しく描いた本作品。1960年に製作された作品でありながら、今見ても強烈な印象を残す作品です。監督は『東海道四谷怪談』等で有名な中川信夫が担当。この作品はこの世の悲惨な出来事を描く前半とあの世の地獄を描く後半の2部構成となっており、映画の中盤に登場人物全員が死んで地獄に行くという凄いストーリー展開となっています。前半のこれでもかと主人公を襲う不幸な出来事も見所満載ですが、何と言っても後半の地獄絵図が最大の見所です。特撮はチープでありながら、何とも生々しいものがあり、見る者を圧倒します。
『牛頭 極道恐怖劇場』(2003年、日本、126分)
主人公のヤクザが兄貴分を殺してしまうことで不条理な世界に足を踏み入れるという本作品。最初見たときはあまりに意味不明な展開が続くので正直戸惑ってしまいました。ストーリーだけ追うと退屈な作品でありますが、鬼才・三池崇史が監督しているだけあって、映像と演出が強烈で不気味な雰囲気が終始漂います。見所はラストシーンの哀川翔の予想外の登場の仕方!まさかあそこからあんな形で登場するとは。一見の価値ありです。
『シベリア超特急』
シベリア鉄道を走る列車内で起きる連続殺人事件の謎を陸軍大将・山下泰文が推理するという本作品。映画評論家として活躍した水野晴朗が主演・脚本・監督を務めた力作であるのですが、見事なほど出来の悪い作品です。水野晴郎のセリフ棒読みの演技、セット丸出しの映像、二重三重のどんでん返しの下らなさ、全てにおいて最低です。しかし、ここまで最低だと、逆に見ていて面白いものがあります。
『女囚さそり・けもの部屋』(1976年、日本、83分)
篠原とおる原作の人気劇画を梶芽衣子主演で映画化した『女囚さそり』シリーズ。全部で4作品製作されましたが、その3作目に当たる作品が本作品です。刑務所を脱獄した“さそり”こと松島ナミの活躍を描くのですが、その描き方がぶっ飛んでいます。まるでサイボークのように不死身かつ超人的な活躍をするさそりの姿は見ていて圧倒されます。また脇役の個性も強烈で、特に李礼仙と成田三樹夫の演技は凄いの一言です。
『発狂する唇』(1999年、日本、85分)
女子中学生連続殺人事件の容疑者の家族を襲う不条理な悲劇を描いた本作品。『リング』の高橋洋が脚本を担当しているので、一見とてつもなくシリアスな作品かと見間違うのですが、内容はハチャメチャの一言です。ホラーあり、スプラッターあり、過激な性描写あり、カンフーあり、ミュージカルありのごった煮の状態で、意味不明なシーンのオンパレードです。登場人物も一癖も二癖もある人ばかりです。見所は主人公を演じる三輪ひとみに訪れる災難の数々とラストの大杉漣ぶっ飛んだ演技です。
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