『キャリー』この映画を見て!
第171回『キャリー』 今回紹介する作品は超能力を持った少女の悲劇を描いた青春ホラー映画の傑作『キャリー』です。
ホラー小説の第一人者であるスティーヴン・キングの同名長編小説を映画化した本作品。原作者のキング自身も大変気に入っており、「私の作品の中でもっとも忠実に映像化されている」と絶賛しています。
監督は独自の映像表現で多くのファンを魅了するブライアン・デ・パルマが担当。本作品でもスローモーションや分割画面、滑らかな移動撮影などデ・パルマらしい映像表現が満載となっています。個人的には彼の監督作の中でこの作品が一番完成度は高いと思います。
ストーリー:「狂信的なキリスト教信者である母を持つ女子高生キャリーは内気で冴えない容姿の為に学校でいじめられていた。そんなある日、体育の授業後のシャワーを浴びている最中に初潮を経験してパニックを起こす。キャリーは母から月経について今まで教えてもらったことがなかった為に病気と勘違いしていた。クラスメートの多くはパニックになったキャリーを見てバカにする。自宅でも初潮になったことを母から激しく責められるキャリー。
そんな彼女を励まそうとする友人スーはプロムパーティーに誘おうとする。最初は渋っていたキャリーだが、次第にパーティに行くことに乗り気になる。
その頃、キャリーをいじめたクラスメートたちは先生からプロムパーティーの出席禁止を言い渡される。キャリーのせいで出席できないと逆恨みをしたクラスメートたちは彼女にパーティで恥をかかそうと恐ろしい計画を立てる。
パーティー当日、反対する母を押し切って出席するキャリー。クィーンにも選ばれ有頂天になるキャリー。しかし、クラスメートが仕組んだ恐ろしい罠によって、舞台に立ったキャリーに悲劇が訪れる。そして、それはクラスメートたちにとって地獄絵図の始まりだった・・・。」
私はこの作品を実際に見るまではポスターだけ見て血まみれの陰惨なホラー映画だと思っていました。しかし、映画を見た後はショッキングなシーンよりも主人公の辿る哀しい運命が記憶に残ったものでした。内気で冴えない女の子が自分の殻を破ろうパーティーに行く姿は見ていて応援したくなりましたし、パーティーでの幸せそうな姿は見ていて、ここえで映画が終わって欲しいとさえ思ってしまいました。
映画のラストは阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されるのですが、そのようなシーンも怖いというよりは切ないものを強く感じてしまいました。特に傷ついた心を慰めてもらおうと母の側に行ったにも関わらず、裏切られるシーンは見ていて辛いものがありました。
この作品で主人公のキャリーを演じたシシー・スペイセクと狂信的な母を演じたパイパー・ローリーは迫真の演技でアカデミー賞にノミネートされました。悲劇のヒロイン役を見事に演じきったシシー・スペイセクも印象的でしたが、何といってもパイパー・ローリーの圧倒的な存在感が印象に残ります。あと、若かりし頃のジョン・トラヴォルタも登場していますので、ファンの人はお見逃しなく!
私の中でこの作品はホラー映画というより哀しい青春映画だと思います。ホラー映画が苦手な人にも是非見てもらいたいです。
製作年度 1976年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 98分
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 スティーヴン・キング
脚本 ローレンス・D・コーエン
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 シシー・スペイセク 、パイパー・ローリー 、ウィリアム・カット 、ジョン・トラヴォルタ 、エイミー・アーヴィング 、ナンシー・アレン 、ベティ・バックリー 、P・J・ソールズ 、シドニー・ラシック 、プリシラ・ポインター
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
TBどもでした。
「キャリー」良いですね。私はいじめられっこでしたので、キャリーに思いっきり感情移入しちゃって見てました。
近年(でもないかな?)だと、キャリーの系譜に連なる作品で「メイ」ってのがあって、そちらもセンチメンタルホラーとしてなかなか良い感じです。
投稿: GMN(TRUTH?ブログエリア) | 2007年8月20日 (月) 22時57分