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『大日本人』映画鑑賞日記

Dainippon  今回紹介する作品はダウンタウンの松本人志が企画・初監督・主演を務めた作品『大日本人』です。公開前から大変話題になっていた本作品。映画の内容に関する情報が公開直前までほとんど明らかにされなかったので、見るまではどんな内容か想像を膨らましたものでした。カンヌでは絶賛されたという報道もあれば、酷評されたという報道もあり、非常に賛否両論分かれる作りになっているのだろうと思ったものでした。
 北野監督の『監督・ばんざい!』と同じ日に公開されたので、芸人監督同士の対決とマスメディアでは大きく取り上げれてていました。私も同じ日に両作品とも鑑賞したのですが、個人的には北野監督の作品の方が面白かったです。
 ただ松本監督の作品も単に駄作と片付けるには勿体無い作品であり、非常に良い線まで言っているけど、後一歩が残念な出来の作品と言わざる得ません。

 
(ここから先はネタバレになるので、まだ見ていない人は注意してください!)
 
 ストーリー:「大佐藤大(だいさとうまさる)の日常生活を追うドキュメンタリースタッフ。彼は一見すると冴えないおじさんだが、高圧電流によって巨大化して、“獣(じゅう)”を倒していく大日本人の家系の末裔だった。かつては国民を守るヒーローとして敬われていた大日本人。しかし、時代に流れから、多くの国民の関心を失い、近隣住民からは疎まれる存在になっていた・・・。」
 
 本作品の大きな特長は全編ドキュメンタリータッチで描かれているところです。ストーリーはカメラマンが大佐藤大にインタビューする形で展開していくので、最初は彼が一体何者か全く分かりません。
 彼の正体が明らかになるのは映画が始まって30分以上経ってからなのですが、彼が巨大化するシーンは呆気にとられました。
 彼が巨大化して戦うシーンは思った以上にCGの出来がよく(もちろんハリウッドにはかないませんが・・・。)、迫力あるシーンとなっており、この作品が10億円も制作費をかけた理由も頷けました。獣のデザインも非常に気持ち悪くかつ個性的で、強烈なインパクトがありました。

 また現代の日本の家族関係の希薄さやマスメディア批判、日米関係の問題、アメリカ批判などの社会風刺が随所に見られたのも松本監督の日本人に対する思いが垣間見えれ興味深かったです。

あと俳優の使い方も予想外で、こんな形でこの人が登場するのかと驚き、そして笑ってしまいました。特に竹内力と神木隆之介の登場シーンは可笑しさの余り噴き出してしまいました。

 この作品は爆笑する作品と言うよりはクスクス笑う作品だと思います。獣と戦闘シーンや映画の随所に挿入される小ネタなども笑えます。しかし、それ以上にヒーローである主人公の情けなく哀愁漂う日常生活に共感しつつクスクス笑わせるのが監督の意図だと思いました。
 
 映画のラストは作品そのものを崩壊させるようなオチですが、ここは個人的には最後までドキュメンタリータッチで終わらせたほうが良かったと思います。何か映画でなくテレビのコントを見せられているかのようなラストは物足りませんでした。せっかく映画なのだから、テレビでは出来ないもっと予想外のオチをつけて欲しかったです。
 だらだらと続くエンドロールも面白いと言えば面白いですが、くどさも感じてしまいました。

 後、この作品で残念な点は編集です。松本監督の独特の間を尊重する編集自体は良いと思うのですが、このネタで2時間は少し長すぎました。インタビューのシーンもダラダラ過ぎて飽きてしまうところがあり、もう30分削ったほうが見やすかったと思います。
 
 ドキュメンタリータッチでヒーローの日常生活を描くという演出は面白いと思っただけに、もう少し編集やオチに工夫が欲しかったです。

製作国・地域 日本
上映時間 113分
監督 松本人志 
製作総指揮 白岩久弥 
脚本 松本人志 、高須光聖 
音楽 テイ・トウワ 
出演 松本人志 、竹内力 、UA 、神木隆之介 、海原はるか 、板尾創路 

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