« 『ホテル・ルワンダ』この映画を見て! | トップページ | 夜会 VOL.4 『金環蝕』 »

夜会VOL.5『花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』

夜会VOL.5『花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』

Yakai_5  中島みゆきによる言葉の実験劇場「夜会」。その第5弾にあたる本作品は『雨月物語』の中の「浅芽が宿」を基にしています。
 「雨月物語」は江戸時代に上田秋成によって書かれた怪奇小説です。全部で9篇の小説からなる短編集で、「浅芽が宿」はその中の1篇で、帰らぬ夫を待ち続ける女の幽霊のお話です。
 中島みゆきは本作品で「男たちを待つ女たち」の切なさや悲しみを描くと同時に、受け身でない新たな女性像を提示する作品となっています。
 本作品は5つの章から成っています。各章ごとに主人公の女性は違うのですが、舞台は共通しており月明かりの夜の喫茶店の外のテーブルとなっています。
 登場人物は5人と少なく、出演者も2人だけです。男を待ち続ける4人の女性たちと時間泥棒を中島みゆきが演じ、そんな女性に飲み物を運ぶ男性ウェイターを中国の俳優・張春祥が演じています。
 
 この作品は夜会の中でも上演時間が150分以上と長く、ストーリーも難解で一度見ただけでは分からないところがあります。
 しかし、それを補って余りあるほどの魅力がこの作品にはあります。それは何かというと中島みゆきという女性の美しさです。各章ごとに和服姿、お嬢様姿、半被姿、妊婦姿と様々な女性を演じる中島みゆき。衣装がとても素晴らしく、彼女のもつ美しさが見事に引き出されています。

 この作品は他の夜会に比べるとストーリーが難解だという感想が多いです。しかし、その分何度見ても発見があり楽しめる作品となっています。この作品は歌はもちろんのこと、舞台上の細かな美術や演出にストーリーやテーマのヒントが隠されています。
 例えばテーブルの上に置いてある花や登場する女性全員が靴を履いていないことにも意味が込められています。その意味が知りたければ、幻冬舎文庫から発売されているシナリオ本を読むことをお薦めします!その本を読むと、この作品に対する理解が深まると思います。

 この作品は男を待つ女性を美徳とする伝統に対する挑発と受け身ではない新たなる女性像の提示していると私は思います。第5幕の時間泥棒のシーン。そこでは、ただ待ち続けるのでなく、自ら会いに行こうとする女性が描かれます。
 ラストシーン、時間泥棒が待ち続けてこの世に止まっている魂を引き連れて、月に向かって上っていく姿は感動的で鳥肌が立ちます。

 私はこの作品が夜会の中で一番芸術性溢れる作品だと思います。未見の方はぜひご覧ください!

会場:Bunkamuraシアターコクーン
1994.11.14~12.11
全22回公演

1. どこにいても 
2. 雨が空を捨てる日は 
3. 家出 
4. バス通り 
5. 雨のテーマ 
6. 笑わせるじゃないか 
7. 人待ち歌 
8. 信じ難いもの 
9. サッポロスノーウィ 
10. ノスタルジア 
11. 船を出すのなら九月 
12. 遍路 
13. まつりばやし 
14. 3分後に捨ててもいい 
15. りばいばる 
16. 二隻の舟 
17. 雨月の使者 
18. 孤独の肖像1st 
19. 彼女の生き方 
20. テキーラを飲みほして 
21. たとえ世界が空から落ちても 
22. くらやみ乙女 
23. 愛よりも 
24. 人待ち歌 
25. 夜曲 
26. インストゥルメンタル「人待ち歌」 

|

« 『ホテル・ルワンダ』この映画を見て! | トップページ | 夜会 VOL.4 『金環蝕』 »

中島みゆき」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105630/15254145

この記事へのトラックバック一覧です: 夜会VOL.5『花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』:

« 『ホテル・ルワンダ』この映画を見て! | トップページ | 夜会 VOL.4 『金環蝕』 »