『ガメラ 大怪獣空中決戦』この映画を見て!
第156回『ガメラ 大怪獣空中決戦』
今回紹介する作品は日本怪獣映画の金字塔「平成ガメラシリーズ」の記念すべき第一作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』です。 個人的には2作目の『レギオン襲来』が一番好きなのですが、1作目も高い完成度を誇っています。
平成ガメラシリーズは監督の金子修介を始めとして、脚本の伊藤和典、特撮の樋口真嗣といった怪獣映画大好きな映画関係者が結集して製作されただけあって、怪獣映画ファンのツボを押さえた作りとなっています。人間の目線から怪獣を捉えた映像は迫力満点ですし、現実に怪獣が日本を襲った場合にどうなるかを徹底的にシミュレーションしたリアルなストーリーは大人が見ても十分楽しめる仕上がりとなっています。
ストーリー:「古代文明の遺伝工学が生み出した危険生物ギャオスが現代の日本で突如蘇る。政府関係者はギャオスを何とか生け捕りにしようと作戦を立てる。そこに長い眠りから覚めたガメラも現れ、日本で怪獣同士の戦いの火蓋が切って落とされる。」
この作品は無駄なシーンが一切なく、テンポよく話しが進んでいきます。この作品のシナリオの素晴らしいところは、ファンタジーの側面とリアリティの側面が見事に融合されているところにあると思います。古代文明の生み出した怪獣たちが現代の日本で暴れるという非現実的なストーリーを徹底的に現実的な描写で描いたことで、観客を見事に作品の中に引き込ませることに成功したと思います。
特にこの作品で私が素晴らしいと思ったのは特撮です。ハリウッドに比べて予算が少ないにもかかわらず、ミニチュアを多用して、可能な限りのリアリティを映画に与えたと思います。
特撮監督を務めたのは最近は監督業に進出した樋口真嗣。彼は『エヴァンゲリオン』で有名なGAINAXで絵コンテを担当していたこともあり、画の構図や見せ方の巧みさは業界でも定番のある人でした。そんな彼を特撮監督して起用したことが、このシリーズを成功に大きく導いたと思います。
彼はこの作品を撮るにあたって、綿密な絵コンテを先に書き、そのコンテからミニチュアを作成したそうです。そのため、大きなミニチュアセットを組んで撮影するゴジラシリーズとは違い、カメラに映りこむ部分だけのミニチュアを徹底的に作りこんで撮影することができたそうです。その結果があの現実味溢れる人間目線からの映像へとつながったわけです。
(最近は『日本沈没』などの特撮映画の監督を務めていますが、どれも出来は今ひとつなので、できれば特撮の仕事だけに専念した方がよいかと思います。)
ちなみに私が一番好きなシーンはギャオスが夕日の沈む東京タワーの上に佇むシーン。夕日色に染まるギャオスに何ともいえない美しさを感じました。
日本怪獣映画の傑作「平成ガメラシリーズ」は絶対に見て損はしないと思います。この傑作怪獣映画をぜひ皆さんご覧ください!
製作年度 1995年
製作国・地域 日本
上映時間 95分
監督 金子修介
製作総指揮 徳間康快
脚本 伊藤和典
音楽 大谷幸
出演 藤谷文子 、小野寺昭 、中山忍 、伊原剛志 、本田博太郎 、螢雪次朗 、長谷川初範 、本郷功次郎 、久保明 、渡辺裕之 、松尾貴史 、袴田吉彦
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