夜会 VOL.4 『金環蝕』
夜会 VOL.4 『金環蝕』
中島みゆきが日本の古代神話・古事記の「天の岩戸」をモチーフにした夜会『金環蝕』。私は数ある夜会の中でも、この作品が一番好きで何十回とDVDで見直しています。
今回の作品を楽しむためには古事記の中の「天の岩戸」のストーリーを予め知っておいたほうが良いと思います。
・「天の岩戸」ストーリー
イザナギ神から生まれた三柱の神、「天照大神」・「月読尊」・「須左之男命」。天照大神は高天原を治め、月読尊は夜の世界を治め、須左之男命は海を治めることになります。しかし、須左之男命は泣いてばかりいて全く仕事をせず、姉のいる高天原に赴きます。天照大神は須左之男命が高天原を乗っ取りに来たのかと武装して待ち受けていましが、その意志がないことを知り、高天原にしばらく滞在することを許します。
しかし、須左之男命は高天原で次々と悪さをして、ついには天照大神の配下の機織娘を死なせてしまいます。
そのことに怒った天照大神は天岩戸に引き篭ってしまいます。太陽神に隠れられて、真っ暗闇になってしまった世界。困った神々は一計を案じ、岩戸の前で天宇受売神に踊りをさせ宴を開きます。天照大神は外の賑やかさにつられて、少し岩戸を開けて外を見ようとした瞬間、天手力男神に手をつかまれ外に引き出されてしまいます。そして、世界は再び光が降り注ぐことになりました。
中島みゆきは本作品で「天の岩戸」の話しを基にして、常に男性に従順であることが尊ばれる大和撫子的日本女性像からの日本女性の解放を高らかに謳いあげます。美徳や伝統の下、常に男の暴力や抑圧に苛まされてきた日本女性。そんな日本女性たちに束縛からの解放と自分の心に素直になることの大切さをこの作品は訴えかけます。
この作品は現代と古代の話しが交互に描かれていきます。天文台で金環触について語る女性の天文学者。そんな天文学者が夢に見る天の岩戸の伝説。男に振り回された女性の悲しみとそんな悲しみを笑い飛ばす女性のおおらかさ。日本女性の中に存在する天照大神の一面と天宇受売神の一面を中島みゆきは舞台の上で見事に表現しています。
この作品の最大の見所は何といっても後半のEast Asiaからラストの「泣かないでアマテラス」までの熱唱とラストの世にも不思議な踊りのシーン。この一連のシーンに中島みゆきと言うアーティストの凄さが凝縮しており、何度見ても鳥肌が立ちます。とにかく中島みゆきの力強い声には魂が揺さぶられます。私は落ち込んだとき、いつもこの後半からラストのシーンを見ては、元気をもらっています。
また、中盤の「杉本&坪倉ペア」の「歌とボケ」やみゆきさんの巨乳姿での「真直な線」の熱唱は見ていて楽しいです。(それにしても、あの巨乳装置は驚きました!商品化したら、宴会などで使えそうですよね。)
見ていて元気になる夜会といえば、この作品をダントツでお薦めします。
会場:Bunkamuraシアターコクーン
1992.11.12~12.11
全23回公演
1. インストゥルメンタル「金環蝕」
2. C.Q.
3. 砂の船
4. ほうせんか
5. 歌をあなたに
6. 泣かないでアマテラス
7. エレーン
8. 遠雷
9. 冬を待つ季節
10. 泣かないでアマテラス
11. 世迷い言
12. 熱病
13. 最悪
14. 遠雷
15. 冬を待つ季節
16. 泣かないでアマテラス
17. 真直な線
18. やまねこ
19. 新曽根崎心中
20. 泣かないでアマテラス
21. イースト・エイジア
22. 泣かないでアマテラス
23. 二隻の舟
24. ダイアモンド・ケージ
25. インストゥルメンタル「金環蝕」
26. 泣かないでアマテラス
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント