« 「世界ウルルン滞在記ルネサンス」主題歌 | トップページ | 『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』映画鑑賞日記 »

『男たちの大和 / YAMATO』映画鑑賞日記

Yamato  角川春樹が製作して昨年に大ヒットした戦争映画『男たちの大和 / YAMATO』。実物大の大和のセットを組んだり、長渕剛を主題歌に起用するなど数々の話題を提供した作品ではありました。戦争映画は好きなのですが、角川春樹製作の戦争映画というと派手なだけで中身は薄い作品ではないかと危惧し見る気が起きませんでした。しかし、テレビでたまたま放映されていたので鑑賞したのですが、予想通りの微妙な出来でした。
 戦後60年以上経過して、戦争の悲惨さを忘れかけている日本人にとって過去の悲惨な歴史を学ぶことは大切だと思います。このような映画が製作されること自体は良いことだと思います。 この映画も日本兵の祖国や家族に対する思い、戦争の悲惨さや平和の大切さなど今の日本人が考えさせられるテーマが数多く詰め込まれています。最近の日本映画でこのようなテーマの戦争映画は製作されていなかったので、あえてこの時代にこの映画を製作した心意気は悪くないと思います。

 しかし、映画の出来はかなり低いです。『タイタニック』や『プライベート・ライアン』を意識したシーンが数多く見られましたが、出来は遠く及びません。ストーリー、映像、音楽、演技の全てがテレビの2時間ドラマのような薄っぺらい出来です。
 ストーリーはありきたりなお涙頂戴ものに過ぎず、テンポも悪いです。一兵士の視点から描くという発想自体は良いと思うのですが、登場人物が多すぎて感情移入が出来ません。
 
映像は原寸大のセットで撮影した割にはリアリティが感じられませんでした。いかにもセット丸出しであり、大和の巨大さが感じられませんでした。CGもいかにもCGといった映像で安っぽく感じてしまいました。
戦闘シーンも『プライベート・ライアン』を意識しているようですが遠く及びません。アップの映像ばかりで引きの映像がないので迫力に欠けますし、戦闘シーンでの死の描写も綺麗過ぎてリアリティに欠けます。沈没のシーンも何が原因で、どう沈没したのかがいまいち分かりませんでした。
 
音楽も私の好きな久石譲さんが担当しているので期待したのですが、終始鳴りっぱなしでウルサク感じてしまいました。角川春樹が音楽プロデューサーとして、かなり久石さんに指示をしたそうですが、それが裏目に出たと思います。また主題歌も映画とあってなく最悪でした。長渕を起用するセンスも悪いと思いますし、この映画に主題歌は不要だったと思います。
 
演技に関しては、反町隆史と中村獅童を主役に起用していますが、彼らの演技はテンションが高いだけで鬱陶しかったです。もっと静と動のコントラストのある演技をしたほうが良かったと思います。
脇役も演技が下手で、リアリティに欠けています。特に長嶋一茂は最悪でした。なぜ彼を起用したのでしょう。逆に蒼井優は素晴らしかったです!
 兵士たちを演じた役者たちの演技も格好良さばかりが目立ち、死を目前にした恐怖や悲しみといったものがもう一つ伝わってきませんでした。
 あと気になったのが兵士たちが余りにも健康的かつ綺麗すぎて嘘っぽく感じてしまいました。

 「戦艦大和」といういい素材を扱ったにも関わらず、スタッフやキャストの力量の低さから、今ひとつの出来にしかならなかったのが残念です。

製作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 145分
監督 佐藤純彌 
製作総指揮 高岩淡 、広瀬道貞 
原作 辺見じゅん 
脚本 佐藤純彌 
音楽 久石譲 
出演 反町隆史 、中村獅童 、鈴木京香 、松山ケンイチ 、渡辺大 、内野謙太 、崎本大海 、橋爪遼 、山田純大 、高岡建治 、高知東生 、平山広行 、森宮隆 、金児憲史 、長嶋一茂 、蒼井優 、高畑淳子 、余貴美子 、池松壮亮 、井川比佐志 、勝野洋 、野崎海太郎 、春田純一 、本田博太郎 、林隆三 、寺島しのぶ 、白石加代子 、奥田瑛二 、渡哲也 、仲代達矢 

|

« 「世界ウルルン滞在記ルネサンス」主題歌 | トップページ | 『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』映画鑑賞日記 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

戦争映画」カテゴリの記事

映画鑑賞日記」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『男たちの大和 / YAMATO』映画鑑賞日記:

« 「世界ウルルン滞在記ルネサンス」主題歌 | トップページ | 『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』映画鑑賞日記 »