『ゴッドファーザー』この映画を見て!
第148回『ゴッドファーザー』 今回紹介する映画はイタリア系マフィアの一族の栄光と悲劇の歴史を描いた傑作『ゴッドファーザー』です。
私がこの映画を始めてみたのは高校の時でしたが、陰影深い画面の中でドン・コルレオーネが威厳のある低い声で語り始める重厚なオープニングシーンから一気に映画の中の世界に引き込まれてしまいました。
マフィアの家族愛の強い一面と抗争や策略という血なまぐさい一面を穏やかで静謐な描写と激しいバイオレンス描写と対比的に用いて描いていくストーリー展開は3時間という長い上映時間を全く感じさせませんでした。
義理と人情を大切にしてきたヴィトからクールでビジネスライクな息子のマイケルに権力が移り変わっていく展開は高校生ながらに時の流れの無常といった感じたものでした。時代の流れの中でも自分の掟を貫こうとするヴィトと時代の流れに乗り何とか家族を守ろうとするマイケル。別にどちらが良い悪いとかいうわけでなく、時代は絶えず流れ変わっていくものであるということを強烈に感じました。
また最初は穏やかで優しそうだったマイケルの表情が抗争に巻き込まれ権力を持つに従って冷たく険しい表情になっていく姿は見ていて切なさを感じたものでした。偉大な父をもつマイケルにかかる重圧や葛藤といったものが、後半の冷たい表情の中に垣間見れ、胸が締め付けられました。(2作目はマイケルのファミリーのドンとなった葛藤や苦悩が映画のより大きなテーマとなっていきます。)
映画のラストシーンで妻ケイのマイケルを不安そうな表情で見つめるシーン。コルレオーネ家の行く末を暗示しているようで、とても印象的に残りました。
ストーリーのことばかり語ってきましたが、映像・音楽・演技においても語るべき所の多い映画です。撮影監督ゴードン・ウィリスの陰影のある映像、ニーノ・ロータの哀愁溢れる音楽、重厚なセットにシチリア島の美しい風景、役者たちの迫真の演技、静と動のコントラストが印象的な編集と演出。全てにおいて完璧であり、芸術性と娯楽性が見事に融合された映画です。
演技に関してはアカデミー賞を受賞したマーロン・ブランドはもちろんのこと 、マイケルを演じたアル・パチーノ 、血の気の多い長男ソニーを演じたジェームズ・カーン 、頼りない次男ジョン・カザール、いつも冷静沈着な弁護士トムを演じたロバート・デュヴァル、全ての役者が存在感があり、魅力的です。
マローン・ブランドはこの映画が制作された当時は落ち目で、起死回生の為に何とか主役のヴィト役をつかもうと、かなりの工夫や努力をしたそうです。例えば渋みのある演技をするために口に中に綿を詰めて演技したそうです。そんな甲斐もあって、誰からも畏怖され、頼られるゴッドファーザーという役どころを見事に演じていました。
この映画は激しいバイオレンス描写もありますが、家族の愛と絆、そして家族を守る父親の役割とは何かを描いた傑作です。見たことない人はぜひ見てください!
製作年度 1972年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 175分
監督 フランシス・フォード・コッポラ
原作 マリオ・プーゾ
脚本 フランシス・フォード・コッポラ 、マリオ・プーゾ
音楽 ニーノ・ロータ
出演 マーロン・ブランド 、アル・パチーノ 、ジェームズ・カーン 、ジョン・カザール 、ダイアン・キートン 、ロバート・デュヴァル 、リチャード・カステラーノ 、タリア・シャイア 、スターリング・ヘイドン 、ジョン・マーリー
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