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『モダン・タイムス』この映画を見て!

第142回『モダン・タイムス』
Modern_times  今回紹介する映画は喜劇王チャールズ・チャップリンが機械化が進む資本主義社会の労働者の悲哀をコミカルに描いた『モダン・タイムス』です。
 私がこの作品を始めてみたのは小学生の時でした。当時はこの作品に込められたテーマなどは知る由もなく、ただ単にチャップリンのコミカルな演技に笑っていたものでした。ベルトコンベアーでのやり取りや自動食事装置のシーンなどは特に大笑いして見ていました。
 この作品を最近見返す機会があったのですが、今見る小さいとき笑ってみていたシーンも労働者の悲哀が感じられ素直に笑うことができませんでした。過労で精神を壊し、リストラされて、刑務所に入れられ、出所後もなかなか仕事にありつけない主人公。そんな主人公の姿は現代を生きる私たちにとっても無縁ではないですよね。
 
 私はこの作品を改めて見返して、チャップリンの作家としての社会を捉える鋭さとコメディアンとしての笑いのセンスの素晴らしさに感心してしまいました。社会風刺とヒューマニズムと笑いの絶妙なバランス感覚。私の中ではこの作品がチャップリンの映画の中で一番完成度は高いと思います。

 映画の前半は労働者の悲惨な実態を風刺たっぷりに描き、後半は一転好きな女性と共に懸命に生きようとする姿を力強く描くことで、「人間らしさとは何か」、「幸せ」とは何かを見る者に訴えかけます。
 貧しさの中でも人間らしく希望を持って生きようとする主人公の姿は見る者に生きる力を与えてくれます。
 この映画の中で主人公が「人生は願望だ、意味じゃない。」という台詞を言うのですが、この映画のテーマを見事に表現した台詞です。生きることに背一杯で意味など求める暇などない労働者たち、そんな労働者にとって大切なのは意味などでなく希望であるということをこの映画は見る者に語りかけます。
 映画のラストに一本道を手をつないで歩いていく二人。その先にある未来は決して明るいものでないかもしれません。しかし、二人は未来を信じて歩いていきます。その姿は見る者に勇気を与えてくれます。

 後、この作品を語るときに忘れてはいけない名シーンとして後半のチャップリンが歌うシーンがあります。トーキー映画が主流になってもサイレント映画を撮っていたチャップリンが始めて声を出す瞬間。それがどこの国の言語でもないデタラメ語による歌「ティティナ」であったところにチャップリンのサイレントへのこだわりと笑いのセンスが感じられました。 

製作年度 1936年 
製作国・地域 アメリカ
上映時間 87分
監督 チャールズ・チャップリン 
原作 チャールズ・チャップリン 
脚本 チャールズ・チャップリン 
音楽 チャールズ・チャップリン 
出演 チャールズ・チャップリン 、ポーレット・ゴダード 、チェスター・コンクリン 、ヘンリー・バーグマン 

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コメント

コメントありがとうございます。チャップリンは日本が好きで何回か来日していますよね。歌舞伎を鑑賞して、すき焼き食べたそうですよ。
チャップリンは作曲家としても才能ありますよね。スマイルは私も好きです!

投稿: とろとろ | 2007年2月11日 (日) 19時53分

おじゃまします!
チャップリンは最高にいいですよね♪
街の灯、モダンタイムス、独裁者、ライムライト
ビデオを持っておりまする♪
「スマイル」はチャップリンが作った曲♪
大好きです♪ 確か深夜に放送してる時
偶然見たことで 興味を持ちました♪
喜劇を笑いだけで終わらせない彼って
やっぱり 凄い人だなって♪ それに 良い顔してるし♪
日本のこと好きだったみたいだし♪ 

投稿: アッキー | 2007年2月11日 (日) 17時39分

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1936年 アメリカ 83分 チャップリン映画 機械工場で流れ作業をする工夫チャップリン。いつの間にかネジを締める動作が止まらなくなって、同僚の鼻を締めてったり、ベルトコンベアに挟まって歯車の間を行ったり来たり、開始早々からぶっ飛ばして笑えます。顔を固定してて順..... [続きを読む]

受信: 2007年2月13日 (火) 08時59分

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受信: 2007年2月14日 (水) 00時10分

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