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『悪魔の手毬唄』この映画を見て!

第139回『悪魔の手毬唄』
Temariuta  今回紹介する作品は市川崑監督が石坂浩二を主演に据えて制作した金田一耕助シリーズ第2弾『悪魔の手毬唄』です。この作品は前作『犬神家の一族』の大ヒットを受けて、東宝が短期間(約6ヶ月)で制作したのですが、前作を凌ぐ完成度を誇っています。ストーリー、演技、映像全てが重厚で大変見応えがあります。

 私の中では市川版金田一シリーズの中で一番好きな作品です。 私がこの作品を初めて見たのは小学生の時ですが、その時は複雑なストーリーはあまり理解できなかったものの、ラストシーンは切なさで胸がいっぱいになったものでした。
 また手毬唄に見立てた殺人シーンもおぞましくも美しく、強烈なインパクトがありました。
 5年前に田舎の映画館でこの作品が偶然にもリバイバル上映されていて、懐かしさから思わず鑑賞したのですが、その時に改めてこの作品の素晴らしさを再確認したものでした。 
 
 まず何と言っても映像が美しいです。日本の山村の冬の寒々とした景色を陰影深く捉えた映像はこの作品の持つ深い哀しみを見事に映像で表現しています。
 さらに市川監督のカット割りや独特の編集も素晴らしく、役者の会話シーンのリズミカルな編集の仕方や途中で入るインサート映像は見る者を映画の世界に引き込みます。

 役者の演技も素晴らしく、最近の映画に登場する役者とは比べものにならないほど演技が巧みです。特に若山富三郎演じる磯川警部の演技は枯れた男の魅力を感じさせてくれます。もちろん犯人役の役者の演技も素晴らしく、ラストの事件の真相を語るシーンは深い悲しみが見る者にも深く伝わってくるような演技でした。
 また市川版金田一作品に欠かせない三木のり平、加藤武、大滝秀治などのコミカルな演技も映画に良いアクセントを与えています。
 
 あとストーリーも素晴らしく、人間の醜さや愚かさ、そして哀しみといったものが強く感じられます。また、この映画には切ない愛も描かれており、ラストシーンに深い余韻を与えています。
 ただ映画のトリックや動機などはよくよく考えると無理もあるような気がしますが、映画を見ている間はそんなことは忘れてしまうだけの魅力がつまった作品です。

 30年前の作品にもかかわらず今見ても全く遜色のない作品です。日本ミステリー映画を代表するこの傑作をぜひ見てください!

製作年度 1977年 
製作国・地域 日本
上映時間 144分
監督 市川崑 
原作 横溝正史 
脚本 久里子亭 
音楽 村井邦彦 
出演 石坂浩二 、岸恵子 、若山富三郎 、仁科明子 、北公次 、永島暎子 、渡辺美佐子 、草笛光子 、頭師孝雄 、高橋洋子 、原ひさ子 、川口節子 、辰巳柳太郎 、大羽五朗 、潮哲也 、加藤武 、中村伸郎 、大滝秀治 、三木のり平 、山岡久乃 、林美智子 、白石加代子 、岡本信人 、常田富士男 、小林昭二 、辻萬長 、大和田獏 

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コメント

はじめまして.お立寄りありがとうございます!
丸みがあって,人を見る視線に体温を感じる作品は,見ていてホッとしますね. 知らずうちにギスギスしている昨今と何が違うのか,是非自らの眼力で獲得したいものです.
末永く,ご贔屓に.

投稿: ゴーシュ | 2007年2月 3日 (土) 16時39分

はじめまして。
役者の演技の巧みさ、その掛け合いの面白さがこの映画の大きな魅力ですよね。

投稿: とろとろ | 2007年2月 2日 (金) 23時48分

初めまして!TBありがとうございました♪

私はこの作品のサントラも持っていますヨ(笑)
もちろん作品も大好きで、何度も観ています!

大滝さんや草笛さんの場面は楽しくて仕方ありません。
また、訪問させて頂きますネ!
これからも宜しくお願い致します〆

投稿: まなぶ | 2007年2月 2日 (金) 21時09分

はじめまして。TB&コメントありがとうございました。

> 最近の映画に登場する役者とは比べものにならないほど
演技が巧み

まさに、そのとおり!演技に圧倒されます。
全て分かっていても、何度見ても面白いと思う作品ですね♪

投稿: 四つ葉 | 2007年2月 1日 (木) 22時49分

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