『童夢』街を捨て書を読もう!
『童夢』 著:大友克洋 双葉社
今回は『AKIRA』の大友克洋のもう一つの代表作『童夢』を紹介したいと思います。この作品は1983年に発表されたのですが、今見てもその完成度の高さに圧倒されます。
ストーリー:「どこにでもあるような団地で起こる住人の変死。その裏んには超能力を持った老人の存在があった。そんな団地に超能力を持つ少女が引っ越してくる。少女は変死が老人の仕業であることを見抜き、老人に戦いを挑む。」
『AKIRA』に比べるとスケールも小さく、短い話しです。しかし、起承転結がしっかりしており、前半の団地の変死を巡るサスペンスから、後半の団地を舞台にした老人と少女のドハでな超能力バトルまで一気に読ませてくれます。
この作品の最大の面白さは、団地という日常見慣れた場所を舞台に、非日常的な話しが展開するところにあります。特にありふれた団地の上空を老人と少女が縦横無尽に飛び回る絵は強烈なインパクトがありました。
私はこの作品を見てから、近くの集合団地を見るたびに、ここで『童夢』みたいな話しが展開したらどうなるかを空想してしまう癖がついたくらいです。
大友作品の特長として緻密な描きこみと映画のような構図などが挙げられますが、この作品も団地の写実的な描写や後半の超能力バトルの躍動感と緊張感溢れる描写など、大友さんの才能がひしひしと感じられます。
私はこの作品を読み返すたびに、一度実写で見てみたいという欲望に駆られます。実際にハリウッドでの制作も検討されていたようです。しかし、この原作自体があまりにも映画的すぎるので逆に映画化するのは難しいかなとも思ってしまいます。
日本のマンガを語る上でこの作品は外すことができません。ぜひマンガ好きな方は一度読んでみてください!
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