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『羊たちの沈黙』この映画を見て!

第144回『羊たちの沈黙』
The_silence_of_the_lambs  今回紹介する映画はサイコスリラーの傑作『羊たちの沈黙』です。この作品は公開当時にこの手の映画としては珍しく絶賛され、アカデミー賞でも主要5部門(作品賞/主演男優賞/主演女優賞/監督賞/脚色賞) を受賞しました。
 女性の皮を剥ぐ猟奇殺人事件の犯人を追う新人FBI捜査官クラリスの姿と彼女に事件解決の糸口を示唆する天才精神科医にして人肉愛好者レクター博士の姿を対比して描いたこの作品。
 見所は何といっても主演二人の演技です。クラリスを演じたジョディ・フォスターの知的で意志が強いものの、どこか危うさを感じさせる演技。レクター博士を演じたアンソニー・ほプキンスの高貴さと狂気を感じさせる演技。この2人が監獄で出会うシーンの張り詰めた緊張感は見る者を画面に釘付けにします。
 
 私がこの映画を始めて見たときは、メインのストーリーである猟奇殺人の犯人探しよりもレクター博士の存在感ばかりが印象に残ったものでした。
 レクター博士が初めて登場するシーン。一見しただけでこいつはただ者ではないと思わせるだけのオーラが感じられたものでした。特に相手の心を射抜くような鋭い目線は見る者を震え上がらせるだけの力がありました。
 そんなレクターがクラリスの内面に入り込み彼女のトラウマを救済していく展開は何ともいえないエロティシズムが漂い、レクターのクラリスに対する秘めた愛が強く感じられました。
(続編の『ハンニバル』はレクターのクラリスへの愛が前面に出されていましたが、映画の出来としては今ひとつでした)
 また中盤のレクター博士の脱獄シーンも残虐でありながら、その手口の鮮やかさと美しさは知的かつ芸術的で、見ていて鳥肌が立ったものでした。レクターという男がいかに危険な人物であるのかが見る者に伝わってくる名シーンだと思います。

 ただ、この映画のメインのストーリーである猟奇殺人事件自体は、そんなに目新しいものでなく、この手の映画ではありがちなストーリーです。女性の皮を剥ぐバッファロービルも単なる変質者のような描き方であり、今ひとつインパクトに欠けます。(と言うか、レクターに食われています。)最後の展開もカットバックで緊張感を高めるものの、思ったよりあっさりと解決してします。
 ただ皮を剥がれた女性の死体の口から蛾の繭が見つかるシーンは背筋がぞくっとしましたが・・・。

 はっきり言って、この映画が高く評価されたのは全てアンソニー・ポプキンス演じるレクター博士という魅力的な悪役のおかげだと思います。
 彼が登場しなかったら、この作品はアカデミー賞を取れなかったでしょう。
 
 この映画は猟奇殺人をテーマにしていますが、思ったよりえぐいシーンは少なく、その手の映画が苦手な人でも安心して見ることができると思います。
 アンソニー・ポプキンスの演技をぜひ堪能してください!

製作年度 1990年 
製作国・地域 アメリカ
上映時間 118分
監督 ジョナサン・デミ 
製作総指揮 ゲイリー・ゲッツマン 
原作 トマス・ハリス 
脚本 テッド・タリー 
音楽 ハワード・ショア 
出演 ジョディ・フォスター 、アンソニー・ホプキンス 、スコット・グレン 、テッド・レヴィン 、アンソニー・ヒールド 、ケイシー・レモンズ 、

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コメント

ジョディ・フォスター最近はパッとしないですね。フライト・プランやパニックルーム系の作品ばかりですよね。
彼女の重厚な演技を堪能できる作品に出演して欲しいですね。

投稿: とろとろ | 2007年3月12日 (月) 22時38分

やはりこれはジョディとホプキンスの為にある映画ですね~。ホラーってアカデミー賞からは敬遠されがちなんだけどこれは違いましたね。凄かった。
ジョディは最近、役に恵まれてないというか・・(汗)。演技上手いんだけどな~。

またレッド・ドラゴンしりーず(最終章)が公開されるそうです。楽しみ。たぶん、ジョディは出ないだろうけど(汗)。

投稿: ブリ | 2007年3月 4日 (日) 09時24分

こちらこそお久しぶりです。
ポプキンスあってのレクター博士ですよね。それぐらいはまり役でしたよね。
決して爽快な作品ではないですが、何度も見返したくなりますよね。

投稿: とろとろ | 2007年2月25日 (日) 22時36分

こんばんは!お久しぶりです。
この作品は、ホプキンスのレクター博士なくしては語れない名作ですね。
何度見ても「どよーんと心の中に澱がたまっていくような」そんな気分にさせられます。
そして、何度見てもレクター博士の視線に釘付けになってしまいます。
クラリスも名演でしたが、ホプキンスのレクター博士に渡り合うには、ジョディーのクラリスじゃないと満足できません。

どよーんとなるのがわかっていて、やっぱりまた見てしまうんだろうなぁ・・私。

投稿: chibisaru | 2007年2月25日 (日) 02時56分

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» 羊たちの沈黙 [しーの映画たわごと]
いやー久しぶりに堪能しました。 何度も見ましたが、このストーリーの展開は素晴らしいです。他の作品でも参考(パクられ)にされていますよね。 踊る大捜査線 THE MOVIEはまさにそうだし、脱出劇はレオンでも似たように描写されています。 ... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 23時29分

» 映画評「羊たちの沈黙」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆★(7点/10点満点中) 1991年アメリカ映画 監督ジョナサン・デミ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2007年2月24日 (土) 02時44分

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☆☆☆★(7点/10点満点中) 1991年アメリカ映画 監督ジョナサン・デミ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2007年2月24日 (土) 02時46分

» #318 羊たちの沈黙 [風に吹かれて-Blowin' in the Wind-]
製作総指揮:ゲーリー・ゲッツマン 製作:ケネス・ウィット 監督:ジョナサン・デミ 原作者:トマス・ハリス 脚本:テッド・ターナー 撮影:タク・フジモト 音楽:ハワード・ショア 出演者:ジョディ・フォスター 、アンソニー・ホプキンス 、スコット・グレン 、テッド レヴィン 、アンソニー ヒールド 1991年 アメリカ ■アカデミー賞(1991年)第64回 作品賞 、監督賞(ジョナサン・デミ) 、脚色賞 、主演男優賞(アンソニー・ホプキンス) 、主演女優賞(ジョ... [続きを読む]

受信: 2007年2月25日 (日) 02時47分

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