『ドリームガールズ』この映画を見て!
第147回『ドリームガールズ』
今回紹介する映画は先日行われた第79回アカデミー賞で映画初出演となるジェニファー・ハドソンが最優秀助演女優賞に輝いた『ドリームガールズ』です。
『ドリームガールズ』は1981年にブロードウェイで初公演され大ヒットを飛ばし、翌年のトニー賞で6部門を受賞した伝説のミュージカルです。ストーリーはシュープリームスとダイアナ・ロスの実話を基にしており、仲の良い友人3人で作った黒人コーラスグループの栄光と挫折、そして再生までを60年代のアフリカ系アメリカ人の音楽の歴史と共に描いていきます。
監督はアカデミー作品賞を受賞したミュージカル映画『シカゴ』の脚本家ビル・コンドンが担当。彼は今回監督だけなく脚本も手がけており、華やかなショービジネス界で生きる人間たちの夢や苦悩そして哀しみといったものをエンターテイメントとして見事に描いています。
出演者も大変豪華で、主人公ディーナ役にグラミー賞歌手ビヨンセ、脇役の男性陣にジェイミー・フォックス 、エディ・マーフィ 、ダニー・グローヴァーといった芸達者の役者が出演しています。
そして、今回の映画で何といっても光り輝いていたのがアカデミー賞で最優秀助演女優賞に輝いたジェニファー・ハドソン!。新人とは思えない演技力と歌唱力があり、映画を見ている間は主演のビヨンセより彼女の存在感に目が釘付けになってしまいます。私は途中までこの映画の主演はジェニファー・ハドソンかと思ってしまったほどでした。
もちろんビヨンセやジェイミー・フォックスも素晴らしい演技を見せてくれますし、エディ・マーフィはここ最近の映画で最高の演技を見せてくれます。
ストーリーはショービジネス界の裏側の嫉妬や裏切りといったドロドロした世界で何とか生き残っていこうとする人間たちの奮闘が描かれていきます。また大ヒットを目指せば目指すほど自分たちが求めていた音楽と離れたものになっていく矛盾や葛藤が描かれていきます。白人中心のアメリカ社会の中で黒人たちが何とか這いあがろうと、自分たちの音楽を白人に売り込んでいく中で自分たちの音楽の文化や魂が変質し失われていく悲しみ。ただこの映画で売り上げばかりにこだわるプロデューサー・カーティスが悪い奴かといえば、そういう訳でもなく、彼は彼なりに自分の理想とする大衆が望む音楽を追求していただけですしね。また彼のような.プロデューサーがいたおかげで、無名の歌手たちが注目を浴びるわけですしね。ショービジネスの世界でアートとエンターテイメントの狭間で上手く生きていくことの葛藤や難しさというものが見ていて伝わってきました。
もちろんミュージカル映画であるので、歌の素晴らしさは折り紙つきです。R&Bの魅力が余すところなく詰め込まれています。特に私の好きな歌は『family』です。私はなぜアカデミー賞で歌曲賞をこの映画が取れなかったのか未だ持って不思議です。
ミュージカル好きな人はもちろんの事、そうでない人もきっと満足できる映画だと思います。ぜひ良い音響の映画館でこの映画を堪能してください。歌の持つ力に感動すると思います。
製作年度 2006年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 130分
監督 ビル・コンドン
製作総指揮 パトリシア・ウィッチャー
原作 トム・アイン
脚本 ビル・コンドン
音楽 ヘンリー・クリーガー
出演 ジェイミー・フォックス 、ビヨンセ・ノウルズ 、エディ・マーフィ 、ジェニファー・ハドソン 、アニカ・ノニ・ローズ 、ダニー・グローヴァー 、キース・ロビンソン
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