『私の遺言』街を捨て書を読もう!
『私の遺言』 著:佐藤愛子 新潮社
今回紹介する本は作家の佐藤愛子さんが体験した驚くべき超常現象に関する記録と現世と霊界との関係が述べられた『私の遺言』です。
皆さんは死後の世界があるとお思いでしょうか?私は小さいときは死後の世界をずっと信じていました。私の母が霊感があり幽霊を見たという話しを頻繁にしていた影響もありましたし、私自身も一度だけ小学校の時に兵隊の幽霊に遭遇したことがあります。小さいときは多くの人は死ぬとこの世とは違う別の世界にいくものだと思っていました。そして、この世界に未練のあるものだけが、この世とあの世の狭間で彷徨い、生きている人の前に幽霊として現れるものだと考えていました。
しかし、高校に入り、唯物論の本を読むようになってから、死後の世界は人間が創り出したものであり、全ての人は死ねば無になり土へと還ると考えるようになりました。それからは幽霊という存在も否定する立場になっていたのですが、最近は私の周りでいろいろあり、再び死後の世界や幽霊という存在を信じる立場に戻りました。
今回紹介する『私の遺言』は著者が56歳から26年にわたって体験された様々な霊現象について書かれています。北海道に別荘を購入されてから、物が勝手になくなったり、動いたり、誰もいないところから物音がしたりと著者の周りでおこる不思議な現象。中盤まではあまりにも壮絶な霊現象の話しばかりで、怖くて背筋が凍りました。このような状況に耐えられた著者は本当に強い人だと思います。
霊現象の理由を探るために数多くの霊能力者とめぐりあう著者。何とその霊能力者の中にはオーラの泉で有名な江原さんや美輪さんなども登場します。この本を読んで、改めて江原さんや美輪さんの霊能力の高さや素晴らしさを思い知らされました。
霊能力者との関わりの中で見えてくる著者の前世や因縁、そして業(カルマ)。著者は霊現象と向き合う中で死後の世界というものが如何に現世に影響を与えているか、また現世がいかに死後の世界に影響を与えているか知ることになります。著者は自分に課せられた業や因縁というものを受け入れ、自分に与えられた使命というものに気付きます。
本の後半は著者の霊体験の話しから、現在の日本や世界をとりまく邪悪な霊の憑依の話しに広がっていきます。荒廃した現代人の精神の裏に潜む邪悪な霊の存在。今こそ現代人は自らに課せられた業を解き放つべく、精神性を高めていく必要があると著者は訴えます。欲望に身を委ねず、絶えず自分を律し生きることの大切さに気付かされます。
この本を読んで、私は人生観が大きく変わりました。ここまで読んだ後に生き方を考えさせられる本はなかなかありません。この本に書かれていることを最初は半信半疑に思う人もいるかもしれませんが、読み進むに従って、著者の気迫が伝わり、信じざる得なくなります。ぜひ多くの人に読んで欲しい中身の濃い一冊です。
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