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『007 カジノ・ロワイヤル』この映画を見て!

第138回『007 カジノ・ロワイヤル』
007_casinoroyale  今回紹介する映画は4年ぶり21作目となる大ヒットスパイ映画『007カジノ・ロワイヤル』です。今回の作品は原点回帰を目指して制作されており、主役のジェームス・ボンドを演じる役者も交代し、ストーリーもボンドが最初の任務をこなしスパイとして成長していくまでの姿をドラマティックに描いていきます。
 6代目ジェームス・ボンドを演じるダニエル・クレイグは主にアート系映画に数多く出演しており、昨年スピルバーグが監督した『ミュンヘン』で一躍注目されました。6代目ボンドに彼が決定した当時は金髪で青い目をしたボンドに大ブーイングが巻き起こりましたが、映画が公開されるや否や今までになく人間味溢れるボンドが大絶賛されました。
 
 私は昔から007シリーズが大好きで今まで公開されたほとんどの作品を見ているのですが、今回の作品はここ最近の作品の中では断トツに完成度の高い作品だったと思います。
 ピアース・ブロスナン演じる5代目ジェームス・ボンドの作品も好きなのですが、ストーリーがだんだん荒唐無稽になって非現実的になっていました。しかし、今回は原点回帰と言うこともあり、ストーリーも現実的で人間味溢れる内容になっていました。ボンドが最初の任務を果たすまでを描く本作は近年の作品には見られなかったボンドの人間性が深く描かれています。駆け出しのスパイとして、必死になって任務をこなそうとするボンドの姿はスマートさは欠けますが、繊細で荒削りな男の魅力が感じられました。
 また『女王陛下の007』以来のボンドが真剣に女性に恋をするというストーリー展開もボンドの初々しさやスパイの孤独さや葛藤といったものが感じられ良かったです。
 この作品は脚本に『父親たちの星条旗』や『クラッシュ』などで有名な脚本家ポール・ハギスを参加させたことで、近年の007シリーズには感じられなかった奥行きのある作品に仕上がっています。
 
 アクションシーンも派手なセットや荒唐無稽な武器に頼ることなく、生身のアクション中心に描かれおり、最後まで緊張感をもって見ることができました。
 特にオープニングの追いかけごっこのアクションシーンは今作最大の見せ場と言っても良いほど画面に釘付けになってしまいました。敵役の男の人間離れした身のこなしは凄いの一言です。またそんな男を追うボンドも大胆というか無謀なアクションを数多く見せてくれて、見る者のボルテージを上げてくれます。

 ポーカーのシーンはルールがいまいち分からず、私としては盛り上がりに欠けましたけど、心理的な駆け引きの緊張感は伝わってきました。
 映画の後半の拷問シーンは痛いの一言です。男としてよく耐えられましたね。普通だったら一撃で失神しますね。あの後、普通にボンドがエッチしたり海に入ったりしていたのがびっくりでした。すごい回復力です。

 映画のラストは場面が何回も変わり、少しテンポが悪かったような気はしましたが、最後の最後にあの決めゼリフを言ってくれたのと、有名なテーマソングで流れたことで帳消しです。

 次回作、ボンドがどのような活躍をしていくのかとても楽しみですし、今回出演していないQやマネーペニーがどのように登場するのかも気になるところです。今回はかなり現実的だったので、次回はぜひボンドらしいスパイグッズやスケールの大きな敵を登場させてもらいたいです。

 今回の作品は007好きの人はもちろんのこと、アクション映画好きの人には胸をはってお薦めできる傑作スパイアクション映画です。 

製作年度 2006年 
製作国・地域 アメリカ/イギリス
上映時間 144分
監督 マーティン・キャンベル 
製作総指揮 アンソニー・ウェイ 、カラム・マクドゥガル 
原作 イアン・フレミング 
脚本 ニール・パーヴィス 、ロバート・ウェイド 、ポール・ハギス 
音楽 デヴィッド・アーノルド 
出演 ダニエル・クレイグ 、エヴァ・グリーン 、マッツ・ミケルセン 、ジュディ・デンチ 、ジェフリー・ライト 、ジャンカルロ・ジャンニーニ 、サイモン・アブカリアン 、カテリーナ・ムリーノ

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