『犬神家の一族』(1976年版)この映画を見て!
第137回『犬神家の一族』(1976年版) 今回紹介する作品は今年のお正月映画として市川崑監督が石坂浩二を主演にセルフリメイクした『犬神家の一族』の1976年公開のオリジナル版です。
この作品は角川書店が映画製作に乗り出した“角川映画”の第1回作品として公開され大ヒットを記録しました。日本を代表する推理小説家・横溝正史の同名小説を原作にしたこの作品は横溝正史のどろどろした世界観を市川崑監督が巧みに映像化して、当時低迷していた日本映画を復活させる足がかりとりました。
私がこの作品を初めて見たのは小学生の時でした。テレビで放映されていたのを家族と一緒に見ていたのですが、見た後は怖さばかりが印象に残ったものでした。特に映像のインパクトが強烈で、ゴムマスクを付けた佐清や菊人形に置かれた生首、そして湖から突き出る足はしばらく脳裏に焼き付いて離れませんでした。
この作品と出会った後、私は金田一耕助の作品が映像化される度に、欠かさず見ていたものですが、市川崑監督&石坂浩二主演の金田一シリーズが一番お気に入りでした。
市川版金田一作品の大きな魅力は、市川崑監督独特の映像美と軽妙さと重厚さを併せ持った巧みな演出、豪華な俳優陣たちの迫力のある演技、そして石坂浩二演じる飄々とした金田一耕助の魅力にあります。
映像の深みのある陰影や独特なカット割りなどは単なる娯楽映画にとどまらない芸術性といったものが感じられます。また横溝正史の小説の舞台となる昭和初期の雰囲気をいちばん映像として表現できているとも思います
またこの作品の俳優に関して言うと、高峰三枝子の演技が素晴らしく、圧倒的な存在感がありました。また脇役も芸達者な人ぞろいで、特に加藤武 、大滝秀治 、岸田今日子、坂口良子はいい味を出しています。この作品を見ると昔の役者は演技がしっかりしているなと思ってしまいます。
あと私がこの映画で好きなのはエンディングです。事件自体は後味の悪い結末にも関わらず、金田一が電車に乗って街を去っていく場面は爽やかな余韻を観客に与えてくれます。
この映画は犯人が誰が分かっても何度でも見たくなるだけの魅力があります。(私も10回以上見ていると思います。)映像の美しさ、重厚なドラマ、耳に残る音楽、そして見た後の爽やかな余韻。この映画は日本ミステリー映画の傑作です。
製作年度 1976年
製作国・地域 日本
上映時間 146分
監督 市川崑
原作 横溝正史
脚本 日高真也 、市川崑 、長田紀生 、浅田英一 、岩下輝幸
音楽 大野雄二
出演 石坂浩二 、高峰三枝子 、三条美紀 、草笛光子 、あおい輝彦 、地井武男 、川口晶 、川口恒 、金田龍之介 、小林昭二 、島田陽子 、坂口良子 、小沢栄太郎 、加藤武 、大滝秀治 、寺田稔 、大関優子 、三木のり平 、横溝正史 、角川春樹 、岸田今日子 、三谷昇 、辻萬長 、三国連太郎
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