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2006年10月8日 - 2006年10月14日

『感動をつくれますか?』街を捨て書を読もう!

『感動をつくれますか?』 著:久石譲 角川ONEテーマ21
Hisaisi_joe_book  今回紹介する本は宮崎駿監督や北野武監督の映画音楽を手がけた日本一有名な映画音楽家・久石譲が自らの仕事の仕方や音楽に対する考え方を語った『感動をつくれますか?』です。
 久石譲は若い頃はミニマルミュージックの作曲家として活躍し、『風の谷のナウシカ』で映画音楽家としてデビューしました。その後は数多くの映画音楽やCM曲を手がけ、日本を代表する作曲家になりました。
 この本では久石さんの映画音楽家、作曲家としての仕事の仕方が明快に書かれています。著者はこの本の中で自分を自己満足の芸術家としてでなく、多くの人に楽しんでもらうことで生計を立てる街中の音楽家だと言います。そしてプロの音楽家として、どういう姿勢が必要かを説きます。
 「優れたプロは継続して自分の表現をしていける人」
 「気分の波に揺るがされないような環境作り」
 「第一印象を大切にする」
 「質より量で自分を広げる」
 「95%の論理的思考と5%の感覚的ひらめきが大切である」
 この本で書かれていることは作曲家としてだけでなく、他の業界の仕事においても大切な姿勢であり、誰が読んでも非常に参考になります。
 
 また著者の映画音楽制作の裏話や映画音楽の魅力なども書かれており、映画音楽の解説書としても楽しめます。宮崎監督や北野監督の音楽への姿勢や中国・韓国の映画制作の裏話はとても映画好きにはとても面白かったです。
 
 さらに後半はアジアを舞台に活躍する著者が感じた日本人の課題が述べられており、今日本人に必要な姿勢が提言されています。

 この本はとても読みやすく、多くの人にとって参考になることが書かれています。久石譲を知っている人も知らない人も、ぜひ読んでみてください。

 

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『ブッタとシッタカブッタ』 街を捨て書を読もう!

『ブッタとシッタカブッタ』 著:小泉吉宏 メディアファクトリー21
Butta1_1  今回紹介する本は仏教思想や認知心理学の要素を取り入れ、人間の心とは何か?人生とは何か?幸福になるとはどういうことかを説く4コマ漫画『ブッタとシッタカブッタ』シリーズです。この本は悩み多きブタ・シッタカブッタの姿を通して、幸福や不幸や悩みの正体を探っていきます。シッタカブッタを導く師としてブッタ様が登場するのですが、ブッタ様は仏教の思想に基づき、幸せに生きるための物事の見方や考え方などを教えてくれます。
 私がこの本に出会ったのは10年前ですが、読んでいてハッと気付かせられるところが多い本でした。現在のあるがままを受け入れることの大切さ、人間の思いこみが生み出す苦しみ、欲望やこだわりが生む悲劇・・・。この本は穏やかに生きていくためにヒントがたくさんつまっています。
 物事はどう捉えるかによって全く変わってきます。自分の人生をどう捉えていくか、自分の人生をどう歩んでいくか、自分の人生の悩みに対する答えは自分自身の中にある。そんな当たり前のことに気付かせてくれます。
 この本は3作目までシリーズ化され、姉妹編である『ブタのいどころ』や『ブタのふところ』も発売されています。 気軽に読めて、心が軽くなるこのシリーズ。ぜひ多くの方に読んで欲しいです。

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『Asian X.T.C.』

お気に入りのCD NO.16『Asian X.T.C.』 久石譲
Asian_xtc  今回紹介するCDは久石譲が美しく官能的でポップなASIAをテーマにしたソロ・アルバム『Asian X.T.C』です。
ここ最近の久石さんはオーケストラを使ったクラシカルな作品が多かったのですが、久しぶりに久石さんの原点とも言えるミニマルな作品に仕上がっています。また楽器の編成も久石作品に欠かせないピアノとストリングスに加えて、今回はサックスやマリンバ、アジアの民族楽器を多用し、色鮮やかで心地よい音色を生み出しています。
  久石さんは今回のアルバムを作成するに当たって、自分の音楽の原点であるミニマルミュージックを意識したそうです。久石さんはメロディメーカーとして有名ですが、もともとミニマルミュージックの作曲家して活躍していました。80年代のソロアルバムは最近のクラシカルでメロディーの美しさが特徴的なアルバムと違い、シンセを多用した前衛的なミニマルミュージックのアルバムを発表していました。
 ミニマルミュージックは音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽です。ミニマルミュージックは最初聴いていると退屈なのですが、次第に反復されるメロディに陶酔感を感じるようになります。
 今回のアルバムは陽サイドと陰サイドと2部構成になっており、前半の6曲はメロディメーカーとしての久石さんの美しいメロディーが堪能できます。そして後半の4曲はミニマルミュージックの作曲家としての久石さんの才能が堪能できます。また全体的にアジアンテイストな雰囲気でまとまっており、聴いていて心落ち着くものがあります。
 私の一番のお薦めは2曲目の 「Welcome to Dongmakgol 」です。この曲は韓国映画「トンマッコルへようこそ」のテーマ曲なのですがギターデュオのDEPAPEPEが参加しており、ギターの響きが郷愁を誘います。また3曲目の「Venuses」はカネボウ「いち髪」CM曲なのですが、子どものコーラスが印象的でした。
 仕事から帰ってくつろぎたい時にお薦めのアルバムです。
 
*今回のアルバムに関する久石さんのコメントが下のサイトに掲載されています。http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/ghibli/cnt_interview_20060912.htm

・陽 side (Pop Side)
01. Asian X.T.C.
02. Welcome to Dongmakgol
( オリジナル・バージョン:韓国映画「トンマッコルへようこそ」主題曲)
03. Venuses (カネボウ「いち髪」CMソング)
04. The Post Modern Life
(オリジナル・バージョン:中国映画「叔母さんのポストモダン生活」主題曲)
05. A Chinese Tall Story  
(オリジナル・バージョン:香港映画「A Chinese Tall Story」主題曲)
06. Zai-Jian
・陰 side (Minimal Side)
07. Asian Crisis (NHK「名曲の旅・世界遺産コンサート」書き下ろし曲)
08. Hurly-Burly
09. Monkey Forest
10. Dawn of Asia
Bonus Track
11. Woman ~Next Stage~ (レリアンCMソング)

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『時をかける少女』(2006年版)この映画を見て!

第118回『時をかける少女』(2006年版)
「待ってられない 未来がある」
Time_wait_for_no_one  今回紹介する映画は『ゲド戦記』を抜いて2006年夏一番面白いアニメ映画として評判の高い『時をかける少女』です。『時をかける少女』は最初ミニシアター系の公開でほとんど話題になっていませんでした。しかし公開されると同時に多くの観客や批評家の支持を受け、またたく間に全国拡大公開になりました。
 筒井康隆原作の『時をかける少女』は今までにも映画化やドラマ化を何度もされている有名な作品です。特に大林宣彦監督が原田知世を主演にして制作した1983年公開された『時をかける少女』は知名度・人気共に高く、主題歌も大ヒットしました。今回のアニメは何と8回目の映像化になります。
 今回この原作をアニメ映画化したのは細田守というアニメ監督であり、ポスト宮崎駿とも言われており、アニメ業界の中で現在一番注目されています。細田監督はスタジオジブリの『ハウルの動く城』の監督を当初手がける予定であったほどの実力派です。細田監督は原作のファンで自ら映画化を熱望したそうです。脚本は『学校の怪談シリーズ』の脚本家・奥寺佐渡子を招き、9ヶ月かけて練り上げたそうです。またスタッフもスタジオジブリの美術を担当してきた山本二三や『エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインで有名な貞本義行など実力派が結集しています。
 
 私がこの映画の存在を知ったのは公開されて時間が経ってからでした。ネット上で多くの人がこの映画をこの夏一番の映画と絶賛する感想を書いているのを読み、どんな映画なのかとても気になっていました。私の住んでいる地区では公開がすでに終わっており、DVDが出るまでは無理かなと諦めていていました。しかし、たまたま実家のある愛媛に用事があって帰ってみると、何とこの映画が劇場公開中であり、早速鑑賞してきました。
 
 映画を見終わっての感想ですが、さわやかで、ほろ苦く、大人が見ると懐かしさで胸がいっぱいになる素晴らしい青春映画でした。映画のラストは切なさのあまり不覚にも泣いてしまいました。タイムトラベルものとしては少し矛盾や説明不足な点もありますが、青春恋愛ものしては共感できる点の多い作品で、もう一度見たいと思わせる魅力があります。一見地味な作品ではありますが、中身のしっかりとした作品です。多くの人がこの映画を支持する理由がよく分かりました。

 この映画のストーリーは時間を超える能力を身につけた少女・紺野真琴の一夏の恋と成長を描きます。真琴はふとしたことから時間を超える能力・タイムリープを身につけます。最初は時間を戻せる力を使って、自らの都合の良いように過去を変えようしまう。しかし過去を変えれば変えるほど、周囲に迷惑がかかることに気付く真琴。何とかしようと過去をいじくればいじくるほど事態は悪化していきます。そして、真琴はタイムリープの秘密を知り、かけがえのない今という一瞬の大切さ、そして未来向かって進むことの大切さに気付きます。
 この映画のテーマはとてもストレートなものです。二度とやり直せないからこそかけがえのない今という時間。移り変わる時の流れの中で、どんなに今のままでいたいと思っても自分も周囲も変わっていってしまうという切なさ。この映画はやり直しのきかない人生だからこそ、一つ一つの選択がかけがえのないものだということ当たり前のことに改めて気付かせてくれます。

 最初は笑わせながら、後半徐々にシリアスな展開になり、気付いたら切なさで涙が溢れてくるというストーリーの流れも素晴らしいです。また映像も素晴らしく、学校や街、空の何気ない背景描写の丁寧さには感心しました。特に夏の青空の清々しさや夕暮れの川辺のシーンの切なさは印象的でした。またピアノをメインにした音楽も映像とマッチしており美しく、映画の挿入歌や主題歌も映画の内容にあっており主人公・真琴の気持ちがよく伝わってきます。映画のクライマックスシーンに流れる挿入歌『変わらないもの』は観客の涙腺を刺激しますし、映画のラストに流れる主題歌『ガーネット』は映画の余韻を味あわせてくれます。
 
 ここまで自然に涙が出てくる作品ってあまりないと思います。笑って、どきどきハラハラして、最後は切なさとさわやかさで胸がいっぱいになる『時をかける少女』。私は今年一番の作品だと思います。ぜひ多くの人に見て欲しいです。

 公式サイト:http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/

製作年度 2006年 
製作国・地域 日本
上映時間 98分
監督 細田守 
原作 筒井康隆 
脚本 奥寺佐渡子 
音楽 吉田潔 
出演 仲里依紗 、石田卓也 、板倉光隆 、原沙知絵 、谷村美月 、垣内彩未 、関戸優希 

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