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2006年10月1日 - 2006年10月7日

『エイリアン2(完全版)』この映画を見て!

第117回『エイリアン2』(完全版)
「今度は戦争だ!」
Aliens  今回紹介する作品は前作のSFホラーからアクション映画へと作風をがらりと変えて制作し、続編として大成功を収めた『エイリアン2』です。この作品は『タイタニック』や『ターミネーター2』など数々の大ヒット作を手がけたジェームス・キャメロンが監督を務めています。彼の作品の大きな特徴として派手なアクションシーンとヒューマニズム溢れる人間ドラマの巧みな融合と女性の力強い活躍があるのですが、『エイリアン2』でも彼のそんな特徴が非常に活かされています。
 
 私はこの映画を初めて見たときは、アクションシーンの圧倒的な迫力とリプリーの格好良さにしびれました。1作目にあったエイリアンの圧倒的な恐怖はあまり感じられませんでしたが、エイリアンVS人間の激しい闘いはアクション映画としての面白さに満ちていました。特に映画のラストのこれでもかと畳み掛ける展開は手に汗握るものがありました。

 この映画は非常に人間にしろ、エイリアンにしろ女性が力強く描かれています。1作目でもヒロインであるリプリーだけが生き残るという結末で女性の台頭が描かれていましたが、2作目は1作目にまして女性の存在感が大きい映画です。映画の後半のリプリーvsエイリアンクイーンの闘いなどは子どもをかけた母親同士の対決といった感じです。この映画を見ると母は強しの印象を受けます。

 映像的には1作目にあるような芸術性はないのですが、さまざまな兵器や乗り物が登場や大群で襲ってくるエイリアンなど迫力と興奮に満ちたスペクタクルなシーンが次から次へと展開して見る者を飽きさせません。CGのない時代にこれだけの迫力ある映像が作れたことに驚嘆します。映画は作り手の情熱とこだわりが大切なのだと改めて思います。
 またシナリオもしっかりしており、無駄なシーンが一つもありません。映画の前半で状況説明をしっかり行うことで、後半のアクションシーンがとても活きています。またリプリーだけでなく脇役も丁寧に描かれており、どのキャラにも感情移入できます。特にリプリーに思いを寄せるヒックス伍長や1作目とはうって変わって頼りになるロボットのビショップなどは強い印象を残します。また頼りなかった中尉が傷を負った部下と共に自爆するシーンもぐっと来るものがあります。

続編でありながら切り口を変えることで見事に成功した希有な作品だと思います。また映像の派手さだけでなくシナリオがしっかりしているので、何回見ても楽しめる娯楽作品となっています。

 現在DVDで発売されているのは劇場公開時のバージョンとは違い、18分長いバージョンです。リプリーに娘がいたことが分かるシーンやリプリーとヒックスの関係が深まるシーンなどが追加されています。話しのテンポ的には劇場版より悪いですが、人間描写や状況説明がより細かく行われているので、個人的には完全版の方が好きです。  

製作年度 1986年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 137分 (完全版154分)
監督 ジェームズ・キャメロン 
製作総指揮 ゴードン・キャロル 、デヴィッド・ガイラー 、ウォルター・ヒル 
脚本 ジェームズ・キャメロン 
音楽 ジェームズ・ホーナー 
出演 シガーニー・ウィーヴァー 、マイケル・ビーン 、キャリー・ヘン 、ランス・ヘンリクセン 、ポール・ライザー 

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『エイリアン』この映画を見て!

第116回『エイリアン』
「宇宙での悲鳴は誰にも聞こえない・・・」
Alien  今回紹介する映画はSFホラーの古典的名作『エイリアン』です。この作品はシリーズ化され4作制作され、『エイリアンvsプレデター』という番外編まで制作されました。エイリアンシリーズの特徴は作品ごとに監督が交代しており、どの作品も監督の個性が反映されたものになっています。そんなエイリアンシリーズでも一番評価の高いのはやはり1作目です。1作目は当時まだ新人だったリドリー・スコットが監督を務め、独特な映像美と緊張感溢れる演出が好評を呼びました。この映画の後にカルト的人気を誇る近未来SF映画『ブレード・ランナー』の監督も務め、光と影を巧みに操る映像の魔術師と呼ばれるようになりました。
 
 私がこの映画を初めて見たのは小学1年生の時だったのですが、あまりの怖さにまともに見られませんでした。当時はホラー映画など全く見たことがなかったので、顔にへばり付いたり、腹を突き破って出てくるエイリアンに大変衝撃を受けたものでした。またロボットが人間を襲うシーンも強烈で、当時は給食で牛乳が出るたびにあのシーンを思い出していました。

 この作品の一番の魅力はエイリアンというクリーチャーにあります。生物の体内に一定期間寄生して成長すると同時に、強酸の体液とあらゆる環境に適応する強靭な肉体を持つという完全無欠な生命体として設定されたエイリアン。そんなエイリアンの凶暴さと人間の無防備さが1作目は一番よく描かれています。
 映画の中では成体となったエイリアンの姿は一瞬だけ頭部や口元、尻尾などが映る程度です。なかなか姿を見せないエイリアンによって人が襲われるシーンは、見えない敵ゆえの恐怖を感じさせます。
 当時鬼才のデザイナーであったH.R.ギーガーによって創造されたエイリアンの姿は無機質な昆虫といった感じで生理的嫌悪感を見る者に与えます。それと同時に男性のペニスをイメージしてデザインされた頭部は何とも言えないエロティシズムを感じさせます。監督はこの映画で性の恐怖を描いたそうです。エイリアンによって人間が襲われるシーンは男性による女性へのレイプをイメージしているそうです。映画のラストの下着姿のリプリーにエイリアンが襲われるシーンは特に性の恐怖を想起させるシーンです。
  
 この映画のストーリー自体はとてもありふれたものであり、人間が閉鎖された空間で怪物に襲われるというホラー映画の王道のようなストーリーです。しかし、この映画が他の映画とひと味違うところはヒロインを守るヒーローが不在で、ヒロインが自ら闘って生き残るというところにあります。今ではそのような映画はありふれていますが、おそらくこの映画がそのようなヒロイン像を初めて打ち出した作品だと思います。この映画は女性の男性の理不尽な暴力に対する恐怖を描くと共に、女性が男性を打ち負かすという女性の時代の台頭を描いた作品となっています。

 映画の演出は前半は船内での機関士の様子が淡々と描かれ少し退屈なのですが、後半のエイリアンが機関士を襲撃するシーンからラストにかけては恐怖と緊張の連続で終始手に汗握ります。
 美術も大変素晴らしく、他のSF映画にはない芸術性があります。宇宙船のセットは生活感に溢れており、今見ても嘘くさくありません。逆にエイリアンの宇宙船は不気味でありながら幻想的な雰囲気を感じさせます。

 この映画は娯楽作品としても芸術作品としても一級の作品です。この作品を超えるSFホラーは未だ現れていないと思います。

製作年度 1979年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 118分
監督 リドリー・スコット 
製作総指揮 ロナルド・シャセット 
脚本 ダン・オバノン 
音楽 ジェリー・ゴールドスミス 
出演 トム・スケリット 、シガーニー・ウィーヴァー 、ジョン・ハート 、ヤフェット・コットー 、ハリー・ディーン・スタントン 

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