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2006年8月20日 - 2006年8月26日

『タイタニック』この映画を見て!

第100回『タイタニック』
Taitanic  今回紹介する映画は世界中で大ブームを巻き起こしたパニック超大作『タイタニック』です。この映画は20世紀最悪の海難事故と言われた豪華客船タイタニック号の悲劇をリアルかつドラマチックに描き、数多くの観客の涙を誘いました。
 タイタニック号は2200人以上の乗員乗客を乗せてイギリスからアメリカに向かう途中、1912年4月14日の深夜に氷山にぶつかり沈没しました。1513人という死亡者を出したタイタニックの海難事故は機械文明(テクノロジー)の進歩を謳歌していた欧米人に大変なショックを与えました。
 『エイリアン2』や『ターミネーター2』の有名なジェームス・キャメロン監督は以前からタイタニック号の悲劇にとても関心があり、自分の手で映画化したいとずっと思っていたそうです。数々のヒット作を飛ばし、ついに映画化のチャンスが訪れたキャメロン監督は徹底的に史実を忠実に再現しようと細部まで徹底的にこだわって制作したそうです。実物大のタイタニック号のレプリカを作り、外観はもちろんのこと、船内の食器から家具、小物にいたるまで全て当時と同じように復元したそうです。また氷山にぶつかってから沈没にいたるまでの経過は主人公たちの行動を除き、全て実際に起こった通りに再現したそうです。キャメロンのこだわりは200億円以上という莫大な制作費と約3年という長い制作期間を費やしましたが、完成した映画は当時のタイタニック号の姿と事故の悲惨さを見事にスクリーン上に再現していました。
 
 私がこの映画を初めて見たときは、主人公2人のラブストーリーはほとんど印象に残らず、タイタニック号沈没の圧倒的な迫力に目を奪われてしまいました。船体が傾き、一度垂直になり、真っ二つになって、また垂直になって沈んでいく映像は予想を遥かに超えるインパクトがありました。またそれと同時に人間が生み出した巨大なテクノロジーが一個の氷山であっけなく崩壊していく姿に儚さを感じてしまいました。タイタニック号の沈没シーンをリアルに再現したことがこの映画の最大の功績だと私は思います。

 公開当時は主人公のジャックとローズの悲劇の恋愛ドラマに数多くの人が感動していましたが、個人的には彼らの恋愛ドラマはあまりにもベタな展開すぎて、全く興味が湧きませんでした。後半の船が沈没し始めた頃からのパニック描写の緊張感や緊迫感は手に汗握るものがあるのですが、前半の2人の姿は見ていて退屈です。そんな私は今でもDVDで見るとき、前半のドラマ部分は飛ばして見てしまいます。
 もちろん身分の違うの男女の結ばれない恋を描いたことで、単なるパニック映画にはない、メロドラマとしての魅力が生まれ、数多くの人を虜にしたのだとも思います。また身分の違う2人を主人公に設定し、階級の違う乗客たちの姿を主人公たちの目線を通して自然に見せようとした監督の演出も巧みだと思います。ただ私はどうしても監督のいかにも泣かせようという演出があざとく感じてしまい好きではありません。(そう言いながらラストシーンを見ていつも目頭が熱くなる自分がいるのですが・・。)
 私は映画の後半の沈没間際の楽団の皆で弾き続けるシーンや死を目前にした親子の姿、船長や設計士、船員達の悲哀、上流階級の人の醜さなどの人間ドラマの方が主人公たちの恋愛ドラマよりも印象に残るものがあります。
 
 私はこの映画の成功の大きな要因として、ジェームズ・ホーナー が手がけた美しく、壮大なスコアーとセリーヌ・ディオンの主題歌があったと思います。特にホーナーによるシンセとオーケストラを用いた音楽はタイタニック号のスケールの大きさや沈没時の緊迫感、主人公2人の心情をみごとに音楽で表現していました。私はケルト音楽を彷彿させるメインテーマとローズのテーマ曲が特に大好きです。またセリーヌ・ディオンの主題歌も映画のメロディーに歌詞が付けられているので、映画の雰囲気とあっており、名主題歌だと思います。

 この映画はストーリーは賛否両論ありますが、映像の美しさと迫力は誰が見ても圧倒されるものがあります。また映画の全編にわたり、キャメロン監督のこだわりと勢いが感じられ、何回見ても楽しめる映画になっています。
 個人的にはこの映画の後、新作を10年以上撮っていないキャメロン監督がついに次回作を制作し始めたということで今からとても楽しみにしています。

製作年度 1997年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 195分
監督 ジェームズ・キャメロン 
製作総指揮 レイ・サンキーニ 
脚本 ジェームズ・キャメロン 
音楽 ジェームズ・ホーナー 
出演 レオナルド・ディカプリオ 、ケイト・ウィンスレット 、ビリー・ゼイン 、キャシー・ベイツ 、フランシス・フィッシャー

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『NANA』この映画を見て!

第99回『NANA』
Nana   今回紹介する映画は昨年大ヒットした矢沢あいの少女コミックが原作の『NANA』です。私は原作を読んだことはないのですが、映画はとても楽しませてもらいました。
 ストーリーは少女マンガを原作にしているだけあって、若い女性の複雑な恋愛模様と友情をきめ細やかに描いています。かわいく天真爛漫な女性・奈々とクールでかっこいい女性ナナという対照的な2人のNANAという女性を主人公に持ってきたところがこのストーリーの面白さであり素晴らしさだと思います。特に性格・雰囲気共に対照的な2人がお互い支えあっていく友情がとても見ていて素敵だなと思いました。映画のラストも爽やかで心温まるものがありました。
 また二人が住むマンションの美術や二人の衣装もおしゃれで、可愛く、少女マンガの持つ雰囲気を見事に表現できていたと思います。
 ライブやコンサートのシーンも臨場感をよく捉えていましたし、映画で流れる歌もとてもよかったです。特に映画の中に登場するTRAPNEST(トラネス)のボーカルのレイラの歌声は美しく、聞きほれました。もちろん中島美嘉の主題歌も最高でした。
 
 私がこの映画で印象的だったのは、宮崎あおい演じる小松奈々の存在でした。天真爛漫で純粋だけど、男性から見ると付き合い難い女性・奈々を見事に表現していました。宮崎あおいの演技の上手さを改めて認識しました。
 もう一人のナナを演じた中島美嘉も見た目はクールで強気だけど、実は昔の恋人を思い続ける女性を熱演していましたが、演技自体は宮崎あおいに比べると駄目でした。しかし、本業が歌手というだけあって、歌うシーンはとても素敵でした。
 あと役者で言うと私がこの映画を見て非常に違和感を感じたのが、松田龍平演じるレンでした。どうみても彼はバンドをしているように見えないし、かっこよくもないし、演技も下手くそだし、なぜ彼を起用したのかが不思議でした。
 この映画は続編が制作されるそうですが、宮崎あおいが降板するとのことで、非常に残念です。市川由衣が奈々を演じるそうですがどうなるか心配です。ナナの恋人・レン役も松田龍平から姜暢雄へ変わるそうですが。こちらに関しては姜暢雄という役者がどんな人か分からないので何ともいえません。
 私はこの映画を見て、原作の『NANA』がとても読みたくなりました。近いうちに買って読んでみようと思います。きっと原作を読むと、映画の印象はまた変わるのでしょうね。

制作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 114分
監督 大谷健太郎 
原作 矢沢あい 
脚本 浅野妙子 、大谷健太郎 
音楽 上田禎 
出演 中島美嘉 、宮崎あおい 、成宮寛貴 、松山ケンイチ 、平岡祐太 、松田龍平

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『ノロイ』この映画を見て!

第98回『ノロイ』
Noroi  今回紹介する映画はドキュメンタリータッチのジャパニーズホラー『ノロイ』です。この映画は怪奇作家の小林雅文という人物が突然消息を絶つ前に取材した「かぐたば」の呪いの取材ビデオを基に制作されています。
 この映画を私は昨年に友人と劇場で見たのですが、その時は怖さよりも制作者たちのドキュメンタリータッチの演出がとても印象に残りました。
 この映画、見た人はすぐ分かると思うのですが、全てフィクションです。出てくる主要な人物も、「かぐたば」という呪術も、怪奇現象も全て制作者たちが作り上げたものです。そんな架空の話しを制作者たちは何とか実話として見せようとあの手この手の工夫を凝らしています。例えば、有名人を登場させて偽の心霊番組や超能力番組をでっちあげたり、いかにもそれっぽい大学教授や研究者を登場させたり、ドキュメンタリー番組を見ているかのような演出をしたり、工夫しています。さらに映画に登場する架空の怪奇作家・小林雅文のホームページや彼のファンサイトまで立ち上げています。
 しかし、製作者たちの努力もむなしく、登場人物たちのオーバーな演技やあまりにも上手くまとまったストーリー、CGを使った恐怖シーンなどがとても嘘くさく、この作品がノンフィクションだとすぐに分かってしまいます。もう少し上手にだましてほしかったですし、もっと作りこんでもよかったと思います。
 ただこの映画はフィクションだと分かっていても十分楽しめます。特に様々な怪奇現象が調査が進むにつれて、一つの出来事に結びついていくストーリー展開はとても巧みで見ていて緊張感と驚きがあります。普通の映画として制作しても十分面白い内容になった気がします。
 この映画はホラー映画やテレビの心霊番組を見慣れた人にはツボを押さえた演出がはまると思いますし、この類の映画やテレビを普段見ない人は結構怖いかもしれません。ただこの映画をノンフィクションだと思い込んで見ると、途中で嘘だと分かってしまうので腹が立つかもしれません。 

製作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 115分
監督 白石晃士 
出演 松本まりか 、アンガールズ 、荒俣宏 、飯島愛 、高樹マリア 

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『機動警察パトレイバー2 the Movie』この映画を見て!

第97回『機動警察パトレイバー2 the Movie』
Patlabor2  今回紹介する映画はカルト的人気を誇るアニメ映画監督・押井守の代表作であり、現代日本における戦争状態を緻密にシュミレーションした衝撃作『機動警察パトレイバー2 the Movie』です。この映画は1993年と10年以上前に制作されていますが、2006年の今見ても映画で語られていることは決して古くなく、むしろ今日本がおかれている状況を見事に浮き彫りにしています。
 私がこの映画を始めてみたのは10年くらい前ですが、当時は東京という都市のリアルな描写と自衛隊が東京の都市を行き交う映像に強烈なインパクトを受けました。またストーリーも自衛隊が平和ボケした日本にクーデターを起こし、戦争状態を作り出すという衝撃的な内容にいろいろと考えさせられたものでした。
 ストーリー:「2002年冬。横浜ベイブリッジに謎のミサイル投下…。報道はそれが自衛隊機であることを告げるが、該当する機体は存在しなかった。これを機に続発する事件は警察と自衛隊の対立を招き、事態を重く見た政府は実戦部隊を治安出動させる。東京に戦争を再現した恐るべきテロリストを追って、第2小隊最後の出撃が始まる!」
 この映画はパトレイバーの映画というよりは、パトレイバーの設定を借りた日本の有事の際のシュミレーション映画です。現代日本でテロなどの有事の状態になった時、政府・警察・自衛隊はどのように動くのか?この映画は今の日本の防衛体制について鋭い問題提起を投げかけます。警察と自衛隊の覇権争いの醜さ、組織における上層部と現場の対立、最小限な攻撃による都市機能の混乱。この映画は戦後日本の平和の脆弱さや虚構性を暴いていきます。戦後日本人にとって当たり前の平和な状況、しかしその平和な状況とは一体何なのか?映画の中でも平和と戦争の境目の曖昧さが語られますが、テロが頻発する現代は平和と戦争状況の区別が曖昧な時代になってきています。危機意識のないままいつの間にかテロという戦争に巻き込まれる現代という時代をこの映画は見事に表現しています。
 また、この映画は平和を望みながら、閉塞した日本の状況をどこかで破壊したいという歪んだ私たちの願望をどこか刺激します。
 彼の作品では現実と虚構の曖昧さが常にテーマとして描かれますが、この作品でも情報化社会における虚構のリアルさ、戦争という現実の日本における非リアルさが伝わってきます。
 さらに、この映画は人間ドラマとしても非常に見ごたえがあります。組織の対立や権力争いに巻き込まれる個人の葛藤や苛立ち、かつては不倫関係だった柘植と南雲の苦く切ないラブストーリーなどドラマとしての完成度の高さが印象に残る作品です。
 それと、この映画を語るときに忘れてはいけないのが、緻密でリアルな東京という都市の描写です。無機質なビル街、生活臭の漂う下町やコンビニなどこの映画のもう一つの主役とも言える東京という都市を見事にアニメで再現しています。そして都市をリアルに描けば描くほど、そこに生きる人が自分の存在を非リアルに感じてしまうというアイロニー。この映画は都市という幻想の世界に生きる人々の思いを描いた作品だと思います。
 ここまで重厚で大人が見て楽しめ考えさせられるアニメ映画はなかなかありません。ぜひ多くの人に見て欲しい傑作アニメです。  

製作年度 1993年
製作国・地域 日本
上映時間 113分
監督 押井守 
原作 ヘッドギア 
脚本 伊藤和典 
音楽 川井憲次 
出演 大林隆之介 、榊原良子 、冨永みーな 、古川登志夫 、池水通洋 

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