« 2006年8月6日 - 2006年8月12日 | トップページ | 2006年8月20日 - 2006年8月26日 »

2006年8月13日 - 2006年8月19日

「宮崎駿」私の愛する映画監督5

第5回「宮崎駿」
Hayao  今回紹介する映画監督は日本一有名なアニメ映画の監督である宮崎駿です。私は昔から宮崎作品が大好きで、テレビでの放映があるたびに画面に釘付けになっていたものでした。私が一番好きな宮崎作品は『天空の城ラピュタ』ですが、おそらく30回以上は見ていると思います。何回見ても、観客をハラハラドキドキさせたり、感動させる映画を作ることは並大抵のことではありません。彼の手がける作品はどれも人を引き付けるだけの大きな魅力が詰まっています。
 では宮崎監督の映画の大きな魅力とは何でしょう?私にとっての宮崎作品の魅力を語りたいと思います。

①動きへのこだわり
 彼は原画・動画・レイアウトなど作画畑を長年歩んでおり、動く絵としてのアニメーションの可能性と魅力を追求してきました。そんな彼の作品は動く絵としての面白さや楽しさに常に満ちています。現実の動きとは違うアニメだからこそ出来るデフォルメされた動きの躍動感や解放感が彼の映画の大きな魅力です。
 彼が生み出すキャラクターやメカの造形は、どれも強烈なインパクトを持っていると同時に、線が丸みを帯びており親しみやすくて魅力的です。特にトトロは彼が生んだ最高のキャラクターだと思います。
 またキャラクターの描き方もリアリズムではなく、多少オーバーな表現であっても、キャラクターの感情を大胆かつ細かな表情や動きで見せようとします。ダイナミックに笑い、怒り、泣き、走り、食べ、戦うキャラクターの姿は活き活きとした魅力に満ちています。
 空間の使い方もアニメならではの特性を活かして、実写では生み出せない広がりや奥行きを感じさせてくれます。特に飛行シーンにこだわる宮崎監督だけに上下の空間の使い方が巧みで、ナウシカからハウルまでキャラクターたちが上から下に、下から上にと空間をダイナミックに移動するシーンがとても印象的です。

②色彩の美しさ
 宮崎作品の大きな特徴として透明感溢れる色彩の美しさがあります。派手でもなく、地味でもない、透明感溢れるさわやかな色の使い方は見ていて心が和みます。

③緻密な世界観の構築
 宮崎作品は常にファンタジーの要素が強い作品を作っていますが、ファンタジー作品を作る時に大切なのが世界観の構築です。非現実の世界を描くからこそ、そこにリアリティーがないと、観客はファンタジーの世界には入り込むことができません。世界中で大ヒットした『ロード・オブ・ザ・リング』の監督ピーター・ジャクソンも映画を作るときにいかにリアルな世界を作り上げるかに力を注いだそうです。そういう意味では宮崎作品はどの作品も世界観が緻密に構築されており、観客は架空の世界にすっと入り込むことができます。『ナウシカ』の風の谷や『千と千尋』の湯屋など架空の世界にも関わらず、何ともいえない現実感があります。ストーリーとは関係ない、さりげない登場人物たちの日常描写や、街や家の中などの生活観溢れる細やかな描写が映画の中の世界をぐっと観客に近いものとして感じさせてくれます。

④気持ちの良い登場人物たち
 宮崎作品は登場人物に誰一人として嫌な奴がいないというところがあります。主人公たちは常に清清しく、見ていて気持ちの良い人物ばかりです。悪役もどこか同情できるところがあったりして、人間臭くて憎めない人物ばかりです。彼の作品では善人と悪人と明確に分けて描くようなことはせず、善と悪を併せ持つ人物を常に描こうとしてます。
 またどの映画でも女性が元気がよく、存在感が強いのも宮崎作品の大きな特徴です。特に彼が描く女性は母性としての力強さと少女としての可憐さを併せ持つキャラクターを描くことが多く、彼の理想の女性像が反映されているのかなと思います。

⑤現代社会を反映したストーリー
 彼の作品は現代社会を常に反映したストーリーを描こうとします。自然破壊、若者の自立、戦争の愚かさ、人間と科学との付き合い方・・・。彼の作品が多くの人の関心を引き付ける大きな要因として、現代社会に対する問いかけがあるからだと思います。特に自然と人間というテーマは宮崎作品では何度も取り上げられており、自然の中で生きてきた人間という視点と自然を征服して生きてきた人間という視点を織り交ぜながら、人間と自然の付き合い方に対して問題提起をしており、いろいろ考えさせてくれます。

⑥久石譲の音楽
 宮崎作品を語る上で忘れてはいけないのが久石譲の音楽です。彼の音楽なしでは、宮崎作品はここまで人気を得られなかったと思います。宮崎作品における久石譲の音楽については以前、このブログで別に取り上げていますので、そちらをご覧ください。

 宮崎監督の映画は誰もが安心して見ることができますし、誰もが楽しんで見ることができます。誰もが見たことない世界で繰り広げられる人間ドラマや冒険活劇の面白さ。宮崎作品は常に人を引き付けるだけの魅力に満ちています。また新作を製作しているようですが、次はどんな作品に仕上がるのか今から楽しみにしています。


*宮崎駿監督作品
ハウルの動く城(2004)  監督、脚本 
・ コロの大さんぽ(2002)  監督、原作、脚本
・ めいとこねこバス(2002)  監督、原作、脚本
・ くじらとり(2001)  監督、脚本 
・ 千と千尋の神隠し(2001)  監督、原作、脚本
・ もののけ姫(1997)  監督、原作、脚本 
・ On Your Mark CHAGE & ASKA(1995)  監督、原作
・ 紅の豚(1992)  監督、原作、脚本
・ 魔女の宅急便(1989)  監督、脚本
・ となりのトトロ(1988)  監督、原作、脚本
天空の城ラピュタ(1986)  監督、原作、脚本
風の谷のナウシカ(1984)  監督、原作、脚本
・ 名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻(1984)  監督
・ 名探偵ホームズ2 海底の財宝の巻(1984)  監督
・ ルパン三世 カリオストロの城(1979)  監督、脚本

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『スターウォーズ解体新書』街を捨て書を読もう!

『スターウォーズ解体新書』 著:マサチューセッツ“スター・ウォーズ”ラボラトリー 扶桑社
Star_wars_book  今回紹介する本はスターウォーズ好きの人にお奨めのスターウォーズ研究レポート『スターウォーズ解体新書』です。この本は古本屋でたまたま見つけて買ったのですが、内容のマニアックさや著者たちの考察の細かさと大胆さがとても面白く、一気に読んでしまいました。
 1998年に出版された本なので、基本的に旧3部作に関して細かく研究されています。新3部作が公開された今となっては内容が古いところもあったり、新3部作と食い違うところもあるのですが、旧3部作の細かいところまで見事に研究されています。私もスターウォーズは大好きで何回も見ているのですが、私も知らなかったり、気づかなかった部分についても細かく考察されているので、この本を読むともう一度スターウォーズを見返したくなってしまいます。
 特に私がこの本で面白かった部分は『ジェダイの帰還』のイウォーク族はなぜ強かったのかの大胆な考察とオビ・ワンはなぜ『新たなる希望』でR2D2を知らないと答えたかに対する爆笑の考察です。また映画のほんの一瞬しか出ないキャラクターに対しても、詳しいイ解説がされており、著者たちのスターウォーズへのマニアックな愛情を感じます。
 私としてはぜひ新3部作も併せた6部作に関する研究本も出版して欲しいと思います。
 この本はスターウォーズ旧3部作が好きな人にはお奨めの解説本です。ぜひ読んでみてください。きっとスターウォーズを見返したくなりますよ!
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ドッグヴィル』この映画を見て!

第96回『ドッグヴィル』
Dogville  今回紹介する映画は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の監督として有名なデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーとハリウッドを代表するアカデミー賞女優ニコール・キッドマンが手を組んだ衝撃的な問題作『ドッグヴィル』です。この映画は過激なストーリー、大胆なセット、後味の悪い結末と見所満載な映画です。カンヌ映画祭で上映された時も、あまりにも衝撃的な内容に見た人の間では賛否両論意見が分かれ、賞は獲れませんでしたが大変な話題となりました。
 この作品はだだっ広い倉庫に家や道などを表わす白線を引き、必要最小限の家具などを置くという必要最小限のセットを村に見立てて3時間全編見せるという大胆な手法を取っています。最初見たときはまるで映画のリハーサルを見ているような雰囲気で違和感を感じますが、途中からはそれも気にならなくなり、登場人物たちの行動に釘付けになります。この映画は必要最小限のセットにするとことにより、役者たちの演技に観客を集中させ、人間の醜い本質を寓話的に見せようとしたのだと思います。ただ見ている側は風景が何もなく、役者の演技と残酷なストーリーだけにずっと集中しなくてはいけないので、見終わった後はどっと疲れがでます。
 またストーリーもナレーターが登場人物の思いや状況を全て言葉で語るという大胆な方法を取っており、まるで見る小説といった感じです。
 ストーリー:「アメリカ・ロッキー山脈の村・ドッグヴィルに、ひとりの女グレースがギャングに追われて逃げ込んでくる。村人の青年トムは助けを請う美しい女性グレースを匿う。トムは彼女を村で匿うことを提案するが、村人たちは初めは彼女をいぶかしむ。そこでトムは2週間村人全員に気に入られることを条件に村に留まることを承認させる。献身的な肉体労働をこなすグレースだが、警察に手配されていることが発覚し、村人たちは激しく動揺する。そして村人たちはグレースに対して不信感を覚え、彼女を奴隷のように扱い始める。」
 私はこの映画を始めてみたときは、自分の中に潜む醜さ・愚かさを意識させらてしまい、重たい気分になったものでした。この映画のテーマは一言で表すと人間の傲慢さです。寛容さ、優しさ、哀れみという名の傲慢さ。自分より弱い立場の者に対する傲慢さ。この映画は人間の傲慢さの醜さや愚かさをこれでもかと徹底して描きます。
 この映画の舞台であるドッグヴィルの住人たちは閉鎖的で保守的な人間の集まりです。そんな村に現れた自分たちと明らかに違う異質な人間。仲間と違う人間に対する警戒感や不信感。村人たちに受け入れてもらうために、グレースはjひたすら従順に献身的に村人のお世話をしてきます。いつしか、村人の警戒心も薄れ、彼女を仲間として受け入れようとしていきますが、彼女が警察に追われている存在だと分かると村人の態度は一気に変わります。弱みを握った者と握られた者の不対等な関係。村人たちは彼女を再び自分たちとは異質な利用できる存在として奴隷のように扱いはじめます。映画の中盤から後半にかけての村人たちのグレースに対する酷い扱いは見ていて目を背けたくなります。仲間でない人間に対する非人間的な扱い。かつての奴隷制度を例に出すまでもなく、人間は自分たちの仲間とそうでない者たちとに分けて、後者に対しては非人間的な態度をとることがあります。この映画はそんな人間という生き物の傲慢さを村人の行動を通して見事に表現しています。
 また村人たちの行動を見ていると、常にみんなで話し合って物事を決めており、一見民主的な村に思えるのですが、内実は個人として責任を取りたくないだけということが話しが進むに従って明らかになります。。集団という力がなければ何も考えられない個人の愚かさと、集団主義という責任の曖昧さが個人の欲望をエスカレートさせる恐怖を見ていて強く感じさせられます。
 グレースは映画のラストで傲慢な村人に対して裁きを下します。その裁きもまたとても傲慢なものです。権力を握った者の正義と責任という名の傲慢さ。人が人を裁くということの傲慢さ。グレースに感情移入して見てきた観客にとってある意味痛快なラストではあるのですが、気に入らないもの、救いがたいものは不必要で消しても良いという結末は人間の救いのなさを表しています。その為に見終わると、あのラストシーンに痛快さを感じてしまった自分に嫌悪感を感じてしまいます。
 この映画は不快な登場人物が数多く出てくるのですが、その中でもグレースを最初救おうとしたトムは一番見ていて不快で嫌悪感を抱くキャラクターです。一見、弱い立場の味方を取りながら、実は自分の欲望(他者を救えるという傲慢な欲望)を満たしていただけの存在。彼は理想という名の欲望を他者に押し付け、上手くいかなくなると、主人公を窮地に追い込み自己保身に走るという最低な人間でした。トムは現代社会に蔓延る一見すると弱者の味方をしながら、弱者を食い物にしている似非ヒューマニストの偽善性や醜さの象徴として描かれていると思います。
 この映画はあまりにも人間なら誰しも持つ醜い一面をストレートに描いているので、不快感や嫌悪感を抱く方もいるかと思います。しかし、見た後に人間について考えさせられる映画もなかなかないと思います。ぜひ興味のある人がいたら、体調・精神状況が良いときに見てください。但し、人間不信に陥ってる方や人間を純粋に信じている方などは見ないほうが良いです。
 

製作年度 2003年
製作国・地域 デンマーク
上映時間 177分
監督 ラース・フォン・トリアー 
製作総指揮 ペーター・オールベック・イェンセン 
脚本 ラース・フォン・トリアー 
音楽 - 
出演ニコール・キッドマン 、ポール・ベタニー 、クロエ・セヴィニー 、ローレン・バコール 、パトリシア・クラークソン 

| | コメント (2) | トラックバック (2)

『陽の照りながら雨の降る』

お気に入りのCD.No11.『陽の照りながら雨の降る』Cocco
Cocco  今日WOWOWで放映していたCoccoの「沖縄ゴミゼロ大作戦ワンマンライブスペシャル2006」を見ていたのですが、久しぶりにテレビで見るCocco素晴らしかったです。現在のCoccoの気持ちが見事に表現されたライブだったと思います。特に沖縄でのライブということもあり、Coccoにとってはとても思い入れの深いライブだったでしょうね。私としては大好きな『Raining』と『焼け野が原』を歌ってくれたので大満足でした。
 Coccoは何年かぶりに活動を再開し、シングルを2枚、アルバムを1枚発表していますが、今回はその中でも私が特にお気に入りの歌『陽の照りながら雨の降る』を紹介します。
 私は初めてこの歌を聴いたときは鳥肌が立ちました。歌を聴いている途中、沖縄の青い空、青い海の下で歌うCoccoの姿が思い浮かんできました。この歌はスローなバラード調の曲なのですが、美しい歌詞と沖縄民謡を彷彿させるメロディー、そしてCoccoの優しくそして力強い歌声がとても素晴らしく、深い感動に包まれる名曲です。この曲を聴くと彼女の優しさや温かさで心が洗われるような感じがします。まだ聞いたことのない人はぜひ聞いてみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『邪宗門』街を捨て書を読もう!

『邪宗門』 著:高橋和巳 朝日文芸文庫
 今回紹介する本は私が久しぶりに大きな衝撃を受けた小説『邪宗門』です。この小説は昭和初期から終戦までの20年間にわたる新興宗教団体“ひのもと救霊会”の誕生から壊滅に至るまでの歴史を壮大なスケールで描いた作品です。この作品は3部作となっており、併せて1000ページを超える超大作です。この作品はオウム真理教の事件と類似する部分があり、オウム事件の時には様々な評論家がこの作品をオウムとの比較で取り上げていたものでした。
 またこの作品に登場するひのもと救霊会はモデルとなった宗教団体があります。大本教という宗教団体で戦前に国家から不敬罪で激しく弾圧され、神殿も破壊され、多くの信者が拷問し発狂したそうです。
 ストーリー:「京都の田舎の駅に降り立った孤児・千葉潔。彼は政府によって弾圧されていた新興宗教団体“ひのもと救霊会”の信者によって助けられる。彼はひのもと救霊会の信者の下でお世話になるが、ある事件を機に救霊会を一度去ることとなる。国家権力からの激しい弾圧の下、信者たちはなんとか教団を守ろうとするが解散させらてしまう。(第1部)一度は解散にまで追い込まれたひのもと救霊会だったが、信者たちは各地に散ったものの、細々と信仰を守っていた。しかし、第二次世界戦争へと突入。信者たちも否応なく戦争に巻き込まれていく。(第2部)敗戦を迎えた日本。戦前の天皇制国家も解体され、宗教の自由も保障されるようになる。ひのもと救霊会も各地に散らばっていた信者たちが教団に再び集まり始める。そこにかつてひのもと救霊会にお世話になった千葉潔が現れ、リーダーとなり教団の建て直しを行っていく。彼の指導の下に再び力をつけるひのもと救霊会。しかし、彼は教団の再興と共に、日本国家から独立し新たなる自治国家を樹立する野望を持っていた。彼は教団を武装化し、日本国家に独立宣言を行うが・・・・。(第3部)」
 この小説は昭和初期の重苦しい雰囲気の中で話しが進んでいきます。特に国家権力によって弾圧を受ける場面や戦時中の描写などは読んでいて辛く苦しいものがあります。また宗教とはどういう存在か、革命とはどういうものかについての作者の見解が話しの随所にこめられており、いろいろ考えさせられました。特に主人公・千葉潔が無神論者でありながら、リーダーとしての才能を見込まれ教祖となっていく姿は作者の宗教観が見事に表現されていたと思います。
 重いテーマを扱っていますが、話し自体はとてもドラマチックで面白く、読み始めると次の展開が気になり、最後まで一気に読めてしまいます。特に第3部で主人公の千葉潔が国家に対して武装蜂起して革命を起こそうとする展開に度肝を抜かれつつ、どうなっていくのかワクワクしながらページをめくったものでした。革命自体はすぐに敗北してしまい、ほとんどの登場人物が悲惨な最期を迎えてしまうという壮絶なラストには圧倒されました。ユートピアを目指し戦いながら、結局崩壊していく姿は、圧倒的な力に力で立ち向かっても勝ち目はないという現実を改めて思い知らされました。
 またこの作品は数多くの人物が登場しますが、一人一人の内面を鋭く描き出しており、人間という存在について深く考えさせられます。ここまで人間の弱さと強さ、愚かさと賢さ、生きる悲しみと喜びを描いた作品は滅多にないと思います。
 この作品は最近の小説にはない重厚さと面白さがあります。そして読者に様々な問いかけをしてくる作品です。ぜひ多くの人に読んで欲しいです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

中島みゆきとテレビドラマ

Silver  今年の秋からスタートする「Dr.コトー診療所2006」の主題歌に中島みゆきの『銀の龍の背に乗って』が前作に引き続き使用されるそうです。中島みゆきは80年代から様々なテレビドラマに歌を提供してきました。どの歌もドラマの雰囲気やテーマにあっており、ドラマの魅力をさらに高めてきました。
 特に「3年B組金八先生~卒業式前の暴力~」で使用された『世情』は挿入歌にも関わらず強烈なインパクトを放ち、大変な話題となりました。私はリアルタイムで見たわけではないのですが、機動隊が突入する場面で流れる『世情』は若者たちの心情を見事に反映しており、心にグッとくるものがありました。『世情』はこのドラマの後、様々な番組でパロディとして使用されており、この曲がいかに強烈な印象を持っていたかがよく分かります。
 また「家なき子」や「Dr.コトー診療所」の主題歌も主人公の気持ちや思いを汲み取った歌詞であると同時に、聞く人を慰め励ましてくれるだけの普遍的な力をもった歌詞でもあり、中島みゆきの詩人としての才能を改めて認識させてくれます。
 ぜひみゆきさんには今後も様々なテレビドラマに主題歌を提供してほしいと思います。 

『中島みゆきテレビドラマ提供曲一覧』
・世情-TBS系ドラマ「3年B組金八先生~卒業式前の暴力~」挿入歌(81年.)
・安寿子の靴-NHKドラマスペシャル「安寿子の靴」主題歌('84年)
・匂いガラス-NHKドラマスペシャル「匂いガラス」主題歌(86年.)
・ 雨月の使者-NHKドラマスペシャル「雨月の使者」主題歌('87年)
・浅い眠り-フジテレビ系ドラマ「親愛なる者へ」主題歌(92年.・中島本人も女医役で第2話と最終話出演。)
・空と君のあいだに-日本テレビ系ドラマ「家なき子」主題歌 ('94.年)
・旅人のうた-日本テレビ系ドラマ「家なき子2」主題歌('95年.)
・たかが愛-テレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系」主題歌('96年.)
・愛情物語-テレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系 PARTII」主題歌('97年.)
・糸-TBS系ドラマ「聖者の行進」主題歌('98年)、
・命の別名-TBS系ドラマ「聖者の行進」主題歌('98年.)
・ニ隻の舟-フジテレビ系ドラマ「海峡を渡るバイオリン」主題歌('05年.)
・命のリレー-フジテレビ系ドラマスペシャル「女の一代記」シリーズ主題歌('05年.)
・帰れない者たちへ-テレビ朝日系ドラマ「松本清張 けものみち」主題歌('06.年)
・銀の龍の背に乗って-フジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」「Dr.コトー診療所2006」主題歌('03年.・'06年.)

*ちなみに中島みゆきの主題歌を集めたCDとして『大銀幕』と『SINGLS2000』の二枚のベストアルバムがお奨めです。
大銀幕『大銀幕』
収録曲:
1.糸(ドラマ「聖者の行進」主題歌)
2.命の別名(ドラマ「聖者の行進」主題歌)(ALBUM VERSION)
3.たかが愛(ドラマ「はみだし刑事 情熱系」主題歌)
4.愛情物語(ドラマ「はみだし刑事 情熱系」主題歌)
5.世情(ドラマ「3年B組金八先生」挿入歌)
6.with(映画「息子」イメージソング)
7.私たちは春の中で(映画「大いなる完」主題歌)
8.眠らないで(映画「海ほうずき」エンディングテーマ)
9.二隻の舟(映画「霧の子午線」主題歌)
10.瞬きもせず(映画「学校3」主題歌)(MOVIE THEME VERSION
Singles 2000『Singles 2000』

1. 地上の星(NHK総合テレビ「プロジェクトX-挑戦者たち」主題歌)
2. ヘッドライト・テールライト(NHK総合テレビ「プロジェクトX-挑戦者たち」エンディング・テーマ)
3. 瞬きもせず(シングル・バージョン/映画「学校3」主題歌)
4. 私たちは春の中で(映画「大いなる完」主題歌)
5. 命の別名(TBS系ドラマ「聖者の行進」主題歌)
6. 糸(TBS系ドラマ「聖者の行進」主題歌)
7. 愛情物語(テレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系PART2」主題歌)
8. 幸せ
9. たかが愛(テレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系」主題歌)
10. 目を開けて最初に君を見たい
11. 旅人のうた(日本テレビ系ドラマ「家なき子2」主題歌)
12. SE・TSU・NA・KU・TE
13. 空と君のあいだに(日本テレビ系ドラマ「家なき子」主題歌/映画「家なき子」主題歌)
14. ファイト!(住友生命「ウィニング・ライフ」CMイメージソング)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夜会VOL.8『問う女』

夜会VOL.8『問う女』
Tou  中島みゆきのライフワークであるコンサートでも演劇でもない独特な舞台「夜会」。その中でも、一番演劇的要素が強い作品『問う女』を紹介したいと思います。
 この作品は私はビデオ化されてから鑑賞したのですが、他の夜会に比べて、歌う場面が少なく、代わりにセリフが多用されており、演劇を見ているような感じでした。また他の夜会に比べて、省略されている部分が大きい割りに様々なテーマやメッセージがこめられており、見終わった後にいろいろ考えさせられる作品でもありました。
 ストーリー:「ラジオ局でのDJを勤める綾瀬マリア。彼女はある日ラジオの番組で自分の男を奪った女にひどい言葉を投げかけ復讐する。しかし、復讐した女は同姓同名の別人。そのことを知ったマリアは自暴自棄になり、夜の歓楽街をさまよう。そこで酔いつぶれたマリアは東南アジアから来た一人の売春婦に出会う。2万6千円という日本語しか言えない彼女との出会いがマリアの人生を大きく変えることとなる。」
 この作品のテーマはずばり「言葉」です。自分の思いや感情を整理したり、他人に分かりやすく伝えるために生み出された言葉という便利な道具。言葉は人間にとって最大の発明であり、人間らしく生きていく上で必要不可欠なもの。しかし、言葉は一歩使い方を間違えると、自分も他人も傷つてしまう恐ろしい凶器にもなってしまう。『問う女』は言葉の大切さや重みを伝えようとする作品です。
 自分を守るための道具として言葉を使ってきた主人公のマリア。彼女は他者と交流するためでなく、他者を傷つけ、拒絶するために言葉を使います。そんな彼女が言葉の通じない女性と出会ったときに気づく、言葉の価値と重み。言葉とは単なる道具ではなく、自分の心の一部。あたたかい心で投げかた言葉は人を慰め、冷たい心で投げかけた言葉は人を傷つける。この作品は普段何気なく使っている言葉というものを見直させてくれる作品です。
 この作品で使用される歌は全曲夜会のために作詞・作曲されたもので、ストーリーと密接に関連したものばかりです。今回は全体的に歌が少ないのですが、作品のラストに流れる『PAIN』という曲がとても素晴らしく、この曲が今回の夜会のテーマを見事に語っています。言葉の価値や人間の愚かさ、悲しさといったものをスケール大きく歌い上げた『PAIN』は中島みゆきの繊細だけど力強い歌声も相まって、聴いていて感動で身震いがするほどです。ぜひ多くの人に聞いて欲しい名曲です。私はこの曲を聴くためだけに何回も見直しているほどです。
 この作品はストーリーが駆け足で分かりにくかったり、話しの展開が古臭かったり、無理があるところもありますが、それを差し引いても素晴らしい作品になっています。DVDで発売もされているので、ぜひご覧になってください!
Toubook  ちなみにこの作品は中島みゆきの手により、小説化されており、舞台では省略された部分しっかり書きこまれているので、舞台をご覧になった方はそちらも読んでみてください。より中島みゆきが伝えたかったことが分かると思います。

会場:Bunkamuraシアターコクーン
1996.11.25~12.25
全24回公演

1.誰だってナイフになれる
2.エコー
3.エコー(“BERRIES”)
  (インストゥルメンタル)
4.SMILE,SMILE
5.台風情報(インストゥルメンタル)
6.エコー
7.誰だってナイフになれる
  (インストゥルメンタル)
8.RAIN
9.JBCのテーマ
10.公然の秘密
11.エコー
12.誰だってナイフになれる
13.女という商売
14.二隻の舟
15.あなたの言葉がわからない
16.血の音が聞こえる
  (インストゥルメンタル)
17.未明に(インストゥルメンタル)
18.異国の女(インストゥルメンタル)
19.JBCのテーマ
20.未明に(インストゥルメンタル)
21.PAIN
22.RAIN(インストゥルメンタル)

*ビデオ版と舞台では一部曲目が違います。
 ビデオ版では舞台のオープニングで歌われた『羊の言葉』がカットされており、逆に『異国の女』は舞台では流れません。この2曲とも夜会の曲を集めたCD『月-WINGS』、『日-WINGS』に収録されています。ちなみに『PAIN』も『月-WINGS』に収録されています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『アメリ』この映画を見て!

第95回『アメリ』
Ameri  今回紹介する映画は見た人を幸せにする恋愛映画『アメリ』です。この映画は公開当時フランスや日本でも大ヒットを飛ばし、アメリブームが巻き起こりました。この映画の監督は『エイリアン4』や『ロスト・チルドレン』などダークでグロテスクな映画を撮ることで有名なジャン=ピエール・ジュネが担当。今までの彼の作風とは打って変わって、お洒落でお茶目でポップな恋愛映画を作り上げました。
 私は公開当時、この映画にはまり、何回も映画館で通ってみたものでした。話し自体は別にこれといって目新しいものはなく単純なものなのですが、その描き方に独特なセンスがあり、何度見ても楽しめるだけの魅力がこの映画にはあります。
 まず独特な映像センス。全体的に彩度を落としたセピア調の色彩のノスタルジックな雰囲気と赤と緑を大胆に使用したポップ映像の融合はお洒落で美しいですし、さりげないCGの使い方もとても巧みです。カメラワークも凝っており、普通の映画では見られない構図がいくつもあり、監督の画の才能を感じることができました。また映画に登場する部屋や小物・衣装などもかわいく、見ていて欲しくなりました。特に豚のランプはお気に入りです。
Ameri_cd  ヤン・ティルセンが作曲した音楽もとても素晴らしく、映像とマッチしています。軽快なアコーディオンの音が印象的なテーマ曲に胸が締め付けられるようなセンチメンタルなピアノの曲と、映画で流れるどの曲もとても親しみやすく、どこか懐かしい感じを受けるものばかりです。私はこの映画を見て、音楽がとても気に入り、即サントラを買いました。この映画のサントラを聞くとすぐに映画に舞台となった街の風景が思い浮かぶと同時に、温かい気持ちになれます。ぜひ映画を見てはまった人はサントラCDも買ってください。絶対損しないと思います。
 続いてストーリーですが、一言で表すと、内気な女性の初恋を描いたとてもシンプルなラブストーリーです。それでいながら、登場人物たちは一癖もふた癖もある人たちばかりですし、ストーリー自体もどこか現実離れしているところもあり、普通の恋愛映画にはない独特な感じを受けます。
 ストーリー:「小さいときの家族環境現実逃避気味な女性アメリが、ある事件をきっかけに人を幸福にすうる喜びを感じ、周囲の人を幸せにしようと奮闘する。そんな中、アメリはふとした偶然で出会った青年に恋をする。彼に思いを告白したいが勇気をもてないアメリ。そんなアメリが恋を成就するまでの姿を周囲の人たちとのやりとりを交えながら描く。」
 この映画のストーリーは空想の世界に浸っていた女性が他者を幸福にすることや恋愛を通して現実の世界に居場所を見つけるというものです。アメリという女性はずっと孤独であったが故に純粋でもあったのだと私は思います。そんな彼女が他人を幸せにしようと奮闘したり、恋をする中で、人と触れ合う幸せを感じていく姿は見ていてとてもほほえましかったです。また彼女の純粋さや優しさが人の気持ちをほぐしていく場面も見ていて心地よいものを感じました。八百屋の店主に対する悪戯も遊び心があり、くすくす笑わさせてもらいました。後半、恋に落ちたアメリが彼と会いたいのに、自分に自信がなくてあと一歩のところで引いてしまう場面は見ていて切なく、彼女にがんばれと応援している自分がいました。
 この映画は主人公アメリだけでなく、周囲の人物も変わった人ばかりです。みんなどこか人間関係を上手く築けない不器用な人たちばかりなのですが、その不器用さがとても人間らしく、愛おしさを感じてしまいます。この映画は世の中にうまく馴染めない人たちに対する監督の温かい眼差しが感じられるところが私は大好きです。
 またストーリーの展開はとてもテンポが良く軽快です特にオープニングは短い時間で面白可笑しくアメリの生い立ちや周囲の人たちの姿を巧みに説明していたと思います。またファンタジックで心温まるストーリーでありながら時折生々しい場面やブラックな場面がはさまれていたりするがフランス映画らしかったです。ナレーションもエスプリが利いてました。
 この映画は見た後に誰もが幸せになれる恋愛映画です。ぜひ一度ご覧になってください。

製作年度 2001年
製作国・地域 フランス
上映時間 120分
監督 ジャン=ピエール・ジュネ 
脚本 ジャン=ピエール・ジュネ 、ギョーム・ローラン 
音楽 ヤン・ティルセン 
出演 オドレイ・トトゥ 、マチュー・カソヴィッツ 、ヨランド・モロー 、ジャメル・ドゥブーズ 、イザベル・ナンティ 

| | コメント (0) | トラックバック (3)

« 2006年8月6日 - 2006年8月12日 | トップページ | 2006年8月20日 - 2006年8月26日 »