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2006年7月16日 - 2006年7月22日

『天空の城ラピュタ』この映画を見て!

第83回『天空の城ラピュタ』
Lapyuta  昨日テレビで放映されていた『ハウルの動く城』を久しぶりに見たのですが、宮崎駿監督だけあってそれなりに面白い作品に仕上がっていることを改めて確認しました。しかし、ここ最近の宮崎映画は以前に絵の美しさは別として、完成度や面白さは低くなっているような気がします。宮崎駿は『ハウルの動く城』の他にタイトルに城が付いている作品を2作品手がけています。1つ目は『ルパン三世 カリトオストロの城』、2つ目は『天空の城ラピュタ』です。この2作品とも完成度、面白さとも『ハウルの動く城』をはるかに超えています。
 特に私は『天空の城ラピュタ』が大好きで、3ヶ月に一度はDVDで見直しています。ラピュタは私にとって心の栄養ドリンクみたいなものであり、何度見ても最後まで画面に釘付けになってしまう映画です。冒険活劇映画はハリウッドでもたくさん制作されていますが、この映画はほど面白く、感動できる作品は他にないと思います。
 この映画はキャラクター・ストーリー・映像・音楽・演出と全てにおいて完璧であり、宮崎駿を始めとするスタッフたちの情熱とこだわりが随所に感じられます。
 宮崎映画は毎回魅力的なキャラクターが数多く登場します。特にこの映画は主人公のパズー・シータを始め、脇役のドーラ・ムスカ・ポムじいさんと出てくるキャラクター全てが魅力的です。特に脇役のドーラはいい味を出しています。ドーラは海賊の船長としての顔、母親としての顔、女としての顔など様々な顔を持っており、かっこよくもあり、優しくもあり、奥行きのあるキャラクターです。悪役のムスカも本当に冷酷で憎憎しく、冒険活劇としての物語を盛り上げてくれます。また声優も最近のジブリ映画のように話題先行でなく実力ある声優や俳優が起用されているので、キャラクターにとてもはまっているところも良いです。
 ストーリーもテンポがよくメリハリがあり、2時間近い上映時間全く飽きさせません。まず天空に浮かぶ城を目指すという設定がロマンに溢れいて素敵です。この設定自体が多くの人を虜にします。
 また少年と少女の交流や成長も情感たっぷりにしっかり描かれているので、アクションシーンもとても盛り上がりますし、見ている側も主人公たちに感情移入して、映画のストーリーに入っていくことができます。特に前半のクライマックスの要塞からの脱出シーンは、最高に盛り上がります。あのシーンを見るために何回も見てしまうほどです。ドラマがしっかりしていると、アクションも盛り上がるという良い見本だと思います。(一昨年ラピュタによく似た『スチームボーイ』という映画が制作されましたが、人間ドラマがぐだぐだで全く面白くありませんでした。)
 天空の城に着いてからは単なる冒険活劇からトーンが変わり、物悲しい展開になってきます。特にお墓に花を供えるロボット兵と木に横たわるロボット兵の残骸のシーンは、文明の栄枯盛衰を感じさせ、印象的でした。
 切ないラストシーンもこの映画の素晴らしいところです。城がどんどん空高く上っていくシーンとそれを見つめるパズーとシータの姿は何回見ても胸にジーンときます。冒険の終わることの寂しさ、時代の移り変わり、ラピュタに対する2人の思い、様々な感情が込められたラストです。この切ないラストが単なる活劇映画にはない深い余韻を与えてくれます。
 もちろん宮崎駿の映画なので、この映画も自然と文明、人類と科学という大きなテーマがこめられているのですが、そのテーマが『もののけ姫』のように全面にでることなく、それでいてさりげなくしっかり描かれているところも好感がもてます。
 この映画の魅力を語るとき、久石譲さんの音楽は外せません。彼の音楽なくして、この映画はここまでの人気を得られなかったと思います。それくらい音楽が映画とマッチしており、アクションを盛り上げ、ドラマに奥行きを与えてくれます。特に主題歌、作詞は宮崎駿監督自ら手がけているのですが、ジブリの映画の中で一番素敵な主題歌であると思います。切ないラストシーンの後に流れてくる主題歌「君をのせて」は観客を清清しい気持ちにさせてくれます。
 またこの映画は絵としての完成度もとても高いです。アクションシーンの動きも活き活きしていますし、キャラクターの表情も丁寧に描けています。また背景の美術のレベルもとても高く、ラピュタの庭園のシーンの美しさは息を呑みます。この頃のジブリはまだ作品ごとにスタッフを集めて制作していました。その為、この映画の制作時も宮崎映画にぜひ参加したいという実力派アニメーターが結集したそうで、作画のレベルは日本アニメでも最高クラスです。
 この映画は私の中では宮崎作品の中で『風の谷のナウシカ』と並んで最高傑作だと思います。夢と冒険に溢れた世界、誰だって憧れる世界ですよね。私はこの映画を見た後は必ず空を見上げてしまいます。皆さんもこの映画を見た後は空を見上げてください。何ともいえない気持ちになりますから・・・。

製作年度 1986年
製作国・地域 日本
上映時間 124分
監督 宮崎駿 
原作 宮崎駿 
脚本 宮崎駿 
音楽 久石譲 
出演 田中真弓 、横沢啓子 、初井言榮 、寺田農 、常田富士男 

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『エクソシスト2』映画鑑賞日記

Exosist2  今回紹介する作品はオカルトホラーの金字塔『エクソシスト』の続編『エクソシスト2』です。
 『エクソシスト』は悪魔に取り憑かれた少女の変貌と悪魔を払う神父たちの格闘がとても印象的な作品でした。1作目はウィリアム・フリードキン監督の人間ドラマに焦点をあてた演出が、単なるホラー映画にはない深い味わいを与えていました。もちろんショッキングなシーンも迫力満点で、特に悪魔に取り付かれた少女の顔は強烈なものがありました。1作目は評価も高く、世界中で大ヒットを巻き起こしました。
 1作目のヒットから4年後、『エクスカリバー』や『未来惑星ザルドス』など独特な作風で知られるジョン・ブアマン監督の手によって続編が制作されました。公開時はあまりヒットもせず、評価も芳しくありませんでした。
 私もつい最近この作品がテレビで放映されたのを見たのですが、1作目に比べると確かに面白くありませんでした。まずホラー映画でありながら怖くなく、ストーリーも抽象的で難解であり、演出もいまいちでした。
 ただ全くつまらないかというと、そうでもありません。非常に面白いテーマを扱っている作品です。エンニオ・モリコーネが手がけた音楽は1作目の「チューブラベルズ」と並んで、傑作であり、「リーガンのテーマ」は一度聞くと耳から離れません。またジョン・ブアマンの独特な映像表現も妙に印象に残るものがあります。
 ストーリー:「あの恐るべき事件から4年。メリン神父の悪魔祓いにより救われたリーガンはニューヨークで平凡な学生生活を送っていた。女優の母はアイスランドへ行っており、秘書シャロンがリーガンの世話をしていた。リーガンは精神科の医師タスキンの病院に通い、カウセンリングを受けていた。そんな彼女に再び異変が起こり始める。その頃、メリン神父の死の謎を調査していたタスキン博士もリーガンの下を訪ねる。リーガンの深層心理を覗いたタスキン博士は、彼女の中にまだ悪魔がいることを知る。さらにリーガンに取り憑いている悪魔とメリン神父が40年前にアフリカで対決していたことをしる。40年前に悪魔に取り憑かれた少年に出会うため、博士はアフリカに一人飛び立つが・・・。」
 ストーリーは1作目とリンクしており、1作目で殉職したメリン神父と悪魔との関係が明らかになっていきます。1作目に比べるとストーリーは観念的であり、1回見ただけでは分かりにくいところがあります。この映画のテーマは善良であればあるほどつけいってくる悪をいかに駆逐するかということを扱っています。その設定自体はとても興味深く、考えさせられるものがあるのですが、そのテーマをうまく伝えきれていないのが残念なところです。イナゴがこの映画ではひとつの象徴として扱われているんですが、いまいち分かりにくいです。(イナゴの映像自体はとてもインパクトがあるのですが・・・。)
 メリン神父がアフリカの土着信仰の中で悪魔祓いをしていたという設定も面白く、メリン神父を異端者として扱うバチカンの神父たちとメリン神父の信仰を信じて調査するラモント博士との対立も、「信仰とはなにか」、「神とはどういう存在か」を考えさせてくれます。
 2作目は単なる駄作言うにはとても勿体無く、もう少し伝え方や見せ方が上手ければ、1作目に続いてオカルトホラーの名作になったと思うので残念です。
  
製作年度 1977年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 118分
監督 ジョン・ブアマン 
脚本 ウィリアム・グッドハート 
音楽 エンニオ・モリコーネ 
出演 リチャード・バートン 、リンダ・ブレア 、ルイーズ・フレッチャー 、キティ・ウィン 、ネッド・ビーティ 

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『劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - Air / まごころを君に』この映画を見て!

第82回『劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - Air / まごころを君に』
Evangelion_movie_1  今回紹介する映画は10年前に一大ブームを巻き起こしたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版作品であり、シリーズ完結編でもある『Air / まごころを君に』です。この作品は97年に公開されたのですが、制作が遅れて春に一部未完成のまま、テレビ版のダイジェストと合わせて『DEATH & REBIRTH シト新生』として公開され、夏に改めて『Air / まごころを君に』として公開されました。映画の内容はとても過激なもので、ファンの間でも賛否両論を巻き起こしました。
 『新世紀エヴァンゲリオン』は95年に新たなるロボットアニメとしてテレビ東京で放映されました。監督は『ふしぎの海のナディア』や『トップをねらえ』で人気を誇る庵野秀明が担当しました。次々と襲ってくる正体不明の存在「使徒」や人類補完計画など謎と伏線に満ちたスケールの大きなストーリー展開と、それに反して人間関係を上手く作れない主人公たちの内面描写に力をいれた演出、そしてテレビアニメとは思えないほどクオリティの高い作画など見所の多いアニメでした。テレビシリーズは26話で完結したのですが、ラスト2話はいきなり主人公・碇シンジの内面世界の描写だけで話しが進み完結したので、放映当時大変な反響を呼びました。
 私も当時大学生だったのですが、『新世紀エヴァンゲリオン』にはまり、ビデオで何回も見直したものでした。ユダヤ教の教義から生物学、心理学、哲学の領域まで踏み込んだストーリーの面白さ、設定の細かさ、庵野さんの静と動のコントラストが巧みな演出やGAINAXの作画や構図の緻密さに大変はまったものでした。私にとって、この作品の魅力は全ての謎が明確にされないところと、庵野監督の演出と作画の上手さにあると思っています。確かにテレビ版のラストは1回見ただけではよく分からない展開ですが、何回も見直すと、見せ方が今までと違うだけで納得できる展開であることが分かります。私はあのラストで庵野監督がこの作品で一番伝えたかったことを伝えたのだと思っています。この作品は一見スケールの大きな世界を描こうとしているようにみえますが、実はものすごくスケールの小さい、一人の人間が対人恐怖症を克服して社会と向き合うまでを描いた作品なのだと思います。
 映画版はテレビの25話・26話をリメイクした作品であり、シンジの内面世界の外で一体何がおこっていたのかを補完するための作品です。そういう意味では、テレビ版とストーリーの流れはリンクしています。そういう意味で監督が言いたいことはテレビ版とそんなに変わりはないのですが、その見せ方が大変過激です。
 私が初めて劇場で見たときは、あまりにも残酷な描写が多くびっくりしてしまいました。特にエヴァ2号機とエヴァ量産機との戦いのシーンは目を覆いたくなるほど過激なものでした。またストーリー自体も主要人物のほとんどが死んでいくか狂ってしまうという悲惨なもので、あまりにも救いようのない展開に度肝を抜かれてしまいました。映画のラストはテレビ版と基本的に同じなのですが、より辛辣な終わり方であり、後味は決してよいものではありませんでした。ただこの終わり方は主人公が現実で生きることを選択したという点で私はハッピーエンドだと思っています。
 この作品は今までテレビシリーズで積み上げてきたものを全て破壊していく作品であり、エヴァの世界にはまったファンを現実世界に強引に連れ戻そうとする作品です。そういう意味でこの作品はエヴァンゲリオンに対する庵野監督なりの総決算であり、後始末的な作品であると思います。
 またこの作品は庵野監督のとても私的な体験や心の葛藤をスケール大きく描いた作品だとも思います。脆弱な自分を抱えたまま、恐れている他人とどう付き合って生きていくかの葛藤と克服までを描くことがこの映画のテーマです。監督はこの作品の後に『ラブ&ポップ』、『式日』という実写映画を撮っているのですが、この2作品はエヴァンゲリオンのラストと密接に関連している作品なので、ぜひエヴァにはまった人は見てみて欲しいです。
 またこの映画は同じ年に公開された宮崎駿の『もののけ姫』と対をなす作品となっています。『もののけ姫』は人間と自然の対立を描いた作品でしたが、その根底には自分たちとは異質な他者とどう折り合いをつけるかというテーマがありました。そういう意味では『もののけ姫』とこの映画とテーマは限りなく近いところにあります。また『もののけ姫』は公開当時のキャッチコピーが「生きろ」でこの映画は「みんな死ねばいい・・・」と正反対のものでした。しかし、両者とも描いていることはまぎれもなく生きるとはどういうことかであり、この2つの映画は限りなく離れているようで近い映画となっています。残酷描写が多いのも両者に言えることですが・・・。
 この映画はアニメとはいえ小学生が見るとトラウマになりますし、テレビシリーズを見たことがない人が見ても全く楽しめません。ただテレビ版を見たことがある人で、映画版をもし見たことない人なら(そんな人いないかもしれませんが・・・)ぜひ見てみてください。
 

製作年度 1997年
製作国・地域 日本
上映時間 87分
監督 鶴巻和哉 、庵野秀明 
原作 GAINAX 
脚本 庵野秀明 
音楽 鷺巣詩郎 
出演 緒方恵美 、林原めぐみ 、宮村優子 、三石琴乃 、立木文彦 

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『宇宙戦争』映画鑑賞日記

War_of_the_world  今回紹介する映画は昨年の夏に公開されたスピルバーグ監督の異性人侵略SF映画『宇宙戦争』です。この映画は『透明人間』などの原作を手がけたH・G・ウェルズが1898年に発表した小説を基にしています。1950年代に一度映画化もされており、SFファンの間では古典的な名作です。その原作をスピルバーグがCGを駆使してリメイクするということで、私はとても期待したものでした。「スピルバーグ映画で最高の制作費!」や「原作と違うラスト!」、「日本も少しだけ登場する」などのマスコミの情報に、どのような映画になるのか興味津々でした。
 異性人侵略モノというと96年に公開された『インデペンデンス・デイ』という映画がありました。この映画はアメリカの都市が異性人によって木っ端微塵に破壊される映像と人間が異星人に立ち向かう姿がスケール大きく描かれた作品でした。映画の質は大味でアメリカ万歳のストーリー展開が今ひとつですが、映像の迫力はなかなかのものでした。
 異性人侵略モノという古典的なジャンルのSF映画をスピルバーグが一体どのようなアプローチをするのか、公開まであれこれ想像したものでした。徹底した秘密主義から映画のストーリーに関する情報は公開までほとんど流れてこず、それが映画へに期待を大きく膨らませました。
 そして映画公開初日。期待に胸を膨らませて映画館に行ったのですが、見終わった後はがっかりしたものでした。映画の前半はかなり面白く、これは傑作かもと思っていたのですが、後半からどんどん失速し、ラストはあまりのあっけなさとご都合主義な展開にかなり失望してしまいました。
 ストーリー:「湾岸労働者のレイは妻と離婚し、子どものレイチェルとロビーの3人で暮らしている。レイと子供たちの関係はあまり上手くいっていなかった。そんなある日、奇妙な稲妻が数十回も同じ場所に落ちる。レイは落雷した場所を見にいくが、その地中から巨大なマシーン・トライポッドが出現し、レーザー光線で人々を皆殺しにする。なんとか生き延びたレイは、盗んだ車にレイチェルとロビーを乗せて町を出るが・・・。」
 ストーリーは宇宙戦争というタイトルの割りにスケールは小さく、異性人の侵略に逃げ惑う一家族に焦点をあてています。突然、地中から現れたトライポッドの襲撃にパニックに陥る人々の姿はとてもリアルで怖いです。特に人が灰にあるシーンと川に死体が流れてくるシーンはインパクトが強烈でした。また車をめぐって人々が争うシーンも生々しくてよかったです。映画の前半の異星人の無差別殺戮や人々の慌てふためく姿は9.11テロをイメージして撮影したそうです。突然の攻撃に慌てふためく人々の姿には911テロがアメリカにとって如何に深刻な影響を与えたのかがよく分かります。映画の前半はスピルバーグ監督の演出の上手さがとても光っており、画面に釘付けになります。
 しかし、映画の中盤に農家の地下室に逃げ込んだあたりから一気に退屈な映画になっていきます。農家の地下に立てこもっていた男にレイと娘が助けられるのですが、ここからストーリーのテンポが悪くなっていきます。地下で主人公のレイが娘を守るためにある行動をとるのですが、自分勝手にしか見えず共感しずらいですし、宇宙人と遭遇するシーンも宇宙人の造形があまりにもしょぼくてがっかりさせられます。また映画のラストも原作通りであり、あまりにも突然の幕切れにがっかりさせられます。伏線も何もなく、突然あのように終わるのはどうかなと思いますし、あの終わり方にするなら、もっと終盤の展開を変えるべきだったと思います。 
 最近のスピルバーグの映画はラストがぐだぐだなような気がします。演出は上手くなっていると思うのですが、それに反して映画の完成度は下がってきているような気がして残念です。最近のスピルバーグは父と子の関係を描いた作品が多いのですが、そのテーマにこだわりすぎているような気がします。
 この映画は映像と音響に関していえば完璧です。それだけにストーリーがしっかりしていれば、すごい作品になる可能性があったと思うので、後半の失速が非常に残念です。映画の前半の絶望的な展開でラストまで突き進んでいけば、この映画は映画史に名を残すSF映画になったと思います。
 

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 114分
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
製作総指揮 ポーラ・ワグナー 
原作 H・G・ウェルズ 
脚本 デヴィッド・コープ 、ジョシュ・フリードマン 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 トム・クルーズ 、ダコタ・ファニング 、ティム・ロビンス 、ジャスティン・チャットウィン 、ミランダ・オットー 

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『スチームボーイ』映画鑑賞日記

Steamboy  今回紹介する映画は『AKIRA』の大友克洋が15年ぶりに発表した長編アニメ映画『スチームボーイ』です。制作期間9年、制作費24億円をかけた超大作アニメです。この映画は製作会社がなかなか決まらなかったり、シナリオがなかなか完成しなかったり、公開が延期されたりと、完成までに紆余曲折ありました。
 私は『AKIRA』が大好きだったので、大友監督がついに長編映画を制作するという話しを聞いたときはどんな作品になるのだろうとワクワクしたものでした。イギリスを舞台にスチームバンクな冒険活劇展開するというストーリーにも興味を惹かれ、映画の公開を待ちに待ったものです。しかし、待てど待てどなかなか完成せず、私も忘れかけていた頃についに公開となりました。
 公開初日に胸に期待を膨らませ映画館に行ったのですが、あまり観客も入っておらず、あの大友監督の作品なのに誰も興味がないのかなあと思いながら、映画が始まるのを待ったものでした。しかし、映画を見終わると、確かにこの内容だと観客が来ないのもしょうがないかあなと納得している自分がいました。何年も前から楽しみにしていたのに、まさかこんな微妙な作品だとは・・・。映像はさすが大友監督、制作にも時間をかけただけあって見ごたえ十分だったのですが、ストーリーがあまりにもひどすぎて、ぜんぜん映画の世界に入りこめませんでした。また声優の演技もひどく、音楽もいまいちですし、あれだけのお金と期間をかけて、まさかこんな面白くない作品になるとは思ってもいませんでした。
 ストーリー:「19世紀の英国。ある日、主人公レイの少年の元に祖父ロイドと父エディが発明した謎の球体・スチームボールが届く。その直後、アメリカのオハラ財団からやってきた怪しげな男たちがそのボールを奪おうとしたため、少年はその“スチームボール”を手に家を飛び出すのだが……。」
 この映画は制作期間が長くなりすぎて、シナリオ自体がかなり混迷していたようです。
途中から脚本家の村井さだゆきが参加して、大友監督のシナリオを整理してやっと今のシナリオになったそうです。
 この映画は派手なアクションシーンがたくさんあるにも関わらず、あまり盛り上がらない作品です。次々と出てくるメカやスチーム城が暴走するシーンなど、見せ場はたくさんあるのに、あまり盛り上がりません。ラストのロンドン破壊のシーンなど最大の見せ場に関わらず、ぐだぐだした印象しかもてません。
 この映画は人類の科学への向き合い方をテーマにしているようなのですが、そのテーマ自体が何度も取り扱われたテーマで古臭く、今さらといった感じです。またそのテーマに対して監督は明確なメッセージを主張しないので、出てくる登場人物たちの行動に共感も反発も感じることが出来ず、観客は傍観者の立場としてしか見ることが出来ません。監督はこの映画を王道の冒険活劇にしたくなかったようで、あえて主人公に感情移入させないような作りにしたそうですが、それが完全に裏目に出ていると思います。この手の冒険活劇映画は明確な悪役がいて、それにどう主人公が立ち向かっていくかが面白さのポイントなのです。それをあえて外してしまうのなら、シナリオの方向性をもっと違う方向にすべきだったと思います。
 あとこの映画はヒロインが最悪で、見ていていらいらします。特にストーリーに絡むわけでもないので、別にあの役は不必要だったのでは思います。
 またこの映画は声優陣の演技がとても下手です。特に中村嘉葎雄演ずるロイドは何を言っているのか聞き取りにくく、なぜこの人を起用したのか不思議でした。また鈴木杏も主人公の声をがんばって演じていましたが、がんばっているという印象しかもてませんでした。逆に小西真奈美は上手だったと思います。
 この映画は観客が期待したものを、悪い意味で裏切った作品です。映像はとても緻密で見所は多いにも関わらず、ストーリーのぐだぐださが足を引っ張ってしまい、とても残念な作品です。

製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 126分
監督 大友克洋 
脚本 大友克洋 、村井さだゆき 
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演 鈴木杏 、小西真奈美 、中村嘉葎雄 、津嘉山正種 、児玉清 

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