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2006年6月4日 - 2006年6月10日

『テルーの唄』

お気に入りのCD.NO9『テルーの唄』
Song_of_  今回紹介するCDは7月に公開されるスタジオジブリ最新作『ゲド戦記』の挿入曲『テルーの唄』です。この唄は萩原朔太郎の詩「こころ」にヒントを得た宮崎吾朗監督が作詞、「恋するニワトリ」や「しっぽのきもち」などで有名な谷山浩子が作曲を手がけ、18歳の新人歌手・手嶌葵が歌っています。
 私がこの曲を最初に聞いたのは『ゲド戦記』の予告編を見たときでした。透き通る歌声と、切なくてそれでいて励まされる歌詞、素朴で親しみやすいメロディーに、聞いていて涙が出そうになりました。ここまで心を揺さぶられる唄には久しぶりに出会いました。
 萩原朔太郎の「こころ」に触発された宮崎吾郎の歌詞は一つ一つの言葉が胸に染み入ります。人知れず自分の道を歩いていくことの寂しさや切なさを、美しい喩えで表現しています。聞き終わると、自分の心が洗われたような感じになります。ちなみに萩原朔太郎の『こころ』は次のような詩です。

『こころ』 萩原朔太郎

こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

 また手嶌葵の歌声がとても美しく、言葉のもつ力や魅力をさらに引き出しています。素朴であたたかく、優しい彼女の歌声は聞く人の心を落ち着かせてくれるものがあります。さすがスタジオジブリ、いつもながら素ばらしい歌手を見つけてくるものです。
 ちなみに歌のタイトルになっている『テルー』とは原作では4巻と5巻に登場する人物で、親に殺され掛け、顔にひどいやけどを負った孤独な少女です。彼女はゲドとゲドの愛した女性テナと共に暮らすのですが、3巻をベースにした映画での彼女の設定や役割がどういうものなるのか楽しみです。
 映画自体はどのような作品になるかまだ未知数ですが、唄に関しては傑作です。この唄が映画の中でどのように使用されるのか非常に楽しみです。ぜひ皆さんもこのCDを買って聞いてみてください。

ゲド戦記公式サイト:http://www.ghibli.jp/ged/

手嶌葵公式サイト:http://www.teshimaaoi.com/

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『プラトニック・アニマル―SEXの新しい快感基準』街を捨て書を読もう!

『プラトニック・アニマル―SEXの新しい快感基準』 著:代々木忠 幻冬舎アウトロー文庫
Photo_3  今回紹介する本は過激なタイトルや表紙に反して、中身はとても真面目に性について書かれており、現代人が持つ性や生き方に対する価値観が大きく変わってしまうほど素晴らしいメッセージ性をもっています。
 性に関する本はたくさん出版されていますが、その多くはハウツーものだったり、テクニックに関する内容のものばかりです。しかし、この本はそれらの本とは全く違います。著者は元やくざで、
AV界の大御所である代々木忠。彼は自分がアダルトビデオの撮影現場で出会った女性や現場での経験を通して、性の奥深さや愛の本質について語っていきます。彼は現代人が持つ歪んだ性に対する考えに警鐘を与えると共に、個が抑圧された社会の中で性を通して自らを解放していくことの重要性を説きます。制度の中で建て前ばかりを気にする現代人。恋人と付き合うときもどうしても建て前を気にしてしまい、自らをさらけ出せない男たちや女たち。そんな現代人に対して、彼は性を通して自らをさらけ出せと訴えます。さらに愛とは自らをどこまでさらけ出すことができるかが重要になると説きます。
またこの本は性を通して自らを解放させていくための実践的な方法も書かれており、その内容は誰でもできるもので、とても参考になります。
 この本は性を通して生を語る奥深い本です。ぜひ結婚した夫婦や恋人たち、そして独身の人にもぜひ読んでほしい本です。

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『28日後』この映画を見て!

第72回『28日後』
28日後... 特別編 今回紹介する映画は『トレインスポッテイング』で有名なダニー・ボイル監督が制作した世紀末ホラー映画『28日後』です。この映画はウィルスによって崩壊した文明社会の中で生き残った人たちの姿を捉えた作品ですが、恐怖と美しいに満ちた映像とリアルなストーリー展開がとても印象的な作品です。
 ストーリー:「怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所。ある夜、精神を冒し即効性の怒りを発するウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵入した動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。その直後、活動家の一人がチンパンジーに噛まれて豹変、仲間に襲い掛かる…。28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていたメッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。28日間で広まったウイルスによって感染者は凶暴化し、世界は崩壊の危機に瀕していた。ジムは、感染者の攻撃をかいくぐりながら、わずかに残された非感染者とともに安全な場所を目指すが・・・。
 この映画を見たとき一番印象的だったのは走って襲ってくる感染者たちでした。昔のゾンビ映画などはノロノロした動作で襲ってくるので、まだ逃げれる余裕があったのですが、全力疾走で人間を襲ってこられると逃げ切るのも大変で怖いですね。また前半の誰もいないロンドンの街並みも印象的でした。人の気配が全く感じられない街を一人さまよう主人公の姿は見ていて、絶望感と不安を感じました。人によって作られた街から人ほとんどいなくなるということほど、孤独と恐怖を感じさせるものはないですよね。
 また後半の人間の敵は結局人間という救いのない展開もこの手の映画ではありがちですが、個人的には面白かったです。おそらく監督は感染の恐怖というより、人間の中に潜む暴力性や怒りというものを描きたかったのだと思います。しかし、その分後半はストーリーが尻すぼみになり、感染者の襲撃シーンが少なかったのが残念ですが・・・。
 私は昔からジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』『死霊のえじき』が大好きなのですが、『28日後』は随所にロメロのゾンビ映画の影響が感じられました。荒廃した街、無人のスーパーマーケットでの買い物、軍人の愚かさとロメロのゾンビ映画を彷彿させるシーンが随所に見られ、ジョージ・A・ロメロ監督の影響の大きさを改めて思いました。
 この映画はダニーボイルらしく、この手の映画にしては映像・音楽共に美しいです。デジタルビデオによって撮影された映像は生々しさと独特な美しさがあります。また音楽も途中で挿入される「アヴェ・マリア」の曲もとても印象的でした。
 ちなみにこの映画はエンディングが何種類も存在しており、DVDには劇場公開された希望に満ちたエンディング以外に、3つのエンディングが入っています。劇場公開されたエンディングとはまた味わいの違うエンディングなので、興味のある人はぜひ購入するかレンタルするかして見てください。ちなみに私は劇場公開されたエンディングが一番好きです。
 この映画はホラー映画でありますが、そんなに怖くありませんし、追い詰められた人間の心理や業を描いたドラマとして見ても十分楽しめる作品となっています。ストーリー展開や設定の詰めの甘さなどあり、決して傑作とまでは言えませんが、見て損はない作品だと思います。

製作年度 2002年
製作国・地域 イギリス/アメリカ/オランダ
上映時間 114分
監督 ダニー・ボイル 
製作総指揮 グレッグ・カプラン 、サイモン・ファロン 
脚本 アレックス・ガーランド 
音楽 ジョン・マーフィ 
出演 キリアン・マーフィ 、ナオミ・ハリス 、クリストファー・エクルストン 、ミーガン・バーンズ 、ブレンダン・グリーソン

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