『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』この映画を見て!
第133回『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』 今回紹介する作品は激しいガンアクションと男同士の熱い友情を描くことで定評のあるジョン・ウー監督の『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』です。
ジョン・ウー監督はチョン・ユンファを主演に据えた「男たちの挽歌」シリーズで一躍世界的に有名なアクション映画の監督になりました。彼の作品はどれも非常に暴力的でありながらも、独特な様式美があります。特にスローモーションを多用した撮影方法や2丁拳銃のガンアクション、戦闘中に鳩が飛ぶなどの演出はジョン・ウー監督のトレードマークとなっており、多くのアクション映画ファンの心を掴みました。
さて、今回紹介する作品はジョン・ウー監督がハリウッドデビューする直前に、香港で撮った最後の作品です。その為、香港時代の彼の映画の集大成といった感じの仕上がりとなっています。
ストーリー:「1997年、中国返還目前の香港。腕利きの刑事テキーラーは武器密輸団の捜査中に乱闘となり相棒を亡くしてしまう。相棒の復讐の為に上司の制止も振り切り、一人捜査を続けるテキーラ。そんな彼の前にマフィアのボスの右腕・トニーが現れる。テキーラはトニーと激しい銃撃戦を繰り広げるが、途中で彼が潜入捜査官であることに気付く。その後、テキーラとトニーは時に反目しあいながらも協力して武器密輸団に闘いを挑む。」
今回の作品もジョン・ウー監督の作品らしく孤独な男たちの生き様と熱い友情が情感たっぷりに描かれています。特に潜入捜査官であるトニーの描き方が素晴らしく、いつ正体がばれて殺されるかもしれないという危険な仕事に単身挑む潜入捜査官の不安や苦悩といったものが見事に描かれています。
トニーを演じているのは今や香港映画のトップスター、トニー・レオンなのですが、彼の感情を抑えた演技が素晴らしいです。表情や仕草で見事に潜入捜査官の揺れる心を表現しています。はっきり言って主役であるチョン・ユンファの演技を食っています。
もちろんチョン・ユンファも殺された相棒の復讐を誓う一匹狼の刑事を男気たっぷりに演じています。爪楊枝を加えながらたばこを吸い、哀愁漂う切ない目でニヤッと笑う姿は見ていて格好いい限りです。
ストーリーの素晴らしさもさることながら、今回の映画の最大の見せ場はやはり銃撃戦です。映画の冒頭からここまでやるかという銃撃戦の連続で、一瞬たりとも目が離せません。
銃撃戦は大きく分けて、冒頭と中盤と後半と3つあります。(というか、映画の後半はほとんど銃撃戦です。)
まぜ、映画の冒頭はレストランでの銃撃戦が繰り広げられるのですが、いきなりチョン・ユンファの2丁拳銃でのガンアクションが炸裂。銃裁きの美しさに見とれてしまいます。また現在、NHKの『芋たこなんきん』に出演している國村隼さんも殺し屋の役で冒頭登場し、チョン・ユンファに向かってイングラムを乱射しまくっています。
中盤の港の倉庫での銃撃戦シーンも凄いの一言です。あり得ないほどの激しい爆発と過激なバイクスタントに、スタントマンの人たちの苦労が忍ばれます。
そして、後半の病院での40分近い銃撃戦。病院内が戦場と化します。ここまでやらなくてもいいのではと言うほど激しい銃撃戦と爆発がこれでもかと続きます。あまりの過激なアクションの連続に途中から見ていて笑いさえこみ上げてきます。はっきり言ってこれを超えるアクションシーンはこれ以降の映画には見られないと思います。
またジョン・ウー監督らしく折り鶴やライター、花束など小道具の使い方が巧みですし、スローモーションによるドラマチックな映像やアクションシーンの途中に役者のアップを挿入する独特のカット割りなどが効果的に使われています。
余談になりますが、バーのマスター役でジョン・ウー監督自らも出演しています。演技自体は今ひとつですが・・・。
この作品はジョン・ウー監督が好きな人はもちろんのこと、トニー・レオンが好きな人、アクション映画が好きな人なら絶対見て損はしないと思いますよ。
製作年度 1992年
製作国・地域 香港
上映時間 127分
監督 ジョン・ウー
脚本 バリー・ウォン
音楽 マイケル・ギブス
出演 チョウ・ユンファ 、トニー・レオン 、テレサ・モウ 、ウォン・チョーサン 、フィリップ・チャン 、ボウイー・ラム 、國村隼 、ジョン・ウー 、アンソニー・ウォン
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