『マクドナルド化する社会』街を捨て書を読もう!
『マクドナルド化する社会』 著:ジョージ リッツア 早稲田大学出版部 マクドナルドは誰もが知っている有名なハンバーガー店で、日本でも多くの人が一度は行ったことがある店だと思います。マクドナルドは現在121か国にあり、その店舗数は約31,000店舗にも及ぶそうです。マクドナルドは今や世界を席巻するファストフード・レストラン・チェーンです。
マクドナルドはマクドナルド兄弟がアメリカのカルフォニアで1940年に開業し、スピードと効率化を求めた販売システムが話題になりました。しばらくはカルフォニアだけで営業されていたのですが、1954年に大きな転換点が訪れます。企業家のレイ・クロックがマクドナルドの販売方法に注目し、マクドナルドのシステムをフランチャイズ形式にして、システムそのものを売る商売を始めてはどうかと兄弟に勧めたそうです。その後、クロックがマクドナルドシステム会社を設立。その後、マクドナルド兄弟はクロックに全権利を譲り、クロックがマクドナルドを経営し、世界的なファストフード・レストラン・チェーンに発展させてきました。
マクドナルドの大きな特徴は徹底的な省力化・効率化を行い、注文後すぐに商品が出てくるようになっている所と、世界中どこの店で食べても基本同じ味が提供されているという所にあります。マクドナルドが生み出した省力化・効率化・品質管理のシステムは今やファストフード業界だけでなく、ビジネスを始め、医療・教育など社会の幅広い分野に影響を与えるまでになっています。
今回紹介する本『マクドナルド化する社会』はマクドナルドを代表とする現代社会の効率化や合理化が現代人に与える問題点を鋭く分析しています。社会学者である著者はマクドナルドのシステムを「効率性」「計算可能性」「予測可能性」「制御」の4つの要素から成り立っていると分析します。
徹底したマニュアル化やルーチン化、そして人間に頼らない技術の開発。これらにより多くの人間が自律性や創造性を奪われ、システムに対して忠実に動くことだけが求められる脱人間化した現代の社会システム。そんな現代社会の非人間性に対し著者は警鐘を鳴らします。
もちろん効率化や合理化は現代人に便利さやコストダウンなどの多くの恩恵を与えてきました。今さら効率化や合理化を止めるなどは難しい話しです。
しかし、このまま効率化や合理化を推し進めることが本当に人間を幸せにするのか?この本は現代社会で生きる私たちに深い問題提起を投げかけています。
*内容
第一章 マクドナルド化入門
第二章 マクドナルド化とその先駆者たち
第三章 効率性
第四章 計算可能性
第五章 予測可能性
第六章 制御
第七章 合理性の非合理性
第八章 マクドナルド化の鉄の檻
第九章 マクドナルド化の最先端分野
第十章 マクドナルド化する社会のなかで生きるための実用ガイド
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