『ジュラシックパーク』この映画を見て!
第124回『ジュラシックパーク』
CGを駆使してリアルな恐竜の姿を描き、観客の度肝を抜いたスピルバーグ監督の『ジュラシックパーク』。この映画は恐竜を荒唐無稽な怪獣としてでなく、太古に存在した生き物として扱っており、恐竜好きな人にはたまらない作品でした。私も小さいときから恐竜好きだったので、初めて映画館で見たときはT-REXやプラキオサウルスがまるで現代に甦ったかのように活き活きと動き回る映像に大変感動したものでした。
この映画はストーリーや人物描写を楽しむ映画でなく、生きている恐竜を見ることや恐竜に襲われる恐怖を楽しむアトラクション型映画です。はっきり言ってしまって、恐竜が出てくるところ以外これと言って見所はありません。ストーリーは粗が多いですし、恐竜が出てくるまでの前半部分はテンポも悪いです。
しかし恐竜が登場するや否や画面に釘付けになります。特に中盤のT-REXが車を襲うシーンはこの映画最大の見所です。T-REXが近くに迫りながらもなかなか姿を見せないシーンの何とも言えない緊張感、そして現れた後これでもかと容赦なく人間を襲うシーンの圧倒的な迫力。この映画の中でもスピルバーグの演出が最も冴え渡ったシーンです。スピルバーグほど観客を驚かしたり怖がらす演出をさせると上手い監督はハリウッドにいないと思います。この映画は見返してみると恐竜の姿が映るシーンは思ったより少ないのですが、それでも観客を満足させてしまうのはスピルバーグの見せ方の上手さだと思います。特に恐竜が登場するタイミングが絶妙で、常に観客の予想を裏切った登場の仕方をするので強いインパクトが残ります。
この映画は公開当時はまだ珍しかったCGを大胆に取り入れ、誰も見たことに映像を創り出すことに成功しました。この映画以降、ハリウッド映画ではCGを使った映像表現が流行しました。そしてCGの技術はどんどん向上し、最近のハリウッド映画ではCGを使っていない映画を探す方が難しくなりました。この映画は映画史においても映像表現の可能性を広げた歴史的転換点に位置する重要な作品です。
この映画に登場する恐竜たちは全てCGで描かれているのでなく、アニマトロニクスという実物大のロボット制御の恐竜を使って撮影されているシーンも数多くあります恐竜のアップのシーンはアニマトロニクスで撮影されており、CGにはなかなか出せない質感を与えています。そういう意味では新しい特撮技術と今までの特撮技術が上手く融合した作品だと言えます。
また音響面でも世界初のDTSサウンドを取り入れ、恐竜の叫び声や歩く際の地響きなど重低音の効いた迫力のある効果音を生み出すことに成功しました。この映画を家で見るときはぜひホームシアターを整えて見て欲しいと思います。迫力が全く違いますので。
この映画は続編が2作公開され、現在4作目が制作中だそうです。しかし、2作目以降は出てくる恐竜の数は増えたものの、恐竜好きな方にはたまらないと思いますが、映画としての面白さはいまいちです。1作目にあった生きた恐竜が現代に甦る衝撃やロマンといったものが2作目以降にはあまり感じられません。
『ジュラシックパーク』は恐竜へのロマンと畏怖が感じられ、恐竜好きにはたまらない作品です。また娯楽映画としても子どもから老人まで誰もが楽しめる作品となっています。
製作年度 1993年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 127分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
原作 マイケル・クライトン
脚本 マイケル・クライトン 、デヴィッド・コープ
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 リチャード・アッテンボロー 、サム・ニール 、ローラ・ダーン 、ジェフ・ゴールドブラム 、アリアナ・リチャーズ 、ジョセフ・マッゼロ 、マーティン・フェレロ 、ボブ・ペック 、ウェイン・ナイト 、サミュエル・L・ジャクソン 、ジェリー・モーレン
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