『人生の教科書 よのなかのルール』街を捨て書を読もう!
『人生の教科書 よのなかのルール』 著:宮台真司・藤原和博 ちくま文庫
今回紹介する本はブルセラから天皇まで語る気鋭の社会学者・宮台真司とリクルート退社後に民間人初の公立中学校長となり注目を集めた藤原和博が手がけた全く新しい社会の教科書『人生の教科書 よのなかのルール』です。
この本は「自殺」「少年犯罪」「受託」「仕事と給料」「結婚と離婚」「クローニング」「ドラッグ」等、学校の授業では習うことの出来ない社会のルールがわかりやすく書かれています。この本で語られるテーマ自体は世の中の当たり前のことが多いのですが、知っているようで意外に知らないことが多いことを気付かせてくれます。なぜ人を殺してははいけないのか?なぜドラッグは禁止されているのか?など常識の裏側にある理由をこの本は明快に説明してくれるので読んでいて目から鱗が落ちます。もしこの本を中学生の時に読んでいたら人生大きく変わっていただろうなと思いました。
著者2人は成熟した社会を支える市民を育成するために作成したそうです。高度経済成長期のように豊かになることが多くの国民にとって目標となっていた時代は終わり、多くの人が社会の中で生きる目標を見失った時代。豊かさの代償として家族や地域という共同体が崩壊した時代。日本の社会は「皆同じ仲間」という横並びの社会から、「皆違う他人」という個別化多様化した社会に変わってきました。そんな多様化・複雑化した社会の中でどう個人としてとして生き抜いていくか、その重要なヒントがこの本には書かれています。
最近、教育基本法の改正や高校の履修不足など教育に関する話題が大きく注目されています。この本を読むと現在の日本の教育に足りない部分が何なのかよく分かると思います。
この本は中学生から大人まで、成熟した社会で生きる多くの人にぜひ読んでほしい人生の教科書です。
*目次
・なぜ人を殺してはいけないのか
・第1部 大人と子どものルール
大人、子ども、その境目はどこに?
少年をとりまく犯罪とルールの関係
あなた自身と犯罪の危ない関係)
・第2部 お金と仕事のルール(大人はなぜ「接待」をするのか
1個のハンバーガーから世界が見える
自分の家から日本が見える
仕事とキャリアを考えると人生が見えてくる)
・第3部 男と女と自殺のルール(性転換をめぐる、男と女としあわせのルール
結婚と離婚と子どもをめぐるルール
自殺から見える社会―ある監察医のつぶやき)
意味なき世界をどう生きるか?
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