宮崎学の本
私の尊敬する作家に宮崎学がいます。彼は自分のことをアウトロー作家と呼び、国家権力や戦後民主主義に鋭い批判を投げかける一方、ヤクザなどのアウトローへ親近感を寄せる文章を数多く発表しています。
彼は1945年京都のヤクザの組長の下に生まれ、早稲田大学時代は共産党に入り、ゲバルト体調として数々の活動を指揮するも、共産党に幻滅し脱退。『週刊現代』の記者として何年か過ごした後に、実家の解体業を継ぎ、バブル時代は地上げ屋などもしていたそうです。しかし、解体業が上手くいかず倒産し、莫大な借金を抱えたそうです。森永・グリコ事件の時は重要参考人として警察にマークされた時期やヤクザに銃で腹を撃たれる等数々の修羅場をくぐり抜け、自伝的作品『突破者』でデビューして、ベストセラー作家になります。その後は、裏社会の実態や国家権力に対する批判を書いたノンフィクションや伝説的アウトローを描いた小説を数多く発表しています。近年、『近代の奈落』という被差別部落解放運動を追ったルポにて自らが被差別部落出身であることを発表し話題になりました。
私が彼の作品と初めて出会ったのは大学生の時でした。その当時は左翼に傾倒しており、マルクス主義の本や国家権力を批判する本をいくつも読んでいました。その当時は革命を起こして国家が変われば、日本という国家は変わるのでないかと真剣に思っていた時期であり、左翼の運動にも積極的に関わっていました。しかし、左翼の運動家の人たちの組織的(レーニン的)な運動の仕方に疑問を感じてもおり、自分がしていることが本当に正しいことか迷っていた時期でもありました。そんな時期にたまたま彼の本を手に取る機会があり目から鱗が落ちたものでした。彼は元共産党党員でありながら「市民」や「党派性」へ批判的であり、組織的な運動の限界について語っており、まさしく当時の自分が疑問に思っていたことへの答えを得ることが出来て救われたものでした。それ以降、私はあくまでも個を出発点として、アウトロー的に闘っていこうと決めたものでした。
現在、私は彼の本が出るたびに欠かさず買って読ませてもらっています。彼の本はどれも国家や市民社会に対して厳しい批判を投げかけてる一方、そんな混沌とした時代の中で個人がどう生きていくべきか読者に問いかけます。彼は現代に蔓延する合理主義やクリーンな全体主義を否定すると同時に、どこまでも個を貫き、個として闘うことを読者に訴えます。そんな彼の主張は私にとって大きな励ましです。
私のお薦め作品Best3
3位『叛乱者グラフィティ 』
60年代の学生・若者による運動は何を意味していたのか? 当時活躍していた運動家たちを招き、当時の様子や現代の社会について熱く語り合います。巻末には中核派にスパイとして疑われた作者の反論も掲載されています。
2位『近代の奈落』
全国各地の部落を訪ね、運動家に会い、かつてその地で激しく闘いつつ悩み葛藤した、姿をいきいきと描いたルポタージュ。部落問題を通して近代日本とは、部落解放運動とはなんだったのかを読者に問いかけます。
1位『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年』
ヤクザの組長の息子として生まれ、学生運動に身を投じ、雑誌記者を経て全国指名手配。グリコ・森永事件で犯人「キツネ目の男」に擬された男・宮崎学の自伝的作品。この本を読めば宮崎学が分かります。
宮崎学公式サイト http://miyazakimanabu.com/
宮崎学が責任編集しているサイト『直言』http://web.chokugen.jp/miyazaki/cat69319/index.html
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コメント
僕は、昔ゾンビを映画館で、見ました。そのゾンビでは、1つのゾンビドン・オブ・ザ・デレクターズ・カット完全版なのか、デレクターズカット版なのかタイトル付きが、よく分からないが、確か、リビング・デッドデレクターズ完全版かも知れないが、その時は、タイトル出て、音楽と同時に惑星爆発シーンが、始まるそれから、英語の字幕スーパーから、キャスト後は字幕スーパーから、出てくるシーンが、うなされて起こしている男性で、コーラよと差し出す。シーンが、記憶力が、残っておりますが、時間は3時間だった。あの頃は同時上映は死亡遊戯だった。ブルースリーだった。ヘラルド映画会社は勝手に、冒頭部分を、付けては勝手に、冒頭部分を、筈すこんな下らん事は勝手に、するな。と、だから。問題に、なる筈です。あのままに、惑星爆発シーンを、付けたままに、しとけば良いのに、馬鹿見たいに、無くなっている冒頭シーン惑星爆発は勝手に、筈すな。と、言いたいですよ。ビデオテープにも、DvDにもかかわらず、入れていない。
投稿: 田中孔治 | 2010年6月21日 (月) 00時03分